22 / 33
ゲームバトル
しおりを挟む三弥といちご牛乳を飲みながら、先ほど一ノ瀬にこっそり囁かれた事を思い出す。
『もし来られたら、10時にロビーに来てくれる?』
……10時かあ。結構微妙な時間だな。四毅と慎二は寝てないかもしれないし。うーん…。
その思案は顔には出さない様に、三弥の手を引いて弟達の居るだろうゲームコーナーへ向かう。卓球コーナーへ着くと、なんとなく若い女性客の視線が集まっている。理由はたぶん、いやきっと想像通りだろう。
ほーら。やっぱりね。
少し…いやかなり嫌だったが仕方なく三弥と卓球台に寄り、熱中する三人を見た。浴衣姿で意外と熱中する三人は、隆一対慎二&四毅で中々良い勝負となっている。更に近付けば、三人が由香利に気づいた様だが、打つ手は止まらない。勿論それをただ見ている由香利では無い。台のミットの前で早口で叫ぶ。
「はい!古今東西、草冠の漢字は!」
由香利の瞬時の追加ルールを咄嗟に判断し、隆一が打つ。
「…夢!」
焦りつつ慎二がスマッシュを決める。
「えーっと、草?!」
それを隆一が素早く打ち返す。
「花!」
四毅が迷いつつ構え当てた。
「…stem!」
ボールは隆一のよこを跳び後方へ。 敗けを認めボールを拾い、息を整える隆一は眉を寄せる。
「…お前、それ卑怯だろ?」
兄さん怖っ…と言う慎二の横で、四毅はニヤリと笑う。
「別に日本語で、とは言って無かったと思うけど?」
ほーう?と言いつつ、四毅の頭をグリグリと撫で潰す長男の目は怖い。
…おとなげ無いぜ?隆一くん。
とりあえず隆一を横に押し出し、台の前を陣取る。隆一は少し不満顔だが、由香利には口答えはしないので黙って場所を譲った。
隣では三弥もラケットを構える。三弥と由香利対慎二と四毅での対戦となり、隆一が審判を担う。勿論男子の力に敵わない由香利に向けては、力を弱めて打つ相手側。上手く続くラリーに、チラリと審判の隆一に視線を送る。
「隆~、お題!」
「分かった。…」
由香利の言葉に頷き、一瞬思案し口を開く。
「…お題、5文字でしりとり。」
慎二が固まり、直ぐに打つ。
「…え?!ユーラシア!」
三弥は淡々と軽く打ち返す。
「アイランド。」
四毅はぐっと言葉に詰まるがギリギリ叫ぶ。
「…っドライヤー!」
由香利は迷いながら強く打つ。
「やかたぶね!」
由香利の打った玉を片手で止めた慎二は、小首を傾げる。
「…ドライヤーって、あ…じゃないの?」
ああ、と四毅もそれに賛同し頷く。
…むむ。これは負けを認めるべき?いや。
由香利はビシッと手を上げて隆一に向く。
「審判、ドライヤーは゛や″でも゛あ″でも良いと思いませんか?」
うんうんと三弥も頷く。隆一はどちらでも良いと思うが、姉の中の株を上げる為思いきり寄せた。
「確かに、間違いじゃないな。」
「ほら?」
えー、と不満そうな二人にだめ押しをしておく。
「いやあ、慎ちゃんもしーくんも優しいから大好きだなあ~?」
にっこりと笑みを浮かべれば、コンマ1秒で落とされる二人。
「…てか、ドライヤーって、どちらかと言えば゛や″だよね!」
「むしろ゛あ″の方がいねーだろ。」
姉の掌で転がる弟たちに、微かに頬をひきつらせる隆一である。
(恐るべし姉貴。きっと、俺も同じなんだろうが。)
卓球を堪能した後、一度部屋に戻った由香利はある事を思い出す。
「あー、そうそうジャンケンしないと。」
ん?と四毅が不思議そうな表情を浮かべる。
「何の?」
思い浮かぶのは和室に布団三枚、洋室1にベッド二つ、洋 室2にベッド二つ。
「うん、それは今日の寝る場所でしょ。えーっと、母さん父さんは洋室2で良いとして。」
あとはジャンケンで決めようか?と言う由香利に、四人の瞳は燃え上がる。
((((姉さん(姉貴)と同じ部屋!!))))
由香利はというと、少し複雑な気持ちであった。
10時に抜け出すには、早く寝る三弥か隆一と同じ部屋じゃないとなあ~。あーそれに、ちょっと気まずいな~?流石に中学生男子と同じ部屋って良いの?私は全然気にしないけど。
「じゃあ、いくよー?最初はグー…ジャンケン…ぽい!」
はい、決まりました。チョキの由香利と四毅。残りは項垂れるパーの三人。
「…じゃあ、私は和室で。」
口には出さないが、理由は出口に近いから。
「俺も和室。」
え!ちょっと、マジか?
顔には出さず自然を装うと、残りの三人がにらみ合いジャンケンを初めていた。
「…ジャンケンぽん!」
三弥が小さく微笑み、拳を握る。
「…和室にする。」
後ろでは、がくりと膝をつく隆一と慎二。その長男と次男の光景を気にせず、今夜の作戦を一人考えるのであった。
四毅を早く寝かせないと。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
転生したら4人のヤンデレ彼氏に溺愛される日々が待っていた。
aika
恋愛
主人公まゆは冴えないOL。
ある日ちょっとした事故で命を落とし転生したら・・・
4人のイケメン俳優たちと同棲するという神展開が待っていた。
それぞれタイプの違うイケメンたちに囲まれながら、
生活することになったまゆだが、彼らはまゆを溺愛するあまり
どんどんヤンデレ男になっていき・・・・
ヤンデレ、溺愛、執着、取り合い・・・♡
何でもありのドタバタ恋愛逆ハーレムコメディです。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
転生先は男女比50:1の世界!?
4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。
「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」
デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・
どうなる!?学園生活!!
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる