私は平凡周りは非凡

由紀

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ゲームバトル

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三弥といちご牛乳を飲みながら、先ほど一ノ瀬にこっそり囁かれた事を思い出す。

『もし来られたら、10時にロビーに来てくれる?』

……10時かあ。結構微妙な時間だな。四毅と慎二は寝てないかもしれないし。うーん…。

その思案は顔には出さない様に、三弥の手を引いて弟達の居るだろうゲームコーナーへ向かう。卓球コーナーへ着くと、なんとなく若い女性客の視線が集まっている。理由はたぶん、いやきっと想像通りだろう。

ほーら。やっぱりね。

少し…いやかなり嫌だったが仕方なく三弥と卓球台に寄り、熱中する三人を見た。浴衣姿で意外と熱中する三人は、隆一対慎二&四毅で中々良い勝負となっている。更に近付けば、三人が由香利に気づいた様だが、打つ手は止まらない。勿論それをただ見ている由香利では無い。台のミットの前で早口で叫ぶ。

「はい!古今東西、草冠の漢字は!」

由香利の瞬時の追加ルールを咄嗟に判断し、隆一が打つ。

「…夢!」

焦りつつ慎二がスマッシュを決める。

「えーっと、草?!」

それを隆一が素早く打ち返す。

「花!」

四毅が迷いつつ構え当てた。

「…stem!」

ボールは隆一のよこを跳び後方へ。 敗けを認めボールを拾い、息を整える隆一は眉を寄せる。

「…お前、それ卑怯だろ?」

兄さん怖っ…と言う慎二の横で、四毅はニヤリと笑う。

「別に日本語で、とは言って無かったと思うけど?」 

ほーう?と言いつつ、四毅の頭をグリグリと撫で潰す長男の目は怖い。

…おとなげ無いぜ?隆一くん。

とりあえず隆一を横に押し出し、台の前を陣取る。隆一は少し不満顔だが、由香利には口答えはしないので黙って場所を譲った。
隣では三弥もラケットを構える。三弥と由香利対慎二と四毅での対戦となり、隆一が審判を担う。勿論男子の力に敵わない由香利に向けては、力を弱めて打つ相手側。上手く続くラリーに、チラリと審判の隆一に視線を送る。

「隆~、お題!」
「分かった。…」

由香利の言葉に頷き、一瞬思案し口を開く。

「…お題、5文字でしりとり。」

慎二が固まり、直ぐに打つ。

「…え?!ユーラシア!」

三弥は淡々と軽く打ち返す。

「アイランド。」

四毅はぐっと言葉に詰まるがギリギリ叫ぶ。

「…っドライヤー!」

由香利は迷いながら強く打つ。

「やかたぶね!」

由香利の打った玉を片手で止めた慎二は、小首を傾げる。

「…ドライヤーって、あ…じゃないの?」

ああ、と四毅もそれに賛同し頷く。
…むむ。これは負けを認めるべき?いや。
由香利はビシッと手を上げて隆一に向く。

「審判、ドライヤーは゛や″でも゛あ″でも良いと思いませんか?」

うんうんと三弥も頷く。隆一はどちらでも良いと思うが、姉の中の株を上げる為思いきり寄せた。

「確かに、間違いじゃないな。」
「ほら?」

えー、と不満そうな二人にだめ押しをしておく。

「いやあ、慎ちゃんもしーくんも優しいから大好きだなあ~?」

にっこりと笑みを浮かべれば、コンマ1秒で落とされる二人。

「…てか、ドライヤーって、どちらかと言えば゛や″だよね!」
「むしろ゛あ″の方がいねーだろ。」

姉の掌で転がる弟たちに、微かに頬をひきつらせる隆一である。

(恐るべし姉貴。きっと、俺も同じなんだろうが。)

卓球を堪能した後、一度部屋に戻った由香利はある事を思い出す。

「あー、そうそうジャンケンしないと。」

ん?と四毅が不思議そうな表情を浮かべる。

「何の?」

思い浮かぶのは和室に布団三枚、洋室1にベッド二つ、洋 室2にベッド二つ。

「うん、それは今日の寝る場所でしょ。えーっと、母さん父さんは洋室2で良いとして。」

あとはジャンケンで決めようか?と言う由香利に、四人の瞳は燃え上がる。

((((姉さん(姉貴)と同じ部屋!!))))

由香利はというと、少し複雑な気持ちであった。
10時に抜け出すには、早く寝る三弥か隆一と同じ部屋じゃないとなあ~。あーそれに、ちょっと気まずいな~?流石に中学生男子と同じ部屋って良いの?私は全然気にしないけど。

「じゃあ、いくよー?最初はグー…ジャンケン…ぽい!」

はい、決まりました。チョキの由香利と四毅。残りは項垂れるパーの三人。

「…じゃあ、私は和室で。」

口には出さないが、理由は出口に近いから。

「俺も和室。」

え!ちょっと、マジか?
顔には出さず自然を装うと、残りの三人がにらみ合いジャンケンを初めていた。

「…ジャンケンぽん!」

三弥が小さく微笑み、拳を握る。

「…和室にする。」

後ろでは、がくりと膝をつく隆一と慎二。その長男と次男の光景を気にせず、今夜の作戦を一人考えるのであった。

四毅を早く寝かせないと。

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