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一章~新入生親睦会~

※クラス格差

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親睦会実行委員会の話し合いを終え、調べ物の為に図書館に行き、帰る道すがら…僕はある事を思い出していた。

父から敵に回さない様に言われた3名。

一人目は、園原 美景。次期園原グループの社長で、強力な情報網を持つ神童。二人目は、秋道寺 明日霞。秋道寺組の跡取り。二人は、上手く味方に引き入れられている。

残りは、あと一人。どうしても見つからないのだ。
その人物の名前も知らないし、クラスも分からない。ただ自分で見つけろとしか、言われなかった。
僕の考えでは、SクラスとAクラスではない気がしている。

考えつつ、姿勢に気を付け歩いていると、すれ違う生徒達は自然と端に寄ってくれる。   

この学校では、下のクラス程上のクラスを立てている。例えば、A、Bは千里に対しまだ芸能人を見るように騒ぐ余裕はある。しかし、その下になるとSクラスへは声すら発さないのだ。

うーんと。
Sは、名門家、大財閥。
Aは、それに継ぐ財産持ち。
Bは、教育者や研究者。成績優秀者。
Cは、有り体に言えば成金。
最後のDは、従者の一族。

Dのクラスは、上位のクラスの者に逆らえず、どのような時間帯、要望も受けなければならない。
…らしい。本当に、自分の家柄に感謝しないと。  

校舎から出て、寮への道を歩く。偶々、時間帯が良いのかあまり人に会うことは無い。

やれやれ。あー疲れた。頭では気は抜きながらも、引き締めた表情は変えず足を進める。

「………~!」

ふと、寮の裏庭からくぐもった声が耳に入った。

ん?

不思議に思い注意しながら近付くと、見張りらしき者が二人辺りを警戒し、その奥で吐き気の込み上げる様な景色が広がる。何も身に付けて居ない小柄な少年が、十数名程にに代わる代わる犯されていたのだ。 

体は精液で汚され、目は虚ろ。後ろの孔は拓ききり、口にも男の分身を突っ込まれている。あまりのおぞましさに、ぞわりと鳥肌が立つ。確かに娯楽の少ないこの環境で、男同士のセックスは十分な捌け口だろう。

だが、あれはどうなのか?あれでは、ただの暴行に他ならない。上に立つものは、弱者を守る。千里の中には、物心ついた時からその考えを、抱いていた。

更に近付くと、ゆっくり携帯電話を開き『録画』のボタンを押す。やっと見張りが気付いた時には、千里の声が辺りに響く。本人は声を張って居ないが、よく通るそれは次第にそれらの動きを止める。  

「うん。一年C組津島塁、一年C組戸塚進…」

ざわりと、犯していた者達に逃げ出す者が現れた。

「…やべえ…。」
「え?春宮さんだ…。」
「…何?どこに電話してるんだ?」

状況が掴めず戸惑う者も、流れに任せて走り去っていく。

「ふう。終わりかな?ありがとう、美景。」

『いえ、千里様のお役に立て、光栄です。』

電話の向こうから、美景の声が聞こえる。千里は、撮った画像を美景に送り、生徒名簿と照らし合わせて貰った。後は、聞いた名前をその場で言い続けただけ。

まあ、それで終わらせはしないけどね。

「…じゃあ、またね? 僕の可愛いお姫様。」

『………っはい!』

電話の向こうでは、美景がソファーでゴロゴロ転げ回っているなど、知るよしもない。

「…………。」

力なく横たわる少年に近付くと、ようやく千里に気付き僅かに瞳を瞬く。

「…一年Dクラス。矢代
綾だね?」

血や精液だらけの光景に眉を寄せつつ、懐のハンカチで顔を拭ってみる。

…結構可愛い顔してるな。恵には全く敵わないけど。気弱そうだし、格好の餌食って訳か。

「…大丈夫?体は痛むよね。」

千里は自分の学ランを脱ぎ、相手に掛けてやる。

「……うっ………ヒック………。」

次第にやっと緊張の糸が切れ、泣き出す矢代の背を撫でる。

部屋に送ってあげる?
少し考えると、相手の膝の裏に腕を差し込み抱き上げる。所謂お姫様抱っこだ。あまりの衝撃に涙も止まる矢代は、固まったまま運ばれ千里を見上げる。

(僕、やっぱりおかしくなっちゃったのかな?春宮様が、僕なんかに触るわけないのに…)

矢代の部屋を遠目で見ると、何故か部屋の扉前に先程の男達がいる。

呆れた。矢代に謝って、僕への機嫌取りって事か。

内心げんなりしつつ、Sクラス用のエレベーターに乗る。流石にお姫様抱っこから降りた矢代は、足腰が立たず千里の腕にはしがみついている。

矢代って小さいなー。美景より小さいんじゃないかな。ハムスターみたい。小動物的な?

「…あー。今度は此方も?」

千里の部屋の前に男達が溜まっている。先程と違うのは、全員が直立不動だという点である。

なるほど、半分は直接謝りに来たと。ほっとけば、直久か秋道寺が追っ払ってくれそうだし。とりあえず僕は…裏をかこう。

近くのインターホンを押す。ピンポーン。すると、間を置かずに扉が開けられたのだった。

「こんばんわ、守山。少しだけ、君と過ごしたいんだけど。」





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