転職したら陰陽師になりました。〜チートな私は最強の式神を手に入れる!〜

万実

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国家陰陽師資格試験

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「深月、試験勉強頑張りなさいね」

「おう!勉強漬けじゃなまるからな。しっかり体も動かしておけ」

「はい。頑張ります」

 京香さんと真田さんに激励され、私は手を振って陰陽師連盟総本部を後にした。

 事務所に帰り着いた私たち。

 扉の前に佇む人影が見える。

 その人はふわっとカールした短めの金髪に、まつ毛の長い大きめの瞳。
 線が細く透き通るように色白な、可愛い感じの美男子だ。

 彼はじっと事務所の扉を見つめている。

 なんだろう?
 気になった私は、声をかけてみることにした。

「あの···」

 彼は私の声にパッと振り向き、ふわりと微笑んだ。

「深月!やっと会えた」

「ええっ?!」

 やっと会えたなんて言われると、ドキッとするよ。

 でも、この子誰?
 私、知らないよ!こんな可愛い男の子。

 首を傾げながら考えてみる。

 むむ、ちょっと待って。

 今の声は聞いたことあるような気がする。

 えーと、どこで聞いたんだったか?

 ······

 もしかして···。

「あなた、麒麟?」

「そう。ボクは麒麟。よく分かったね」

「やっぱり!」

 麒麟も人の姿になれるんだ。
 この人の性格が反映された可愛らしい容姿で、思わず抱きしめたくなるほどだ。

 麒麟はささっと近寄り、私の手を握った。

「遅くなってゴメン。ハクタクを見送るのに思った以上に時間がかかったんだ。深月の気配を読んでここまで来たんだけど、無事に会えて良かったよ」

 そうだよね。
 麒麟はハクタクの転生を見届けるため、私の元を離れていたんだ。

「そうなの、麒麟が無事で良かった。それで、ハクタクはどうなったの?」

 麒麟は頷くと笑顔になった。

「あの赤ん坊は、契約した両親の元へと降りていったよ。天界での手続きに時間がかかったんだけど、予想通り、次は人間に転生するからね」

 うわぁっ!
 あのハクタクが人間になるなんてね。
 んー、見てみたい。
 いつか会える日が来るのだろうか?

 そうそう。

 私の式神も凄く増えたんだよね。
 麒麟も帰ってきたことだし、事務所のみんなに紹介しなくちゃね。

 そんな事を思いつつ、事務所に入った私たち。

「ただいま戻りました」

「「お帰り」」

 事務所にいるのは拓斗さんと真尋の二人なんだけど。

 二人とも、机にかじりついている。
 本を読んだり、ノートに記入したりと、必死さが伝わってくる。

「あの、二人とも一体どうしたの?」

 拓斗さんが眉をひそめて、ガタッと立ち上がった。

「一体どうしたの?って、勉強してるに決まってるじゃないか」

「えっ?勉強ってもしや、国家陰陽師試験の勉強なの?」

 拓斗さんも真尋も、コクリと頷いた。

「まさかお前、勉強してないんじゃないだろうな?」

「えっ···」

 勉強···。

 できればやりたくないんだよね。

 免除された科目もあるし、適当にちゃちゃっとすれば受かるんじゃないのかな。

 なんて簡単に思ってたんだけど。

「お前、図星だろ」

「うっ···」

 拓斗さんは目を細めて腕を組んだ。

「いいか、よく聞け。国家陰陽師試験の筆記は、ひっかけ問題の嵐だ。ちゃんと理解してないとまず落ちる。だから俺らだって必死になって勉強してんだ」

「あの私、免除になった科目もあるし、多分大丈夫だと思うんだけど」

 拓斗さんはずいっと近寄り、口の端を上げた。

「甘い」

「えっ?」

「戦闘に関する科目が免除になる事例はたまにある。だかな。その他の科目をおろそかにして試験に落ちた受験生が多いこと、お前、知らないだろ?」

「うわっ!そうなの?」

 拓斗さんがフフっとほくそ笑んだ。

「受験日まであと僅かしか無いんだ。必死で勉強しないと、ホントに落ちるぞ」

「ひえええ」

 それはヤバい。

 のんきに式神を紹介するなんて言っている場合ではない。

 うわぁぁ、どうしよう。

 私は頭を抱えながら、自分の机に参考書を積み重ねた。

 そんな私の様子を見て、真尋が心配そうに近寄ってきた。

「深月、試験に不安がある?」

「そうだね。勉強って言っても、どこから手を付けていいのやら」

 真尋は腕を組んでしばらく考え話し始めた。

「深月。過去の記憶があるんだよな?暦の編纂や方位の吉凶、易に関することは覚えてる?」

 以前、祭雅だった時のことを夢に見て、思い出したんだよね。

「ああ、それは覚えてるよ」

「それなら知識に関する科目は大丈夫だろう。法律関係に重点を置いて勉強するといい」

「うん···」

「あと、筆記や実技の試験を受ける上で大事なのは、出題者の意図を読み取る事だ」

「意図?」

「そう。ただ勉強ができるからとか、霊力が高いということだけでは合格できない。国家陰陽師というのは、どんな事態が起きも、早急に最上の対応が出来なくてはならない。国はそういう人材を求めてるんだ。だから出題者の視点と意図を念頭に置いて、試験に臨めばいいと思うよ」

 うーん。

 出題者の意図か。

 分かったような、分からないような難しい話しだよね。

 私はその状況に置かれないと、まるで頭が働かないんだ。
 今、考えても何も始まらないってことは分かる。

 とにかく、今できることを頑張ってやるしかないよね。

「真尋、アドバイスありがとう」

「ああ。勉強頑張れよ」

 私は「うん!」と答え、気合を入れて机に向かった。


 そして、月日は流れ···。

 今日は国家陰陽師資格試験受験日だ。

 うちの事務所からは拓斗さん、真尋、そして私が受験する。

「深月、忘れ物はないな?」

 伶さんにそう問われ、かばんの中を確認する。

 受験票、筆記用具、食べ物と水筒、参考書など、試験に必要なものは全て入っている。

 ん、忘れ物なし!

「大丈夫です!」

「そうか。気負わずに試験を楽しむつもりで行って来い」

「はい!」

 伶さんの素敵な笑顔に、私はガッツポーズで応えた。

「深月、そろそろ出られるか?」

 真尋が少し硬い表情で迎えに来た。

「うん、行こうか」

 真尋は心なしか青ざめて見える。
 緊張してるのかな?
 拓斗さんは、参考書を片手に、筆記試験の勉強に余念がないようだ。
 
 私もできることはやった。
 あとは、本番で力を出し切るのみ!

 準備は万端整った私たちは、事務所のワゴン車に乗り込み、試験会場である陰陽師連盟総本部へと向かった。
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