28歳 喪女な私の愛され開発生活

甘噛屋

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最終章 これからだって愛し愛され開発生活

39 ―神崎 side―

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 正直焦った。
 一度目の着信を切った後、変な胸騒ぎにまたコールを鳴らして、出た男の声とイヤに近くで聞こえる少しくぐもった涼子の声。

 ざわつく胸の中に、どす黒いものが一緒に流れ込む。
 やはり、もう無理矢理にでも自分のものにしてしまおうか。
 避妊なんてしないで、俺のソレを塗り付けて、孕むまで、簡単に逃げられなくなるまで、何度でもそうして──────いや、冷静になれ。
 そんな犯罪めいたことしたって、涼子が俺のところに居てくれる保証なんてないし、幸せには出来ない。
 ───2人とも、幸せにはなれない。

 自分の中にこんな狂暴な一面があることに驚く。
 涼子と一緒になれてから、俺は初めて感じる感情ばかり抱いている気がする。
 でも、大人だというプライドも捨てられないから、つい平静を装ってなんでもないフリをする。
 涼子は、いつだって俺とは温度が違うのかもしれないという焦りを感じてしまう程に、飄々としている。


 それがどうだろうか。

 今、俺の目の前で、最高に可愛く拗ねて、少し頬を膨らませて外方そっぽを向いている。
 その可愛らしい頬に噛み付いてやりたい。
 きっとビックリして、「ひゃ」でもなく、「きゃ」でもない、涼子っぽいかわいい悲鳴をあげるだろうな。

 あぁ、本当に可愛い。
 いっそ、喰ってしまえたらいいのに。





 

 信号が赤く灯る度に、涼子の小さな口を塞いで、お互いの唾液を混ぜて、擽って、青くなる前に吐息と一緒に唇を離す。
 情事の時より、もっと濃く、深く、その全てを吸い上げて、喰い尽くすようなキスを交わす。

 2度、3度と、それだけを繰り返す度に、涼子が居心地悪そうに腰を震わせ、膝の上で握る手に力を込める。
 俯く瞳が潤んで、蕩け出した頃、漸くマンションの地下駐車場へ着いた。

 「涼子、降りれそうか?」

 「ん、はい」

 「──あぁ、良い感じに焦れてるな。旨そうだ」

 仄かに蒸気する耳に近付くと、ほんのりと甘く涼子の汗の香りが鼻腔を抜けた。
 それだけで、俺の分身がざわつく。 
 腰を支えて、そっと胸に手を沿わせると薄手のシャツと下着の下で、そこは絶っている──はずだ。
 確認しているわけじゃないが、まぁ、そこは、駆け引きだな。

 「服の上からでも分かるぞ。起ってる」

 「やっ」

 「早く、喰いたいな」

 
 漏れる吐息の後、弱々しく首を横に振って見せるが、その意思表示に説得力はなさそうだ。
 あぁ、何度だって言うし、いっそのこと叫んだっていいと思うが、涼子は本当に可愛い。

 
 「じゃぁ、早く確認しないとな」

 
 エスコートしながら、誰もいないエレベーター前でまた深いキスをする。
 ぷっくりと紅く熟れた旨そうな唇が、色っぽく半開きになる。


 到着した箱にも誰も居なくて、良かったと顔がニヤける。
 監視カメラを背に、ただより沿って居るだけのようにして何度も舌を吸い上げ、絡ませて、指で耳朶を撫ぜる。

 僅かに離れた唇の隙間で、「ぁっ」と小さな声が漏れる。───甘ったるくて、腰にくるなぁ。



 ぐでんと力の入らなくなった腰を掴んで支えながら、部屋の鍵を開けて、扉を閉めた。






 「やっ」

 「ダメだよ、ほら、靴脱いで」

 「自分でっ! もぉ、やだぁ、汚いよぉ」


 玄関に座らせて、足を掴んでヒールを脱がしながら、膝からゆっくりと口付ける。
 「蒸れてるから!」「汚いから」と、拒否する涼子の言葉を無視して、羞恥に浮かぶ涙を見ながら靴を脱がした。

 「も、いじわる………」

 「手加減しないと言っただろ?」

 「言ってない! 手加減してたか知ってるか? って聞かれただけだもん!」

 「手加減しないって言ってる様なもんだろ?」

 「様なもんじゃない!」


 舌足らずで、可愛く拗ねて、駄々をこねる涼子を横抱きして、寝室を目指す。
 目指している先で、とことん愛される事をあまり深くは考えていないのか、それとも鈍感なのか───いや、両方か。


 「ほら、もう寝室に着いた」

 「…………婚約者いたもん」

 「一方的で、俺は了承してないけどな」

 「…………身内が親会社の社長とか知らなかった」

 「それはすまん。いずれは話そうと思ってたんだが、計画が狂った」

 「……………社長になるの?」


 不安そうに揺れる瞳と下がった眉毛が可愛い。
 可愛いおでこにキスを落として、額を突き合わせて、見つめ合う。


 「いずれは。でも、まだその時じゃないし、その時には涼子に傍にいて欲しい」

 「………私、普通の家だよ?」

 「なんだ、そんなこと。俺だって、育ちは普通だよ。伯母夫婦がそうだってだけ」

 「婚約者決められるくらいだもん……気に入られなかったら」

 「涼子が結婚するのは俺であって、叔母夫婦じゃないだろ?」

 「でも、やっぱり」

 「俺が護るよ。だから、涼子は涼子が思うように動けばいいよ」

 「………それじゃ、迷惑かけちゃわない?」

 「いいよ、涼子は一人で何でも頑張りすぎるから、それくらいでなきゃ俺がいる意味ないだろ」


 一人で立てる彼女の隣で、唯一俺だけにもたれ掛かる存在になれたら、俺はどれだけ幸せ者何だろうか。
 そんな事を5年思い続けて、今それが成就するのにどうして逃せる。

 亮子はまだ何か理由を考えているようだが、何を言われても涼子を選らばない理由はない。

 「俺の最後のひとは、涼子がいい。俺は、涼子の最初で最後の男になりたい」

 潤んだ瞳に、熱がこもった。
 いや、熱がこもったのは俺の方なのかもしれない。
 こんなに胸が高鳴って、こんなにも焦がれる相手に出会えたことが、俺には奇跡だ。


 「涼子、俺のお嫁さんになって欲しい」
 
 「私でいいの?」

 「りょーこ? 俺は、誰に言ってる?」

 恥ずかしそうな表情に変わったのを見て、充足感が俺の中を満たす。
 
 「………りょーこ?」

 涼子の胸から、見上げるようにして甘えてみせると、また恥ずかしそうで、でも彼女の胸の高鳴りが心地いい。


 「……………」

 「ふはっ、うん、俺も!」



 消え入りそうな小さな囁きが、俺をこの世で最も幸せな男にする。









 ───「洋司さんがいい」───


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