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第10話 分岐点
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さあ、覚悟の時だ。
勝つんだ、その為のビジョンを描くんだ。
私はこれまで異形と戦った事は一度も無い。
もちろん、遭遇して襲われたことはある。
しかしそれは、戦闘にすらなら無かった。
我々がしていたのは、逃走と敗北だけだ。
勝利は、限りなく遠かった。
そして、逃げ切った時には必ず誰かが消えて居た。
それが、一人だったこともあったし、複数人の時もあった。
その人は、もう二度と帰ってこなかった。
本当の意味での勝利は一度も無い。
仲間を犠牲にして、逃げ切った?
それは、勝利とは言えない。
勝利と言えるのは、全員が生存してその状況を乗り切る事。
それだけだ。
相手の異形に関わっている時間なんてどこにも無い。
先で戦闘をしている人を助ける事。
重要なのは、これだけだ。
相手は一体、殺すのなら今だ。
この辺りには異形は数多く居る。
出来る限り急がないと、追加の異形がやってくる。
追加の異形が来たら、絶対に勝ち目は無い。
急がないと、まずい。
撒くことが不可能な以上、戦うしかない。
武器は錆びた鉈一本だけだ。
戦闘に向いた武器だとは、とても言い難い。
しかし、戦わねばならぬ。
撒けるのであれば、とっくに撒いている。
相手の異形は、かなり大きなタイプだ。
膨れ上がった人の体に、何かの昆虫の手足。
異形という名に相応しい姿をしている。
四足歩行で、カサカサと寄ってくる。
通常の腕と、昆虫の腕を併せ持っておりそのリーチは脅威だ。
余り、見ていて楽しい姿では無い。
むしろ、全力で逃げ出したい何かがある。
逃げている間に分かった情報が、一つある。
この異形の特徴としては、動きは多少他の異形に比べて鈍いようだ。
体の大きさのせいだろうか?
まあ、それでも人間の足よりよっぽど速いのだけど。
「ふぅ。」
「ふぅぅぅぅぅぅ。」
ドク、ドク、ドク、ドク、、ドク、、ドク、ドク、、ドク
心臓の音が止まらない。
覚悟は決まったはずだったのに。
私の他者を救え無かった。
誰の役にも立た無い、意味の無い命を捨てる覚悟は出来ていたのに・・・。
絶対に勝って、救える。
そう思っていたのに。
いざ鉈を構えると、勝てるビジョンが一切浮かばない。
距離を保って、相手を観察すればするほどそう思う。
「勝てない。」
なんでここに来たのか?
救えるなんて思っていたのか?
人類は、異形には勝てない。
諦めろ。
諦めて、情けなく逃げろ。
そして、理不尽が目の前に来ないことを祈れ。
お前に出来る事はそれだけだ。
怯えが心の中から溢れ出た。
一度は、命を捨てる程度の覚悟は出来たのに。
なんて情けないんだ。
自分の甘さに愕然とした。
そして、逃げようとしたことを恥じた。
逃げ出すのは不可能だ。
それに、目標は目の前の異形の討伐では無い。
顔も知らない、誰かを助けに行く。
その為に、ここまで来たんだ。
もう、誰も見捨て無い。
手が届く範囲、全ての命を救う。
ここが、分岐点だ。
このままの他人を見捨てる私か?
他者を思いやり、助けられる覚悟を持った私か?
「クッ。」
鉈で、自分の掌を軽く切り裂く。
ここで自傷行為に走るのは得策では無い事は分かっている。
しかし、覚悟を決めるためには必要だった。
もう、逃げない!!!
私は、改めて異形に向かって鉈を構えた。
そして、奴の命を奪う為、走り出した。
勝つんだ、その為のビジョンを描くんだ。
私はこれまで異形と戦った事は一度も無い。
もちろん、遭遇して襲われたことはある。
しかしそれは、戦闘にすらなら無かった。
我々がしていたのは、逃走と敗北だけだ。
勝利は、限りなく遠かった。
そして、逃げ切った時には必ず誰かが消えて居た。
それが、一人だったこともあったし、複数人の時もあった。
その人は、もう二度と帰ってこなかった。
本当の意味での勝利は一度も無い。
仲間を犠牲にして、逃げ切った?
それは、勝利とは言えない。
勝利と言えるのは、全員が生存してその状況を乗り切る事。
それだけだ。
相手の異形に関わっている時間なんてどこにも無い。
先で戦闘をしている人を助ける事。
重要なのは、これだけだ。
相手は一体、殺すのなら今だ。
この辺りには異形は数多く居る。
出来る限り急がないと、追加の異形がやってくる。
追加の異形が来たら、絶対に勝ち目は無い。
急がないと、まずい。
撒くことが不可能な以上、戦うしかない。
武器は錆びた鉈一本だけだ。
戦闘に向いた武器だとは、とても言い難い。
しかし、戦わねばならぬ。
撒けるのであれば、とっくに撒いている。
相手の異形は、かなり大きなタイプだ。
膨れ上がった人の体に、何かの昆虫の手足。
異形という名に相応しい姿をしている。
四足歩行で、カサカサと寄ってくる。
通常の腕と、昆虫の腕を併せ持っておりそのリーチは脅威だ。
余り、見ていて楽しい姿では無い。
むしろ、全力で逃げ出したい何かがある。
逃げている間に分かった情報が、一つある。
この異形の特徴としては、動きは多少他の異形に比べて鈍いようだ。
体の大きさのせいだろうか?
まあ、それでも人間の足よりよっぽど速いのだけど。
「ふぅ。」
「ふぅぅぅぅぅぅ。」
ドク、ドク、ドク、ドク、、ドク、、ドク、ドク、、ドク
心臓の音が止まらない。
覚悟は決まったはずだったのに。
私の他者を救え無かった。
誰の役にも立た無い、意味の無い命を捨てる覚悟は出来ていたのに・・・。
絶対に勝って、救える。
そう思っていたのに。
いざ鉈を構えると、勝てるビジョンが一切浮かばない。
距離を保って、相手を観察すればするほどそう思う。
「勝てない。」
なんでここに来たのか?
救えるなんて思っていたのか?
人類は、異形には勝てない。
諦めろ。
諦めて、情けなく逃げろ。
そして、理不尽が目の前に来ないことを祈れ。
お前に出来る事はそれだけだ。
怯えが心の中から溢れ出た。
一度は、命を捨てる程度の覚悟は出来たのに。
なんて情けないんだ。
自分の甘さに愕然とした。
そして、逃げようとしたことを恥じた。
逃げ出すのは不可能だ。
それに、目標は目の前の異形の討伐では無い。
顔も知らない、誰かを助けに行く。
その為に、ここまで来たんだ。
もう、誰も見捨て無い。
手が届く範囲、全ての命を救う。
ここが、分岐点だ。
このままの他人を見捨てる私か?
他者を思いやり、助けられる覚悟を持った私か?
「クッ。」
鉈で、自分の掌を軽く切り裂く。
ここで自傷行為に走るのは得策では無い事は分かっている。
しかし、覚悟を決めるためには必要だった。
もう、逃げない!!!
私は、改めて異形に向かって鉈を構えた。
そして、奴の命を奪う為、走り出した。
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