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10’
しおりを挟む部屋に移動してからも俺は断固としてサーシャを離すことが出来なかった
もうこんな思いはしたくない
なんとしてでもここでサーシャを取り戻して連れ帰る
そうじゃないと俺の人生が終わる
そうして何故かレオンが始める会話
それもサーシャに向けてサーシャと呼びやがった
何度注意したらわかるんだ
サーシャもそんなやつに返事をしなくていい
「はぁー、サーシャこいつのことが好きなのか?」
俺が1番聞きたいそして聞きたくない質問だ
この答えによっては俺の今後の人生のあり方が大いに変わってくる
「はい、好きです」
あぁ、やはりそうだったのか
胸糞悪りぃ一体いつ?それは
「俺との婚約をなくしたいほどにか?」
「?んんん?えっと、?」
なんでそんなに煮え切らない返事なんだ
畳み掛けるように言葉を紡ぐ
「どっちなんだ」
「婚約自体をなくしたいのはルドルフ様の方では??」
は?どういう意味だ?
「あ、えぅ、っと私といても楽しくなさそうでしたので政略結婚でもありませんし、その方がよろしいかと」
そんなはずはない!!そんなことある訳ないじゃないか!!!こんなにもサーシャを愛しているのに!
ビクッ
腕の中で驚いてビクつくサーシャに詫びを入れる
「あ、いや驚かせてすまない
そもそも結婚は私の方から頼んだんだ」
そう、最初はガキの戯言だと跳ね除けられた
「両親達のよく言っていたのは本気で実行するつもりはなかったらしい
でも私が言い出したんだ、サーシャと結婚したいとね」
そうだよ、あれは両親同士の戯れだった
幼き俺はサーシャと結婚出来るんだと本気で思っていたのに聞いてみると婚約者でもないのに無理よと母親に言われ絶望したのを覚えている
それからはサーシャの両親に認めて貰うため現在までにいたる
「あの時のこいつ必死だったよ~。まぁ~、今も相当必死だけどねぇ」
「レオン!」
コイツは本当余計なことしか言わない帰ったら覚えてろよ
「いいじゃねぇーの、ルドルフさんよぉ
お前が伝えないせいでちーっともサーシャちゃんには伝わってないんだからねぇ~」
ぐッ
「それでぇ、サーシャちゃんはどっちをとるの~?」
ニヤニヤとしている笑顔でレオンが問う
グッと腕に力が入る
「あのそれなんですけどどう言う意味でしょう?」
こっちが聞きたい
「このままこいつと隣国へ行くのかどうかってことだ」
行かないって言ってくれ
そしてここで一緒に帰る、と
「?ええ、もちろん行きますよ」
は?ここまできてさっきので誤解は解けたはずだろう?サーシャがこんな不義理をする訳がない
どれだけこいつを好きだろうと今は俺の婚約者なんだ
絶対に渡さない
「ブッ、あははッ!!もう、っだめだ!面白すぎる!!これはもう最高すぎやしねぇーか~
ひぃーふぅー
はぁ、っと
もう充分楽しんだしそろそろ種明かししちゃった方がいいよね~?
ねぇ?第3王位継承者のクリスティーナ・ペトロヴナ様?」
コイツには殺意しかわかない
笑い事じゃ、って、
は?クリスティーナ様?それって女性名だろ?
「ふふ、ですね
それでは改めまして第一王女のクリスティーナ・ペトロヴナと申します
とある事情で性別を偽って留学していました
どうかこのような無礼をお許しくださいませ
あと一つだけ。私は既に人妻ですよ」
王子ではなく王女、だと?
しかも、こいつ分かってる、、、?ッ、?
「今回クリスの国へ訪れるのはダンスを習うためです
なんでも国中で話題となっている
‘ボンオドリ’というものを学びに行くのに私が派遣されました」
何かを確信したようにサーシャが真っ直ぐした瞳を向けて伝えてくる
駆け落ちするんじゃないのか?
「では帰ってくるのか?」
「ええ、夏休みの間ということでしたので3週間ほどではないでしょうか?」
「そうか」
安堵から滑り落ちた言葉
ニヤニヤと気色の悪い顔をこちらに向けているレオンは滅べばいいんじゃないか
王女殿下の生暖かい視線も突き刺さる
無礼を働いた上にそんな視線を向けられていたたまれないのと早とちりと盛大な勘違いによる羞恥が半端ない
サーシャに声をかけられたがこんな顔見られたら死ぬ
「貴重なルドルフを見れて俺は満足だよ~
じゃ少しだけ時間をあげますかねぇ」
「ええ、では下で待ってます」
レオンにしては気が効くじゃねーか
あの気色悪い顔はいただけないがパタンとドアが閉まる
「本当に帰ってくるんだな?」
念押しで確かめる
「はい」
俺の元に帰って来てくれる
今はとりあえずその言葉だけでいい
不安なら尽きないがサーシャの大好きな踊りを取り上げてしまったらそれこそ今度は婚約解消をされかねない
自然とゆるむ頬
真っ赤になって俯いてしまうサーシャへの愛しさが溢れる
髪をひとすくいしそこにキスを落とす
「好きだよサーシャ、帰りを待っているよ」
甘ったるい自分の声がこの部屋へ響いた
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