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最終章 これからだって愛し愛され開発生活
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しおりを挟む帰り道は、何となく気まずい。
たぶん、お互いに。なんだと思う。
洋司さんは寺崎さんの事で、私は大剛の事で、それぞれが何となく気まずい。
「涼子は、……」
「なんです?」
洋司さんが、少し考えるような素振りを見せて、「はぁ」と小さなため息をついた。
何それ。
そこで意味深なため息ってどゆこと??
ってゆか、ため息つきたいのはこっちだと思う!
だって、婚約者って何よ?
普通に考えて、親が決めた婚約者ってそれもう金持ち訳あり決定じゃない??
まるで、今は私が悪いみたいなため息に聞こえたんだけど。
私の中で怒りが沸々と沸き上がる。
大剛とのことは、本当に何もない。私は大剛を友だちとしか思わないし、それはきっとこれからも変わらない。
だって、私が好きなのは───。
「まるで、私が悪いみたいなため息ですね」
「ん? いや、どうしてそう思うんだ。何も言っていないだろう?」
変に落ち着いた声。冷静で、いつもスマートで余裕そうな……これじゃ私が子どもみたい。
「そうですね、勘違いしてすみません」
あぁ、また皮肉ったみたいな口調になってしまった。
可愛くない。本当に。
「何を怒ってるんだ? 涼子、ちゃんと話をしよう」
「……別に、怒ってません」
いや、これじゃ怒ってますって言ってるようなもんじゃないか?
そもそも喧嘩したいわけじゃない。でも、洋司さんはいつも、とにかく大人で私が何か言う前にもう半分は片付いてしまっている。
駐車場に付いて、助手席の扉を開けて待っている洋司さんは、やっぱり大人だ。なんだか、悔しい。
「………涼子?」
「……」
チラリと洋司さんを見れば、バーで見たどこか怒ったような焦ったような彼はいなくて、いつもの洋司さんだ。
やっぱり、それが悔しい。
「大剛とは、ずっと一緒につるんでた学生時代の仲間みたいなものです。……いいなぁと思った事もあったけど、ハッキリ“ない”と言われましたから。だから、これからもないんです」
そっぽを向いて、ちょっとだけ当時の気持ちを盛って話してみたり───。
いいなぁと思う前に、終わってた恋未満だったし、それがそうだったのかもと思ったのも最近だ。
でも、少しでいいから余裕なんか崩れた洋司さんが見たい。
「……そうか。でも、君はもう少し警戒心を持つべきだ」
「だから! 大剛とは何もないって──」
落ち着いた、少し低めのいつも通りの声にイライラがつのって顔をあげる。
きっと、彼はまたいつも通りの整った顔に穏やかな表情で───え?!
「よ、うじ、さん?」
「君は本当に分かっていないね。俺がどれだけ君に執着していたと思う? 覚えていないのか? 5年だ。そんな年月の間、君を抱いて、俺のものにしてしまえたらどれだけ幸せだと考えたと思う?」
何だろう。
猛獣のような、爪と牙を隠していた猫の皮を被ったライオン? みたいな。
「本当なら、誰の目にも触れさせたくないんだよ。俺の手でどんどんキレイになっていく涼子を自慢したいと思う反面で、そんな君の魅力に気付く男が出やしないかと気が気じゃない。いっそのこと、マンションの一室に隠してしまいたいと思う」
えと、それは、多分監禁───犯罪です。
確かに、洋司さんの余裕のない部分を見たいと思いはしたけれど、ここまでは予想してなかった。
ただの大学時代の友人と偶然会っただけなのに、ここまで────嫉妬、してくれるんだ。
「………涼子、もう、俺のものにならないか?」
「え、っと、それは、結婚とかそういう」
あ、結婚で思い出したぞ!!
「結婚って、自分だって許嫁? 違う、婚約者? がいるじゃないですか! 大剛ごときで私を責めるなら、洋司さんだって」
「あれは頭の堅い古狸どもが勝手に始めた事だ。それであーだこーだと外野に邪魔されるのも癪でな。本当なら、もっと───いや、まぁ、だから既成事実でも作ってみようかと思ってな」
「既成? えと、もう結婚しちゃうとかですか?」
「まぁ、それもあるんだが。──涼子、俺がこれまで手加減してるって知ってたか?」
あ、これは………久し振りに見たかもしれない。
ロイくんお出まし?
洋司さんに背中を押されて、車に乗り込んで、特に会話もなく、信号に引っ掛かる度に濃厚なキスを交わした。
それこそ、何度も何度も舌を吸われ、上顎を擽られ、お互いに唾液を交換しあって、それはまるで情事の時のキスのような、下っ腹がグズグズと熱を持ってしまうようなキスを交わした。
「涼子、降りれそうか?」
「ん、はい」
「──あぁ、良い感じに焦れてるな。旨そうだ」
耳元でそう言われて、ふわりと胸に手を当てられると、今度は耳元で洋司さんが笑った。
「服の上からでも分かるぞ。起ってる」
あぁ、私、こんなに淫乱っぽいっけ?
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