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第2章 一年二学期
第88話 お嬢さんを幸せにします
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サトシは、長谷川の家の応接間で面と向かって、座っていた。
桜井はサトシの隣で、うつむいたままじっとしていた。
サトシも、かなり緊張している。
長谷川は、サトシの父の部下であり、桜井の実の父親であることをずっと隠し通してきた人だ。
サトシはどういうふうに接したらいいのか、正直わからないでいた。
長谷川はというと、先日サトシに怒られて、かなり委縮していた。
長谷川にとって、サトシは上司の息子であり内縁の妻の娘の担任という複雑な存在で、困惑するのは当然だった。
それが、いきなりまた訪ねて来たのだ。
長谷川にしてみれば、サトシが一体何をしようしているのか不安でしかない。
長谷川はどういう顔で接すればいいのか迷いながら、とりあえず用件を聞くしかないと覚悟を決めた。
話しにくい相手ではあるが、長谷川の方から思い切って口を開いた。
「あの、……佐藤さん。先日、『あなたは子供を愛していない』とおっしゃいました。その言葉でわたしはハッとしました。自分の言い訳がどれほど美柑ちゃんを傷つけたことか」
「いいえ、あの時は生意気なことを言って、大変申し訳ありませんでした」
サトシは平に平に頭を下げて謝った。
「いいえ、おかげ様で決心がつきました。桜井さんのお母さんが美柑ちゃんにメモを残して旅行に出たのは、きっとわたしにきっかけをくれたのだと思います」
「と、いいますと?」
「お母さんが帰国したら、もう一度やり直そうと言います。そして、正式に子供たちの父親になるつもりです」
「父親に?」
「今さらですが、一から父親としてやり直したいんです。美柑ちゃんは、思春期で難しいかもしれませんが、許されるのなら正式にお母さんと結婚して、父親になろうと」
桜井は、うつ向いて固まったままだ。
サトシは、長谷川の心の内を理解しようとした。
大人の事情とはいえ、振り回されるのは子供たちだ。
「お母さ……桜井のお母さんとは、どこまで話し合っているんですか?」
「養育費は、子供たちが大学を出るまでという約束です。実は、ひと月くらい前に、一緒になろうとわたしから提案したのです。子供たちはやはり二人で育てるべきだと。ただ、美柑ちゃんのお母さんは、美柑ちゃんには言いにくかったのだと思います。美柑ちゃんが多感な時期に父親の存在を教えていいものなのかどうか」
「お母さん、何も言ってなかった」
初めて桜井が言葉を発した。
「でも、わたしは薄々感づいていました。お母さんは、毎月食材を送ってくれるおじさんの事が好きなんだろうなと。もしかしたら、このおじさんが実の父親かもしれないって夢見ていました。ただ、長谷川さんがそのおじさんとは思いもしませんでしたけど」
「申し訳ない。本当に情けない父親で」
「え? どうして謝るんですか? お母さんを愛しているんでしょう。アキラのことも大切にしてくれているし、たぶん、わたしのことも……だと思う。黙って陰で援助していたなんて、超かっこいいじゃないですか。嬉しいです。お父さんがかっこいい人で」
「美柑ちゃん……」
「おい桜井? 無理してないか?」
「先生、長谷川さんは、わたしのお父さんですよ。わたしにお父さんがいたんですよ。変なオヤジじゃなくてよかったわ。しかも、先生のお父様の部下だなんて運命のいたずらよね。エリートだし、イケメンだし。やっぱ、お母さんは面食いだわ。やだ、親子ね。わたしも面食いだし」
サトシは、その面食いの規定に入っていたのか、ちょっと不安になった。
しかし、今確認するべき点はそこではないと、気持ちを切り替える。
サトシは長谷川に念を押した。
「では、長谷川さん。お母さんと入籍するということで、よろしいでしょうか」
「はい、お母さんが帰国したら、入籍の時期について話し合うつもりです」
「そういうことであれば、わたしから長谷川さんにお話があります」
「はい?」
「お嬢さんをわたしにください!」
「は? いきなり何を……」
「きっとお嬢さんを幸せにしますから!」
桜井は小さくつぶやきガッツポーズをした。
「やたっ」
長谷川は狼狽した。
はじめて娘をもつと決心したばかりなのに、目の前の男がいきなり娘をくれと言うのだ。
「あの、佐藤さん。今日はわたしの気持ちを聞くためにいらしたんじゃないんですか?」
「もちろん、それもあります。長谷川さんが保護者になると聞いたうえで、お願いしようと思って伺いました」
「いきなり、娘を嫁にやる父親になるとは……」
「わたしは教師ですが、お嬢さんとは結婚を前提に、清いお付き合いをさせていただいております。門限は守ります。高校は卒業させます。お嬢さんが進学したいと言ったら、そのようにさせます。大人になるまで清い交際を保ちます」
「あの、佐藤さん……? ちょっと気持ちの整理がつかないんですけど」
「お義父さん!」
「お義父さん? に、なるんですか。わたしがぁ?! いきなりこんなデカい息子ができるんですかぁ?!」
「これから、わたしの父の所へも挨拶に行って、お嬢さんとの交際を正式に認めてもらうつもりです」
「え、しゃ、社長にも? それじゃ、わたしに事実婚の子どもがいることも? それが美柑ちゃんだということも?」
「もちろんです。父にも報告させていただきます。脅迫しているつもりはありません。むしろ、長谷川さんのことを強力な味方だと思っています」
「そ、そんな大役……味方だなんて、社長に叱られますよ」
「お母さんが帰国したら、また改めてご挨拶にうかがいます。お返事はそのときで結構です」
サトシの毅然とした態度に、長谷川は圧倒された。
これが佐藤社長のご子息かと思うと、眩しくさえあった。
「さすがです。さすが、佐藤社長のご子息です。わたしも佐藤さんのように毅然とした態度を取っていれば、桜井さんを困らせることはなかったのに。佐藤さんにお義父さんと呼ばれる資格なんて、わたしにはありません」
そこで、桜井ははっきりと声をあげた。
「あると思います! 大人の事情はよくわかんないけど、今でもお母さんを愛している人がお父さんだから、それでいいと思います。だって、他にお父さんって誰がいるの?」
「美柑ちゃん……。わたしがお父さんです」
「じゃ、決まりじゃん。先生、長谷川さんをお義父さんって呼んでいいです。わたしが許可します」
「桜井、お前大きくなったな」
「は? 先生と出会ってまだ八ヶ月だけど、身長は変わっていません」
「いや、大きくなった。成長したんだよ」
ドンドンドン
アキラとアツシが応接室のドアを叩いた。
「アツシパパー? まだお話終わらないですかぁ? アツシが美柑と会いたいってうるさいんだけどー」
アキラの声だった。
桜井はアキラの声を聞いて、お姉ちゃんの顔になった。
「アツシくんのせいにして、アキラったら。正直に自分がお姉ちゃんに会いたいって言えばいいのに」
資格はないと言いながら長谷川は、小さいギャングたちと美柑のことは愛しいと思っていた。
目を細めて、笑いながら席を立った。
「はいはい、アキラくん。サンタクロースがお姉ちゃんを連れて来てくれたよ」
ドアが開いた途端、
「うわーい! 美柑、会いたかったよー」
アキラは美柑に飛びついた。
「もちろん、何かうまいもん持ってきたんだろうな」
「あたりまえよ。毎年クリスマスに食べているモノを、ちゃんと届けに来てやったわよ」
「やったー。ロールキャベツだ」
「当たりー!」
サトシは、長谷川に確認した。
「ちょっと、よろしいでしょうか」
長谷川は、サトシの真剣な顔に緊張を隠せなかった。
「はい、何でしょう」
「サンタクロースって、わたしの事ですか?」
「あ。深い意味はない……です」
「ですよねーーー。だって、わたしの方が若いですから。ね、お義父さん」
「は、はい。その通りです」
アキラは美柑から離れなかった。
長谷川の息子のアツシは、それを羨ましそうに眺めていた。
「いいなぁ、アキラくんは。お姉ちゃんがいて」
「そうだ。美柑よぉ、アツシのお姉ちゃんになれよ」
「バカ! そんなこと簡単にできないの!」
「ええー、なんでだよぉ。なあ、アツシだってお姉ちゃん欲しいよな」
「うん! 欲しい。パパ―、美柑ちゃんを、僕のお姉ちゃんにしてよぉーー」
「わかった、わかった。二人とも、わかったから落ち着きなさい。では、美柑ちゃんをアツシとアキラくんのお姉ちゃんにしますっ!!」
「「やったぁー! 言ってみるもんだな」」
アキラとアツシは、美柑の周りをぐるぐると回って喜び合った。
「なんだか、ちびっこギャングの捕虜になった気分だわ」
サトシはその様子を見て安心した。
弟たちに遊ばれて困っている桜井は、幸せそうだった。
(こうやって、ひとつずつ笑顔が戻っていく桜井を見るのは、俺も嬉しい。ずっとこんな桜井の横にいたい)
桜井はサトシの隣で、うつむいたままじっとしていた。
サトシも、かなり緊張している。
長谷川は、サトシの父の部下であり、桜井の実の父親であることをずっと隠し通してきた人だ。
サトシはどういうふうに接したらいいのか、正直わからないでいた。
長谷川はというと、先日サトシに怒られて、かなり委縮していた。
長谷川にとって、サトシは上司の息子であり内縁の妻の娘の担任という複雑な存在で、困惑するのは当然だった。
それが、いきなりまた訪ねて来たのだ。
長谷川にしてみれば、サトシが一体何をしようしているのか不安でしかない。
長谷川はどういう顔で接すればいいのか迷いながら、とりあえず用件を聞くしかないと覚悟を決めた。
話しにくい相手ではあるが、長谷川の方から思い切って口を開いた。
「あの、……佐藤さん。先日、『あなたは子供を愛していない』とおっしゃいました。その言葉でわたしはハッとしました。自分の言い訳がどれほど美柑ちゃんを傷つけたことか」
「いいえ、あの時は生意気なことを言って、大変申し訳ありませんでした」
サトシは平に平に頭を下げて謝った。
「いいえ、おかげ様で決心がつきました。桜井さんのお母さんが美柑ちゃんにメモを残して旅行に出たのは、きっとわたしにきっかけをくれたのだと思います」
「と、いいますと?」
「お母さんが帰国したら、もう一度やり直そうと言います。そして、正式に子供たちの父親になるつもりです」
「父親に?」
「今さらですが、一から父親としてやり直したいんです。美柑ちゃんは、思春期で難しいかもしれませんが、許されるのなら正式にお母さんと結婚して、父親になろうと」
桜井は、うつ向いて固まったままだ。
サトシは、長谷川の心の内を理解しようとした。
大人の事情とはいえ、振り回されるのは子供たちだ。
「お母さ……桜井のお母さんとは、どこまで話し合っているんですか?」
「養育費は、子供たちが大学を出るまでという約束です。実は、ひと月くらい前に、一緒になろうとわたしから提案したのです。子供たちはやはり二人で育てるべきだと。ただ、美柑ちゃんのお母さんは、美柑ちゃんには言いにくかったのだと思います。美柑ちゃんが多感な時期に父親の存在を教えていいものなのかどうか」
「お母さん、何も言ってなかった」
初めて桜井が言葉を発した。
「でも、わたしは薄々感づいていました。お母さんは、毎月食材を送ってくれるおじさんの事が好きなんだろうなと。もしかしたら、このおじさんが実の父親かもしれないって夢見ていました。ただ、長谷川さんがそのおじさんとは思いもしませんでしたけど」
「申し訳ない。本当に情けない父親で」
「え? どうして謝るんですか? お母さんを愛しているんでしょう。アキラのことも大切にしてくれているし、たぶん、わたしのことも……だと思う。黙って陰で援助していたなんて、超かっこいいじゃないですか。嬉しいです。お父さんがかっこいい人で」
「美柑ちゃん……」
「おい桜井? 無理してないか?」
「先生、長谷川さんは、わたしのお父さんですよ。わたしにお父さんがいたんですよ。変なオヤジじゃなくてよかったわ。しかも、先生のお父様の部下だなんて運命のいたずらよね。エリートだし、イケメンだし。やっぱ、お母さんは面食いだわ。やだ、親子ね。わたしも面食いだし」
サトシは、その面食いの規定に入っていたのか、ちょっと不安になった。
しかし、今確認するべき点はそこではないと、気持ちを切り替える。
サトシは長谷川に念を押した。
「では、長谷川さん。お母さんと入籍するということで、よろしいでしょうか」
「はい、お母さんが帰国したら、入籍の時期について話し合うつもりです」
「そういうことであれば、わたしから長谷川さんにお話があります」
「はい?」
「お嬢さんをわたしにください!」
「は? いきなり何を……」
「きっとお嬢さんを幸せにしますから!」
桜井は小さくつぶやきガッツポーズをした。
「やたっ」
長谷川は狼狽した。
はじめて娘をもつと決心したばかりなのに、目の前の男がいきなり娘をくれと言うのだ。
「あの、佐藤さん。今日はわたしの気持ちを聞くためにいらしたんじゃないんですか?」
「もちろん、それもあります。長谷川さんが保護者になると聞いたうえで、お願いしようと思って伺いました」
「いきなり、娘を嫁にやる父親になるとは……」
「わたしは教師ですが、お嬢さんとは結婚を前提に、清いお付き合いをさせていただいております。門限は守ります。高校は卒業させます。お嬢さんが進学したいと言ったら、そのようにさせます。大人になるまで清い交際を保ちます」
「あの、佐藤さん……? ちょっと気持ちの整理がつかないんですけど」
「お義父さん!」
「お義父さん? に、なるんですか。わたしがぁ?! いきなりこんなデカい息子ができるんですかぁ?!」
「これから、わたしの父の所へも挨拶に行って、お嬢さんとの交際を正式に認めてもらうつもりです」
「え、しゃ、社長にも? それじゃ、わたしに事実婚の子どもがいることも? それが美柑ちゃんだということも?」
「もちろんです。父にも報告させていただきます。脅迫しているつもりはありません。むしろ、長谷川さんのことを強力な味方だと思っています」
「そ、そんな大役……味方だなんて、社長に叱られますよ」
「お母さんが帰国したら、また改めてご挨拶にうかがいます。お返事はそのときで結構です」
サトシの毅然とした態度に、長谷川は圧倒された。
これが佐藤社長のご子息かと思うと、眩しくさえあった。
「さすがです。さすが、佐藤社長のご子息です。わたしも佐藤さんのように毅然とした態度を取っていれば、桜井さんを困らせることはなかったのに。佐藤さんにお義父さんと呼ばれる資格なんて、わたしにはありません」
そこで、桜井ははっきりと声をあげた。
「あると思います! 大人の事情はよくわかんないけど、今でもお母さんを愛している人がお父さんだから、それでいいと思います。だって、他にお父さんって誰がいるの?」
「美柑ちゃん……。わたしがお父さんです」
「じゃ、決まりじゃん。先生、長谷川さんをお義父さんって呼んでいいです。わたしが許可します」
「桜井、お前大きくなったな」
「は? 先生と出会ってまだ八ヶ月だけど、身長は変わっていません」
「いや、大きくなった。成長したんだよ」
ドンドンドン
アキラとアツシが応接室のドアを叩いた。
「アツシパパー? まだお話終わらないですかぁ? アツシが美柑と会いたいってうるさいんだけどー」
アキラの声だった。
桜井はアキラの声を聞いて、お姉ちゃんの顔になった。
「アツシくんのせいにして、アキラったら。正直に自分がお姉ちゃんに会いたいって言えばいいのに」
資格はないと言いながら長谷川は、小さいギャングたちと美柑のことは愛しいと思っていた。
目を細めて、笑いながら席を立った。
「はいはい、アキラくん。サンタクロースがお姉ちゃんを連れて来てくれたよ」
ドアが開いた途端、
「うわーい! 美柑、会いたかったよー」
アキラは美柑に飛びついた。
「もちろん、何かうまいもん持ってきたんだろうな」
「あたりまえよ。毎年クリスマスに食べているモノを、ちゃんと届けに来てやったわよ」
「やったー。ロールキャベツだ」
「当たりー!」
サトシは、長谷川に確認した。
「ちょっと、よろしいでしょうか」
長谷川は、サトシの真剣な顔に緊張を隠せなかった。
「はい、何でしょう」
「サンタクロースって、わたしの事ですか?」
「あ。深い意味はない……です」
「ですよねーーー。だって、わたしの方が若いですから。ね、お義父さん」
「は、はい。その通りです」
アキラは美柑から離れなかった。
長谷川の息子のアツシは、それを羨ましそうに眺めていた。
「いいなぁ、アキラくんは。お姉ちゃんがいて」
「そうだ。美柑よぉ、アツシのお姉ちゃんになれよ」
「バカ! そんなこと簡単にできないの!」
「ええー、なんでだよぉ。なあ、アツシだってお姉ちゃん欲しいよな」
「うん! 欲しい。パパ―、美柑ちゃんを、僕のお姉ちゃんにしてよぉーー」
「わかった、わかった。二人とも、わかったから落ち着きなさい。では、美柑ちゃんをアツシとアキラくんのお姉ちゃんにしますっ!!」
「「やったぁー! 言ってみるもんだな」」
アキラとアツシは、美柑の周りをぐるぐると回って喜び合った。
「なんだか、ちびっこギャングの捕虜になった気分だわ」
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