終わった世界でただ嘆く

ダンジョン

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閑話1 異形化

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 俺には、責任がある。 
 俺は、あの世界を滅ぼさなければならない。

 犠牲者として、生み出された異形と共に完全に消滅させる。

 散って言った仲間達の為に。
 滅んでいった世界の為に。

 勇者としての責任を果たす。
 
 それだけの責任がある。
 あの世界で争いを止められなかった。

 生き残ったのは、この世界に落ち延びた俺と姫だけだった。

 しかし、結局俺の故郷まで、こんな惨状になってしまった。
 
 止められなかったから。
 どうしようもなかったから。

 そういうのは簡単だ。
 だが、もう諦められない。 
 
 世界を救う事を義務付けられた勇者としての、責務を果たす。

 奴らを許す訳にはいかない。
 もう二度と、目の前では誰も殺させない。

 それだけを考えて、二人で戦ってきた。
 
 他に誰かを仲間にしたことは無い。
 純粋に人とは言えない、俺に付いて来る人なんていないと思ったからだ。

 助けられる命を最大限助ける。

 それを目標にしていたのだが、また目の前で一人死んだ。
 見知らぬ人だが、異形に喰われそうになった所を助けた。

 助けられたと思ったのに・・・。

 意識は残っておらず、体もボロボロで通常の手段では助けられないだろう。

 「勇者様、勇者様。」
 「顔が歪んでますよ、怒りに囚われてはだめです。」

 「笑いましょう。」 
 「それに、今は怒りに囚われるより、目の前の命を救う。」

 「それが大事なことですよ。」
  
 「姫・・・。」
 「あなたは、何で笑っていられるんですか?」

 「あなたの住んでいた世界は滅んでしまった。」
 「俺のせいなんですよ。」

 「あなたは、俺を責めないのですか?」

 心のどこかで、俺は断罪を求めていたのかもしれない。
 勇者として地獄から、召喚されて戦いの中で生きてきた。

 俺の今の命があるのは、目の前の姫のおかげだ。

 「責めませんよ。」
 「責めた所で、何か変わる訳でもありませんし。」

 「それに、こっちに来てから結構な時間が経ちました。」
 「私だって軟じゃないんですよ。」

 「自分の感情よりも優先するべきことは知っています。」

 「この人を早く診ましょう。」
 「通常の手段では助けられません。」

 「あの方法を使うしかないかと・・・。」
 「対異形の最終手段の一つ、異形化。」

 異形化か。
 でも、それを使うと人間とは言えなくなる。

 力は、時として迫害を招く。
 純粋に人ととは言えなくなり、大抵ろくな末路をたどらない。

 「彼の意思を問うべきではないか?」
 「このままだと、勝手に人体改造することになるけど。」

 「でも、それしかないですよ。」

 「それしかないか・・・。」
 
 この人は生きようとしていた。
 最後の最後まで生きようとしていた。

 その覚悟に応えるべきではないだろうか? 

 「分かった、異形化をしよう。」
 「でも、彼がどこまで耐えられるか分からない。」

 「最弱の仮面タイプの異形のチップにしよう。」
 「これなら、多分耐えられるはず。」

 「腕の肥大化能力を持っていた奴ですね。」
 「ちょうどいいと思います。」

 「じゃあ、傷口に埋め込んでっと。」
 「経過観察もしたいところですが、無理そうですね。」

 「ギャァァァァ!!。」

 「ああ、複数の異形の声がする。」
 「俺達で異形の対応はするしかないから、しばらく掃除をしよう。」
 
 「この辺りの異形は一掃しておくから、おそらく安全なはずだ。」

 「一応説明のための手帳を置いておこう。」
 「これで、大体の事は分かるはずだ。」

 「俺たちに会わ無い方がいいに決まっているんだ。」
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