異世界転職 重機を操るインフラクイーン ‐婚約破棄元婚約者 重機で押しつぶします みなさんやっておしまいなさい‐

しおしお

文字の大きさ
22 / 32
第6章:黒幕は元婚約者家

第22話 裏にいたのは…元婚約者の父!

しおりを挟む
裏にいたのは…元婚約者の父!

翌朝。
ルノー公爵家の執務室には、いつも以上に書類が積み上げられていた。昨夜クララが持ち帰った証言を整理した結果、ある一つの“共通点”が浮かび上がっていた。

アルピーヌは紅茶を口にしながら、静かに言う。

「やっぱり……全ての糸が集まる先は、同じところね」

リアンナが緊張した面持ちで尋ねる。

「お嬢様……その“中心”とは、まさか……?」

アルピーヌは書類を一枚取り上げ、指で名前をなぞった。

――サルヴァン・クロード侯爵。
元婚約者ジェイルの父。

「彼が黒幕で間違いないわ」

クララが驚きで目を丸くする。

「ど、どうして、そんな……?
 婚約破棄は向こうが言い出したんですよね?
 普通なら、関係を断ち切れてスッキリするはずじゃ……」

「そう期待したいところだけどね」

アルピーヌは淡々と続ける。

「サルヴァン侯爵にとって、私との婚約破棄は“計算違い”だったのよ」

リアンナが眉をひそめる。

「計算……?」

「ええ。あの家はもともと、ルノー家の影響力を利用するために私との婚約を望んでいた。
 でもジェイルが勝手に婚約破棄を宣言したせいで、その計画が崩れた」

クララがゆっくりと理解していく。

「つまり、“公爵令嬢を手に入れ損ねた”恨み……ですか?」

「恨みと言うより――プライドの問題ね。」

アルピーヌの声は鋭く、だがどこか冷静だった。

「サルヴァン侯爵は、自分の息子が“公爵家に釣り合わない愚か者”だと思われることが我慢できなかった。
 そこで、こう考えたのね」

アルピーヌは書類を机に置き、肩を竦める。

『あの女が勝手に改革なんてするからだ。
 公爵家の格を利用できないなら、せめて邪魔してやれ』

リアンナは怒りを隠さず机を叩きそうになる。

「なんて身勝手……!
 お嬢様を巻き込んだ上に、国の発展まで妨げるなんて――!」

「ええ、まったく愚かだわ」

アルピーヌは静かに微笑んだが、その笑みは冷たく研ぎ澄まされていた。

「でも、愚か者ほど扱いは簡単よ。
 この国では“証拠より先に噂が動く”もの。
 侯爵家の名誉は、もう風前の灯火ね」

クララが、さらに衝撃的な事実を報告する。

「お嬢様……実はもう一つ情報が。
 サルヴァン侯爵は、他の商会にも“金を積むからルノー家を無視しろ”と言っていたそうです」

リアンナは呆れた息をついた。

「……王国発展の足を引っ張る気、満々ではありませんか」

「その通り。国益より自分の面子。
 典型的な“旧貴族の悪習”ね」

アルピーヌはゆっくり立ち上がる。

「そろそろ、王家に正式な報告を上げる時よ。
 プリンセスに話せば、彼の暴走はすぐに止まる」

クララが首を傾げる。

「でも……侯爵家ほどの大貴族を敵に回すのは危険では――」

「ええ、危険よ。でもね」

アルピーヌは窓の外に広がる青空を見上げた。

「――改革は、誰かの機嫌を取るためにやるものじゃない。
 技術も、設備も、人々の暮らしも、止められないわ」

その瞳は迷いのない光で満ちていた。

「私の背後には、プリンセスがいる。
 そして、《ルノー家のスマート屋敷》を喜んで使ってくれるお城の人たちもいる。
 この国の流れは、もう後戻りしない」

そして、淡く笑う。

「それに、元婚約者の家に潰されるほど、私は弱くないの。
 ――あの婚約破棄が、私を強くしたのだから」


---

こうして証拠は整い、黒幕の正体はほぼ確定した。

次は――王家への報告。

そして、プリンセスの鉄槌がくだる。


---
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

国外追放されたくないので第二王子の胃袋を掴んだら溺愛されました!

和栗かのこ
恋愛
乙女ゲームが趣味の社畜・美咲は、階段から落ちて乙女ゲーム「クレセント・ナイト」の悪役令嬢に転生してしまう。 悪役令嬢セセリアに転生した美咲は、国外追放される展開を変えるため、婚約者である第二王子の胃袋を掴むことを思いつく。

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

婚約破棄された夜、最強魔導師に「番」だと告げられました

有賀冬馬
恋愛
学院の祝宴で告げられた、無慈悲な婚約破棄。 魔力が弱い私には、価値がないという現実。 泣きながら逃げた先で、私は古代の遺跡に迷い込む。 そこで目覚めた彼は、私を見て言った。 「やっと見つけた。私の番よ」 彼の前でだけ、私の魔力は輝く。 奪われた尊厳、歪められた運命。 すべてを取り戻した先にあるのは……

『婚約破棄され追放されましたが、隣国の氷の公爵様に“白い結婚”を提案されましたので、心穏やかに幸せになりますわ

鷹 綾
恋愛
婚約破棄されたその日、私は“追放令”も同時に宣告された。 王太子エドモンド殿下曰く、 「君のように冷たい女はいらない。真実の愛は聖女ローザだ」──と。 ……それなら結構ですわ。 捨ててくださって、ありがとうございます。 行く宛もなく王都を去った私を拾ったのは、 冷徹と噂される若き宰相代理アレクシス様。 「俺と“白い結婚”をしないか。  互いの自由を侵さない、契約だけの結婚だ」 恋愛感情は一切なし。 ――そんなはずだったのに。 料理を褒めてくれる優しい声。 仕事帰りにかけてくれる「ただいま」。 私の手をそっと包む温もり。 気づけば、契約のはずの彼との距離が、少しずつ近づいていく。 そんな折──王太子と偽聖女ローザが私を“罪人”に仕立て上げ、 祝福の儀の場で公開断罪しようと企む。 「セレナに触れるな。……彼女は、俺の妻だ」 アレクシス様が壇上で剣を抜いた瞬間、 私の世界は大きく動き出した。 偽りの聖女は暴かれ、王太子は没落。 追放された令嬢の“ざまぁ”が王都を駆け巡る中、 契約で始まった白い結婚は――本物の夫婦の誓いへと変わっていく。 これは、 捨てられた令嬢が“本当の幸せ”をつかみ取る、 大逆転のラブストーリー。 ---

ざまぁに失敗したけど辺境伯に溺愛されています

木漏れ日
恋愛
天才魔術師セディが自分の番である『異界渡りの姫』を召喚したとき、16歳の少女奈緒はそれに巻き込まれて、壁外という身分を持たない人々が住む場所に落ちました。 少女は自分を異世界トリップに巻き込んだ『異界渡り姫』に復讐しようとして失敗。なぜかロビン辺境伯は少女も『異界渡りの姫』だと言って溺愛するのですが…… 陰陽の姫シリーズ『図書館の幽霊って私のことですか?』と連動しています。 どちらからお読み頂いても話は通じます。

役立たずと追放された令嬢ですが、極寒の森で【伝説の聖獣】になつかれました〜モフモフの獣人姿になった聖獣に、毎日甘く愛されています〜

腐ったバナナ
恋愛
「魔力なしの役立たず」と家族と婚約者に見捨てられ、極寒の魔獣の森に追放された公爵令嬢アリア。 絶望の淵で彼女が出会ったのは、致命傷を負った伝説の聖獣だった。アリアは、微弱な生命力操作の能力と薬学知識で彼を救い、その巨大な銀色のモフモフに癒やしを見いだす。 しかし、銀狼は夜になると冷酷無比な辺境領主シルヴァンへと変身! 「俺の命を救ったのだから、君は俺の永遠の所有物だ」 シルヴァンとの契約結婚を受け入れたアリアは、彼の強大な力を後ろ盾に、冷徹な知性で王都の裏切り者たちを周到に追い詰めていく。

家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました

日下奈緒
恋愛
そばかす令嬢クラリスは、家族に支度金目当てで成り上がり伯爵セドリックに嫁がされる。 だが彼に溺愛され家は再興。 見下していた美貌の妹リリアナは婚約破棄される。

処理中です...