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第8章:異世界と地球、ふたつの世界で私らしく
第31話 突然の“帰宅”——推
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突然の“帰宅”——推しのライブ参戦!
プリンセス・ラポートとの穏やかな会話が続いていたその最中だった。
アルピーヌの置いていた小型ポーチの中から――
ピコン♪ と、異世界では聞き慣れない電子音が響いた。
「……っ!?」
プリンセスが驚いた顔でポーチを見つめる。
「い、今の音は……魔道具ですの?」
アルピーヌの心臓が一瞬で跳ね上がった。
(やばっ……!スマホの通知音!!)
慌ててポーチを開けてスマホ画面を見ると――
> 《本日のライブ、まもなく開場!》
――推しアイドル公式アプリ
「…………え」
まるで時が止まったかのように、アルピーヌの手が固まった。
(今日だったあああああ!?
推しのライブ、今日だったじゃないのよおおお!!)
プリンセスが心配そうに覗き込む。
「アルピーヌ?どうなさったの?」
「ご、ごめんなさいプリンセス!
本当に申し訳ないんですけど――
私、今すぐ帰らなければなりませんの!!」
「えっ!?ちょ、ちょっと……?」
返事を聞く間もなく、アルピーヌは立ち上がって早歩きで部屋を出た。
◆
廊下を全力で歩きながら、アルピーヌはひたすら焦っていた。
(よりによってプリンセスと会ってるときに通知が来るなんて!!
これじゃまるで王族を置いて推しを優先する女みたいじゃないの……!
……いや、実際そうなんだけど!!)
城の裏庭に移動し、誰もいないのを確認してから小声でつぶやく。
「ゲート……開け!」
異世界と地球を繋ぐ光の裂け目が開く。
アルピーヌは急いで中に飛び込もうとして――
「あっ。ドレスのまま帰るところだった……!」
異世界での豪華なドレス姿で電車に乗る未来が頭をよぎり、全身が凍りつく。
(こ、これジャージ事件の二の舞じゃない!)
※数週間前
──ジャージ姿で誤って異世界へ行き、
メイド達が「お嬢様が…武道着!?変身!?何事ですか!?」
と屋敷が大混乱になった“事件”があった。
(もう、学んだはずでしょう私!落ち着いて!)
仕方なく、いったん自室へ戻るためにゲートを使う。
◆
高科純のアパートに戻ると、猛スピードでドレスを脱ぎ捨て、
ライブTシャツとスカートに着替え、バッグを掴む。
「よし!これで完璧!」
化粧直しもほどほどに、外に飛び出して電車に乗り込む。
座席に座った瞬間、純は胸を押さえた。
「……間に合う……!推しのために今日まで生きてきた……!」
周りの乗客が「なんだこの人」と視線を向けたが、気にしている余裕はない。
◆
ライブ会場前。
既に長蛇の列ができており、純は息を切らしながら駆け寄った。
「はぁ、はぁ……ッ、間に合った……!
推しが……推しが生きてステージに立つのを……
この目で……見られる……!」
目を潤ませながら、グッズ販売列に並ぶ。
そして――
爆買い。
・推しのアクスタ(全種)
・タオル(2枚)
・ライブT(3種)
・ブレスライト(2本)
・CD特典つきBOX
・ランダム缶バッジ(結果、33個購入)
「ふふ……これで勝ったわ……」
完全に尊い世界へ意識が飛びかけている。
◆
ライブ本編。
ステージに推しが現れた瞬間、純の目からは滝のように涙が流れた。
「推し……今日も……生きててくれてありがとう……!!」
周りのファンも泣いていたので問題なかった。
曲が進むにつれ、ペンライトを振り、叫び、ジャンプし――
異世界を改革しているときとはまったく別の顔がそこにあった。
◆
ライブ終了後、余韻に浸りながら帰宅。
布団に倒れ込み、買ったばかりのCDを抱きしめる。
「私……異世界で改革して……推し活もして……
……最強じゃない?」
目を閉じると、帰りの電車で流れていた推しの曲が頭に蘇る。
「明日……異世界でプリンセスに謝ろ……」
そのまま眠りに落ちる直前、ふっと笑った。
「でも……推しは世界を救うのよ……」
異世界と地球——
ふたつの世界を全力で走り回る彼女の日々は、まだまだ続く。
---
プリンセス・ラポートとの穏やかな会話が続いていたその最中だった。
アルピーヌの置いていた小型ポーチの中から――
ピコン♪ と、異世界では聞き慣れない電子音が響いた。
「……っ!?」
プリンセスが驚いた顔でポーチを見つめる。
「い、今の音は……魔道具ですの?」
アルピーヌの心臓が一瞬で跳ね上がった。
(やばっ……!スマホの通知音!!)
慌ててポーチを開けてスマホ画面を見ると――
> 《本日のライブ、まもなく開場!》
――推しアイドル公式アプリ
「…………え」
まるで時が止まったかのように、アルピーヌの手が固まった。
(今日だったあああああ!?
推しのライブ、今日だったじゃないのよおおお!!)
プリンセスが心配そうに覗き込む。
「アルピーヌ?どうなさったの?」
「ご、ごめんなさいプリンセス!
本当に申し訳ないんですけど――
私、今すぐ帰らなければなりませんの!!」
「えっ!?ちょ、ちょっと……?」
返事を聞く間もなく、アルピーヌは立ち上がって早歩きで部屋を出た。
◆
廊下を全力で歩きながら、アルピーヌはひたすら焦っていた。
(よりによってプリンセスと会ってるときに通知が来るなんて!!
これじゃまるで王族を置いて推しを優先する女みたいじゃないの……!
……いや、実際そうなんだけど!!)
城の裏庭に移動し、誰もいないのを確認してから小声でつぶやく。
「ゲート……開け!」
異世界と地球を繋ぐ光の裂け目が開く。
アルピーヌは急いで中に飛び込もうとして――
「あっ。ドレスのまま帰るところだった……!」
異世界での豪華なドレス姿で電車に乗る未来が頭をよぎり、全身が凍りつく。
(こ、これジャージ事件の二の舞じゃない!)
※数週間前
──ジャージ姿で誤って異世界へ行き、
メイド達が「お嬢様が…武道着!?変身!?何事ですか!?」
と屋敷が大混乱になった“事件”があった。
(もう、学んだはずでしょう私!落ち着いて!)
仕方なく、いったん自室へ戻るためにゲートを使う。
◆
高科純のアパートに戻ると、猛スピードでドレスを脱ぎ捨て、
ライブTシャツとスカートに着替え、バッグを掴む。
「よし!これで完璧!」
化粧直しもほどほどに、外に飛び出して電車に乗り込む。
座席に座った瞬間、純は胸を押さえた。
「……間に合う……!推しのために今日まで生きてきた……!」
周りの乗客が「なんだこの人」と視線を向けたが、気にしている余裕はない。
◆
ライブ会場前。
既に長蛇の列ができており、純は息を切らしながら駆け寄った。
「はぁ、はぁ……ッ、間に合った……!
推しが……推しが生きてステージに立つのを……
この目で……見られる……!」
目を潤ませながら、グッズ販売列に並ぶ。
そして――
爆買い。
・推しのアクスタ(全種)
・タオル(2枚)
・ライブT(3種)
・ブレスライト(2本)
・CD特典つきBOX
・ランダム缶バッジ(結果、33個購入)
「ふふ……これで勝ったわ……」
完全に尊い世界へ意識が飛びかけている。
◆
ライブ本編。
ステージに推しが現れた瞬間、純の目からは滝のように涙が流れた。
「推し……今日も……生きててくれてありがとう……!!」
周りのファンも泣いていたので問題なかった。
曲が進むにつれ、ペンライトを振り、叫び、ジャンプし――
異世界を改革しているときとはまったく別の顔がそこにあった。
◆
ライブ終了後、余韻に浸りながら帰宅。
布団に倒れ込み、買ったばかりのCDを抱きしめる。
「私……異世界で改革して……推し活もして……
……最強じゃない?」
目を閉じると、帰りの電車で流れていた推しの曲が頭に蘇る。
「明日……異世界でプリンセスに謝ろ……」
そのまま眠りに落ちる直前、ふっと笑った。
「でも……推しは世界を救うのよ……」
異世界と地球——
ふたつの世界を全力で走り回る彼女の日々は、まだまだ続く。
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