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【上洛の旅・窮地編】
061 朝目覚めたら
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離れの部屋に朝日が差し込み、障子の影を部屋に映す。
夏とはいえ朝は涼しく、外では山鳥が歌い、僅かにばたばたと朝餉を用意する女中達の足音が聞こえる。
家光もそろそろ起きなくてはいけない。
昨日何がどうであれ、京では上皇が待っている。
(……はぁ、何か起きたくないな。このままずっと眠っていたい)
あんなに取り憑かれたような目で襲われたのは初めてで、怖かった。
そして、
あの後正勝に抱きついて泣いてしまった自分が情けない。
呆れられてるだろうなぁ……。
たかが処女(ていうか、これが本当のセカンドバージンなんてな)を奪われそうになったくらいで。
私、これからどれだけの人間とえっちするんだっつーの。
そもそもお母様がノリノリだったし、福もそれくらい我慢しろとか言うのかなぁ。
モテモテになったらやりまくるわ! と息巻いていた過去の自分が愚かに思えてくる。
(……私も一丁前に普通の女だったみたい)
自嘲しながらも将軍としての自分の中にただの女がいることを実感した家光だった。
(……さぁ、起きなくちゃだよねー……)
家光は重たい目蓋を無理やりにこじ開けようとする。
目蓋は貼り付いたように中々開かなかったが、それでも開けなくてはいけない。
今日も旅は続く、まだまだ先は長いのだ。
とはいえあんまりにも進みが悪いから、途中はしょってしまえばいいのにとさえ思う家光である。
「……家光様、おはようございます……」
目を開いた家光のすぐ横で、正勝が心配そうにこちらを覗き見ていた。
あと数センチで鼻先が触れそうだ。
「ま、正勝っ、お、おはよ!」
(ち、近いよ。てか、何か恥ずかしい……)
昨日の醜態を思い出して、家光は掛け布団を引っ張って、顔を覆い隠してしまう。
「お加減はいかがでしょうか……その、朝餉は召し上がれますか?」
「う、うん」
そういや、おっぱいも見られたんだっけ。
あ、でもそれは今更か。
などとしょうもないことを考え、何となく正勝の顔が見れない家光であった。
「わかりました。では、今お持ちします」
「え? 皆で食べなくていいの?」
「あ。その、家光様の体調が優れないのではないかと思い……」
正勝が何となく言い辛そうに口篭る。
「ううん……大丈夫、行くよ」
家光は気だるげに褥から抜け出し、立ち上がる。
「……着替えるね。月花いるかな?」
「はーい!」
家光が月花の名を呼ぶと、隣の部屋から月花がひょっこりと顔を出した。
「月花、着替える前にお願いがあるんだけど」
家光は隣の部屋へと向かい、襖を開けると月花に耳打ちする。
「はい、かしこまりました。少しお待ちいただけますか?」
「うん」
「……?(どうされたのだろう?)」
二人のやりとりを正勝が黙って見ていると、家光と二言三言交わした月花が家光に頭を下げてから部屋を出て行った。
「正勝、先に朝餉会場に行ってて。私も着替えたら行くから」
「……着付けは大丈夫でございますか?」
正勝を部屋から出したいのか家光は先に行くよう促すが、正勝が素直に受け入れるはずもなかった。
「うん、別の浴衣に着替えるだけだから。私、今日は少し遅れて行くねって、あ、今日もか。あはは……」
作り笑いのようなぎこちない空笑いを浮かべて、家光は今日の予定を伝える。
「……では、私もお供致します」
「ありがとう。それじゃ、先に行って福にそう伝えてくれる?」
正勝が当然のように告げるが、家光はやはり正勝を部屋から追い出そうとしているようだった。
それを正勝が気付かないわけがなく。
「……っ……」
「何? どうしたの?」
正勝が訝しく、黙ったままで家光を見つめると、家光は首を傾げる。
「家光様、何か隠しておられませんか?」
「何も隠しておられませんが?」
正勝の質問に何のことと家光は即答するので、当然正勝は面白くない。
「……月花に頼むのでしたら私におっしゃって頂ければいいのに」
「いや、さすがに正勝にはね~……」
少し淋しげに正勝は言うものの、家光は気まずそうに顎に手を宛てて“うーん”と唸った。
正勝は何の検討も付かず、家光の唸る顔を見つめていた。
考え込む家光様も可愛いなぁと、こんな時でも思う正勝である。
そうこうしているうちに、月花が戻ってくる。
「家光様、用意できましたよ、手拭と、しゃぼんも持って参りました」
「ありがとー。さぁ、正勝外に出ててくれる? ほら、出てって」
手拭としゃぼんを手にした月花が部屋に戻ると、家光は正勝の背後に回り、背を押した。
「え? え?」
正勝は自分の背を強い力で押し出されていることに拒絶されている気がして、足を踏ん張って背後の家光の様子を伺ってしまう。
「……身体、拭くの。昨日、触られたから。なしにするの、無かったことにするの。そしたら全部、さっぱりするでしょ?」
家光が頬を赤く染めて、視線を合わせないように俯く。
「あ……っ……!! も、もうしわけ……た、ただいま春日局様にご報告に参りますっ!!」
家光の様子に正勝は慌てて走り出し、部屋から飛び出した。
「……全く、正勝は鈍ちんなんだから。……でも、正勝のお陰で助かったんだよなぁ……」
抵抗していた背からすっと力が抜けて、家光は口をへの字にする。
そして、自分の手の平を見て正勝も男なのだと、改めて認識する。
正勝の背を押して抵抗されてからびくとも動かなかった。
昨日、助けに来てくれた時、薬の所為かはっきり憶えていないが、抱き上げて運んでくれたのは憶えている。
男は力持ちなんだなぁ。
そして、孝のようなエロエロ小僧も居れば、正勝のような優しい男も居る。
男を嫌いにはなれないが、好きになれそうもない。
力ばかりは適わないよなぁ、チートとかいうけど、一体どこまでチートなのだろう?
家光は時々自分は本当に万能なのか考えるのだった。
「家光様、お湯はこちらの部屋に」
「うん」
月花に促され、家光は隣室へと足を踏み入れる。
そこには畳が取り払われ、いくつか湯気の出た桶が置かれていた。
家光は浴衣を脱いで、手拭をお湯に付ける。
月花も別の手拭を持ち、家光の手伝いをしようと、鎖骨辺りに手を伸ばした。
「……あっ……家光様、ごめんなさい……私がお傍に居なかったばかりに……」
月花の目に痛々しい赤い痣がいくつか見えた。
孝が付けた痕だった。
「え? あ、ううん、油断してた私が馬鹿だっただけ。月花はお母様に捕まってたんだし、しょうがないよ」
家光は月花に笑いながら首を横に振り、孝に触れられた部分を乱暴に手拭いで拭いていく。
「……あの、痣になってて……」
「え!? 本当に!? やー、もー最悪ー!! 孝のやつ、今度会ったら殴ってやる!!」
ごしごしと、月花の前で異常なくらいに強く擦る。
擦った跡が、赤く滲んでいくのが見える。
「家光様っ、お肌荒れちゃいますっ」
「大丈夫大丈夫、こんなのすぐ消えるからっ」
「だめですぅ!! 玉のお肌がぁ!!」
月花が引き止めるも、家光は更に強く肌が赤くなるほどに擦りあげる。
孝の感触が残っているようで、どうにも気持ちが悪いらしい。
というより、下が何だかむずむずするのだ。
あれ? 何か私、濡れてない!?
「ん。……月花、お願い、一瞬でいいから部屋出てて!!」
「へ? あ、はい、ただいまっ!!」
家光の剣幕に月花は慌てて褥のある部屋に飛び込む。
「……まさかね……って、何でよ!?」
月花が部屋から消えたと同時、家光は脚を少し広げ折って座ると、自分の股に手を忍び入れてみた。
すると、濡れていた後がしっかり残っていて……。
そこはまだ僅かに湿り気を帯びていた。
……私、嫌だったはずなのに、何で反応してんの。
いや、これは、防御反応ってやつでさ……。
必死に自分に言い訳をする。
「ぎゃーっ!!!」
家光は頭を抱えた。
私、ショック受けてたはずなのにこれはどういうことなのさ!!
何、孝のことウエルカムだったとかいうわけ!?
そして、もう一度確認のため、手を秘所に滑らせる。
「ん」
やはり、濡れている。
ああ、どういうことなのよ。
「家光様っ! どうかなさいましたか!?」
春日局に報告し、離れに戻って来ていた正勝が家光の声を聞きつけ、どたどたと慌しく襖を開いて隣室に無遠慮に入って来る。
同時、月花も家光の部屋の廊下に出る襖を開けていた。
「ぎゃーっ!! 見ないでっ!!」
家光は慌てて身体を前に倒し、小さくなる。
そういえば素っ裸でしたね。
「っぅ!???」
正勝は家光の淫靡な姿に度肝を抜かれ、固まる。
「家光様っ」
月花がすぐさま反応すると素早く移動し、ばんっ!! と正勝の開けた方の襖を勢いよく閉めた(隣の部屋は廊下の並びにある)。
「……は……」
正勝は何が起こったのかわからないが、見てはいけないものを見たことだけは理解しているようで、徐々に顔が真っ赤に染まっていく。
顔が茹蛸になると、鼻からつーっと、赤い雫がぽたりと垂れたのだった。
「何なされてたんですかぁ? やらしいことですかぁ?」
「いや……べ、別に何っていうわけじゃないんだけど……ていうかやらしいことって何、昨日あんな目にあったのにそんなことするわけ……」
月花が口元に手を宛てニヤニヤと嗤って訊ねると、家光は手拭で再び身体を拭き始める。
「いえ別にぃ。でも家光様、そこは穢れていませんよ!」
「知ってるよ!」
意地悪な月花の物言いに家光は頬を真っ赤に染めて身体を清めていく。
その辛辣な女子トークは襖一枚隔てて正勝の耳に入る入る。
(……家光様が自慰など……)
「っう……!?」
正勝はくらっとして、その場に静かに倒れ気を失ってしまうのだった。
頭の中には先程の全裸で手を自分の秘部に宛がい、恍惚とした(してない)家光の姿がふわふわと浮いていた。
「……一体、何やってんだか」
一部始終を見ていた風鳥が天井裏から小さくため息を吐きながら、家光は大丈夫そうだなと、安堵するのだった。
風鳥は一部始終を見ていたのだが、あえてそこは突っ込まず、役得なのである。
夏とはいえ朝は涼しく、外では山鳥が歌い、僅かにばたばたと朝餉を用意する女中達の足音が聞こえる。
家光もそろそろ起きなくてはいけない。
昨日何がどうであれ、京では上皇が待っている。
(……はぁ、何か起きたくないな。このままずっと眠っていたい)
あんなに取り憑かれたような目で襲われたのは初めてで、怖かった。
そして、
あの後正勝に抱きついて泣いてしまった自分が情けない。
呆れられてるだろうなぁ……。
たかが処女(ていうか、これが本当のセカンドバージンなんてな)を奪われそうになったくらいで。
私、これからどれだけの人間とえっちするんだっつーの。
そもそもお母様がノリノリだったし、福もそれくらい我慢しろとか言うのかなぁ。
モテモテになったらやりまくるわ! と息巻いていた過去の自分が愚かに思えてくる。
(……私も一丁前に普通の女だったみたい)
自嘲しながらも将軍としての自分の中にただの女がいることを実感した家光だった。
(……さぁ、起きなくちゃだよねー……)
家光は重たい目蓋を無理やりにこじ開けようとする。
目蓋は貼り付いたように中々開かなかったが、それでも開けなくてはいけない。
今日も旅は続く、まだまだ先は長いのだ。
とはいえあんまりにも進みが悪いから、途中はしょってしまえばいいのにとさえ思う家光である。
「……家光様、おはようございます……」
目を開いた家光のすぐ横で、正勝が心配そうにこちらを覗き見ていた。
あと数センチで鼻先が触れそうだ。
「ま、正勝っ、お、おはよ!」
(ち、近いよ。てか、何か恥ずかしい……)
昨日の醜態を思い出して、家光は掛け布団を引っ張って、顔を覆い隠してしまう。
「お加減はいかがでしょうか……その、朝餉は召し上がれますか?」
「う、うん」
そういや、おっぱいも見られたんだっけ。
あ、でもそれは今更か。
などとしょうもないことを考え、何となく正勝の顔が見れない家光であった。
「わかりました。では、今お持ちします」
「え? 皆で食べなくていいの?」
「あ。その、家光様の体調が優れないのではないかと思い……」
正勝が何となく言い辛そうに口篭る。
「ううん……大丈夫、行くよ」
家光は気だるげに褥から抜け出し、立ち上がる。
「……着替えるね。月花いるかな?」
「はーい!」
家光が月花の名を呼ぶと、隣の部屋から月花がひょっこりと顔を出した。
「月花、着替える前にお願いがあるんだけど」
家光は隣の部屋へと向かい、襖を開けると月花に耳打ちする。
「はい、かしこまりました。少しお待ちいただけますか?」
「うん」
「……?(どうされたのだろう?)」
二人のやりとりを正勝が黙って見ていると、家光と二言三言交わした月花が家光に頭を下げてから部屋を出て行った。
「正勝、先に朝餉会場に行ってて。私も着替えたら行くから」
「……着付けは大丈夫でございますか?」
正勝を部屋から出したいのか家光は先に行くよう促すが、正勝が素直に受け入れるはずもなかった。
「うん、別の浴衣に着替えるだけだから。私、今日は少し遅れて行くねって、あ、今日もか。あはは……」
作り笑いのようなぎこちない空笑いを浮かべて、家光は今日の予定を伝える。
「……では、私もお供致します」
「ありがとう。それじゃ、先に行って福にそう伝えてくれる?」
正勝が当然のように告げるが、家光はやはり正勝を部屋から追い出そうとしているようだった。
それを正勝が気付かないわけがなく。
「……っ……」
「何? どうしたの?」
正勝が訝しく、黙ったままで家光を見つめると、家光は首を傾げる。
「家光様、何か隠しておられませんか?」
「何も隠しておられませんが?」
正勝の質問に何のことと家光は即答するので、当然正勝は面白くない。
「……月花に頼むのでしたら私におっしゃって頂ければいいのに」
「いや、さすがに正勝にはね~……」
少し淋しげに正勝は言うものの、家光は気まずそうに顎に手を宛てて“うーん”と唸った。
正勝は何の検討も付かず、家光の唸る顔を見つめていた。
考え込む家光様も可愛いなぁと、こんな時でも思う正勝である。
そうこうしているうちに、月花が戻ってくる。
「家光様、用意できましたよ、手拭と、しゃぼんも持って参りました」
「ありがとー。さぁ、正勝外に出ててくれる? ほら、出てって」
手拭としゃぼんを手にした月花が部屋に戻ると、家光は正勝の背後に回り、背を押した。
「え? え?」
正勝は自分の背を強い力で押し出されていることに拒絶されている気がして、足を踏ん張って背後の家光の様子を伺ってしまう。
「……身体、拭くの。昨日、触られたから。なしにするの、無かったことにするの。そしたら全部、さっぱりするでしょ?」
家光が頬を赤く染めて、視線を合わせないように俯く。
「あ……っ……!! も、もうしわけ……た、ただいま春日局様にご報告に参りますっ!!」
家光の様子に正勝は慌てて走り出し、部屋から飛び出した。
「……全く、正勝は鈍ちんなんだから。……でも、正勝のお陰で助かったんだよなぁ……」
抵抗していた背からすっと力が抜けて、家光は口をへの字にする。
そして、自分の手の平を見て正勝も男なのだと、改めて認識する。
正勝の背を押して抵抗されてからびくとも動かなかった。
昨日、助けに来てくれた時、薬の所為かはっきり憶えていないが、抱き上げて運んでくれたのは憶えている。
男は力持ちなんだなぁ。
そして、孝のようなエロエロ小僧も居れば、正勝のような優しい男も居る。
男を嫌いにはなれないが、好きになれそうもない。
力ばかりは適わないよなぁ、チートとかいうけど、一体どこまでチートなのだろう?
家光は時々自分は本当に万能なのか考えるのだった。
「家光様、お湯はこちらの部屋に」
「うん」
月花に促され、家光は隣室へと足を踏み入れる。
そこには畳が取り払われ、いくつか湯気の出た桶が置かれていた。
家光は浴衣を脱いで、手拭をお湯に付ける。
月花も別の手拭を持ち、家光の手伝いをしようと、鎖骨辺りに手を伸ばした。
「……あっ……家光様、ごめんなさい……私がお傍に居なかったばかりに……」
月花の目に痛々しい赤い痣がいくつか見えた。
孝が付けた痕だった。
「え? あ、ううん、油断してた私が馬鹿だっただけ。月花はお母様に捕まってたんだし、しょうがないよ」
家光は月花に笑いながら首を横に振り、孝に触れられた部分を乱暴に手拭いで拭いていく。
「……あの、痣になってて……」
「え!? 本当に!? やー、もー最悪ー!! 孝のやつ、今度会ったら殴ってやる!!」
ごしごしと、月花の前で異常なくらいに強く擦る。
擦った跡が、赤く滲んでいくのが見える。
「家光様っ、お肌荒れちゃいますっ」
「大丈夫大丈夫、こんなのすぐ消えるからっ」
「だめですぅ!! 玉のお肌がぁ!!」
月花が引き止めるも、家光は更に強く肌が赤くなるほどに擦りあげる。
孝の感触が残っているようで、どうにも気持ちが悪いらしい。
というより、下が何だかむずむずするのだ。
あれ? 何か私、濡れてない!?
「ん。……月花、お願い、一瞬でいいから部屋出てて!!」
「へ? あ、はい、ただいまっ!!」
家光の剣幕に月花は慌てて褥のある部屋に飛び込む。
「……まさかね……って、何でよ!?」
月花が部屋から消えたと同時、家光は脚を少し広げ折って座ると、自分の股に手を忍び入れてみた。
すると、濡れていた後がしっかり残っていて……。
そこはまだ僅かに湿り気を帯びていた。
……私、嫌だったはずなのに、何で反応してんの。
いや、これは、防御反応ってやつでさ……。
必死に自分に言い訳をする。
「ぎゃーっ!!!」
家光は頭を抱えた。
私、ショック受けてたはずなのにこれはどういうことなのさ!!
何、孝のことウエルカムだったとかいうわけ!?
そして、もう一度確認のため、手を秘所に滑らせる。
「ん」
やはり、濡れている。
ああ、どういうことなのよ。
「家光様っ! どうかなさいましたか!?」
春日局に報告し、離れに戻って来ていた正勝が家光の声を聞きつけ、どたどたと慌しく襖を開いて隣室に無遠慮に入って来る。
同時、月花も家光の部屋の廊下に出る襖を開けていた。
「ぎゃーっ!! 見ないでっ!!」
家光は慌てて身体を前に倒し、小さくなる。
そういえば素っ裸でしたね。
「っぅ!???」
正勝は家光の淫靡な姿に度肝を抜かれ、固まる。
「家光様っ」
月花がすぐさま反応すると素早く移動し、ばんっ!! と正勝の開けた方の襖を勢いよく閉めた(隣の部屋は廊下の並びにある)。
「……は……」
正勝は何が起こったのかわからないが、見てはいけないものを見たことだけは理解しているようで、徐々に顔が真っ赤に染まっていく。
顔が茹蛸になると、鼻からつーっと、赤い雫がぽたりと垂れたのだった。
「何なされてたんですかぁ? やらしいことですかぁ?」
「いや……べ、別に何っていうわけじゃないんだけど……ていうかやらしいことって何、昨日あんな目にあったのにそんなことするわけ……」
月花が口元に手を宛てニヤニヤと嗤って訊ねると、家光は手拭で再び身体を拭き始める。
「いえ別にぃ。でも家光様、そこは穢れていませんよ!」
「知ってるよ!」
意地悪な月花の物言いに家光は頬を真っ赤に染めて身体を清めていく。
その辛辣な女子トークは襖一枚隔てて正勝の耳に入る入る。
(……家光様が自慰など……)
「っう……!?」
正勝はくらっとして、その場に静かに倒れ気を失ってしまうのだった。
頭の中には先程の全裸で手を自分の秘部に宛がい、恍惚とした(してない)家光の姿がふわふわと浮いていた。
「……一体、何やってんだか」
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