気づいたら隠しルートのバッドエンドだった

かぜかおる

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番外編

① クロヴィス Side 宰相子息

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俺は代々騎士を輩出する子爵家の男ばかり5人兄弟の四男として産まれた。

代々騎士を輩出すると言えば聞こえはいいが、領地が小さく時には跡取りすらも領地経営以外で身を立てねばならないほど貧乏で、これまた代々頭がそれほど良くなく体格に恵まれているからその道を選ぶものが多いと言うだけ。
特に立身出世ができるわけではないが、身内や知り合いがそこかしこに散らばっているので、どこにいってもいじめなどに遭うことなく面倒を見てもらえると言うのが利点。

俺の兄弟は例に漏れず体格が良く、頭はよろしくないと言うか脳筋である中、俺は同じように育てられているはずなのに体格は弟より小さく、俺の家族がでかいだけで年相応と言われればそれまでだが、勉学を好むたちだった。
数少ない家中の本は読み尽くし、家庭教師がつくようになれば、あっという間に長兄を追い越した。脳筋で最低限の教育しかしてないとは言え10歳以上年の離れた兄を追い越したのだ、兄弟たちはただスゴイと褒めるばかりだったが、両親はせっかくの才能がこのままでは無駄になると考え、俺をもっと勉強ができる環境に送ることにした。

両親も高望みしたいたわけではなく、勉強ができる環境に俺を置き将来文官として身を立てれればいい。それくらいの気持ちで俺を預かってくれないかと知り合いに声をかけていた。

結果、我が家の主家である代々宰相を務める侯爵家から養子縁組の話が舞い込んだ。

俺の家は傍流も傍流だが、婚姻などの関係で思いの外血が薄くなっておらず都合が良かったらしい。
侯爵様が用意した教師に勉強を習ったり、侯爵様と直接話をさせていただいたりしながら、とんとん拍子に話がまとまっていった。

一度だけ、侯爵様はまだ若く30歳前後なのになぜ養子を迎えるのか、なぜ妻を迎えて子を為そうとしないのか尋ねたことがある。侯爵様は悲しそうな表情を浮かべ、愛する人がいるからだ、と貴族としては正しくない答えを幼い私に正直に答えてくださった。

正式に引き取られてからは勉強三昧、暇があれば本を読み漁る生活はとても楽しかった。
嗜みとして剣術も習っていたが、兄弟たちと鍛えられ弱いからと追加の鍛錬をさせられていたこの身からすれば、軽くこなせる内容でむしろ褒められることすらあるほどだった。

大変だったのは人の裏を読むような訓練。政略など関係もない弱小子爵家でのびのびと育っていた俺は真っ直ぐ素直に育っていた。そんな俺に策謀を巡らせ人の会話の裏を読むようなことは全くできずに苦労した。
しかし、一年もたてば高位貴族の同年代の者と同じくらいの能力を身につけ、少々ひねくれた少年が出来上がっていた。

そうして9歳になったある日、義父に呼び出されて話を聞くと王子の御学友として王宮に上がることが決まったと伝えられた。
ついにと思い、第一王子か第二王子かワクワクしながら話を聞くと、なんと第三王子のお相手だった。落胆を隠せずにいたろうに義父は何も言わずに笑みを深めるばかりだった。
第三王子は側妃の子、顔を合わせたことはあるが兄王子に比べ聡明さが足りずパッとしない。側妃様のご実家がキナ臭く王位争いも水面下で行われているようだが、第一王子が王位を継ぐのは確実だろうと言われている中、なぜ義父の後を継ぎ宰相位を賜る可能性が高い俺が第三王子付きになったのか実は自分が思っているより期待されていないのではないかと悶々とする中、第三王子との顔合わせが行われた。

付き合ってみると、第三王子のアリスティド様は俺が抱いていた印象よりずっと聡明な方だった、それは兄王子たちと遜色がないほどに。しかし、普通に接しているとどうも劣った印象になってしまう。初めはそう擬態しているのかと思った、アリスティド様と兄王子様たちや王妃様は表には出さないが仲が良く第一王子が王位に着くのを望んでいた。それゆえに、野心溢れる側妃様やそのご実家との兼ね合いであえて劣って見えるよう振る舞っているのかと、しかしそれも違う様子。
その答えは、一緒に教師から授業を受けるようになってから判明した。アリスティド様に与えられた教育には抜けや漏れが存在したのだ。中には王族として、それどころか貴族としても致命的なものもあった。

義父にそのことを報告すると、よく気づいた、思ったより早かったなと褒められた。
褒められたことを喜ぶも、そんな場合ではないと義父を見やれば、学友に決まったという話をした時と同じ笑顔を浮かべていた。そして、俺がアリスティド様につけられた理由が明かされた。

側妃様やご実家の公爵家はアリスティド様を傀儡の王にするつもりで、あえて教育内容に抜け漏れを作っている。教育には側妃様のご実家の公爵家も絡んでおり、王ですら簡単には介入できないことになっている。
今はまだ取り繕えているし、アリスティド様自身が王妃様方に懐いているのでどうにかなっているが、今後どうなるかはわからない。
そんなアリスティド様をサポートし、不埒な輩に取り込まれないよう監視するのが俺の役目だった。
あえて宰相の息子である俺をそばにつけるのも、警戒もされるが、取り込めば有利になると思わせることができる人間だからだった。

アリスティド様はそんな思惑の中、自衛のためか社交や公務は最低限に様々な研究にのめり込むようになった。側妃様のご実家の公爵家も、そのほうが扱いやすいからか何も言わず、それどころか研究によっては利益に繋がるからと支援すらしていた。
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