私は悪女らしいので、婚約者のうつけ王子を操り──私を売った父と母国に復讐します

しおしお

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第37話 悪女令嬢、うつけ王子に現実を見せつける

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第37話 悪女令嬢、うつけ王子に現実を見せつける

谷間での大勝利から数刻後。
敵軍は完全に壊滅し、ベルリッタ軍は勝鬨を上げていた。

兵士A
「勝ったぞおおーーーっ!!」

兵士B
「殿下の采配、見事でした!!」

ドンファム
「え、え……? いや、俺は……」

兵士たちから賞賛が飛び交い、
ドンファムは困ってアクノマジョリーカを見た。

ドンファム
「な、なぁ……これ、全部お前が考えた作戦だろ?
俺が褒められるのおかしくないか?」

アクノマジョリーカ
「殿下。王子とはそういうものですわ。」

ドンファム
「そ、そうなのか?」

アクノマジョリーカ
「王は“国の顔”。
戦場で勝とうと負けようと、
采配の責任は必ず王族に向かいます。
だからこそ勝利の栄光もまた、王族が受け取る。
それでいいのです。」

ドンファム
「……俺はまだ“王子としての顔”を持ってなかったんだな。」

少しだけ寂しげな、しかし決意を感じる表情だった。

アクノマジョリーカ
「殿下は今日、初めて“王子らしい役目”を果たしたのです。
胸を張りなさい。」

ドンファム
「アクノ……!」

アクノマジョリーカは、ぴしゃりと言い放つ。

アクノマジョリーカ
「ただし勘違いしないこと。
今日勝てたのは私の作戦と、兵たちが必死に戦ったおかげ。
あなたの功績は“命令をきちんと聞いてくれた”ところだけですわ。」

ドンファム
「辛辣!!
でも……なんかスッキリした……!」

兵士たちが次々に近づいてくる。

兵士C
「殿下ー! 指揮お見事でした!」

兵士D
「アクノマジョリーカ様も、まるで先が見えていたような采配……!」

アクノマジョリーカ
「当然ですわ。」

ドンファム
「……(こういう堂々としたところ、本当にすごいよな)」

そんな中、ひとりの斥候が馬で駆け込んだ。

斥候
「報告!
敵の残党が北西へ撤退しております!
進軍速度は早く、王都へ逃げ込む可能性があります!」

アクノマジョリーカ
「王都に戻る? では、父が出迎えるのでしょうね。」

ドンファム
「……エリルフィン公爵か。」

アクノマジョリーカ
「父は私を“ベルリッタ侵略の口実”に使いました。
そしてあなたを“うつけ王子”と完全に見下している。
ここで残党を逃しては、父に次の手を打たれるだけですわ。」

ドンファム
「じゃあ追撃するのか?」

アクノマジョリーカ
「いいえ。追う必要はありません。
敵が“どこへ戻りたいか”を考えれば、
行き先は一つ。」

彼女は冷ややかに微笑む。

アクノマジョリーカ
「――エリルフィン領ですわ。」

兵士たちは、ぞくりと背筋を震わせた。

兵士A
「ま、まさか……お嬢様……」

アクノマジョリーカ
「当然です。
私は“やられる前にやる”主義ですので。」

ドンファム
「お前……本気で自分の生まれた国を……?」

アクノマジョリーカ
「ええ。
あの国は、私を駒として使い捨てようとした。
そんな裏切りの国を守る義理などありませんわ。」

ドンファムは彼女の横顔を見つめる。
強く、美しく、そして悲しい決意が宿っていた。

ドンファム
「……アクノ。
お前が望むなら……俺は、力を貸す。」

アクノマジョリーカ
「殿下。
殿下が私のコマに徹するのであれば、
私は必ず“殿下の国”を守って差し上げますわ。」

ドンファム
「わ、分かった……! 俺はお前を信じる!」

アクノマジョリーカ
「では兵たちに伝えましょう。」

馬上から声を張り上げた。

アクノマジョリーカ
「全軍、準備を整えなさい!
目指すは――エリルフィン公爵領!」

兵士たち
「おおおおおーーーっ!!」

ベルリッタ軍は次なる戦いへ向けて、
いよいよ本格的に動き出すのであった。


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