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四毅の夜side四毅
しおりを挟むいつも通り、うるせー女共を撒いて帰路に着く。
最初は生意気だと言って良く絡まれたが、根気よく潰して行けば静かなものだ。
部活も入る気は無いが、姉貴に何か入った方が良いと言われ、とりあえず放送部に入って置いた。勿論行った事は無い。あくせく部活に急ぐ奴らを横目に、俺と似た様な奴に誘われゲーセンに向かう。姉貴を悲しませる事はしたく無い為、最低限つるむ奴らは選んでいるが。
…あー、つまらねー。帰るか…あ、でも姉貴今日から学校だから居ねーよな。
馬鹿みたいにゲームに熱中する奴を眺めていると、そいつが他校の奴に絡まれ出していた。
「…有川~!こいつどうにかしてくれよ?」
何とも情けねー顔に、思わず溜め息が洩れる。
自分でどうにかしろよ?
相手に視線を送ると、鋭い目付きで睨まれた。紫のメッシュに、シルバーアクセの奴はきっと同学年だろう…。
「…てめぇが相手か?」
「面倒くせーな…。」
怪我でもしたら姉貴が心配すんだろーが。しかし、負ける気は全く無い。
その時、タイミング良く四毅の携帯が鳴った。 何か騒ぎ立てる相手を無視し、その場で携帯の画面を開く。
『本分:今日はハンバーグだよ~!』
簡潔な文章を目にし、四毅は思わず笑みを浮かべる。その笑みに友人は目を見開き驚愕し固まるが、本人は全く気にせず携帯をしまう。そうして、黙ってその場から離れようと踵を返す。慌てて友人は追って来るが、絡んだ少年は一瞬ポカンとしすぐに四毅の前に立ち塞がった。
「てめぇ!逃げんのか!」
自分に噛み付く様な勢いの少年に、四毅もとうとう苛立ちを浮かべる。
…姉貴が帰ってんだから、早く帰りてーな。
「どけよ。」
「あ?…ざけんな!」
怒鳴り付ける相手にすっかり機嫌を損ねた四毅に、少年は睨み続けていた。
…マジでうぜー。帰りてー。こいつぶん殴ろうか…いや、姉貴に知られたら困るしな。
「今日忙しいから、お前と遊んでる暇ねーよ。」
至極冷静に言えば、その場の空気がチリ…と揺れた。
一瞬にして、相手は四毅の懐に飛び込んで来たが、流れる様にそれをかわしていく。相手の苛立ちを肌で感じるが、四毅の表情には特に変化は生まれない。
…面倒くせー。
周囲の固唾を飲んで見つめるのを尻目に、四毅の反応は早かった。相手の一瞬の隙を見つけ、鋭く拳を鳩尾に叩き込んだのだ。
「…っ!…がはっ…てめえ!」
がくりと片膝を着き、苦し気に呼吸を整えながら鋭い眼光で睨む相手を歯牙にもかけず、四毅はさっさと歩き出す。
…早く帰りてー。
欠伸すらしながら遠ざかる背中に、睨み続ける少年はやっと立ち上がった。
「………有川 四毅、だったな。」
「え?ああ、らしいぜ?」
戸惑う近くの同級生が頷き返す。それに返事は無く、少年は眼光を鋭くしたのだった。それを知らない四毅は、その場からすでに遠ざかっていた。共に逃げた連れの少年は、ぐったりと疲れた様に息を吐く。
「良いのかよ、有川…?」
「…あ?何がだ。」
こいつ、早く帰れよ…ついて来んな。
「…あいつ、金城 綺羅って言って結構有名なんだよ。…キレてるって。」
…心の底からどうでも良い。
適当に相槌を返すと相手は不満そうだったが、四毅を恐れてそれ以上言わず、少しして帰って行った。家に着きドアを開けると、食欲を擽る匂いが漂って来る。
…腹減ったな。
「…ただいま。」
「あー、おかえり。」
エプロン姿で微笑む姉に癒されて微笑み返すと、姉の額のある物に気付くと途端に目を細めたのだった。
「…その湿布どうしたんだ?」
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