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1巻
1-3
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「……少し村の外に出てもいい?」
「いいですよ。外には川が流れてたりたくさんの畑があったりするんですよ。でも、森の奥は行ってはだめです」
「行かないよ。大丈夫」
答えてから、言い方が気になった。森の奥? ……まあいい。森にはモンスターがいそうなのでやめておこう。
柵の外に出ると、すぐに広大な畑が広がる。野菜各種に、麦、果樹園や、少し遠くには牧場もあった。目の前の青々とした芋畑で、農家のおじさんが雑草取りをしている。
「豊かだね」
「領民さんたちの努力のたまものです」
満足そうにメリアはうなずいた。
「おや、メリアちゃんじゃないかい」
芋畑にいた農家のおじさんが俺たちに話しかけてくる。
「サーヴァインさん、こんにちは」
「新しくお兄ちゃんでもできたのかい?」
いやその解釈はおかしいだろ。
「ロッドさんはわたしの臣下になりました!」
メリアは自慢げに俺の腕に自分の腕をからませる。
「ほおー臣下かい。ついにメリアちゃんも家来を持つようになったんだねえ」
「はい!」
農家のおじさん、いつもこんなノリなんだ。
「どうも……」
否定するのもどうかと思うので、俺は控えめに挨拶だけしておく。
「今年の収穫量はどうですか?」
「期待できるよ。ま、土地柄なのか、実りの少ないところはあるみたいだけどねえ」
農家のおじさんは俺たちに手を振ってから畑仕事を再開する。
俺たちも再び歩き始める。
「ちなみに兵力はどれくらい?」
「二百人ほどです」
とメリア。おお、ちゃんと答えられるんだ。えらい。
「常備軍はそれくらいなんだ。有事の際には領民が兵力に加わる感じかな」
「はい。あとエルフや獣人たちの里に応援を要請します」
「すごいな。一致団結するんだ」
「ここはそういう場所ですから。ゴブリンやオークなどの蛮族もなりをひそめてます」
だからこそ、平穏を保っていられるのか。ほかの隣接する国もエルフやドワーフたちを敵に回すのは避けたいだろうしな。
そのまま街道を歩く。
交易もしているので、たまに旅の行商人も通るみたいだ。
「!」
草むらの隙間を見たメリアは表情を変えた。
「ロッドさん!」
つないでいた手を離して、そこに駆け寄る。
俺もついていくと、そこには白い毛玉が血まみれで倒れていた。
「猫? なんだかわからない……でもひどい怪我だ」
わさわさした白い毛並みの動物だった。猫っぽい耳がついているし、しっぽもある。
それと、額に一本の角が生えている。猫っぽいが、明らかに違う。俺の知らないモンスターだろうか。ほかのモンスターにやられたのか、腹に深い傷があり、そこから血が流れている。
毛玉の少し先から、ガサガサと音がする。
「!」
見ると、大型のクモのような虫のモンスターがこちらに接近してきていた。
「この毛玉を追ってきたのか……!」
俺は毛玉とメリアをかばうように前に出る。
「ロッドさん、戦えるんですか!?」
「いや、無理」
「無理なんですか!?」
隊にいたといっても戦闘員ではなかったのだ。俺に戦闘はできない。けど……
俺は《火》の魔法石を取り出し、魔力を込める。魔法石が光り、掲げた手から魔法陣が展開される。
「追い払うことはできるかもしれない!」
飛び掛かってくる大型のクモ。それに合わせるように、俺は魔法陣から炎を放つ。
「――ッ!」
炎は大型のクモを包むと、逃げるいとまもなく燃焼させる。大型のクモは灰になって動かなくなった。魔法の火が消えて煙がくすぶる。倒せたのか。よかった。
周囲を見回して、ほかに敵がいないことを確認。
「メリア、大丈夫だった?」
俺はメリアのほうに向きなおった。
「ロッドさん、どうしましょう?」
「…………」
「わたしは平気ですが、この子が……」
毛玉は、もう死にかけていた。
「こ、呼吸がだんだん弱くなっていきます!」
メリアは切なそうな顔で俺を見上げる。
「待って」
俺は収納の魔法石からポーションを取り出した。俺のポーションで治るかどうかわからないが、やってみるしかない。
もしこいつがモンスターで、治った瞬間襲ってきたらそのときはそのときだ。
俺はポーションを白い毛玉に飲ませた。魔法の光が傷口に達し、出血が止まって傷がふさがっていく。
白い毛玉はしばらくすると完全に回復し、目を覚ました。
「元気になりました!」
「うん、よかった」
しかしいったいこれはなんの生き物だ?
額にあるのはやはり角だ。だがそのほかは猫に近い。白くてふわふわした毛の量はけっこう多い。
「ニァー」
「鳴きました!」
「鳴き方は猫っぽい!」
でもなんかちょっと知ってるのと違う。
いきなり襲ってこないのは助かった。猫らしき毛玉は俺のほうに寄ってくると、足に体をすりすりする。
「懐かれましたね」
「そうみたい」
「かわいいです」
メリアはとろけそうな顔で猫らしき毛玉をなでる。
「この角、なんなんだろう?」
「うーん、やっぱりモンスターなんですかね?」
「それにしては人懐っこいね」
「人懐っこいモンスターがいてもふしぎじゃありません」
「まあそうだけど」
遠い北の地方の話だが、巨大なモンスターを手なずけ、戦争に利用している国もあると聞いたことがある。
体内に魔力を持ち、基本的に人間を襲うのがモンスターだけど、人懐っこいやつも、いなくはないのかもしれない。
「お母さんとかはいないんでしょうか?」
「この子が深手を負って倒れていたのを考えると、どうなんだろうね」
俺はすり寄ってくる猫らしき毛玉を持ち上げる。
「女の子だね」
俺がしっぽを持ち上げて確認すると、ばたばたと暴れ出した。
「ニアちゃんと名付けます!」
メリアは高らかに宣言する。
「ニァー」
そのままだった。
夕方になったので、俺とメリアは工房に帰ってきた。
「おつかれさん。お嬢も一緒なのね」
「はい! 猫ちゃんを拾いました!」
本を読んでいたサフィさんは俺が抱えている猫らしき毛玉――ニアを見て首を傾げた。
「角の生えた猫なんているの?」
「いや、見たことないですけど」
少なくともエルフ界隈の常識でも角の生えた猫はいないらしい。
「なんか懐いたので連れて帰ってきたんですが、これモンスターですか?」
「うーん。見た感じツノウサギの亜種っぽいね。モンスターだと思うんだけど……」
「ニァー」
「あ、いや……猫……かな……」
鳴き声を聞いたサフィさんは自信なさげに答える。
「猫ですか、やっぱり」
「猫的な……何かかな……」
「見たことないですよ、こんな猫」
「ぼくもだよ。でも――」
サフィさんはニアの角に指で軽く触れる。
「この角から強い魔力を感じるね。うん、やっぱりモンスターかも」
「ニアと名付けましたのでもうお友達です。モンスターかどうかは関係ないです」
メリアが胸を張って反論すると、サフィさんはうなずいた。
「まあ、いいんじゃない? 敵意はなさそうだし。でもお世話は誰がやるの?」
「ロッドさんです!」
あ、俺なんだ……
「がんばります」
まあ、領主のいる屋敷でモンスターを飼うわけにはいかないしな。必然的にこの工房にいてもらうことになるよな。
猫用の餌ってどう作ったらいいんだ……? いや、そもそも猫用の餌でいいのか?
「とりあえず汚いので風呂にでも入れますか」
「そうだね。そうして」
「お風呂ならわたしも入ります! お風呂大好きなので!」
「いや、俺がニアを洗うからメリアに入ってこられると困るんだけど……」
洗われることを察したらしいニアは、いきなりバタバタと暴れ出していた。
しばらくして……俺によって洗って乾かされたニアは、さらに毛並みが軽くなめらかになっていた。
「ふあふあ! ふあふあです!」
テンション爆上げのメリアは、ニアを抱きしめてほおずりしている。
たしかに野良猫らしからぬフワフワに仕上がり、ニアもどこか満足げだ。
「それは……よかった……」
俺はというと、暴れるニアと格闘しながら洗ったおかげで疲れていた。あれ? 俺……仕事してるんだよな?
仕事といえるかどうか微妙だけれど、メリアもサフィさんも喜んでいるのでよしとするか。
俺が朝起きると、すでにサフィさんは起きていた。
ニアは俺のわきの下で寝息を立てている。
「早いですね、サフィさん」
背伸びをしながら、あくび混じりに近づいていく。
「……ん」
サフィさんは心ここにあらずといった様子で本を読みふけっていた。
「やっぱりサフィさんはすごいですね。こんな立派な工房を持ってるのに、勉強をかかさないし」
見習わないとな。俺も空き時間で研究を続けていこう。
クソぼろいと副隊長に言われて持っていかされた俺の研究ノートは、収納の魔法石にすべて入っている。
「ロッドくん、おはよう」
やっと俺が起きたことに気づいたらしい。
「おはようございます。ちなみになんの研究なんですか?」
「う~ん、これはぼくの研究というより、領民からの依頼なんだよ」
「どんな依頼です?」
「うちの領は畑でいろんな作物を育ててるんだけど」
「そういえばありますね。広大なのがところどころに。昨日見てきましたよ」
「地域によって作物の生産量に差が出ていてね、魔法でどうにかできないかって」
そういえば、昨日農家のおじさんも同じようなことを言っていたな。あまり作物が実らない地域があるのだろうか。
「土地柄なら差が出るのは仕方ないと思うんだけど……村によっては食糧難になる年もあるらしくてね」
作物の生産量を魔法で増加できないかってことか。
「……作物って魔法で育つんですか?」
「それがわからないから今資料をあさってる。できそうだけどぼくの分野じゃないんだよね。人に効く薬は作れても作物に効く薬は作ったことないの、ぼく」
「たしかに微妙に違いますね」
魔法使いにとっては、あまり関心のない方面なのかもしれない。そう思いながら、ふと部屋の隅に佇むゴーレムを見る。
「でもあのゴーレムみたいなのを作れるんなら、いろいろ応用利きそうじゃないですか」
「あー、あれぼくが作ったんじゃないよ」
「違うんですか?」
「今ちょっと旅に出てるんだけど、この工房にはもう一人、人員がいるんだ。役に立つのか立たないのかよくわからない魔法道具を作るやつがね。そいつが作ったの」
「そうなんですか」
「あのゴーレムの後ろに、もう一つ部屋があるんだよ。扉はゴーレムがふさいでいるからわかりにくいんだけど。そこがそいつの部屋」
サフィさんはゴーレムのほうを指差した。
ニアが起きてきて俺の足にすりよってくる。よしよし。しゃがんでニアの頭をなでると、ニアは俺の膝に前脚をついて、おなかにちっちゃい角を押し付けてぐりぐりとする。
どうやらおなかを角でぐりぐりするのがニアの愛情表現らしい。内臓をえぐる練習のような気がしなくもないが、本気じゃないしじゃれているようなものだろう。きっとそう。
ニアはひとしきり俺のおなかをぐりぐりすると、肩の上に載ってくる。それから俺と同じように、ゴーレムに目を向ける。たしかによく見るとゴーレムが寄りかかるようにして、ドアのようなものがあった。
「まあ帰ってきたら紹介するよ」
「はい」
「とりあえず、取り掛かるのは目の前の課題だ」
「魔法で作物を実らせる方法ですか」
「そういうこと」
俺が横からサフィさんの読んでいる資料を覗き込むと、サフィさんは妙案をひらめいたように目を見開いた。
「あっ、ふーん、そうか。君はぼくの弟子だった」
「あ、はい、そういうことになるんですかね」
「我が弟子に命じる」
なんでいきなり偉そうな口調に?
「見事この問題を解決してみせなさい」
「いや、俺がですか!?」
「これも仕事のうちだよ。まずは調査からよろしく」
「うぐっ……」
俺はうなずいた。いいように押し付けられた気がするけど、仕事と言われちゃ、がんばるしかないよな。俺にできるかどうかは別として。
これまで工房から一歩も出ずにポーションを作り続けていた身からすると、調査というのは少し新鮮だ。今までは、決められたレシピから指定されたポーションを指定された量作ってきただけだ。状況に合わせて解決法を探っていくのは初めての経験だった。
俺は外にある広大な農耕地帯に足を運んでいた。村の周りには畑がたくさんあるが、その一つで、調査対象の地域だ。
周りは山。一見して特に問題はないように思える。
「実りの少ない地域か……モンスターにでも荒らされてるのかな」
「それはどの場所でもある程度ありますね」
俺の独り言に、隣にいたメリアが答えた。
「……なんでまたいるの?」
メリアは、今日は前のほうがボタンで留まっているかわいらしいワンピースを着ている。スカートで畑に入るのもちょっとどうかと思うけど、それよりなんでまたいるの。暇なのかな?
「逆に、どうしてわたしの臣下なのにわたしの隣にいないんですか。わざわざわたしが会いに来ないといけないじゃないですか」
「了解です。失礼しました」
俺は苦笑した。メリアはとても堂々としていた。とにかく領邦の問題に関わっていたいのだろう。いつか領主になったときのために、俺の仕事を見学するのは彼女の仕事でもあるのかもしれない。
「仕事するなら、わたしの隣でしてください」
「善処するよ」
ニアは俺の肩から下りてきて、ふんふん土のにおいをかいでいる。
「このへんの畑って、手入れしてないわけじゃないよね」
「ええ、ちゃんと手入れしても変わらなくって……昔からそうみたいですね」
「となると、やっぱり土壌かな」
俺が言うと、ニアは短くニァーと鳴いた。
「ニアもそうだと言ってます」
それ本当?
「まあ地域差でそういうのはどうしても出てくるよなあ」
「ですけど収穫量を増やせれば領邦の収入は増えます」
「よくそこまで考えられるね。えらい……でもモンスターに汚染されたとかでなければ、たとえば肥料を多めに撒くとかすればいいんじゃないかなあ。自然物に対して俺たちにできることって限られてる気がするよ」
ニアは何か俺に抗議するような目を向けて鳴く。
「ニエー」
それ何? 否定形?
「じゃあそれをサフィさんに報告して終わりにしますか?」
「……そう言われると、良い方法を模索したくなるね」
そもそもそういう結論は、サフィさんも当然考えているはずだ。
彼女が期待しているのは、その先の結果だ。俺にこの仕事を託した意義は、そこにある。
俺の腕の見せ所というやつだ。どうせ見せるなら、良い所を見せたいよな。
「……そういえば、俺が王都の隊にいたときは一人も友達いなかったんだけどさ。嫌われてたから」
「悲しいですね」
「唯一知り合いと言えたのが、城の庭師のおじさんだったんだ」
「それは素敵ですね!」
「いつだったか、世間話で『植物に栄養をあげるポーションがあったらいいよなあ、ガハハ』みたいなこと言っていて、そんなことできるのかと思っていろいろ理論を考えたことがあったんだけど……」
俺は収納の魔法石から研究ノートを取り出した。ぱらぱらとページをめくる。
たどり着いたページには、植物に栄養を与えるポーションの理論がメモ程度に書かれている。
「栄養に加えて、成長を促す作用が作れればと思ったんだけど……」
「だめなんですか?」
「あまりに生命力を強くすると、周囲の生態系が変わってしまうおそれがある。それが原因で土壌が死んでしまうリスクもある。用心するにこしたことはないね」
「魔法で品種改良することはできるんですか?」
「うーん、よしんばできたとして、種を盗んでほかでも生産される可能性もあるわけで、それも問題だよね」
「……でも、豊作なのはいいことなんじゃないんですか?」
「簡単にいい作物が大量に取れると、自分たちで消費する分にはいいんだけど、売るとなると単価が下がって、結果的に儲からない可能性も出てくる。同じ農作物を作っているほかの領邦の人たちも困る……かといって一時的に農作物を強化するだけだといちいち手間と時間がかかる。強化ポーションの生産と合わせて採算が取れるかどうかも重要だし、そもそも人が食べるものだから人体への影響も考慮しないとだし……」
俺は集中して、ぶつぶつと独り言のようにつぶやく。
「難しいんですね」
「そうだね」
農作物を魔法でいじるとなると、バランスを取るのが非常に難しい。
「でも、植物のほうではなく土壌のほうを改善するポーションなら、それは解決できるかもしれない」
植物に作用させるのは難しい。なら、土壌環境の改善を促すものができれば、経済・生態系ともに影響が出すぎないのでは?
……うん、たぶん、いける。
まずは作物の収穫量の一番多い土地の土壌と、収穫量の一番少ない土地の土壌、両方のサンプルを採取しよう。で、収穫量の多い土地の土壌へ環境を似せるポーションを作って畑に撒いていけば、生態系への影響を最小限に抑えつつ植物は育ちやすくなるはずだ。
そこの土壌にぴったり合ったすごくいい肥料を作るイメージ。理論の大本はできている。あとはサンプルの分析と、それに合わせた理論の改良。そして試作品の作製。
「ではやってみてください!」
自信満々のメリアは俺に言う。
「了解!」
俺は微笑してうなずいた。
サンプルを採取し、工房へ戻る。そしてサフィさんから関連本と鑑定器を借りてきて、研究に打ち込む。
「いいですよ。外には川が流れてたりたくさんの畑があったりするんですよ。でも、森の奥は行ってはだめです」
「行かないよ。大丈夫」
答えてから、言い方が気になった。森の奥? ……まあいい。森にはモンスターがいそうなのでやめておこう。
柵の外に出ると、すぐに広大な畑が広がる。野菜各種に、麦、果樹園や、少し遠くには牧場もあった。目の前の青々とした芋畑で、農家のおじさんが雑草取りをしている。
「豊かだね」
「領民さんたちの努力のたまものです」
満足そうにメリアはうなずいた。
「おや、メリアちゃんじゃないかい」
芋畑にいた農家のおじさんが俺たちに話しかけてくる。
「サーヴァインさん、こんにちは」
「新しくお兄ちゃんでもできたのかい?」
いやその解釈はおかしいだろ。
「ロッドさんはわたしの臣下になりました!」
メリアは自慢げに俺の腕に自分の腕をからませる。
「ほおー臣下かい。ついにメリアちゃんも家来を持つようになったんだねえ」
「はい!」
農家のおじさん、いつもこんなノリなんだ。
「どうも……」
否定するのもどうかと思うので、俺は控えめに挨拶だけしておく。
「今年の収穫量はどうですか?」
「期待できるよ。ま、土地柄なのか、実りの少ないところはあるみたいだけどねえ」
農家のおじさんは俺たちに手を振ってから畑仕事を再開する。
俺たちも再び歩き始める。
「ちなみに兵力はどれくらい?」
「二百人ほどです」
とメリア。おお、ちゃんと答えられるんだ。えらい。
「常備軍はそれくらいなんだ。有事の際には領民が兵力に加わる感じかな」
「はい。あとエルフや獣人たちの里に応援を要請します」
「すごいな。一致団結するんだ」
「ここはそういう場所ですから。ゴブリンやオークなどの蛮族もなりをひそめてます」
だからこそ、平穏を保っていられるのか。ほかの隣接する国もエルフやドワーフたちを敵に回すのは避けたいだろうしな。
そのまま街道を歩く。
交易もしているので、たまに旅の行商人も通るみたいだ。
「!」
草むらの隙間を見たメリアは表情を変えた。
「ロッドさん!」
つないでいた手を離して、そこに駆け寄る。
俺もついていくと、そこには白い毛玉が血まみれで倒れていた。
「猫? なんだかわからない……でもひどい怪我だ」
わさわさした白い毛並みの動物だった。猫っぽい耳がついているし、しっぽもある。
それと、額に一本の角が生えている。猫っぽいが、明らかに違う。俺の知らないモンスターだろうか。ほかのモンスターにやられたのか、腹に深い傷があり、そこから血が流れている。
毛玉の少し先から、ガサガサと音がする。
「!」
見ると、大型のクモのような虫のモンスターがこちらに接近してきていた。
「この毛玉を追ってきたのか……!」
俺は毛玉とメリアをかばうように前に出る。
「ロッドさん、戦えるんですか!?」
「いや、無理」
「無理なんですか!?」
隊にいたといっても戦闘員ではなかったのだ。俺に戦闘はできない。けど……
俺は《火》の魔法石を取り出し、魔力を込める。魔法石が光り、掲げた手から魔法陣が展開される。
「追い払うことはできるかもしれない!」
飛び掛かってくる大型のクモ。それに合わせるように、俺は魔法陣から炎を放つ。
「――ッ!」
炎は大型のクモを包むと、逃げるいとまもなく燃焼させる。大型のクモは灰になって動かなくなった。魔法の火が消えて煙がくすぶる。倒せたのか。よかった。
周囲を見回して、ほかに敵がいないことを確認。
「メリア、大丈夫だった?」
俺はメリアのほうに向きなおった。
「ロッドさん、どうしましょう?」
「…………」
「わたしは平気ですが、この子が……」
毛玉は、もう死にかけていた。
「こ、呼吸がだんだん弱くなっていきます!」
メリアは切なそうな顔で俺を見上げる。
「待って」
俺は収納の魔法石からポーションを取り出した。俺のポーションで治るかどうかわからないが、やってみるしかない。
もしこいつがモンスターで、治った瞬間襲ってきたらそのときはそのときだ。
俺はポーションを白い毛玉に飲ませた。魔法の光が傷口に達し、出血が止まって傷がふさがっていく。
白い毛玉はしばらくすると完全に回復し、目を覚ました。
「元気になりました!」
「うん、よかった」
しかしいったいこれはなんの生き物だ?
額にあるのはやはり角だ。だがそのほかは猫に近い。白くてふわふわした毛の量はけっこう多い。
「ニァー」
「鳴きました!」
「鳴き方は猫っぽい!」
でもなんかちょっと知ってるのと違う。
いきなり襲ってこないのは助かった。猫らしき毛玉は俺のほうに寄ってくると、足に体をすりすりする。
「懐かれましたね」
「そうみたい」
「かわいいです」
メリアはとろけそうな顔で猫らしき毛玉をなでる。
「この角、なんなんだろう?」
「うーん、やっぱりモンスターなんですかね?」
「それにしては人懐っこいね」
「人懐っこいモンスターがいてもふしぎじゃありません」
「まあそうだけど」
遠い北の地方の話だが、巨大なモンスターを手なずけ、戦争に利用している国もあると聞いたことがある。
体内に魔力を持ち、基本的に人間を襲うのがモンスターだけど、人懐っこいやつも、いなくはないのかもしれない。
「お母さんとかはいないんでしょうか?」
「この子が深手を負って倒れていたのを考えると、どうなんだろうね」
俺はすり寄ってくる猫らしき毛玉を持ち上げる。
「女の子だね」
俺がしっぽを持ち上げて確認すると、ばたばたと暴れ出した。
「ニアちゃんと名付けます!」
メリアは高らかに宣言する。
「ニァー」
そのままだった。
夕方になったので、俺とメリアは工房に帰ってきた。
「おつかれさん。お嬢も一緒なのね」
「はい! 猫ちゃんを拾いました!」
本を読んでいたサフィさんは俺が抱えている猫らしき毛玉――ニアを見て首を傾げた。
「角の生えた猫なんているの?」
「いや、見たことないですけど」
少なくともエルフ界隈の常識でも角の生えた猫はいないらしい。
「なんか懐いたので連れて帰ってきたんですが、これモンスターですか?」
「うーん。見た感じツノウサギの亜種っぽいね。モンスターだと思うんだけど……」
「ニァー」
「あ、いや……猫……かな……」
鳴き声を聞いたサフィさんは自信なさげに答える。
「猫ですか、やっぱり」
「猫的な……何かかな……」
「見たことないですよ、こんな猫」
「ぼくもだよ。でも――」
サフィさんはニアの角に指で軽く触れる。
「この角から強い魔力を感じるね。うん、やっぱりモンスターかも」
「ニアと名付けましたのでもうお友達です。モンスターかどうかは関係ないです」
メリアが胸を張って反論すると、サフィさんはうなずいた。
「まあ、いいんじゃない? 敵意はなさそうだし。でもお世話は誰がやるの?」
「ロッドさんです!」
あ、俺なんだ……
「がんばります」
まあ、領主のいる屋敷でモンスターを飼うわけにはいかないしな。必然的にこの工房にいてもらうことになるよな。
猫用の餌ってどう作ったらいいんだ……? いや、そもそも猫用の餌でいいのか?
「とりあえず汚いので風呂にでも入れますか」
「そうだね。そうして」
「お風呂ならわたしも入ります! お風呂大好きなので!」
「いや、俺がニアを洗うからメリアに入ってこられると困るんだけど……」
洗われることを察したらしいニアは、いきなりバタバタと暴れ出していた。
しばらくして……俺によって洗って乾かされたニアは、さらに毛並みが軽くなめらかになっていた。
「ふあふあ! ふあふあです!」
テンション爆上げのメリアは、ニアを抱きしめてほおずりしている。
たしかに野良猫らしからぬフワフワに仕上がり、ニアもどこか満足げだ。
「それは……よかった……」
俺はというと、暴れるニアと格闘しながら洗ったおかげで疲れていた。あれ? 俺……仕事してるんだよな?
仕事といえるかどうか微妙だけれど、メリアもサフィさんも喜んでいるのでよしとするか。
俺が朝起きると、すでにサフィさんは起きていた。
ニアは俺のわきの下で寝息を立てている。
「早いですね、サフィさん」
背伸びをしながら、あくび混じりに近づいていく。
「……ん」
サフィさんは心ここにあらずといった様子で本を読みふけっていた。
「やっぱりサフィさんはすごいですね。こんな立派な工房を持ってるのに、勉強をかかさないし」
見習わないとな。俺も空き時間で研究を続けていこう。
クソぼろいと副隊長に言われて持っていかされた俺の研究ノートは、収納の魔法石にすべて入っている。
「ロッドくん、おはよう」
やっと俺が起きたことに気づいたらしい。
「おはようございます。ちなみになんの研究なんですか?」
「う~ん、これはぼくの研究というより、領民からの依頼なんだよ」
「どんな依頼です?」
「うちの領は畑でいろんな作物を育ててるんだけど」
「そういえばありますね。広大なのがところどころに。昨日見てきましたよ」
「地域によって作物の生産量に差が出ていてね、魔法でどうにかできないかって」
そういえば、昨日農家のおじさんも同じようなことを言っていたな。あまり作物が実らない地域があるのだろうか。
「土地柄なら差が出るのは仕方ないと思うんだけど……村によっては食糧難になる年もあるらしくてね」
作物の生産量を魔法で増加できないかってことか。
「……作物って魔法で育つんですか?」
「それがわからないから今資料をあさってる。できそうだけどぼくの分野じゃないんだよね。人に効く薬は作れても作物に効く薬は作ったことないの、ぼく」
「たしかに微妙に違いますね」
魔法使いにとっては、あまり関心のない方面なのかもしれない。そう思いながら、ふと部屋の隅に佇むゴーレムを見る。
「でもあのゴーレムみたいなのを作れるんなら、いろいろ応用利きそうじゃないですか」
「あー、あれぼくが作ったんじゃないよ」
「違うんですか?」
「今ちょっと旅に出てるんだけど、この工房にはもう一人、人員がいるんだ。役に立つのか立たないのかよくわからない魔法道具を作るやつがね。そいつが作ったの」
「そうなんですか」
「あのゴーレムの後ろに、もう一つ部屋があるんだよ。扉はゴーレムがふさいでいるからわかりにくいんだけど。そこがそいつの部屋」
サフィさんはゴーレムのほうを指差した。
ニアが起きてきて俺の足にすりよってくる。よしよし。しゃがんでニアの頭をなでると、ニアは俺の膝に前脚をついて、おなかにちっちゃい角を押し付けてぐりぐりとする。
どうやらおなかを角でぐりぐりするのがニアの愛情表現らしい。内臓をえぐる練習のような気がしなくもないが、本気じゃないしじゃれているようなものだろう。きっとそう。
ニアはひとしきり俺のおなかをぐりぐりすると、肩の上に載ってくる。それから俺と同じように、ゴーレムに目を向ける。たしかによく見るとゴーレムが寄りかかるようにして、ドアのようなものがあった。
「まあ帰ってきたら紹介するよ」
「はい」
「とりあえず、取り掛かるのは目の前の課題だ」
「魔法で作物を実らせる方法ですか」
「そういうこと」
俺が横からサフィさんの読んでいる資料を覗き込むと、サフィさんは妙案をひらめいたように目を見開いた。
「あっ、ふーん、そうか。君はぼくの弟子だった」
「あ、はい、そういうことになるんですかね」
「我が弟子に命じる」
なんでいきなり偉そうな口調に?
「見事この問題を解決してみせなさい」
「いや、俺がですか!?」
「これも仕事のうちだよ。まずは調査からよろしく」
「うぐっ……」
俺はうなずいた。いいように押し付けられた気がするけど、仕事と言われちゃ、がんばるしかないよな。俺にできるかどうかは別として。
これまで工房から一歩も出ずにポーションを作り続けていた身からすると、調査というのは少し新鮮だ。今までは、決められたレシピから指定されたポーションを指定された量作ってきただけだ。状況に合わせて解決法を探っていくのは初めての経験だった。
俺は外にある広大な農耕地帯に足を運んでいた。村の周りには畑がたくさんあるが、その一つで、調査対象の地域だ。
周りは山。一見して特に問題はないように思える。
「実りの少ない地域か……モンスターにでも荒らされてるのかな」
「それはどの場所でもある程度ありますね」
俺の独り言に、隣にいたメリアが答えた。
「……なんでまたいるの?」
メリアは、今日は前のほうがボタンで留まっているかわいらしいワンピースを着ている。スカートで畑に入るのもちょっとどうかと思うけど、それよりなんでまたいるの。暇なのかな?
「逆に、どうしてわたしの臣下なのにわたしの隣にいないんですか。わざわざわたしが会いに来ないといけないじゃないですか」
「了解です。失礼しました」
俺は苦笑した。メリアはとても堂々としていた。とにかく領邦の問題に関わっていたいのだろう。いつか領主になったときのために、俺の仕事を見学するのは彼女の仕事でもあるのかもしれない。
「仕事するなら、わたしの隣でしてください」
「善処するよ」
ニアは俺の肩から下りてきて、ふんふん土のにおいをかいでいる。
「このへんの畑って、手入れしてないわけじゃないよね」
「ええ、ちゃんと手入れしても変わらなくって……昔からそうみたいですね」
「となると、やっぱり土壌かな」
俺が言うと、ニアは短くニァーと鳴いた。
「ニアもそうだと言ってます」
それ本当?
「まあ地域差でそういうのはどうしても出てくるよなあ」
「ですけど収穫量を増やせれば領邦の収入は増えます」
「よくそこまで考えられるね。えらい……でもモンスターに汚染されたとかでなければ、たとえば肥料を多めに撒くとかすればいいんじゃないかなあ。自然物に対して俺たちにできることって限られてる気がするよ」
ニアは何か俺に抗議するような目を向けて鳴く。
「ニエー」
それ何? 否定形?
「じゃあそれをサフィさんに報告して終わりにしますか?」
「……そう言われると、良い方法を模索したくなるね」
そもそもそういう結論は、サフィさんも当然考えているはずだ。
彼女が期待しているのは、その先の結果だ。俺にこの仕事を託した意義は、そこにある。
俺の腕の見せ所というやつだ。どうせ見せるなら、良い所を見せたいよな。
「……そういえば、俺が王都の隊にいたときは一人も友達いなかったんだけどさ。嫌われてたから」
「悲しいですね」
「唯一知り合いと言えたのが、城の庭師のおじさんだったんだ」
「それは素敵ですね!」
「いつだったか、世間話で『植物に栄養をあげるポーションがあったらいいよなあ、ガハハ』みたいなこと言っていて、そんなことできるのかと思っていろいろ理論を考えたことがあったんだけど……」
俺は収納の魔法石から研究ノートを取り出した。ぱらぱらとページをめくる。
たどり着いたページには、植物に栄養を与えるポーションの理論がメモ程度に書かれている。
「栄養に加えて、成長を促す作用が作れればと思ったんだけど……」
「だめなんですか?」
「あまりに生命力を強くすると、周囲の生態系が変わってしまうおそれがある。それが原因で土壌が死んでしまうリスクもある。用心するにこしたことはないね」
「魔法で品種改良することはできるんですか?」
「うーん、よしんばできたとして、種を盗んでほかでも生産される可能性もあるわけで、それも問題だよね」
「……でも、豊作なのはいいことなんじゃないんですか?」
「簡単にいい作物が大量に取れると、自分たちで消費する分にはいいんだけど、売るとなると単価が下がって、結果的に儲からない可能性も出てくる。同じ農作物を作っているほかの領邦の人たちも困る……かといって一時的に農作物を強化するだけだといちいち手間と時間がかかる。強化ポーションの生産と合わせて採算が取れるかどうかも重要だし、そもそも人が食べるものだから人体への影響も考慮しないとだし……」
俺は集中して、ぶつぶつと独り言のようにつぶやく。
「難しいんですね」
「そうだね」
農作物を魔法でいじるとなると、バランスを取るのが非常に難しい。
「でも、植物のほうではなく土壌のほうを改善するポーションなら、それは解決できるかもしれない」
植物に作用させるのは難しい。なら、土壌環境の改善を促すものができれば、経済・生態系ともに影響が出すぎないのでは?
……うん、たぶん、いける。
まずは作物の収穫量の一番多い土地の土壌と、収穫量の一番少ない土地の土壌、両方のサンプルを採取しよう。で、収穫量の多い土地の土壌へ環境を似せるポーションを作って畑に撒いていけば、生態系への影響を最小限に抑えつつ植物は育ちやすくなるはずだ。
そこの土壌にぴったり合ったすごくいい肥料を作るイメージ。理論の大本はできている。あとはサンプルの分析と、それに合わせた理論の改良。そして試作品の作製。
「ではやってみてください!」
自信満々のメリアは俺に言う。
「了解!」
俺は微笑してうなずいた。
サンプルを採取し、工房へ戻る。そしてサフィさんから関連本と鑑定器を借りてきて、研究に打ち込む。
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