11 / 34
第11話 右腕の残骸
しおりを挟む
私は異形に戦いを挑んだ。
傍から見れば、ただの自殺志願者にしか見えなかっただろう。
しかし、私は必勝の覚悟を持っていた。
気持ちの上では、負けない。
全てに負けている今、それだけは負けちゃいけない。
勝つ!!!!
ただ、それだけを考えていた。
しかし、気持ちだけで何とかできる実力差では無かった。
気が付いたら、私は地面に倒されていた。
相手が何をしたのかも分からなかった。
状況からして、恐らく投げ飛ばされたのだろう。
手に持った鉈は、どこかに飛んで行ってしまった。
勝算は、全て消し飛んだ。
「あれ?」
右腕の感覚が無かった。
投げ飛ばされた時に、へし折れたのだろう。
他の箇所も、相当厳しい被害を被った。
しかし、右腕の被害が一番高かった。
視界の端に、腕らしき残骸が見える。
千切れては居ないが、相当の力で叩きつけられたのだろう。
右腕の残骸。
そういった表現が適した姿をしていた。
骨の欠片が飛び出し、中で粉々に砕けている事を容易に想像させた。
出血も結構ある。
もはや、通常の腕としての機能を取り戻すのは不可能。
素人の判断だが、そのようにしか見えなかった。
もしかしたら、厄災前の医療技術だったら何とかなったかもしれない。
しかし、厄災後の今では絶対に無理だ。
薬も医者も何も無い。
治療は不可能だろう。
痛みは無い。
死に掛けている為、一時的に痛みを感じなくなっているのだろう。
そう冷静に考えていた。
自分の想像を超える状態になり、現実を見つめられなかった。
私は、これから異形に喰われる。
その事実を認めるのは嫌だった。
思考は、現実を見つめるのを止めた。
右腕の事も意識から消え去り、ただ一つの思考だけが残った。
なんで、私がこんな目に?
その一つだけが唯一残った思考だった。
このまま異形に喰われる。
それは、ありふれた結末だった。
今まで散々見てきた結末だった。
先輩だけでは無い。
今まで多くの人の犠牲の末に我々の生活は成り立ってきた。
私もその犠牲の中の一つになるだけだ。
いや、そんな立派な物じゃないか。
犠牲となった方達は、誰かを庇って死んでいった。
私は、只の自滅に過ぎない。
最も愚かな死の一つだ。
彼らのようには死ねなかった。
誰かを庇う訳でも無く、無駄に命を散らしていく。
彼らは、最期の時どんな気持ちだったんだろう?
自らを犠牲にして、他者を生かして英雄となった彼らは。
希望の感情?
怒りの感情?
恐怖の感情?
何を思って、死んでいったのだろう?
最後に目に映るのは、自らを置いて逃げて行く仲間達。
私には、分からなかった。
彼らは、何を思っていたのだろう?
現実を見つめるのに足りる覚悟は、消え去っていた。
私は、他者を生かす為に動く英雄にはなれなかった。
彼らが何を思っていたのか、それを知る事も無い。
このまま異形に喰われるのを待つのみだった。
ああ、こんな現実なんて認めたく無い。
そんなことを思いながら、私の意識は闇に沈んでいった。
最期に見えたのは、閃光だった。
傍から見れば、ただの自殺志願者にしか見えなかっただろう。
しかし、私は必勝の覚悟を持っていた。
気持ちの上では、負けない。
全てに負けている今、それだけは負けちゃいけない。
勝つ!!!!
ただ、それだけを考えていた。
しかし、気持ちだけで何とかできる実力差では無かった。
気が付いたら、私は地面に倒されていた。
相手が何をしたのかも分からなかった。
状況からして、恐らく投げ飛ばされたのだろう。
手に持った鉈は、どこかに飛んで行ってしまった。
勝算は、全て消し飛んだ。
「あれ?」
右腕の感覚が無かった。
投げ飛ばされた時に、へし折れたのだろう。
他の箇所も、相当厳しい被害を被った。
しかし、右腕の被害が一番高かった。
視界の端に、腕らしき残骸が見える。
千切れては居ないが、相当の力で叩きつけられたのだろう。
右腕の残骸。
そういった表現が適した姿をしていた。
骨の欠片が飛び出し、中で粉々に砕けている事を容易に想像させた。
出血も結構ある。
もはや、通常の腕としての機能を取り戻すのは不可能。
素人の判断だが、そのようにしか見えなかった。
もしかしたら、厄災前の医療技術だったら何とかなったかもしれない。
しかし、厄災後の今では絶対に無理だ。
薬も医者も何も無い。
治療は不可能だろう。
痛みは無い。
死に掛けている為、一時的に痛みを感じなくなっているのだろう。
そう冷静に考えていた。
自分の想像を超える状態になり、現実を見つめられなかった。
私は、これから異形に喰われる。
その事実を認めるのは嫌だった。
思考は、現実を見つめるのを止めた。
右腕の事も意識から消え去り、ただ一つの思考だけが残った。
なんで、私がこんな目に?
その一つだけが唯一残った思考だった。
このまま異形に喰われる。
それは、ありふれた結末だった。
今まで散々見てきた結末だった。
先輩だけでは無い。
今まで多くの人の犠牲の末に我々の生活は成り立ってきた。
私もその犠牲の中の一つになるだけだ。
いや、そんな立派な物じゃないか。
犠牲となった方達は、誰かを庇って死んでいった。
私は、只の自滅に過ぎない。
最も愚かな死の一つだ。
彼らのようには死ねなかった。
誰かを庇う訳でも無く、無駄に命を散らしていく。
彼らは、最期の時どんな気持ちだったんだろう?
自らを犠牲にして、他者を生かして英雄となった彼らは。
希望の感情?
怒りの感情?
恐怖の感情?
何を思って、死んでいったのだろう?
最後に目に映るのは、自らを置いて逃げて行く仲間達。
私には、分からなかった。
彼らは、何を思っていたのだろう?
現実を見つめるのに足りる覚悟は、消え去っていた。
私は、他者を生かす為に動く英雄にはなれなかった。
彼らが何を思っていたのか、それを知る事も無い。
このまま異形に喰われるのを待つのみだった。
ああ、こんな現実なんて認めたく無い。
そんなことを思いながら、私の意識は闇に沈んでいった。
最期に見えたのは、閃光だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる