335 / 584
第8章 国立学校編
女神、降臨
「ねぇにぃに、女神が復活しそうなんだけど、何か対策しないの?」
隣にいたユーリが、呆然としている俺の袖を引いてそう言った。……ハッ!ほうけている場合じゃない!
俺は慌てて魔法陣を大きく囲むように結界を張る。
『どう足掻いても女神が出てこられないように』とイメージをして作ったので、少なくても女神には有効だろう。
結界を張ってホッとしたのもつかの間、直ぐに魔法陣の中の人型の光が落ち着いていった。ふぅ……間一髪だったね!
そして……魔法陣の人型の光から出てきたのは、やはり女神テネブルだった。
彼女は顕現するとすぐに辺りを見渡し、自分の配下が俺の作った結界の中にいることに気づき戸惑った表情になる。……あれ?なんか反応が違う?
「……一体、どういう事だ?」
女神テネブルは戸惑った表情のままでそんな事を呟く。
……おや?
その『どういう事だ?』の意味はなんだろう?
『自分の仲間が結界に囚われている』事なのか、それとも『自分がなんでここにいるのか?』という事なのか、どちらなんだろうね?
俺がジ~ッと女神テネブルを見ていたら、やっと彼女も俺たちのことに気がついたようだ。
「……おぬしたち、この状況を説明できるか?」
彼女はようやく説明をしてもらえそうだとホッとした表情をする。
なるほど、この召喚は彼女の意思ではないらしい。
「今、貴女がここにいるのは、あそこで結界の中にいるあなたの配下達があなたを復活させようとクレイン国の王都で『隷属の魔法』を使って暴動を起こしたからですよ。でもまあ、あなたを復活させた『生け贄』はほぼあなたの配下ですがね。」
俺がありのままの事実を言うと、眉間にしわを寄せて「暴動?」と聞き返してくる、
「ええ、『暴動』です。今この王都はあちこちで火事が起こったりしています。でもそれも当初の予定通りではなく、この人物のおかげで放火だけで済んだようですがね。本来は『隷属の魔法』を使って騎士団によってこの街の市民を殲滅し、その魂を『生け贄』とする予定だったそうですよ?今この場にはいませんが、貴女がこの場に召喚される為の『生け贄』となった、この国で神父をしていたあなたの配下がそう言ってましたから間違いはないと思います。」
俺のその言葉に女神テネブルは驚きの表情になり、そして足元にある神父の衣服を見て、それが真実なのだと悟ったようだ。
「……何故そんな事になっているのか全く分からないのだが……おい、そこの!こっちに来て説明をせい!」
戸惑っていた女神テネブルは、結界に囚われている魔物の一人に声をかける。
……仕方がない、そいつだけ結界を解くか。
俺は女神テネブルに指定された魔物の結界を解き、女神の近くに行くよう告げる。
その魔物はすぐさま女神のそばへより、嬉しそうに「復活、おめでとうございます」と伝えた。
「……我は別に復活を望んではいなかったのだが、一体誰がそんな事を思いついたのだ?」
険しい表情をした女神テネブルがその魔物に問うと、その魔物は萎縮した様子で「この場には居なくなってしまいましたが、テネブル様がこの国に派遣して神父をやっていた者です。」と伝える。
……なるほど、奴が首謀者だったんだね。
考えてみれば神父はとてもいろんな事をしてきていた。
でも……その行動って、女神テネブルが創造神に滅される前に指示していたものじゃないの?
「……おぬし、我を疑っておるな?我が奴に命令していた事は『この国を乗っ取れ』という事であって、『我を復活させよ』というものではない。それに我がかの神に滅された事によって我の国は滅んだはずだ。であるならば、今更他国で行っている『領土拡大』と『世界統一』は無意味なことよ。もしかすると他にもそれに気づかずに我を復活させようと行動している者もいるやもしれんが、それは我の望むことではない。我はしっかりと反省をし、気の遠くなるような年月の先にかの神に赦しをもらい、また神へと戻るのだ。」
女神テネブルは俺を真っ直ぐ見つめ、そう言った。
どうやらこの数ヶ月でだいぶ考え方が変わったようだね。
以前ならこんな事が口から出てくることはなかっただろう。
それを聞いたこの場の全ての魔物は、皆一様に頭を垂れた。
どうやら自分たちの努力が迷惑だったと言われたことがショックだったようだ。
その時、礼拝堂の中にユーリの声が響き渡る。
「……女神テネブル。君はまだ赦してもらえるほど時間は経ってはいない。今、この場ですぐに元の場所へ戻るというなら、さらなる懲罰は与えない。さあ、どちらを選ぶ?」
ユーリのその言葉に、彼女はすぐさま「元の場所に戻りたい」と答えた。
それは良いんだけど、どうやって元の場所へと帰るんだろうね……?
隣にいたユーリが、呆然としている俺の袖を引いてそう言った。……ハッ!ほうけている場合じゃない!
俺は慌てて魔法陣を大きく囲むように結界を張る。
『どう足掻いても女神が出てこられないように』とイメージをして作ったので、少なくても女神には有効だろう。
結界を張ってホッとしたのもつかの間、直ぐに魔法陣の中の人型の光が落ち着いていった。ふぅ……間一髪だったね!
そして……魔法陣の人型の光から出てきたのは、やはり女神テネブルだった。
彼女は顕現するとすぐに辺りを見渡し、自分の配下が俺の作った結界の中にいることに気づき戸惑った表情になる。……あれ?なんか反応が違う?
「……一体、どういう事だ?」
女神テネブルは戸惑った表情のままでそんな事を呟く。
……おや?
その『どういう事だ?』の意味はなんだろう?
『自分の仲間が結界に囚われている』事なのか、それとも『自分がなんでここにいるのか?』という事なのか、どちらなんだろうね?
俺がジ~ッと女神テネブルを見ていたら、やっと彼女も俺たちのことに気がついたようだ。
「……おぬしたち、この状況を説明できるか?」
彼女はようやく説明をしてもらえそうだとホッとした表情をする。
なるほど、この召喚は彼女の意思ではないらしい。
「今、貴女がここにいるのは、あそこで結界の中にいるあなたの配下達があなたを復活させようとクレイン国の王都で『隷属の魔法』を使って暴動を起こしたからですよ。でもまあ、あなたを復活させた『生け贄』はほぼあなたの配下ですがね。」
俺がありのままの事実を言うと、眉間にしわを寄せて「暴動?」と聞き返してくる、
「ええ、『暴動』です。今この王都はあちこちで火事が起こったりしています。でもそれも当初の予定通りではなく、この人物のおかげで放火だけで済んだようですがね。本来は『隷属の魔法』を使って騎士団によってこの街の市民を殲滅し、その魂を『生け贄』とする予定だったそうですよ?今この場にはいませんが、貴女がこの場に召喚される為の『生け贄』となった、この国で神父をしていたあなたの配下がそう言ってましたから間違いはないと思います。」
俺のその言葉に女神テネブルは驚きの表情になり、そして足元にある神父の衣服を見て、それが真実なのだと悟ったようだ。
「……何故そんな事になっているのか全く分からないのだが……おい、そこの!こっちに来て説明をせい!」
戸惑っていた女神テネブルは、結界に囚われている魔物の一人に声をかける。
……仕方がない、そいつだけ結界を解くか。
俺は女神テネブルに指定された魔物の結界を解き、女神の近くに行くよう告げる。
その魔物はすぐさま女神のそばへより、嬉しそうに「復活、おめでとうございます」と伝えた。
「……我は別に復活を望んではいなかったのだが、一体誰がそんな事を思いついたのだ?」
険しい表情をした女神テネブルがその魔物に問うと、その魔物は萎縮した様子で「この場には居なくなってしまいましたが、テネブル様がこの国に派遣して神父をやっていた者です。」と伝える。
……なるほど、奴が首謀者だったんだね。
考えてみれば神父はとてもいろんな事をしてきていた。
でも……その行動って、女神テネブルが創造神に滅される前に指示していたものじゃないの?
「……おぬし、我を疑っておるな?我が奴に命令していた事は『この国を乗っ取れ』という事であって、『我を復活させよ』というものではない。それに我がかの神に滅された事によって我の国は滅んだはずだ。であるならば、今更他国で行っている『領土拡大』と『世界統一』は無意味なことよ。もしかすると他にもそれに気づかずに我を復活させようと行動している者もいるやもしれんが、それは我の望むことではない。我はしっかりと反省をし、気の遠くなるような年月の先にかの神に赦しをもらい、また神へと戻るのだ。」
女神テネブルは俺を真っ直ぐ見つめ、そう言った。
どうやらこの数ヶ月でだいぶ考え方が変わったようだね。
以前ならこんな事が口から出てくることはなかっただろう。
それを聞いたこの場の全ての魔物は、皆一様に頭を垂れた。
どうやら自分たちの努力が迷惑だったと言われたことがショックだったようだ。
その時、礼拝堂の中にユーリの声が響き渡る。
「……女神テネブル。君はまだ赦してもらえるほど時間は経ってはいない。今、この場ですぐに元の場所へ戻るというなら、さらなる懲罰は与えない。さあ、どちらを選ぶ?」
ユーリのその言葉に、彼女はすぐさま「元の場所に戻りたい」と答えた。
それは良いんだけど、どうやって元の場所へと帰るんだろうね……?
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【経験値貸付(ローン)】の強制取り立て 〜「無能」と追放された付与術師、元仲間のレベルを「利息付き」で没収して無双する〜
りい
ファンタジー
五年間、勇者レオン率いるSランクパーティのために尽くしてきた付与術師のアベル。
彼は固有スキル【経験値譲渡(ギフト)】を使い、自分が獲得するはずの経験値をすべて仲間に捧げてきた。その結果、仲間は次々とレベル90を超える一方で、アベル自身はどれだけ戦っても「万年レベル1」のまま。
「レベル1の無能はもういらない。死にたくなければ消えろ」
理不尽な宣告と共に、ゴミのように捨てられたアベル。しかし、勇者たちは知らなかった。
アベルのスキルの真の名は――【経験値貸付(ローン)】。
パーティを脱退し「契約」が解除された瞬間、これまで与えてきた膨大な経験値が、年率10%の「複利」を伴ってアベルへと強制返還される!
一瞬にしてレベル999、神の領域へと至るアベル。
一方で、全経験値を没収されレベル1の弱者に転落し、路頭に迷う元仲間たち。
「戻ってきてくれ」と泣きつく彼らに、最強の債権者(アベル)は冷たく言い放つ。
「君たちに貸せるものは、もう何もないよ」
これは、お人好しすぎた少年がすべてを取り戻し、圧倒的な力で自由を謳歌する逆転無双。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
48歳の元非正規、異世界で《工場召喚》に目覚める〜失業者を雇ったら、街の経済が回り出した。バナナの皮剥き30年は無駄じゃなかった〜
風
ファンタジー
48歳、非正規パート歴30年。剥川正太郎の仕事は、食品工場でひたすらバナナの皮を剥くことだけだった。
過労で倒れた彼が異世界で授かったのは、まさかの《工場》召喚スキル。現地の失業者や訳ありの人々を雇い、バナナ工場を動かし始めると、街の暮らしも経済も少しずつ回り出す。
亡き妻の「あなたの仕事は必要なもの」という言葉を、異世界で初めて他人に返していく、中年お仕事ファンタジー。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜
由香
恋愛
過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。
初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。
溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。