気づいたら隠しルートのバッドエンドだった

かぜかおる

文字の大きさ
49 / 51
番外編

② クロヴィス Side 宰相子息

しおりを挟む
そうして表向き穏やかな日々が続く中、問題?が浮上した。
アリスティド様には幼い頃に定められた婚約者がいる。氷姫の異名を持つ、ドーリッシュ公爵家の跡取り令嬢のマリールイーズ嬢だ。どうやらアリスティド様はそのマリールイーズ嬢の異母妹のセシル嬢に恋い焦がれているらしい。
どうやら婚約者同士のお茶会に何度かに一度セシル嬢が参加しているようなのだが、その時のアリスティド様の帰ってきてからの饒舌ぶりったら言いようがない。
それを、公務を手伝う関係でよく話すようになった第二王子のエルネスト様と指摘すると、どうやら自覚がなかったようで珍しく気が動転しているようだった。気づいていなかったのであればそのままにしておいた方が良かったかと一瞬考えがよぎったが、自覚なく動かれたり、変なタイミングで自覚するよりいいだろうと考え直す。それに自分の立場をよく理解しているアリスティド様が突飛な行動に出ることはないだろうという信頼もある。
とりあえず相談されないうちはそっとしておこうとエルネスト様と結論づけることとなった

正直、アリスティド様は趣味が悪いと思う。
マリールイーズ嬢も氷姫の異名を持つだけあって、無表情で何を考えているのかわからない方ではあるが、完璧な淑女の振舞いをされ、伴侶として申し分のない方だ。それが女性として魅力的かどうかはまた別問題ではあるが。
一方セシル嬢は、一言でいうと甘やかされた御令嬢。公爵家に正式に引き取られてから何年か経っているはずだが、一向に礼儀作法が身についておらず、会話も幼い。それに、婚約者同士の交流を深めるためのお茶会に数度に一度とは言え頻繁に参加するなど常識がない。自然体とでも言えば聞こえはいいかもしれないが、感情が全て顔に出てしまっている、マリールイーズ嬢のように無表情であるのも少し問題だが、それでも貴族として取り繕えるだけ無表情の方がましというものである。裏表なく感情豊かで、可愛らしい容姿は庇護欲をそそるとも言えるかもしれないが、恋情に発展するものではない。・・・これが教育の弊害だろうか。
一応、セシル嬢について調査しておいたが、変な繋がりもなく俺が抱いていた印象以上の情報は集まらなかった。

アリスティド様もいっときは熱病にかかったようになっていたが、何かあったのか、むしろ何も無かったからなのか自分の気持ちに折り合いを付けられたようで、学院に入る頃には将来の義妹としてセシル嬢にふさわしい距離で接するようになっていた。


そうしてあと一年ちょっとでアリスティド様が学院を卒業となった頃、アリスティド様が考え事にふけることが多くなった。
そして、そろそろこちらから動いた方がいいかと思い始めたところで、アリスティド様からある”お願い”をされた。

それはマリールイーズ嬢を調査すること。

前々からセシル嬢はマリールイーズ嬢に嫌がらせのようなことをされていると匂わせていたらしい、実際に学院に入ってから二人の様子を見ていると、嫌がらせではないがマリールイーズ嬢がセシル嬢にきつい物言いをしていたりしていた。普段の氷姫からは少々逸脱している振舞いに、改めてマリールイーズ嬢の資質を確認したくなったのと、セシル嬢からマリールイーズ嬢が不正を行っているのではないかと匂わせる言動があったとのこと。
一方的な話を信じる訳にも行かないが、もしセシル嬢の言う不正が事実ならば婚約を考え直さねばならない、と言い出した。

恋心が再燃、いや隠すのが上手くなっただけでずっと燃やし続けていたのかもしれない、とため息を吐きたくなる。
そもそも、マリールイーズ嬢は王族の婚約者、護衛というなの監視などがあるから不正などそう簡単には行えるものではない。それでも頼まれたのだからと調査を行い、並行してアリスティド様とセシル嬢の行動も改めて調査と既存の報告書の確認を行う。

報告書を見返してみれば、少しずつアリスティド様とセシル嬢の距離が近づいているのがわかる。一方でマリールイーズ嬢とは義務としての最低限の交流しかしていない。完全に私の見落としだが、少し嫌な噂も流れているようだ。嫉妬などとは想像できないが、マリールイーズ嬢も言葉がキツくなるのもさもありなんと言った様子に感じた。

だが、そのマリールイーズ嬢もクロであった。
調べれば調べるほど、真っ黒な証拠が上がってくる。これ以上ない証拠が集まってくるのにどこか違和感が拭えなかった俺は義父に相談してみることにした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした

セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。 牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。 裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

転生者だからって無条件に幸せになれると思うな。巻き込まれるこっちは迷惑なんだ、他所でやれ!!

ファンタジー
「ソフィア・グラビーナ!」 卒業パーティの最中、突如響き渡る声に周りは騒めいた。 よくある断罪劇が始まる……筈が。 ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。

悪役令嬢、休職致します

碧井 汐桜香
ファンタジー
そのキツい目つきと高飛車な言動から悪役令嬢として中傷されるサーシャ・ツンドール公爵令嬢。王太子殿下の婚約者候補として、他の婚約者候補の妨害をするように父に言われて、実行しているのも一因だろう。 しかし、ある日突然身体が動かなくなり、母のいる領地で療養することに。 作中、主人公が精神を病む描写があります。ご注意ください。 作品内に登場する医療行為や病気、治療などは創作です。作者は医療従事者ではありません。実際の症状や治療に関する判断は、必ず医師など専門家にご相談ください。

処理中です...