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第6章 王都近くのダンジョン編
25階層のフロアボス
しおりを挟む一夜明け、翌朝も軽く朝食を食べてからみんなで片付けて身支度を整える。
それから休憩所の出入り口へと向かうと、向かっている途中からでも分かってはいたのだが、やっぱりというか大量の魔物が結界の外で立って待っていた。
その様々な種類の動物系の魔物がいる中で、偶にだが動物系ではなく爬虫類系の魔物も混ざっている。
この休憩所は森の中の開けた場所に出来ているのでもちろん周りは森で囲まれているのだが……結界と木々の間をぐるりと魔物が取り囲んでいるのだ。
まぁ俺達は出入り口の付近の魔物しか倒す気はないから、正反対のところにいる魔物は放置するつもりだ。
「リーシェさん、この森って例えば魔法で伐採してしまっても森林破壊にならないですかね?」
俺は気になったことをリーシェさんに聞いてみた。
「そうだねぇ……私は試したことなかったが、過去には試した者がいるらしく、その人が言うにはどうやら1日で元通りに戻ったという話を何処かの本でで見たなぁ。どこで見たんだったかは忘れたけどね。だから別に風魔法でバッサリとやっちゃってもいいとは思うよ?」
俺の質問に、リーシェさんはそう答えてくれた。
どうやら俺がここ最近使っている魔法を使おうか悩んでいるのに気づいたらしい。
それならば……と、風魔法を上空に集めるイメージで魔法を発動。
魔法がしっかりとイメージできたら、結界を張ってある休憩所の上空から地上に向かって降らせる。
それらは見事に結界を伝って、結界の周りにいる魔物たちに降り注いだ。
すると一瞬のうちに結界の周りにいた魔物たちがドロップ品へと変わる。
「……シエル、お前容赦ないな。」
それを見たリッキーは、口の端をピクピクさせながらそう言う。……まぁ、俺も自分でそう思った。
とりあえず周りに魔物がいなくなったので、さっさと結界を解除して総出でドロップ品を拾い、フロアボスの部屋へと向かう。
そして現在。
途中何度か魔物と戦いはしたが、全く問題なく倒せている。
これは余裕があるって言えるのかな?
辿り着いたボス部屋は5階層とは大きさが違うが、同じく小屋タイプの部屋だった。
「5階層とは違って半分以下の大きさだけど、ここのフロアボスってどんな魔物なの?」
俺は気になったのでリッキーに聞いてみる。
「残念ながら俺たちも20階層までしか来たこと無いんだよな。」
リッキーが苦笑いをしながらそう言った。
するとリッキーだけじゃなく、他の3人も苦笑いをして頷いている。
「このフロアのボスかい?ここのは巨大な熊だったはずだよ?」
リッキーたちの代わりにリーシェさんが答えてくれたんだけど……それを知っているってことは、来たことがある、ってことだよね。
「リーシェさんはこのダンジョン、どこまで攻略したんですか?」
俺は思い切って聞いてみた。
もし最上階のフロアも知っているなら、ちょっと知りたいよね!
「ん~~、軍としては最上階まで行ったことあるかな。行ったけど、フロアボスまでは行かなかったんだよ。」
リーシェさんは苦笑いをしながらそう言った。
それになんか引っかかった俺は「何でですか?」と聞いてみたんだが、「行ってからのお楽しみだよ?」と言って教えてはもらえなかった。残念!
「でもまぁ、ここのフロアボスはとても巨大で、並の剣では刃も通らないほど毛皮が丈夫なんだよ。だから倒す方法としてはやはり魔法がメインかな。でも君たちは強力な魔法を使える人が何人もいるから全く問題なさそうだね。……あ、そうそう『刃も通らない』ってことは風魔法は使えないってことだから、他の魔法がオススメだよ。」
リーシェさんはこのフロアボスの攻略方法を教えてくれたけど、魔力コーティングされた武器でも無理なのかな?
「まぁ、そういうことならこのフロアのボスは3人に任せようぜ?」
「……そうだな。20階層のボスも魔法で倒されたから、ちょっと俺たちの出番がないな、とは思うが……。」
リッキーとスコットさんは2人でそんな事を話している。
そうだよねぇ……2人ともここしばらくあまり活躍できてなかったよね。
「……じゃあ、魔力コーティングした武器で最初に戦ってみる?スコットさんの武器には俺が魔力コーティングしてあげるよ!」
俺がそう提案すると、2人は顔を見合わせてしばらく見つめ合うと、2人揃ってニヤッと笑った。
「それは良いな!試してみようぜ?」
「ああ、そうだな。俺自身では魔力コーティングをするほどの魔力がないから、シエルの魔力でも戦闘可能ならこれからの戦闘の幅が広がるな。」
「おう、それな!スコットは魔力コーティングしたことないから分からないと思うから今のうち言っておくが、凄いぞ?まるで熱い刃物でバターを切るような感じで切れるんだよ。あまりに切れすぎて怖いくらいだから、自分や俺を切らないよう気をつけてくれよ?」
「……善処するが、俺の前世知っているだろ?大丈夫だ、安心しろ。」
2人ともよほど楽しみらしく、ニヤニヤが止まらないようだ。
そんな2人をエミリーさんとリリーさんは呆れた顔で見ているが、その口には笑みがあるから「しょうがない人達だわ」って感じなのだろう。
「……本当に、このチームは良いチームだ。」
リーシェさんはまるで自分の孫を見るような目で、俺達を微笑みながら見ている。
「君たちを見ていると自分が冒険者だった時のことを思い出すよ。私も、ルーシェも、チームメンバーに君たちのような人族がいたんた。やはり寿命の差は超えられなくてね。結局は解散せざるをえなかったんだ。あの時は楽しかったなぁ……皆で楽しい事をして世界を回っていたんだ。」
リーシェさんは遠い過去を思い出すかのように、遠い目をしながらそう言った。
それを聞いて俺はリーシェさんが俺たちのことを全ては知らないんだと気づく。
でもまぁ……今は訂正しなくても良いよね。
さあ、とりあえず少しだけ休憩したら、早速この階層のフロアボスに挑む準備を始めよう!
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