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第7話 結婚前夜 ――義務と諦めと、わずかな希望
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第7話 結婚前夜 ――義務と諦めと、わずかな希望
結婚式を翌日に控えた夜。
イメルダは寝室の窓を開け、静かな月光を浴びていた。
明日、彼女は正式に王家へ嫁ぐ。
公爵家の娘として、
王家と家の誇りを背負い、
未来の王妃として生きる道が始まる。
(……本当に、ここまで来てしまいましたのね)
胸の奥が重い。
あの“ダメ殿下”の姿が脳裏をよぎる。
・署名すら震える手
・挨拶で声が裏返る
・迷子になる
・優柔不断で選べない
・鍵のない部屋の鍵を探す
(……あの方が王に、ですか?)
考えるほど、ため息が漏れた。
(誠実であることは、確かに素晴らしいことです。
でも……誠実だけでは、国王は務まりませんのよ、殿下)
彼を責めているわけではなかった。
ただ、現実を直視しているだけ。
公爵家の娘として、
国の未来を思えば思うほど、
彼の頼りなさが胸に刺さる。
(……わたくしが、支えなければならない……)
その“重み”が、肩にのしかかる。
---
◆イメルダの本音
イメルダはドレッサーの前に座り、
鏡の中の自分と向き合った。
「……政略結婚ですものね」
つぶやく声は、静かだった。
「殿下を愛する必要は、ない。
ただ……殿下と、国を守ればいい……」
そう思っていた。
そう“割り切るしかない”と思っていた。
しかし。
心の奥底で、
ほんの小さな声がささやく。
(……でも。
せめて……誠実でいてくださるなら……)
イメルダはそっと胸に触れた。
彼の不器用な優しさが
じわりと胸を温める。
(……殿下は、わたくしを裏切らない。
嘘をつかない。
人を傷つけない……)
ベータのような華やかさも、
世間が言う“王の風格”も、
どれひとつ持ってはいないけれど。
それでも――
誠実さだけは、揺るがない本物だった。
(……明日から、殿下を支えるのが、わたくしの務め)
(愛せなくてもいい……
せめて、誠実さに応えられる王妃になりましょう……)
イメルダは胸に手を当てたまま、
月へと視線を向けた。
---
◆殿下からの“短すぎる手紙”
そのとき。
コンコン、と扉を叩く音。
「イメルダ様、殿下からお手紙を……」
侍女が差し出したのは、小さな封筒。
イメルダは首をかしげつつ開封する。
中には――
震える字で書かれた、
たった一行のメッセージ。
『明日、よろしくお願いします。
……あなたを、悲しませないよう、頑張ります』
イメルダはゆっくりと目を閉じた。
(……こんな時まで、自分よりわたくしの心配を……
この方は、本当に……)
胸がきゅうっと締め付けられた。
(……誠実で、不器用で……
でも……心だけは、何より強い人……)
小さく微笑む。
(殿下……。
あなたはまだ、何もできないかもしれませんけれど……)
(心だけは……わたくしが信じてもよいものだと……
今日、初めて思いましたわ……)
イメルダはそっと手紙を胸に抱いた。
その瞬間、
彼女はまだ気づいていなかった。
――“明日から始まる夜”が
すべてをひっくり返すほどの
衝撃となることを。
結婚式を翌日に控えた夜。
イメルダは寝室の窓を開け、静かな月光を浴びていた。
明日、彼女は正式に王家へ嫁ぐ。
公爵家の娘として、
王家と家の誇りを背負い、
未来の王妃として生きる道が始まる。
(……本当に、ここまで来てしまいましたのね)
胸の奥が重い。
あの“ダメ殿下”の姿が脳裏をよぎる。
・署名すら震える手
・挨拶で声が裏返る
・迷子になる
・優柔不断で選べない
・鍵のない部屋の鍵を探す
(……あの方が王に、ですか?)
考えるほど、ため息が漏れた。
(誠実であることは、確かに素晴らしいことです。
でも……誠実だけでは、国王は務まりませんのよ、殿下)
彼を責めているわけではなかった。
ただ、現実を直視しているだけ。
公爵家の娘として、
国の未来を思えば思うほど、
彼の頼りなさが胸に刺さる。
(……わたくしが、支えなければならない……)
その“重み”が、肩にのしかかる。
---
◆イメルダの本音
イメルダはドレッサーの前に座り、
鏡の中の自分と向き合った。
「……政略結婚ですものね」
つぶやく声は、静かだった。
「殿下を愛する必要は、ない。
ただ……殿下と、国を守ればいい……」
そう思っていた。
そう“割り切るしかない”と思っていた。
しかし。
心の奥底で、
ほんの小さな声がささやく。
(……でも。
せめて……誠実でいてくださるなら……)
イメルダはそっと胸に触れた。
彼の不器用な優しさが
じわりと胸を温める。
(……殿下は、わたくしを裏切らない。
嘘をつかない。
人を傷つけない……)
ベータのような華やかさも、
世間が言う“王の風格”も、
どれひとつ持ってはいないけれど。
それでも――
誠実さだけは、揺るがない本物だった。
(……明日から、殿下を支えるのが、わたくしの務め)
(愛せなくてもいい……
せめて、誠実さに応えられる王妃になりましょう……)
イメルダは胸に手を当てたまま、
月へと視線を向けた。
---
◆殿下からの“短すぎる手紙”
そのとき。
コンコン、と扉を叩く音。
「イメルダ様、殿下からお手紙を……」
侍女が差し出したのは、小さな封筒。
イメルダは首をかしげつつ開封する。
中には――
震える字で書かれた、
たった一行のメッセージ。
『明日、よろしくお願いします。
……あなたを、悲しませないよう、頑張ります』
イメルダはゆっくりと目を閉じた。
(……こんな時まで、自分よりわたくしの心配を……
この方は、本当に……)
胸がきゅうっと締め付けられた。
(……誠実で、不器用で……
でも……心だけは、何より強い人……)
小さく微笑む。
(殿下……。
あなたはまだ、何もできないかもしれませんけれど……)
(心だけは……わたくしが信じてもよいものだと……
今日、初めて思いましたわ……)
イメルダはそっと手紙を胸に抱いた。
その瞬間、
彼女はまだ気づいていなかった。
――“明日から始まる夜”が
すべてをひっくり返すほどの
衝撃となることを。
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