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お金、大事←ここ重要
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「えーと、では確認させていただきますね。
ご依頼の品は、自動追尾および自動録音機能を備えたバングル。魔道具と分からないように隠匿の術も付与。魔力消費、その他諸々の関係で特定の人物が着用した場合のみ発動。
対象者はアーリア・ミッドウェイ公爵令嬢。
バングルはゴールドベースにメインの魔石は青系統を使用。日常使い出来るデザインで、これらさえ守られれば細かいところはこちらにお任せいただける。
以上とのことですが何かご指摘はありますか?」
白衣を着た女性が淡々と告げ、対面に座る依頼人たちの方を向く。
その女性が平静を保っている一方で、依頼人たちというよりかはその女性以外全員がなんとも気まずげな空気を醸している。
沈黙が部屋中を支配する中、口火を切ったのは女性と同じ側に座っている白衣を着た男性だった。
「それ以前に、自分をストーキングするような魔道具を依頼されてるとこになんか思うとこはないのかよっ!?」
その言葉に、場の空気がさらに気まずいものとなった。
アーリア・ミッドウェイ公爵令嬢は生まれながらの転生者だった。
トラックに突っ込まれて気がついたら赤ん坊、みたいなテンプレ転生。
物語とかゲームの世界に転生かな?とは思ったけれども、該当するものが思い出せず、親も日本人的な愛情を持った貴族家だったこともありこの生を楽しむか!と前向きに捉え6歳を迎えた。
そして、出逢ってしまったのだ。
ラノベなんかでは定番の、そう、魔法に!!!
ま、ま、ままままままま魔法があったんや~!!!!!!
と知った瞬間に、のめり込む人生が決まったよね、ドヤ!
いやぁ、魔法はロマンですよ!!
なんか色々、王子様と婚約したり、やけに周りの人間から嫌われたりしたけど、親は愛してくれてるし、魔法に没頭してたからそんなことを気にせず過ごすこと、はや十数年。
齢17になったとさ。
んで、今日も今日とて自分の所属する魔法院に出勤した。そしたら早々に呼び出しをくらって指定された部屋にお邪魔すると、同僚がお客様のお相手してた。挨拶をして、同僚のとなりに座り確認すると魔道具の製作依頼だそう。
そんで書類を見ながら声かけ確認。
ここで冒頭に戻るわけなんだけど。
「ん?別に?」
普通に返すと、なんか微妙な顔された。
「いや、だって、ねぇ?自動録音機能つきのはもう着けてるし?」
「は!?なんで!?」
同僚が驚きの声を上げる。
「だって、私一応第二王子殿下の婚約者だから。」
同僚はそれだけではまだ分からないというような顔をしている。
そこでふとお客さんのこと無視してたなぁと思って、お客さん達の方を見てみるとお客さん達もまだわからないと言ったような顔をしていた。え、なぜ?と不思議に思うも説明をすることにした。
「 機密ではないけれどあまり大っぴらに することでもないから、一応黙っててほしいんだけど。王家の婚約者には監視が着くのよね、その一環かな。
まあ、 自動録音機能付きの魔道具を使ってるのは試験的になんだけどね。魔道具の機能試験と、これを利用することで報告書の内容を簡略化できないかっていう試験。
あとは私はこうやってお客様の対応することもあるし、その時に監視する人を一緒に連れてこられるともかぎらないからそのため。」
まあ、本当は王家の影が付いてるから監視の目が離れるってことはないんだけど、これは機密だから言えないわねぇ。
「へ、へぇ・・・。あ、いや、でも・・・」
同僚は納得したような、引いたような微妙な反応をしている。
「だからねぇ、私の行動なんて逐一報告書にまとめられてて、どこまで細かくかは知らないけど他愛ない世間話も記録監視されてるのよ。だから今さら監視の目が1つ増えたところでねぇ?
それに私は権限無いけれど、陛下方や婚約者はその報告書の閲覧権限があるはず。
それを知っている第二王子殿下がわざわざこういう魔道具の製作依頼をするってことはそれ以上の何か理由があるってことでしょ?」
そこまで言って向かいに座るお客様たちの方をチラリと見る。
この依頼をしているのは我が婚約者殿である第二王子殿下とその側近達であった、それと可愛らしい垢抜けない女の子も一緒にいるのだけどこの子は誰だったっけ?記憶を辿ってみるけれど思いだせない・・・。
それにしても、お客さんたちどこか気まずげな様子だけどどうかしたのかな?
それはともかくとして言葉を続けた。
「ここ突っ込んだら厄介事かもしれないし、少なくともあなたの前では聞くべきではないかなって。
それに王族の依頼は金払い良いし、断る理由ないよね!」
あ、つい本音が・・・。
その後もなぜか終始気まずい雰囲気で終わった制作依頼。
一体何だったんだ?
と思っていたら、第二王子たちと一緒にいた少女が凸ってきて、自分はヒロインだと言い出したり、私が悪役令嬢でこの世界が乙女ゲームの世界だと教えられたり、協力して魔道具の新規開発したり、国家転覆を狙う貴族を第二王子と愉快な仲間たちとで退治したり、ヒロインちゃんを側妃に自分が正妃で結婚したり、白い結婚でまた喪女で終わるのか~って思ってたら同僚に告白されたり、色々あったけど充実した人生大往生できました!!!
ああ、でもひとつだけ心残り、せっかくなら悪役令嬢ムーブ、したかったなあ・・・。
************
一応、垢抜けないと言う表現はわざと使っています。
意味の取り違えではないので悪しからず。
ご依頼の品は、自動追尾および自動録音機能を備えたバングル。魔道具と分からないように隠匿の術も付与。魔力消費、その他諸々の関係で特定の人物が着用した場合のみ発動。
対象者はアーリア・ミッドウェイ公爵令嬢。
バングルはゴールドベースにメインの魔石は青系統を使用。日常使い出来るデザインで、これらさえ守られれば細かいところはこちらにお任せいただける。
以上とのことですが何かご指摘はありますか?」
白衣を着た女性が淡々と告げ、対面に座る依頼人たちの方を向く。
その女性が平静を保っている一方で、依頼人たちというよりかはその女性以外全員がなんとも気まずげな空気を醸している。
沈黙が部屋中を支配する中、口火を切ったのは女性と同じ側に座っている白衣を着た男性だった。
「それ以前に、自分をストーキングするような魔道具を依頼されてるとこになんか思うとこはないのかよっ!?」
その言葉に、場の空気がさらに気まずいものとなった。
アーリア・ミッドウェイ公爵令嬢は生まれながらの転生者だった。
トラックに突っ込まれて気がついたら赤ん坊、みたいなテンプレ転生。
物語とかゲームの世界に転生かな?とは思ったけれども、該当するものが思い出せず、親も日本人的な愛情を持った貴族家だったこともありこの生を楽しむか!と前向きに捉え6歳を迎えた。
そして、出逢ってしまったのだ。
ラノベなんかでは定番の、そう、魔法に!!!
ま、ま、ままままままま魔法があったんや~!!!!!!
と知った瞬間に、のめり込む人生が決まったよね、ドヤ!
いやぁ、魔法はロマンですよ!!
なんか色々、王子様と婚約したり、やけに周りの人間から嫌われたりしたけど、親は愛してくれてるし、魔法に没頭してたからそんなことを気にせず過ごすこと、はや十数年。
齢17になったとさ。
んで、今日も今日とて自分の所属する魔法院に出勤した。そしたら早々に呼び出しをくらって指定された部屋にお邪魔すると、同僚がお客様のお相手してた。挨拶をして、同僚のとなりに座り確認すると魔道具の製作依頼だそう。
そんで書類を見ながら声かけ確認。
ここで冒頭に戻るわけなんだけど。
「ん?別に?」
普通に返すと、なんか微妙な顔された。
「いや、だって、ねぇ?自動録音機能つきのはもう着けてるし?」
「は!?なんで!?」
同僚が驚きの声を上げる。
「だって、私一応第二王子殿下の婚約者だから。」
同僚はそれだけではまだ分からないというような顔をしている。
そこでふとお客さんのこと無視してたなぁと思って、お客さん達の方を見てみるとお客さん達もまだわからないと言ったような顔をしていた。え、なぜ?と不思議に思うも説明をすることにした。
「 機密ではないけれどあまり大っぴらに することでもないから、一応黙っててほしいんだけど。王家の婚約者には監視が着くのよね、その一環かな。
まあ、 自動録音機能付きの魔道具を使ってるのは試験的になんだけどね。魔道具の機能試験と、これを利用することで報告書の内容を簡略化できないかっていう試験。
あとは私はこうやってお客様の対応することもあるし、その時に監視する人を一緒に連れてこられるともかぎらないからそのため。」
まあ、本当は王家の影が付いてるから監視の目が離れるってことはないんだけど、これは機密だから言えないわねぇ。
「へ、へぇ・・・。あ、いや、でも・・・」
同僚は納得したような、引いたような微妙な反応をしている。
「だからねぇ、私の行動なんて逐一報告書にまとめられてて、どこまで細かくかは知らないけど他愛ない世間話も記録監視されてるのよ。だから今さら監視の目が1つ増えたところでねぇ?
それに私は権限無いけれど、陛下方や婚約者はその報告書の閲覧権限があるはず。
それを知っている第二王子殿下がわざわざこういう魔道具の製作依頼をするってことはそれ以上の何か理由があるってことでしょ?」
そこまで言って向かいに座るお客様たちの方をチラリと見る。
この依頼をしているのは我が婚約者殿である第二王子殿下とその側近達であった、それと可愛らしい垢抜けない女の子も一緒にいるのだけどこの子は誰だったっけ?記憶を辿ってみるけれど思いだせない・・・。
それにしても、お客さんたちどこか気まずげな様子だけどどうかしたのかな?
それはともかくとして言葉を続けた。
「ここ突っ込んだら厄介事かもしれないし、少なくともあなたの前では聞くべきではないかなって。
それに王族の依頼は金払い良いし、断る理由ないよね!」
あ、つい本音が・・・。
その後もなぜか終始気まずい雰囲気で終わった制作依頼。
一体何だったんだ?
と思っていたら、第二王子たちと一緒にいた少女が凸ってきて、自分はヒロインだと言い出したり、私が悪役令嬢でこの世界が乙女ゲームの世界だと教えられたり、協力して魔道具の新規開発したり、国家転覆を狙う貴族を第二王子と愉快な仲間たちとで退治したり、ヒロインちゃんを側妃に自分が正妃で結婚したり、白い結婚でまた喪女で終わるのか~って思ってたら同僚に告白されたり、色々あったけど充実した人生大往生できました!!!
ああ、でもひとつだけ心残り、せっかくなら悪役令嬢ムーブ、したかったなあ・・・。
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一応、垢抜けないと言う表現はわざと使っています。
意味の取り違えではないので悪しからず。
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