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ローズの反撃
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ローズは何事もなかったかのように無表情で立ち上がり、左手の中にある金属の感触を確かめながら、冷めた声で呟く。
「憐れなのは、貴方たちの方よ」
転ぶ際にはしっかりと完璧な受け身を取って無傷。心も勿論ノーダメージ。
そして手の中には、背中を押された瞬間、彼女たちの指から即座に抜き取った婚約指輪が二つ。
彼女らは、奪われたことになど全く気付いていない様子だ。
それもそのはず。
気付かれないように、高度な盗みのテクニックを使ったのだから。
夜会まであと一時間を切った現状で、二人仲良く婚約指輪を無くした彼女たちは、婚約者にどう言い訳するのか。
「私には関係のないことね」
彼女たちが婚約者と喧嘩して不仲になろうが、婚約破棄されようが、どうでも良い。
一切興味なし。
だが、他人を傷つけることをしたのなら、相応の罰を受けてもらわなければ。
――私、虐められて黙って泣き寝入りするほど、か弱くないの。ごめんなさいね。
因果応報――他人に与えた良いことも悪いことも全て自分に返ってくる。
相手をおとしめるなら、自分も傷つけられる覚悟を持ってもらわなければ。
「さて、夜会用のドレスに着替えましょう。パーティが終わったら『報告』に行かなきゃ。忙しいわ。……あ」
ローズは婚約指輪を握りしめたまま「これどうしよう」と頭を悩ませた。
質屋か闇市にでも売り飛ばしてしまおうかとも考えたが、それも面倒。
じゃあ、捨てる? 若干、勿体ない気もする。
大事に保管して、いつか返してあげるか……。
「そこまでお人好しにもなれないのよね。さて……」
ローズは、暗くなる空にうっすら見え始めた月に向かって。
「あなたなら、どうする?」――と問いかけた。
◇◇◇
ローズが立ち去った数分後。
顔面蒼白になった令嬢が三人、玄関ホールに駆け込んできた。
「どこっ!? 私の指輪どこよ!!」
「たしか、ここら辺で落としたはず……」
「ない……ないっ!!!どうしよう夜会が始まっちゃう……どうしよう……どうすればいいのぉ……」
ローズに『床とダンスを踊る方がお似合い』と言った三人組自身が、今は憐れに大理石の床に這いつくばって必死に指輪を探している。
「ない……ないっ!ないぃぃいッ!!!!」
「どうして……どうしてよぉ」
焦って動揺して泣いて、取り乱しながら無我夢中で捜索する。
しかし、見つかるはずもなく。
彼女たちはそれぞれ自分の両親に叱られ、婚約者とその家族に呆れられると同時に失望された。
結婚を前に婚家と不仲になった憐れな令嬢二人が、その後どうなったのか……。
少なくとも、「私って愛されているわ!」なんて言える未来じゃないことだけは確かだった。
そして、三人組の残りの一人。
ルーク第三王子に想いを寄せている令嬢の恋もまた、叶うことはない。
なぜなら……。
「憐れなのは、貴方たちの方よ」
転ぶ際にはしっかりと完璧な受け身を取って無傷。心も勿論ノーダメージ。
そして手の中には、背中を押された瞬間、彼女たちの指から即座に抜き取った婚約指輪が二つ。
彼女らは、奪われたことになど全く気付いていない様子だ。
それもそのはず。
気付かれないように、高度な盗みのテクニックを使ったのだから。
夜会まであと一時間を切った現状で、二人仲良く婚約指輪を無くした彼女たちは、婚約者にどう言い訳するのか。
「私には関係のないことね」
彼女たちが婚約者と喧嘩して不仲になろうが、婚約破棄されようが、どうでも良い。
一切興味なし。
だが、他人を傷つけることをしたのなら、相応の罰を受けてもらわなければ。
――私、虐められて黙って泣き寝入りするほど、か弱くないの。ごめんなさいね。
因果応報――他人に与えた良いことも悪いことも全て自分に返ってくる。
相手をおとしめるなら、自分も傷つけられる覚悟を持ってもらわなければ。
「さて、夜会用のドレスに着替えましょう。パーティが終わったら『報告』に行かなきゃ。忙しいわ。……あ」
ローズは婚約指輪を握りしめたまま「これどうしよう」と頭を悩ませた。
質屋か闇市にでも売り飛ばしてしまおうかとも考えたが、それも面倒。
じゃあ、捨てる? 若干、勿体ない気もする。
大事に保管して、いつか返してあげるか……。
「そこまでお人好しにもなれないのよね。さて……」
ローズは、暗くなる空にうっすら見え始めた月に向かって。
「あなたなら、どうする?」――と問いかけた。
◇◇◇
ローズが立ち去った数分後。
顔面蒼白になった令嬢が三人、玄関ホールに駆け込んできた。
「どこっ!? 私の指輪どこよ!!」
「たしか、ここら辺で落としたはず……」
「ない……ないっ!!!どうしよう夜会が始まっちゃう……どうしよう……どうすればいいのぉ……」
ローズに『床とダンスを踊る方がお似合い』と言った三人組自身が、今は憐れに大理石の床に這いつくばって必死に指輪を探している。
「ない……ないっ!ないぃぃいッ!!!!」
「どうして……どうしてよぉ」
焦って動揺して泣いて、取り乱しながら無我夢中で捜索する。
しかし、見つかるはずもなく。
彼女たちはそれぞれ自分の両親に叱られ、婚約者とその家族に呆れられると同時に失望された。
結婚を前に婚家と不仲になった憐れな令嬢二人が、その後どうなったのか……。
少なくとも、「私って愛されているわ!」なんて言える未来じゃないことだけは確かだった。
そして、三人組の残りの一人。
ルーク第三王子に想いを寄せている令嬢の恋もまた、叶うことはない。
なぜなら……。
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