384 / 526
第8章 国立学校編
さらば、学園!
しおりを挟む王都の騒ぎが沈静化し、国王からの次期国王の発表や聖剣の喪失などが国民に広まった頃、俺達『スノーホワイト』はこの街を出発することを決めた。
もちろん今すぐ出ていくわけではない。
まだ学園にも通っているしね。
そう、あれからも学園に俺はまだ通っているのだ。
本当は事態が沈静化したら退学してまた冒険者に戻る予定だったんだけど、学園の先生や生徒が「もう少し君から学びたいことがある」と言われ、それならばともうしばらく通うことになったのだ。
その間に俺は約束通り、リーシェさんから授業で『魔法連絡』という魔法を教えてもらえたんだよ!
その授業でクラスのみんなは「とりあえず最初だからクラスの中の友人に送ってね」とリーシェさんに言われていたのに、俺だけ「じゃあ君はローランの街にいるルーシェに送ってみて?」って言われたんだけど!?
……頑張ってやってみたら普通に成功したけどさ?
そりゃあ俺の魔力量は膨大だけど、初めて使う魔法はなかなかイメージできないんだよ?
せめて最初くらいは教務員室にいるスコットさん達にして欲しかった。失敗しても良いように!
後は俺が授業でいろんな剣技や魔法を教えたり、またスコットさんたちと『模擬試合』をしてみんなを楽しませたりとなかなか充実した毎日だったよ。
あ……この前テストあったんだけど、実技テストは文句無しの満点で通過、歴史などの筆記試験は辛うじて満点になった……って感じかな?暗記それほど得意じゃないんだよね。
ただ、計算とかの試験は流石に余裕の満点だったよ。
さすが日本での学校教育はここと比べるとレベルが高いので、全く問題はなかったよ!
あと何か変わったところがあるかと言われると、セインとローラの性格が変わったことで2人……いや3人にも徐々にだが近づいて話しかけるクラスメイトが増えてきたことだ。
セイン達2人が『選民思考』の時はすぐに機嫌を損ねて大変なことになるからと皆距離を置いていたのだが、それがなくなるとやはり元々話しかけてみたかったのだろう、まずは女子生徒がセインやクロードと話そうと近づいてきたのだ。
ローラは相変わらず俺にいろいろ言ってきていたが、以前と違って強制的なことは言わなくなっていた。
ただ、それのせいで他の男子生徒は近づく素振りがない。
……俺としては彼女にも誰か近づいて、俺のことを諦めてくれればと思っているのだが。
そんななかなか楽しい日々を送っていた頃、突然山田から電話があった。
どうも久々に俺の実家に来てくれと呼ばれたら、甥の悠馬がそろそろそっちの世界に遊びに行きたいんだけど大丈夫か?との打診だったようだ。
こっちはもう安全な状態になったし、悠馬が良ければこっちに来てもいいと言っておいた。
こっちではリッキーに悠馬のことを相談したら、笑いながら「あいつらには内緒にしておこうぜ!」と言われたので、スコットさんにはまだ言ってない。
そして俺が学校から帰ってきて夕飯を食べ、お風呂に入った後に悠馬にはこちらに来てもらう事になっている。
俺は全て終えて部屋に帰ってくると、早速山田に連絡を取った。
すると返信で「悠馬が鞄に入ったからな。」と連絡があった。おぉ~、もう準備していたんだな!
俺は早速腕輪から悠馬を召喚する。
すると光が収まると、立った状態の悠馬がすぐ目の前にいた。
「久しぶりだな、悠馬!」
俺はにこやかに悠馬を迎えると、悠馬も「久しぶり、シエルにぃに!」と言って笑った。
……その場にいたユーリは少しばかり膨れていたけど、悠馬がにこやかに「久しぶり、ユーリ!」と言って抱きつくとプイッ!と顔を背けたが、その耳が少し赤いところを見ると嬉しかったんだろうな。
ふふっ、素直じゃないなぁ?
そこへすごい良いタイミングでリッキーがやって来た。
「シエル~、いつあいつ……あっ、もう来てたんだな。」
「……?」
リッキーがいかにも自分を知っているこのような口調だったから、悠馬は不思議そうに首を傾げた。
「あぁ、そうか。お前分からないもんな。とりあえず自己紹介しとくわ。俺はシエルの冒険者仲間でリッキーっていうんだ。よろしくな?」
リッキーが人懐っこい笑顔でニカッ!と笑うと、少し緊張していた悠馬もニッコリと返した。
「俺はシエルにぃにの甥で、兄の子供です。しばらくこちらにいるので、よろしくお願いします!」
「お~、ちゃんと自己紹介できたな?じゃあ他の仲間も呼んてくるよ、ちょっと待ってろよ?」
リッキーはそう言うと部屋を出て行った。
それを見ていた悠馬は「あと何人仲間がいるの?」と聞いてきた。
「俺のチームメンバーは俺とユーリを抜かせば5人かな。……あ、もう1人、見た目『人』じゃない奴もいるが見るか?」
「えっ、それってどういう意味?」
「まぁ、実際に見ればわかるよ。……ライトニング!」
俺は悠馬にそう言うと、ライトニングを腕輪から出してやる。
すると悠馬は驚いた声を上げ、ライトニングはきょとんとして悠馬を見ていた。
『……主人が2人?』
「いや、お前のいう『主人』っていうのは俺のことで、こっちは俺の兄の子供だ。そっくりだろ?」
『そうだな!瓜二つってのはこの事をいうんだろ?』
ライトニングはピュンピュン悠馬の周りを飛びながらそう言った。
当の悠馬はまだ驚きで固まっている。
そんな悠馬をライトニングはつんつんと突付き出した。
『主人~。こいつ全く動かないんだけど?』
「こらっ、つつくな!」
『へいへい。了~解!』
ライトニングはそう言うと、悠馬の肩に座った。
「……シエルにぃに?これ……なに?」
『おいっ、これってなんだよ、これって!俺はライトニングって名前があるんだ!これ呼ばわりはやめてくれよな!』
「ライトニング、だね?ごめんな、『これ』なんて言って。これからはちゃんと名前で呼ぶよ。」
『おう!そうしてくれなっ!』
そうやって2人が仲良く話している間に、改めてリッキーが他のメンバーを連れて戻ってきた。
「おう、戻ったぞ~。ほら、悠馬が来てるんだよ。中入れよ!」
リッキーがそう言って他のメンバーの背中を押しながら入ってきた。
中に入ってきたスコットさん達は中には入った途端に驚いた顔をした。……そうだよね、皆にとってはもう何十年も前の姿だもんね?
「……悠馬。そうか、そうだよな、この年にここに来たんだっけか。……懐かしいな……。」
「ええ……。そうね、あなた。」
スコットさんとエミリーさんはそう言うと思わず泣いてしまった。……兄さんがそうやって泣くの、大人になってからは初めて見たよ。
そんな2人をじっと見ていた悠馬は、思わずといった感じで「……父さん?……母さん?」と小さく呟いた。
「おっと……気づいちまったか。」
リッキーはそう言ってニヤリと笑う。
「……悠馬、こんなにしーちゃんとそっくりだったのね!びっくりしたわ!」
「……もしかして友梨佳さん?」
「当たり!よく分かったわね?」
「……だってシエルにぃにの事、『しーちゃん』なんて呼ぶの、友梨佳さんだけだもん。……じゃあ、もしかして?」
リリーさんと会話をした悠馬は、そう言ってリッキーの方を見た。
するとリッキーはニヤリと笑うと「そう、山田だ。」と言った。
「そうかぁ……なんだ、みんなこっちに来ていたんだね?あぁ、だからここしばらく父さん達はこっちに来ることができなかったんだね?」
苦笑いをした悠馬に、俺は「半分当たっている」と答える。
「半分?」
「そう、半分。実はここしばらく危険な状況だったから、戦闘能力のあまりない兄さん達には来ないようにしてもらっていたんだ。」
「危険って……シエルにぃには大丈夫だったの?」
悠馬は危険だったと聞くと不安そうに周りを見渡す。
俺達は「大丈夫、こっちの俺達は強いからな。」と答えると、悠馬はホッとした顔をした。
「そっか、それなら良いんだけど。あ、こっちでの父さんたちの名前って何なの?」
「あっ、言ってなかったな。お前の父親が『スコット』、母親が『エミリー』、叔母さんが『リリー』た。」
リッキーがそう言って3人を自己紹介すると、リリーさんがものすごい顔でリッキーの足をかかとで踏んだ。……おっとぉ、めっちゃ痛そう!
「……ってぇなぁ!なんだよ、いきなり!」
「『いきなり!』じゃないわよ!『おばさん』って何よ、おばさんって!友梨佳さんって言いなさいよっ!」
「……叔母さんなのは間違いないじゃないか。」
「なんか言った!?」
「いえ、何も言ってないです~。」
激おこのリリーさんに、口答えのできないリッキー。
……なるほど、この2人の力関係がよく分かったよ。
そんなやりとりを見ていた悠馬は、ようやく本来の笑顔になったようだ。
そうだよな、こっちでも自分の家族と過ごせるなら、安心して楽しい夏休みになるよな!
「……わたくしはシエル様の契約獣で妖狐のセバスと言います。以後お見知りおきを。」
セバスはそう言って優雅にお辞儀をする。
それに対して悠馬も「あっ、よろしくお願いします!」と言って頭をペコリと下げた。
「さあ、今夜はゆっくりと体を休めろよ?どうせもう風呂や夕飯は食べてきたんだろ?なら今夜は久々に両親と同じ部屋で寝ればいい。」
リッキーはそう言うと部屋から顔を出して「3人が一緒に泊まれる部屋を用意してくれ」と外にいるメイドに声をかけた。
悠馬は少し照れた顔をしたが、嬉しそうに2人の側へ行く。
「じゃあ……とりあえずスコットとエミリーの2人は今夜から3人部屋で寝てくれ。今、用意させたから、準備ができたら移動しよう。」
リッキーがそう言うと、みんな頷く。
「……にしても、何で山田さんがそうやって仕切るんですか?」
悠馬が不思議そうな顔でそう言うと、リッキーは「だってここ、俺の屋敷だからな。」と答えた。
そうだよね、ここはお前の実家の屋敷だもんな。
それからしばらく話をしている間に用意ができたらしく、みんな部屋から出ていった。
「にぃに、これから暫くはあの子も一緒に行動するの?」
「ああ、今は夏休みだからな。その間はこっちにいるらしい。」
「ふぅ~ん、そっか。」
ユーリはそう言うと、黙ってしまった。……なんか嫌だったかな?
ユーリに聞いてみると、「別に嫌じゃないよ。」と一言言われた。なら良いけど、ホントかな?
とりあえず今夜はしっかり寝て、明日は休みだから街中を案内してやるかな!
俺はベットに横になりながらそう考えていると、あっという間に睡魔がやってきて夢の国へと旅立ったのだった。
228
あなたにおすすめの小説
転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化!
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。
どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。
- カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました!
- アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました!
- この話はフィクションです。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
この状況には、訳がある
兎田りん
ファンタジー
どうしてこんなことになったのか…
ファルムファス・メロディアスは頭を抱えていた。
居なくてもいい場所に、しなくてもいい装いをしている事の居心地の悪さといったら!
俺の関係ない所でやってくれ!
ファルムファスの握りしめた拳の行方はどこに
○更新状況○
2023/2/15投稿開始
毎週水曜20時頃次回投稿の予定
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる