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102 小休止の合間に
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クインタイルの宿で傷と体力を癒し、一日ほどが経過した。
第二波を撃退してから、星外獣は最初に落ちた通常個体がいくつか落ちるのみで、激しい攻勢はかけてきていない。
今は夕刻。ずいぶん体を休むことができた。
「どうにか無事のようだなトントン」
様子を見に来たゼビカが、俺が休む部屋に入ってくる。
「どうにかな。そちらの首尾はどうだ?」
「全貌を把握しているわけではないが、手ひどくやられた地域もある。だが今のところは、人類滅亡ほどの危機にはなっていないようだな。竜の王国も無事だ」
「それは、何よりだ」
ゼビカは笑いながら俺の肩をたたいた。
「お前のおかげだ、英雄」
「……精霊王のおかげだ」
「グロースター家が運営している研究所に、星外獣の死骸を運ばせた」
ゼビカが言った。
「まだ調査段階ではあるが、星外獣は金属質の表面で、甲虫のような外骨格を持っていることがわかった」
「あれが虫か。とてもそうには見えん」
「つくりが似ているというだけだ。昨晩、トントンが遭遇した空間の揺らぎを操る個体がいただろう」
「ああ」
「グッドフェロウ近くにも同じような個体が発見された。ファスターやS級の冒険者たち数十人がかりでどうにか倒したようだったが、通常の攻撃が通じずだいぶ骨が折れたようだ。それも調べることができた」
「あれが複数存在していたのか」
俺は苦い顔をした。ゼビカはうなずきながら続ける。
「空間のゆらぎを操る星外獣は、表面の外骨格に特殊な構造を持っていると思われる。ファスターはそれを『グラビテック結晶』と名付けることにしたそうだ」
「たしかにあれはかなり特殊だった」
「まだ発見されていない物質だが、重力子と呼ばれる重力に関連した粒子が存在しているといわれている。それを使っている可能性が高いとのことだ」
「聞き流そう」
「予測段階だが、星外獣は重力子を外骨格の表面に構造的に並べて膜のようにすることで、特殊な結晶構造を生み出していると考えられる。それが空間をゆがめて観測しづらくさせているのだろうとのことだ。同じ原理で、超巨大な星外獣がこの星に落ちるとき、潮汐破壊にかかる重力を重力子の膜で跳ね返すことで自壊から逃れてしまうだろう、と」
「なるほど」
「ひと際大きく強い星外獣は、いずれもこの『グラビテック結晶』の構造を有しているらしい。難しすぎて俺には理解不能だった」
「つまり硬くて強いということだろう」
「まあ、一言でいえばそうだな」
「俺もよくわからんが、剣で切れたから大丈夫だ」
「一人でそれができるのはお前くらいだ。実際は大人数でようやく辛勝。竜だって集団でかかっても手こずる」
ゼビカは若干引き気味に言った。
問題は、精霊王でさえ敵わないと言っていた星外獣の処理だろう。
一番の親玉とみて間違いはないが、どれくらい巨大かによりそうだ。あまりに大きければ、落ちるだけでこの星とそこに生きる生命は滅んでしまいかねない。
その時、地響きとともに轟音と閃光がクインタイルの町を包んだ。
「――なんだ!?」
休んでいたせいで完全に油断していた。俺は立ち上がって窓の外を見る。
また、祠のあった山の方である。
はじめ見ていたときは煙が上がっているくらいだったが、次第に山から伸びていくものがあった。まるで種から急激に目が出て成長する植物のようだった。
俺とゼビカは慌てて宿を出る。
第二波を撃退してから、星外獣は最初に落ちた通常個体がいくつか落ちるのみで、激しい攻勢はかけてきていない。
今は夕刻。ずいぶん体を休むことができた。
「どうにか無事のようだなトントン」
様子を見に来たゼビカが、俺が休む部屋に入ってくる。
「どうにかな。そちらの首尾はどうだ?」
「全貌を把握しているわけではないが、手ひどくやられた地域もある。だが今のところは、人類滅亡ほどの危機にはなっていないようだな。竜の王国も無事だ」
「それは、何よりだ」
ゼビカは笑いながら俺の肩をたたいた。
「お前のおかげだ、英雄」
「……精霊王のおかげだ」
「グロースター家が運営している研究所に、星外獣の死骸を運ばせた」
ゼビカが言った。
「まだ調査段階ではあるが、星外獣は金属質の表面で、甲虫のような外骨格を持っていることがわかった」
「あれが虫か。とてもそうには見えん」
「つくりが似ているというだけだ。昨晩、トントンが遭遇した空間の揺らぎを操る個体がいただろう」
「ああ」
「グッドフェロウ近くにも同じような個体が発見された。ファスターやS級の冒険者たち数十人がかりでどうにか倒したようだったが、通常の攻撃が通じずだいぶ骨が折れたようだ。それも調べることができた」
「あれが複数存在していたのか」
俺は苦い顔をした。ゼビカはうなずきながら続ける。
「空間のゆらぎを操る星外獣は、表面の外骨格に特殊な構造を持っていると思われる。ファスターはそれを『グラビテック結晶』と名付けることにしたそうだ」
「たしかにあれはかなり特殊だった」
「まだ発見されていない物質だが、重力子と呼ばれる重力に関連した粒子が存在しているといわれている。それを使っている可能性が高いとのことだ」
「聞き流そう」
「予測段階だが、星外獣は重力子を外骨格の表面に構造的に並べて膜のようにすることで、特殊な結晶構造を生み出していると考えられる。それが空間をゆがめて観測しづらくさせているのだろうとのことだ。同じ原理で、超巨大な星外獣がこの星に落ちるとき、潮汐破壊にかかる重力を重力子の膜で跳ね返すことで自壊から逃れてしまうだろう、と」
「なるほど」
「ひと際大きく強い星外獣は、いずれもこの『グラビテック結晶』の構造を有しているらしい。難しすぎて俺には理解不能だった」
「つまり硬くて強いということだろう」
「まあ、一言でいえばそうだな」
「俺もよくわからんが、剣で切れたから大丈夫だ」
「一人でそれができるのはお前くらいだ。実際は大人数でようやく辛勝。竜だって集団でかかっても手こずる」
ゼビカは若干引き気味に言った。
問題は、精霊王でさえ敵わないと言っていた星外獣の処理だろう。
一番の親玉とみて間違いはないが、どれくらい巨大かによりそうだ。あまりに大きければ、落ちるだけでこの星とそこに生きる生命は滅んでしまいかねない。
その時、地響きとともに轟音と閃光がクインタイルの町を包んだ。
「――なんだ!?」
休んでいたせいで完全に油断していた。俺は立ち上がって窓の外を見る。
また、祠のあった山の方である。
はじめ見ていたときは煙が上がっているくらいだったが、次第に山から伸びていくものがあった。まるで種から急激に目が出て成長する植物のようだった。
俺とゼビカは慌てて宿を出る。
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