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「……あぁ、極楽。極楽ですわ……」
アステリア王宮の最上階。新しく増設された「空中露天風呂」で、パルメは湯船に浸かりながら深いため息をついた。
目の前にはアステリア王国の美しい街並み、そしてその向こうには彼女が耕し尽くした広大な「黄金の農地」が広がっている。
「お嬢様……いえ、パルメ王妃陛下。そろそろ上がってください。隣国の外交官たちが、陛下のアドバイスを求めて行列を作っていますわよ」
アンナがバスタオルを抱えて、呆れたように声をかける。
「お断りしますわ。私は今、『水神との対話』という名の入浴中なんですもの。……大体、彼らも自分で考えればいいじゃない。野菜が育たないなら土を掘ればいいし、景気が悪いなら温泉を掘ればいいのよ。ねえ?」
「それができないから、皆パニックになっているんですよ……」
パルメは湯船から上がり、アンナが差し出した最高級のローブを羽織った。
かつての「ブラック王宮」での生活が嘘のように、今の彼女には自由があった。
わがままを言えば「王妃様の斬新なご提案」と称賛され、穴を掘れば「国を救う公共事業」として予算が降りる。
「パルメ! 入ってもいいかい? ……ああ、湯上がりの君は、まるで朝露に濡れたカブのように瑞々しい……!」
扉を豪快に開けて入ってきたのは、国王となったセドリックだった。
彼は今でも、公式行事の合間を縫ってはパルメの菜園で「雑草取り」に精を出している。
「セドリック殿下、いえ陛下。ノックくらいしてくださいな。……それで、今日は何の用かしら?」
「ああ。我が国の元王子、リュント君から手紙が届いていてね。……『どうか、もう一度だけあの激辛ソースを食べさせてください。あの刺激がないと、もう生きていけない体になってしまったんだ』だそうだ」
「……あら、あのソースに中毒性があったのかしら。まあ、更生プログラムの一環としては成功ね」
パルメは窓の外、遠く離れた元実家の領地の方角を見つめた。
リュントとミリアは、今や領民たちに「労働の神様(反面教師的な意味で)」として親しまれ、毎日泥にまみれてカブの収穫に励んでいるという。
「ミリアさんも、『泥パックでお肌が強くなったわ!』と開き直って、村の力自慢たちと相撲を取っているらしいですよ」
アンナの報告に、パルメは思わず吹き出した。
「おーほっほっほ! 素晴らしいわ! 皆、私のおかげで自分の『真の才能』に目覚めたというわけね!」
パルメは、テラスの手すりに手をかけ、アステリアの風を感じた。
かつて、婚約破棄を言い渡されたあの夜。
彼女は「悪役令嬢」として追放される絶望の淵に立っていた……はずだった。
しかし、一歩外へ踏み出してみれば、そこには広大な大地と、無限の自由が広がっていたのだ。
「セドリック。私、これからも『悪役王妃』として、やりたい放題に生きていくつもりですわよ?」
「ああ。君が世界を壊すというなら、私はその隣で新しい世界を建てる。君が大地を耕すというなら、私はその全ての種になろう」
セドリックがパルメの肩を抱き寄せ、優しく囁く。
パルメは、少しだけ顔を赤らめながらも、不敵な笑みを崩さなかった。
「ふふ、頼もしいことですわ。……さあ、アンナ! お風呂の後は、新作の『青い悪魔のソース(※ブルーベリー味)』の試食会よ! 世界中の味覚を、今度こそ完全に支配してあげますわ!」
「……結局、また仕事(趣味)を増やすんですね、お嬢様」
パルメの笑い声が、アステリアの空に高く響き渡る。
前世なんて知らない。運命なんて興味ない。
ただ目の前の土を愛し、自分の欲望に正直に生きる彼女の姿は、いつしか「悪役」という言葉を超えた、新しい時代のヒロイン像として歴史に刻まれていく。
悪役令嬢パルメ。
彼女は今日も、黄金のスコップを片手に、自分だけの幸せなパラダイスを耕し続けている。
「さあ、おーほっほっほ! 人生、掘って掘って掘りまくるわよ!」
アステリア王宮の最上階。新しく増設された「空中露天風呂」で、パルメは湯船に浸かりながら深いため息をついた。
目の前にはアステリア王国の美しい街並み、そしてその向こうには彼女が耕し尽くした広大な「黄金の農地」が広がっている。
「お嬢様……いえ、パルメ王妃陛下。そろそろ上がってください。隣国の外交官たちが、陛下のアドバイスを求めて行列を作っていますわよ」
アンナがバスタオルを抱えて、呆れたように声をかける。
「お断りしますわ。私は今、『水神との対話』という名の入浴中なんですもの。……大体、彼らも自分で考えればいいじゃない。野菜が育たないなら土を掘ればいいし、景気が悪いなら温泉を掘ればいいのよ。ねえ?」
「それができないから、皆パニックになっているんですよ……」
パルメは湯船から上がり、アンナが差し出した最高級のローブを羽織った。
かつての「ブラック王宮」での生活が嘘のように、今の彼女には自由があった。
わがままを言えば「王妃様の斬新なご提案」と称賛され、穴を掘れば「国を救う公共事業」として予算が降りる。
「パルメ! 入ってもいいかい? ……ああ、湯上がりの君は、まるで朝露に濡れたカブのように瑞々しい……!」
扉を豪快に開けて入ってきたのは、国王となったセドリックだった。
彼は今でも、公式行事の合間を縫ってはパルメの菜園で「雑草取り」に精を出している。
「セドリック殿下、いえ陛下。ノックくらいしてくださいな。……それで、今日は何の用かしら?」
「ああ。我が国の元王子、リュント君から手紙が届いていてね。……『どうか、もう一度だけあの激辛ソースを食べさせてください。あの刺激がないと、もう生きていけない体になってしまったんだ』だそうだ」
「……あら、あのソースに中毒性があったのかしら。まあ、更生プログラムの一環としては成功ね」
パルメは窓の外、遠く離れた元実家の領地の方角を見つめた。
リュントとミリアは、今や領民たちに「労働の神様(反面教師的な意味で)」として親しまれ、毎日泥にまみれてカブの収穫に励んでいるという。
「ミリアさんも、『泥パックでお肌が強くなったわ!』と開き直って、村の力自慢たちと相撲を取っているらしいですよ」
アンナの報告に、パルメは思わず吹き出した。
「おーほっほっほ! 素晴らしいわ! 皆、私のおかげで自分の『真の才能』に目覚めたというわけね!」
パルメは、テラスの手すりに手をかけ、アステリアの風を感じた。
かつて、婚約破棄を言い渡されたあの夜。
彼女は「悪役令嬢」として追放される絶望の淵に立っていた……はずだった。
しかし、一歩外へ踏み出してみれば、そこには広大な大地と、無限の自由が広がっていたのだ。
「セドリック。私、これからも『悪役王妃』として、やりたい放題に生きていくつもりですわよ?」
「ああ。君が世界を壊すというなら、私はその隣で新しい世界を建てる。君が大地を耕すというなら、私はその全ての種になろう」
セドリックがパルメの肩を抱き寄せ、優しく囁く。
パルメは、少しだけ顔を赤らめながらも、不敵な笑みを崩さなかった。
「ふふ、頼もしいことですわ。……さあ、アンナ! お風呂の後は、新作の『青い悪魔のソース(※ブルーベリー味)』の試食会よ! 世界中の味覚を、今度こそ完全に支配してあげますわ!」
「……結局、また仕事(趣味)を増やすんですね、お嬢様」
パルメの笑い声が、アステリアの空に高く響き渡る。
前世なんて知らない。運命なんて興味ない。
ただ目の前の土を愛し、自分の欲望に正直に生きる彼女の姿は、いつしか「悪役」という言葉を超えた、新しい時代のヒロイン像として歴史に刻まれていく。
悪役令嬢パルメ。
彼女は今日も、黄金のスコップを片手に、自分だけの幸せなパラダイスを耕し続けている。
「さあ、おーほっほっほ! 人生、掘って掘って掘りまくるわよ!」
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