呪いのTikTokプロデュース ~ダサすぎ怨霊ちゃんをギャルJKがこわかわいいで全国バズらせる~

しおしお

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第1話 小さいテレビから出てきた、超美人怨霊ちゃん

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第1話 小さいテレビから出てきた、超美人怨霊ちゃん

「樹音ぉ~、これ超ヤバい呪いのビデオだから、絶対見ちゃダメだよ? 見た人みんな七日後に死ぬってやつ!」

学校帰りに、悪友の朝日がニヤニヤしながら古いビデオテープを押し付けてきた。

「呪いなんてあるわけないっしょ。都市伝説じゃん、そんなの」

私は野呂樹音(のろ じゅおん)、高校二年生。  
ちょっとギャル系って言われるけど、別に派手なわけじゃない。ただ、好奇心だけは人一倍強い。

家に帰って即再生した。

うちの実家、リビングに置いてある古い14インチのブラウン管テレビで。  
スマホで見るのもアリだったけど、雰囲気出すならこっちでしょ。

ビデオをセットして、再生ボタンをポチッ。

画面がチリチリと砂嵐になって、暗い井戸の映像が映る。  
底なしに深い井戸の中から、長い黒髪の女がゆっくり這い出てくる。  
髪が床まで届きそうなぐらい長くて、真っ白な古いワンピースを着た女が、画面に向かってどんどん近づいてくる。

「うわ、典型的なやつじゃん。怖い怖い~」

私はポテチをバリバリ食べながら笑ってた。

女が画面いっぱいに顔を寄せて、  
ついにテレビから出てこようとする。

──が。

「…………あれ?」

出てこない。

頭と肩は出たけど、腰から下が画面の縁に引っかかって、詰まってる。

女の人がカクカク動いてるのに、お尻から下が出てこない。  
まるで小さい窓から無理やり出ようとしてるみたい。

「ぷっ……あははははは!!!」

我慢できなくて大爆笑してしまった。

「あははは!! ごめんごめん!!  
うちのテレビちいさいから!! 14インチだから!!!」

笑いながらテレビに近づいて、  
画面から出ようとしてる女の人の腕を掴む。

「手伝うよ! よいしょっと!」

グイッと引っ張る。

すると、ぽよん、と勢いよく女の人がテレビから飛び出してきた。  
床に転がるように着地。

「はぁはぁはぁ……はぁ……」

女の人は床に座り込んで、息を切らしている。  
長い黒髪が顔にかかって、青白い肌が覗く。

私はしゃがみ込んで、女の人を覗き込んだ。

「ちょっと、大丈夫?」

女の人はゆっくり顔を上げる。

──え?

超美人じゃん。

大きな瞳、整った鼻筋、透明感のある肌。  
顔だけならモデルかアイドル級、いや、それ以上。

でも……

「その髪……その服、やば! ダサくてやばいっしょ!!」

私は思わず叫んでいた。

長い直毛で前髪ぱっつん、顔の半分隠れてるし、  
白ワンピは長すぎて古臭い。  
素材(顔)がエグいのに、全部台無し。

私は女の人の前髪をそっと持ち上げた。

「おでこかわいい~!!  
こんな美人なのに髪型服がヤバすぎ!!  
もったいなさすぎて犯罪級!!」

女の人は私の手を見て、頰が薄く赤くなった。  
視線を逸らして、無言。

私は立ち上がって、女の人の手を引いた。

「よし、決めた!!  
うちの行きつけの美容室紹介するっしょ!!  
こわかわいい路線で攻めよ!!  
絶対かわいいすぎるヤバい子にしちゃうから!!」

女の人は抵抗せずに、私に引っ張られるまま立ち上がった。

──こうして、私の人生に、  
 呪いのビデオから出てきた超美人怨霊ちゃんが加わった。

名前はまだないけど、  
きっとこれから毎日ヤバいことになりそう。
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