王子様が居ないので、私が王子様になりました。

由紀

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二章~親交会・対立~

親交会会議

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明日霞と守山親衛隊からの制裁が終わった頃、彼らは裸体でぼろ雑巾の様に転がされた。後は運動部の者に犯されるそうだが、千里達の知る所では無いだろう。





放課後になり、以前親睦会の実行委員会を行った会議室に、ある人物達が集まっていた。
千里、直久、恵、美景、明日霞、が会議室の東側に座り、鈴木、歩、都丸兄弟、桐埼、瀬良が西側に座る。

智は怪我が癒えたら後で個人的に言おうと思う。午前中姿の見えなかった直久だが、家庭で何かあったようで、会議が終わり次第また家に戻るそうだ。
まあ、冬宮家だし色々とあるのだろう。

この時千里は、月宮との事が有り昨夜の電話の内容を忘れていたりする。
更に、戸惑いながら南側に座る数人の人物も居た。 
東側の中央に座る千里は、一度全員の顔を見渡してから口を開く。扉の外側には、千里の命で夏雪が控えている。

少し、聞かれたくないからね。

「集まってくれてありがとう。今回君達には夏に開催する、中等部との親交会の実行委員をして貰いたいと思って呼んだんだ。」

更に、と続ける。中等部親交会実行委員は、2学年に上がった段階で生徒会と補佐会になるだろう。

それが嫌ならば、今申し出て欲しい…と。そこまで言うと、少し戸惑う者も居たが、思っていたよりすんなりと受け入れてくれた。

さあ、ここからだ。

「…此処には、僕が信用できると思った者を呼んだ。」

にこりと裏の無い笑顔を向ければ、嬉しそうだったり、戸惑いや、驚く表情も目に入る。一つ咳払いをして、瞳に真剣な物を宿すと、途端に空気が変わった。誰かが生唾を飲み込む音が聞こえる。

「既に知られていると思うが、僕は月宮と対立している。詳しくは言えないが、僕と彼が関係を修復する事は無いだろう。」

その言葉に事情を知る物は、忌々しげに顔を歪めた。特に、都丸兄弟の表情は酷い物だ。

「そして…」と千里の声が淡々とした物となる。

「…此処には『はるみや』が呼んだ者が集まっている事となっている。つまり、実行委員を受けた時点で、春宮側の人間となる。」

あまり、言いたくは無かった事だが。僕個人のいさかいに巻き込めない。

「月宮は、本気で危ない奴を雇っている。月宮家と縁を切れない者、目を付けられたく無い者は今すぐ部屋から出て行って欲しい。」

心からの言葉を、本気の音でゆっくりとだがはっきり告げた。

「勿論、断ったからと言え、僕からの態度は変わらない。春宮からの関わりも変化は無い。信用する君達だからこそ、自分の安全を考えて欲しいんだ。」 

その言葉に、暫く沈黙が訪れる。最初にそれを破ったのは、普段と変わらぬ表情の直久だった。

「俺は、お前に付く。例え、お前が嫌だと言ってもな。」

冬宮の直久が言ったからか、桐埼と瀬良、都丸兄弟がそれに続き同意する。

「僕は勿論、千里の味方だよ!ずっとね。」
「私の全ては、千里君の物ですから。」

恵が屈託無く言い切り、美景が恭しく頭を下げると、歩がそれに倣い頷く。

「もっちろん、俺も千里ちゃんの騎士だからね~。ね、すずちゃん?」

明日霞がヘラりと笑い同意を求めて鈴木に問うと、ふと鈴木の体が大きく震えた。

「…あ、ぼ、僕…。」

やっぱり、か。
月宮の名前が出た後、鈴木の顔色が無かった事に既に気づいていたのだ。鈴木家は、月宮家と随分古い付き合いだと聞いた事がある。顔の血の気が引く鈴木に、流石の明日霞も眉が寄り顔を見つめた。

「…すずちゃん?もしや、千里ちゃんに付けないとか言うんじゃ…。」
「…っ!あ、いえ、の、ぼ…僕う…。」

愛する相手からの無言の圧力に、いつも明るい鈴木が言葉に詰まっている。

ああ、残念だな。鈴木と明日霞の絆を壊すのが、僕のせいだなんて。それでも僕は、月宮と闘わなければならないんだ…。

「明日霞…。僕は言った筈だよ?自分の安全を優先して欲しいと。」

あくまで優しく語り掛ける千里だが、元々がキッパリした性質だからか、明日霞の態度は厳しい。

「それはそうだけどね~。でも、俺の気持ちは別。千里ちゃんの嫌いな奴に付くなら、俺の親衛隊に要らないから。」

鈴木が月宮に付くとは言って居ないのに、極端な明日霞である。それでも、仕方無いのだろうか。
親衛隊隊長同士仲良くしていた都丸や瀬良も、打って変わって冷たい視線だ。

「ああ、明日霞様、ごめんなさい、そんな!違うんです!僕…僕はあ!」

明日霞に駆け寄ってすがり付く鈴木に、皆冷淡である。

「…鈴木、最後に聞くよ?実行委員をするかい?」

これが、最終警告だ。答えなど分かりきっているのに、僕は酷い奴だろう。

「………………っでき、ませ…ん。」

そう呟いて、真っ青な顔で部屋を出ていく鈴木は、小柄な背中が更に小さく見えた気がした。
鈴木が出ていくと、まるで何事も無かった様に美景が、親交会の話しを促してきた。

「…じゃあ、日程と内容を確認しようか。」

切り替えた雰囲気、千里の頭には啜り泣く鈴木の姿が浮かんでは消えていくのだった。

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