103 / 106
103 増援、束ねられた力
しおりを挟む
夕焼けでそれはよく見えた。
そこには、山をも超える一本の超巨大な広葉樹のようなものが雲を突き破るようにして立っていた。
金属質の木のようで、鈍い光を反射している。空間が歪んでいるように見えるが、でかすぎて輪郭がよくわかった。
「で、でかい木!? 成長してでかい木になったのか!?」
ゼビカが声を震わせた。
「対応が遅くなった。ゼビカはまたサポートを頼む」
言っているうちに、成長した巨大な木は身を落とすかのように、小型の星外獣を次々生み出して山に放つ。
「なんか子どもみたいなのを生み出しているな」
「無限に生み出されるとやっかいだ。手始めに、俺をあそこまで乗せていって――」
ゼビカに言っている途中で、
「きたああああ!」
冒険者と思われる男たちが数人、山にいる星外獣を見て拳を握った。
「なんだ……?」
上空には、同じような冒険者たちが竜に乗って、星外獣を見て喜びの声を上げている。
「たくさんいねえか? これで一生暮らせるだけの金が俺たちの手に!」
「いや、あれはあの木から落ちてきたもので、本体はあの木だけじゃねえか?」
「なんだよ! でも協会に持って行って鑑定してもらわねえとわからねえよな!」
「そりゃ、そうか! やるぜ!」
皆著しく戦意が高いように見える。
「ほかの冒険者? それに、空には竜?」
「間に合ってくれたようだ」
ゼビカが言った。
「竜の国の竜たちを移動手段に、星外獣の対応をしてくれる冒険者を募集したらかなりの数が集まった」
「この星のすべての生き物の危機だというのに、盛り上がってるのはなぜだ」
「ランドの焚き付け方がうまかったようだ。金の力で煽り倒していた。粛々と仕事をこなすファスターだけでは、ああはいくまいさ」
我先にと山を目ざす冒険者たち。そうか、ランドがやってくれたのか。しかし想像以上だった。
「人は、たくさんの人を巻き込みながら、時には精霊を超える大きな力を振るうことができる。ロイも精霊王も、それを期待してお前の封印を解いたのではないか?」
ゼビカは竜の姿になり、俺に乗るように促した。
「それなら俺の力ではなくランドの力だろう」
「ランドもお前がいなければこうすることはなかったのでは?」
「……はは」
俺はゼビカの背に乗って、木のような形の星外獣を目指す。
「皆は小型の星外獣を仕留めに向かうだろう」
「ああ。大物は俺たちの獲物だ。やれるかトントン」
「無論!」
風を操る《フォールディング・エア》を装着した手には、あらゆるものを切る《精霊王の剣》と莫大な冷気を生み出す《マグナフォール》を持つ。
俺はゼビカの飛翔スピードに乗って、一気に幹にあたる部分を凍らせ、切断した。氷結は星外獣全体へと広がり、砕け散る。
「瞬殺とは、やはり恐ろしい男だな」
ゼビカはやはり若干引いていた。
山には、冒険者たちによる小型の星外獣狩りが行われていた。
闘技場で知り合ったガゼットやフューエルもいる。
この様子なら、小型の星外獣は放っておいてもよさそうだ。
「誇れ」
ゼビカは飛びながら、周囲を見回して言った。
「これらは、お前がいたからこそ動き束ねられた力だ」
「だといいんだがな」
言っていると、新たに結晶持ちの巨大な個体が二体、落ちてきて山が吹き飛ぶ。
「…………!」
そして、上空。
一瞬で空が暗くなった。おそらくまだ到達に時間はかかるのだろうが、ここからでもわかる巨大な星外獣が姿を現した。
そこには、山をも超える一本の超巨大な広葉樹のようなものが雲を突き破るようにして立っていた。
金属質の木のようで、鈍い光を反射している。空間が歪んでいるように見えるが、でかすぎて輪郭がよくわかった。
「で、でかい木!? 成長してでかい木になったのか!?」
ゼビカが声を震わせた。
「対応が遅くなった。ゼビカはまたサポートを頼む」
言っているうちに、成長した巨大な木は身を落とすかのように、小型の星外獣を次々生み出して山に放つ。
「なんか子どもみたいなのを生み出しているな」
「無限に生み出されるとやっかいだ。手始めに、俺をあそこまで乗せていって――」
ゼビカに言っている途中で、
「きたああああ!」
冒険者と思われる男たちが数人、山にいる星外獣を見て拳を握った。
「なんだ……?」
上空には、同じような冒険者たちが竜に乗って、星外獣を見て喜びの声を上げている。
「たくさんいねえか? これで一生暮らせるだけの金が俺たちの手に!」
「いや、あれはあの木から落ちてきたもので、本体はあの木だけじゃねえか?」
「なんだよ! でも協会に持って行って鑑定してもらわねえとわからねえよな!」
「そりゃ、そうか! やるぜ!」
皆著しく戦意が高いように見える。
「ほかの冒険者? それに、空には竜?」
「間に合ってくれたようだ」
ゼビカが言った。
「竜の国の竜たちを移動手段に、星外獣の対応をしてくれる冒険者を募集したらかなりの数が集まった」
「この星のすべての生き物の危機だというのに、盛り上がってるのはなぜだ」
「ランドの焚き付け方がうまかったようだ。金の力で煽り倒していた。粛々と仕事をこなすファスターだけでは、ああはいくまいさ」
我先にと山を目ざす冒険者たち。そうか、ランドがやってくれたのか。しかし想像以上だった。
「人は、たくさんの人を巻き込みながら、時には精霊を超える大きな力を振るうことができる。ロイも精霊王も、それを期待してお前の封印を解いたのではないか?」
ゼビカは竜の姿になり、俺に乗るように促した。
「それなら俺の力ではなくランドの力だろう」
「ランドもお前がいなければこうすることはなかったのでは?」
「……はは」
俺はゼビカの背に乗って、木のような形の星外獣を目指す。
「皆は小型の星外獣を仕留めに向かうだろう」
「ああ。大物は俺たちの獲物だ。やれるかトントン」
「無論!」
風を操る《フォールディング・エア》を装着した手には、あらゆるものを切る《精霊王の剣》と莫大な冷気を生み出す《マグナフォール》を持つ。
俺はゼビカの飛翔スピードに乗って、一気に幹にあたる部分を凍らせ、切断した。氷結は星外獣全体へと広がり、砕け散る。
「瞬殺とは、やはり恐ろしい男だな」
ゼビカはやはり若干引いていた。
山には、冒険者たちによる小型の星外獣狩りが行われていた。
闘技場で知り合ったガゼットやフューエルもいる。
この様子なら、小型の星外獣は放っておいてもよさそうだ。
「誇れ」
ゼビカは飛びながら、周囲を見回して言った。
「これらは、お前がいたからこそ動き束ねられた力だ」
「だといいんだがな」
言っていると、新たに結晶持ちの巨大な個体が二体、落ちてきて山が吹き飛ぶ。
「…………!」
そして、上空。
一瞬で空が暗くなった。おそらくまだ到達に時間はかかるのだろうが、ここからでもわかる巨大な星外獣が姿を現した。
23
あなたにおすすめの小説
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜
もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。
ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を!
目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。
スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。
何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。
やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。
「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ!
ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。
ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。
2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる