異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第8章 国立学校編

さらば、学園!

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王都の騒ぎが沈静化し、国王からの次期国王の発表や聖剣の喪失などが国民に広まった頃、俺達『スノーホワイト』はこの街を出発することを決めた。

もちろん今すぐ出ていくわけではない。

まだ学園にも通っているしね。


そう、あれからも学園に俺はまだ通っているのだ。

本当は事態が沈静化したら退学してまた冒険者に戻る予定だったんだけど、学園の先生や生徒が「もう少し君から学びたいことがある」と言われ、それならばともうしばらく通うことになったのだ。

その間に俺は約束通り、リーシェさんから授業で『魔法連絡』という魔法を教えてもらえたんだよ!

その授業でクラスのみんなは「とりあえず最初だからクラスの中の友人に送ってね」とリーシェさんに言われていたのに、俺だけ「じゃあ君はローランの街にいるルーシェに送ってみて?」って言われたんだけど!?

……頑張ってやってみたら普通に成功したけどさ?

そりゃあ俺の魔力量は膨大だけど、初めて使う魔法はなかなかイメージできないんだよ?

せめて最初くらいは教務員室にいるスコットさん達にして欲しかった。失敗しても良いように!


後は俺が授業でいろんな剣技や魔法を教えたり、またスコットさんたちと『模擬試合』をしてみんなを楽しませたりとなかなか充実した毎日だったよ。

あ……この前テストあったんだけど、実技テストは文句無しの満点で通過、歴史などの筆記試験は辛うじて満点になった……って感じかな?暗記それほど得意じゃないんだよね。

ただ、計算とかの試験は流石に余裕の満点だったよ。

さすが日本での学校教育はここと比べるとレベルが高いので、全く問題はなかったよ!


あと何か変わったところがあるかと言われると、セインとローラの性格が変わったことで2人……いや3人にも徐々にだが近づいて話しかけるクラスメイトが増えてきたことだ。

セイン達2人が『選民思考』の時はすぐに機嫌を損ねて大変なことになるからと皆距離を置いていたのだが、それがなくなるとやはり元々話しかけてみたかったのだろう、まずは女子生徒がセインやクロードと話そうと近づいてきたのだ。

ローラは相変わらず俺にいろいろ言ってきていたが、以前と違って強制的なことは言わなくなっていた。

ただ、それのせいで他の男子生徒は近づく素振りがない。

……俺としては彼女にも誰か近づいて、俺のことを諦めてくれればと思っているのだが。



そんななかなか楽しい日々を送っていた頃、突然山田から電話があった。

どうも久々に俺の実家に来てくれと呼ばれたら、甥の悠馬がそろそろそっちの世界に遊びに行きたいんだけど大丈夫か?との打診だったようだ。

こっちはもう安全な状態になったし、悠馬が良ければこっちに来てもいいと言っておいた。

こっちではリッキーに悠馬のことを相談したら、笑いながら「あいつらには内緒にしておこうぜ!」と言われたので、スコットさんにはまだ言ってない。


そして俺が学校から帰ってきて夕飯を食べ、お風呂に入った後に悠馬にはこちらに来てもらう事になっている。

俺は全て終えて部屋に帰ってくると、早速山田に連絡を取った。

すると返信で「悠馬が鞄に入ったからな。」と連絡があった。おぉ~、もう準備していたんだな!

俺は早速腕輪から悠馬を召喚する。

すると光が収まると、立った状態の悠馬がすぐ目の前にいた。

「久しぶりだな、悠馬!」

俺はにこやかに悠馬を迎えると、悠馬も「久しぶり、シエルにぃに!」と言って笑った。

……その場にいたユーリは少しばかり膨れていたけど、悠馬がにこやかに「久しぶり、ユーリ!」と言って抱きつくとプイッ!と顔を背けたが、その耳が少し赤いところを見ると嬉しかったんだろうな。

ふふっ、素直じゃないなぁ?

そこへすごい良いタイミングでリッキーがやって来た。

「シエル~、いつあいつ……あっ、もう来てたんだな。」

「……?」

リッキーがいかにも自分を知っているこのような口調だったから、悠馬は不思議そうに首を傾げた。

「あぁ、そうか。お前分からないもんな。とりあえず自己紹介しとくわ。俺はシエルの冒険者仲間でリッキーっていうんだ。よろしくな?」

リッキーが人懐っこい笑顔でニカッ!と笑うと、少し緊張していた悠馬もニッコリと返した。

「俺はシエルにぃにの甥で、兄の子供です。しばらくこちらにいるので、よろしくお願いします!」

「お~、ちゃんと自己紹介できたな?じゃあ他の仲間も呼んてくるよ、ちょっと待ってろよ?」

リッキーはそう言うと部屋を出て行った。

それを見ていた悠馬は「あと何人仲間がいるの?」と聞いてきた。

「俺のチームメンバーは俺とユーリを抜かせば5人かな。……あ、もう1人、見た目『人』じゃない奴もいるが見るか?」

「えっ、それってどういう意味?」

「まぁ、実際に見ればわかるよ。……ライトニング!」

俺は悠馬にそう言うと、ライトニングを腕輪から出してやる。

すると悠馬は驚いた声を上げ、ライトニングはきょとんとして悠馬を見ていた。

『……主人が2人?』

「いや、お前のいう『主人』っていうのは俺のことで、こっちは俺の兄の子供だ。そっくりだろ?」

『そうだな!瓜二つってのはこの事をいうんだろ?』

ライトニングはピュンピュン悠馬の周りを飛びながらそう言った。

当の悠馬はまだ驚きで固まっている。

そんな悠馬をライトニングはつんつんと突付き出した。

『主人~。こいつ全く動かないんだけど?』

「こらっ、つつくな!」

『へいへい。了~解!』

ライトニングはそう言うと、悠馬の肩に座った。

「……シエルにぃに?これ……なに?」

『おいっ、これってなんだよ、これって!俺はライトニングって名前があるんだ!これ呼ばわりはやめてくれよな!』

「ライトニング、だね?ごめんな、『これ』なんて言って。これからはちゃんと名前で呼ぶよ。」

『おう!そうしてくれなっ!』


そうやって2人が仲良く話している間に、改めてリッキーが他のメンバーを連れて戻ってきた。

「おう、戻ったぞ~。ほら、悠馬が来てるんだよ。中入れよ!」

リッキーがそう言って他のメンバーの背中を押しながら入ってきた。

中に入ってきたスコットさん達は中には入った途端に驚いた顔をした。……そうだよね、皆にとってはもう何十年も前の姿だもんね?

「……悠馬。そうか、そうだよな、この年にここに来たんだっけか。……懐かしいな……。」

「ええ……。そうね、あなた。」

スコットさんとエミリーさんはそう言うと思わず泣いてしまった。……兄さんがそうやって泣くの、大人になってからは初めて見たよ。

そんな2人をじっと見ていた悠馬は、思わずといった感じで「……父さん?……母さん?」と小さく呟いた。

「おっと……気づいちまったか。」

リッキーはそう言ってニヤリと笑う。

「……悠馬、こんなにしーちゃんとそっくりだったのね!びっくりしたわ!」

「……もしかして友梨佳さん?」

「当たり!よく分かったわね?」

「……だってシエルにぃにの事、『しーちゃん』なんて呼ぶの、友梨佳さんだけだもん。……じゃあ、もしかして?」

リリーさんと会話をした悠馬は、そう言ってリッキーの方を見た。

するとリッキーはニヤリと笑うと「そう、山田だ。」と言った。

「そうかぁ……なんだ、みんなこっちに来ていたんだね?あぁ、だからここしばらく父さん達はこっちに来ることができなかったんだね?」

苦笑いをした悠馬に、俺は「半分当たっている」と答える。

「半分?」

「そう、半分。実はここしばらく危険な状況だったから、戦闘能力のあまりない兄さん達には来ないようにしてもらっていたんだ。」

「危険って……シエルにぃには大丈夫だったの?」

悠馬は危険だったと聞くと不安そうに周りを見渡す。

俺達は「大丈夫、こっちの俺達は強いからな。」と答えると、悠馬はホッとした顔をした。

「そっか、それなら良いんだけど。あ、こっちでの父さんたちの名前って何なの?」

「あっ、言ってなかったな。お前の父親が『スコット』、母親が『エミリー』、叔母さんが『リリー』た。」

リッキーがそう言って3人を自己紹介すると、リリーさんがものすごい顔でリッキーの足をかかとで踏んだ。……おっとぉ、めっちゃ痛そう!

「……ってぇなぁ!なんだよ、いきなり!」

「『いきなり!』じゃないわよ!『おばさん』って何よ、おばさんって!友梨佳さんって言いなさいよっ!」

「……叔母さんなのは間違いないじゃないか。」

「なんか言った!?」

「いえ、何も言ってないです~。」

激おこのリリーさんに、口答えのできないリッキー。

……なるほど、この2人の力関係がよく分かったよ。

そんなやりとりを見ていた悠馬は、ようやく本来の笑顔になったようだ。

そうだよな、こっちでも自分の家族と過ごせるなら、安心して楽しい夏休みになるよな!

「……わたくしはシエル様の契約獣で妖狐のセバスと言います。以後お見知りおきを。」

セバスはそう言って優雅にお辞儀をする。

それに対して悠馬も「あっ、よろしくお願いします!」と言って頭をペコリと下げた。

「さあ、今夜はゆっくりと体を休めろよ?どうせもう風呂や夕飯は食べてきたんだろ?なら今夜は久々に両親と同じ部屋で寝ればいい。」

リッキーはそう言うと部屋から顔を出して「3人が一緒に泊まれる部屋を用意してくれ」と外にいるメイドに声をかけた。

悠馬は少し照れた顔をしたが、嬉しそうに2人の側へ行く。

「じゃあ……とりあえずスコットとエミリーの2人は今夜から3人部屋で寝てくれ。今、用意させたから、準備ができたら移動しよう。」

リッキーがそう言うと、みんな頷く。

「……にしても、何で山田さんがそうやって仕切るんですか?」

悠馬が不思議そうな顔でそう言うと、リッキーは「だってここ、俺の屋敷だからな。」と答えた。

そうだよね、ここはお前の実家の屋敷だもんな。

それからしばらく話をしている間に用意ができたらしく、みんな部屋から出ていった。


「にぃに、これから暫くはあの子も一緒に行動するの?」

「ああ、今は夏休みだからな。その間はこっちにいるらしい。」

「ふぅ~ん、そっか。」

ユーリはそう言うと、黙ってしまった。……なんか嫌だったかな?

ユーリに聞いてみると、「別に嫌じゃないよ。」と一言言われた。なら良いけど、ホントかな?


とりあえず今夜はしっかり寝て、明日は休みだから街中を案内してやるかな!

俺はベットに横になりながらそう考えていると、あっという間に睡魔がやってきて夢の国へと旅立ったのだった。
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