逆転!? 大奥喪女びっち

みく

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【新妻編】

187 目を閉じて

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 ――振ちゃん、一つ一つ訊いてくれるのね……優しい人。


 だけど一つ一つ訊かれるのって、恥ずかしい……。なんて、家光は微苦笑する。


「……? 家光さま……?」

「……汗、掻いちゃってるけどいい……?」


 ――いつまでも逃げてられないし、振ちゃん……いや、振なら……。


 家光が小さく頷くと振の手が帯に伸びて、寝衣の白い帯は簡単に解ける。


「あっ」


 ――あれ? なんでこんな簡単に解けちゃうの……?


 前回は正勝が解けないよう、しっかり結んでくれた帯だが今回はあっという間に解けて褥に落ちた。
 落とされた帯を見下ろし、家光は目蓋を上下させる。


「……お着物を下ろしても宜しいですか?」

「っ、いちいち聞かなくても……。っ、どうぞ」

「ぁ……申し訳ございません……、では」


 振の手が寝衣の衿を掴み、ゆっくりと開いて肌から剥がす。
 ……振に負けず劣らず、家光の白い玉の肌が露わになった。

 はっきりした鎖骨の筋に、手に余る豊満な白桃。その頂には桃色の小さな実が成っている。
 視線を下げれば、薄っすらと筋肉のついた腹に形の良い愛らしいほぞ。左右の括れた曲線が美しい。


 その下はふんどし……?


(ずいぶんと可愛らしい褌をお召しになられていらっしゃるのですね……。)


 ……家光の穿いている褌は褌にあらず、褌風ショーツである。
 フリルをあしらった見慣れない褌を前に、振は早く脱がしたくなったが耐え忍んだ。


「……なんてお美しい……」


 ――今は乳房だけでも……、ああなんて愛おしい形を……。


 振は家光の素肌を眺めて“ほぅ”と溜息を吐く。
 溜息と言うとショックを受けそうだが、振の表情が法悦としている為そうは取られまい。


「っ、そ、そう……?」


 ――やだ振ってば、そんな色っぽい顔しないでよ……。


 たわわな果実に釘付けの、ぼぅっとした振の様子に、家光は手で胸を覆い隠した。
 振は乳房が好きなのだろうか……。


「ぁぁ……そんな、お隠しになられないでください」

「お隠しにって……、振がじっと見て来るから、は、恥ずかしくて……」

「……見られるのはお嫌いですか?」

「そういうわけじゃないけどっ!」


 ――そんなまじまじ見られたら恥ずかしいよ……!!


 家光の身体が“かっ”と熱くなる。胸へと視線を注ぎ忘我したように語る振の顔を、家光は恥ずかしくて見ていられなかった。
 ……家光の視線は褥に落ちる。

 顔を俯かせた所で振が視線を逸らしてくれるわけではないが、目を合わせられない。
 視線は注がれ続けているのだ。

 振の鼻から漏れ出る興奮したような息遣いが僅かに聞こえ、家光は益々顔を上げられなくなってしまう。


(振……、私の身体を見て興奮してるの……? 確かにおっぱいは大きいけども……。)


 上洛する以前、正勝と風呂に入ったり、孝にも肌を晒したことがあるが、こんなに恥ずかしい想いをしたことはない。

 ……しゅが掛かっていた頃には感じたことのない羞恥心が家光を襲っていた。

 初夜の時だってすぐにいじくられ、特別孝に何か言われたわけでもないというのに、振は美しいと言い、胸を隠せば隠すなと言って手は出してこない。


(振、まだ見てる……! どうしよう……、この後どうするの……? 押し倒しちゃうの……?)


 ……振は黙り込み、ただじっと家光を見ている。
 素肌を凝視されるというのは恥ずかしいことなのだなと、家光は視姦されているように感じた。


(振、ずっとこっち見てる癖に触ってこない……?)


 次はどう動こうか計りかねているのか、顔を俯かせる家光から見える振の手が時折寝衣を掴んだり、放したり。
 振の手は未だ自らの膝の上――。


 ……家光は知らないが振は初心者である。
 そして家光もまた、知識はそれなりにあれど、初心者だ。


 ――振、焦らしてるの……?


 孝はどうか知らないが、自信があると言っていたから彼は恐らく経験者だろう。
 あの強引さは受け付けられないが、多少の強引さは欲しいものである。

 いや、振が強引に……というのはイメージが湧かない。
 振……、彼もきっと経験者で、自分を焦らしているのだ――と、家光は未だじっと見つめてくる熱い視線に胸が逸った。


 さっきから“どくどく、どくどく”と心の臓が痛いくらいに早鐘を打っている。


 やるなら一思いに……!


 ……なんて思っていると。


「……、……では、目を閉じます」


 暫く互いの無言が続き、家光が一向に顔を上げない所為か振が口を開いた。


「えっ、あっ……」


 家光は一瞬顔を上げたが、振と目が合い、また顔を俯かせる。


「……目を閉じますから触れても宜しいですか?」

「触れてもって……っ、本当に目を開けない?」

「ぁ…………、はい、家光さま。少しずつ触れて慣れていきましょう」

「慣れる……、ぁ、そか……わ、わかった」


 頭上から降り注ぐ振の優しい声に、家光は俯いたまま首を縦に下ろす。
 すると振は目を閉じ「家光さま」と呼んだ。


「な、なに?」

「目を閉じました。家光さまにお願いが御座います」

「う、ん?」

「私の手を……、家光さまの麗しい乳房に導いて頂けませんか?」

「えっ!?」


 振の申し出に家光は驚き顔を上げる。
 振は言葉通りに目を閉じていたが、両手は膝上から離れ宙に浮いていた。


 ――振の綺麗なその手を自らの乳へと導けと……!?


 目と鼻の先に浮く振の細い手……、何プレイだこれは。
 ……今度は家光が振の骨ばった美しい手を凝視する。


「…………? 家光さま?」

「っ……、触ってくれていいのに」

「……目を閉じているので、どちらに家光さまがいらっしゃるのか、わからないのです」


 口角を僅かに上げ穏やかな顔で言ってのける振だが、家光でもわかる。これは――。


「嘘吐き! 目の前にいるじゃん!」


 ――手を伸ばせば触れるじゃん!


 そう、嘘なのである。

 家光は目の前で目を閉じる見目麗しい男に唾を飛ばした。


「っ……、そ、そうなのですが……、見えないまま触れて家光さまのお肌にもし傷を付けたらと思うと……」


 家光の言葉に振は手の平を開き、誤解ですと眉を寄せる。

 振の開いた手の平の先、指先に伸びた爪は見られないから、爪は短く切られているらしい。
 だが、目を閉じたままに触れて、いくら手入れをしている爪だとしても、傷を付けてしまうことだってあるかもしれない。

 振が危惧しているのは家光のことだけなのだ。
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