婚約破棄されるはずが、強制力のせいで王子に溺愛されました!? ――原作者を呪ったら、強制力がサボり始めました――

しおしお

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1-3 運命の“夜イベント”

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1-3 運命の“夜イベント”

 その夜、私は自室の扉に鍵をかけ、椅子まで挟んで完全武装していた。

「よし……完璧……! 今日は絶対、原作イベントなんて起こさない……!」

 そう固く誓っていた。
 いたのだが――

 気づけば、私は知らないベッドにいた。

「………………え?」

 豪奢な天蓋。
 昼とは違う香りのする寝具。
 そして、すぐ横には見覚えのある金髪。

 王子の寝顔があった。

「―――――な、な、な……!!???」

 声にならない悲鳴が喉で爆ぜる。

(ちょっと待って!?
 何が起きた!?
 私、寝ただけよね!?
 扉閉めて、鍵かけて、椅子まで挟んだのよ!?
 なんで隣に王子が寝てるのよぉぉぉぉ!?)

 状況を把握しようとするが、脳が拒否していた。

 とりあえず、布団をめくる。

 白い肩が見える。

「ひいいぃぃぃぃぃぃ!!?!?!?」

 全身を布団で覆い隠しながら、私は心の中で叫び散らした。

(やった……の……!?
 夜イベント……強制発動したの!?
 扉の鍵も椅子も関係なく、シナリオに沿って押し切られたってこと!?
 この世界、どんな力で物語進める気なのよ!!)

 隣で寝返りを打った王子の顔がこちらを向いた。

 なんか……
 原作通り、美化されてて……
 ちょっとかっこよく見えるじゃないの……

「いや!!それ強制力のせいだから!!
 絶対に私の趣味じゃないから!!」

 布団の中でバタバタ暴れながら、私は自分に言い聞かせた。

(これは私の意思じゃない。
 これは強制力の罠。
 原作者が悪い。
 絶対許さない。
 原作者……殺す……!!)

 そんな物騒なことを心の中でつぶやいた瞬間――

「……ミリア……?」

 王子が目を開けた。

「ぎゃあああああああああ!!
 起きてる場合じゃないでしょあなたはぁぁぁぁ!!」

「昨夜のこと……夢だったらよかったのにと思っているのか?」

「よかったじゃない!!
 夢であってほしかったわよ!!
 むしろ夢であってくださいよ!!!」

 私は枕で顔を隠しながら絶叫した。

(あぁもう終わり……!
 原作の最悪な未来一直線……!
 この後は“捨てられて闇堕ちするミリア”のターンなんでしょ!?
 嫌……嫌すぎる……!!)

 私は震えながら、枕の中でただただ願った。

(どうか……
 どうかこれは悪夢であって……)

 だが、現実は最悪の形で私に告げた。

――王子の腕が、私の肩を抱き寄せる。

「昨夜の君は……最高だった」

「いやああああああああああ!!!!!
 言うなー!!
 そんなセリフいらないーー!!
 朝から心臓に悪いーーー!!」

 その瞬間、私は心の底から悟った。

ここから本格的な地獄が始まる。


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