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第1章 始まり
14話 決闘
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――決闘始めーー
と表示されたが、まだ両者は誰も動かず、リュウジンは刀を抜いて構えもせず無造作に立っていた
「おい!貴様!今更泣き喚いても遅いぞ!これからなぶり殺しにしてやるよ!」
リュウジンはハァ・・・、とため息を吐いて
「戦いが始まってもぺちゃくちゃと・・・。その剣は飾りか?御託はいいからさっさとこい」
そういって左手の人差し指でクイクイ、と暗にさっさと来いと挑発した。
そう言われたロイは顔を真っ赤にして走り出し、剣を抜いて上段から斬りかかってきた。
リュウジンはもっている刀で難なく打ち払った。
そしてロイも休む間もなく上段、中段、下段、突き、横なぎなどの攻撃を繰り出していたが、リュウジンは最小限の動きで避けたり、刀で打ち払ったりとその場から全く動くことなく、まるで子供が大人におもちゃの剣でチャンバラごっこをしているかのように周りからは見えていた。
ロイはそんな様子のリュウジンに対してさらに顔を真っ赤にしさらに勢いを増した攻撃を繰り返していた。
(っく!こいつ!何で攻撃が当たらねぇ!俺は剣道の全国大会で3位にまでなったんだぞ!
こんな雑魚如きに負ける負けがねぇ!)
ロイは剣だけならこの世界で1位を取れることを疑っていなかった。全国大会で1位になれなかったのもただ自分の調子が悪かっただけと自己弁護し、自分こそが最強だと思っていた。
リュウジンは、
(なるほどな。まるっきり素人ってわけではねぇな。剣道の動きであるがまさにお手本って感じで面白みがねぇな)
とそんなことを考えていた。
もういいな、と思ったリュウジンはロイが突いてきた剣を左手の親指と人差し指で挟んで止めた。
「なっ!」
「もういい。いつまでそのお遊びをやってんだ?さっさと本気で来い」
リュウジンにとっては何のスキルも使わず攻めてきたロイに、さっさとスキルを使えと、と言ったに過ぎなかったが、ロイにとっては自身がずっとやってきた剣道をただのお遊びであると否定されたと思い激昂した。
――神身の憑依――
ロイの周りにゴオオオと土煙が立ち込めた。
土煙が晴れ始めると異形の姿をしたロイらしきものの人型の何かがいた。
手足が長くなっており、その爪は攻撃するためなの鋭く長かった。また体毛も毛深くなっており、二足歩行ではあるがその見た目は獣のそれだった。
「グアアアアアアアアアアアァァァァァア!!!」
人が発したとは思えない威圧が込められた咆哮がロイの口から放たれた。
リュウジンはその声を聞いて警戒度をかなり高めた。
次の瞬間ロイの姿が消えた。
リュウジンは右から気配を感じ咄嗟に刀でガードした。
間一髪刀を滑りこますことができたが、殴られた威力の高さに吹き飛ばされてしまった。
すぐさま体勢を整えたリュウジンは口に笑みを浮かべ追いかけてきていたロイに対して技を繰り出した。
――新月流『陰潜』――
相手の意識の隙間に潜り込み、意識の外から斬る技である。
相手の死角に完璧に入り込み攻撃体勢に入っていたリュウジンであったが、攻撃を即座に止めガードした。
その直後ありえない体勢からのロイの攻撃によって、リュウジンは背中から床に叩きつけられた。
(ッチ!しくった!もう1人の仲間は狙わんから意識はあるのだと思っていたが、ありゃ意識はねぇのか)
HP12/124
一撃受けただけでこのざまか。もうミスは出来ねぇな。
リュウジンは今までの遊びを捨て始めて全力でロイに向かい合った。
全力になったことによってリュウジンから溢れる闘気にロイの動きが止まった。
しかしリュウジンはステータスダウンのペナルティーにより、もはやロイの速度についていくことができなくなっていたので、その場に留まりカウンター技をすることに全神経を尖らせていた。
「グアアアアアアアアアアアァァァァァア!!!」
臆した気持ちを払うためなのか、また咆哮をしたロイはその後攻撃を仕掛けてきた。
観客には目に見えない速さで消えたロイがリュウジンの後ろにその爪で攻撃したのか、腕を突き出した状態で現れたように見えた。
「グゲゲゲゲ・・・げ?」
リュウジンを殺したと思ったロイは気持ち悪い笑みを浮かべ笑っていたが、突然首から血が吹き出した。
「ふむ。普段であれば今ので決まっていたのであろうが、異形化したことによる首の硬さとこちらの攻撃力の低下で切り落とせんかったか」
リュウジンはそう言い肩に刀を担いだ。攻撃が決まったかのように見えたが、リュウジンはカウンター技をしっかり決め攻撃を受けていなかった。
ロイは首を押さえながら崩れ落ち片膝をついた。
このゲームでは部位による攻撃ダメージの違いを採用しており、人体の急所である心臓や首を切り飛ばされた場合どれだけHPが残っていようが即死扱いとなり死ぬことになるのである。
ロイの首は斬り飛ばされてはいないものの、少しすれば流血によるHP減少で絶命は免れないほど斬られているため動ける状況ではなかった。
もし、ロイの理性がある状態であったのであれば回復ポーションで即座に回復し絶命は免れていただろうが理性のないロイには回復ポーションを使うという選択肢はなかった。
放っておいても死ぬであろうがリュウジンは無駄に苦しめる気がないのでロイの首を刎ねるために近づいていった。
ロイは近づいてきたリュウジンに対して手を払い攻撃した。
この状態において、並の人間であればありえない威力と速度であったがリュウジンは難なくロイの腕を斬り落とした。
「グアアアアぁぁぁ・・・っ!」
腕を斬られたことによって叫び声をあげていたロイはそのまま首を刎ねられた。
ロイはそのまま光の粒子となり消えていった。
そして全く攻撃してこない次の相手に意識を向けると
「降参しま~す。降参です。降参~」
両手を挙げ先ほどの気持ち悪い笑みとは別の不気味な笑みを浮かべていた。
――Winner リュウジンーー
決闘の結果により[大蛇の剣]、[灰狼の剣]が報酬として渡されました。
—[勲章]決闘勝利—
—[勲章]技術の神—
を獲得しました。
「なぜ降参した?こちらのHPは風前の灯でそちらの方が圧倒的に有利だっただろう?」
リュウジンは険しい目つきで飄々とした様子のルクスに尋ねた。
「いや~、神身の依代を使ったロイが負けたのに勝ち目なんてあるわけないじゃん?僕は彼よりも弱いんだからさ。それに僕は別に決闘をしたかったわけでもないしね」
飄々とした態度で貼り付けたような笑みでルクスは淡々と話した。
「嘘だな。俺の見立てではお前の方が強いはずだ」
リュウジンはそれが真実であると確信していた。
「フフフ。そんなことありませんよ。僕はロイよりも弱い。それが真実ですよ」
「まぁいいだろう。そういうことにしておいてやる」
「まぁ強いて言うなら、大会の前に手の内を晒したくなかったからってのもありますよ。わざわざ手の内を晒すなんてバカのやることですからね。あ、今のはロイには内緒にしてくださいね?まぁロイも見せる気はなかったでしょうが相当自尊心が傷つけられたんでしょうね。自尊心だけは高い男ですから。それじゃあまた大会で会いましょう。リンちゃんもまたね~」
そう言ってルクスは去っていった。
そして決闘を見ていたギャラリーも解散した。
「う~ん、面白いな~、彼。あの戦闘で一切スキルを使っていなかった。ふむ、人間とは突き詰めればあんな動きができるのか。これだからこの世界は面白い。まだまだ知らないことに満ちている!」
ある意味人として狂っているルクスはばっと手を広げながら天に向かって叫んだ。
と表示されたが、まだ両者は誰も動かず、リュウジンは刀を抜いて構えもせず無造作に立っていた
「おい!貴様!今更泣き喚いても遅いぞ!これからなぶり殺しにしてやるよ!」
リュウジンはハァ・・・、とため息を吐いて
「戦いが始まってもぺちゃくちゃと・・・。その剣は飾りか?御託はいいからさっさとこい」
そういって左手の人差し指でクイクイ、と暗にさっさと来いと挑発した。
そう言われたロイは顔を真っ赤にして走り出し、剣を抜いて上段から斬りかかってきた。
リュウジンはもっている刀で難なく打ち払った。
そしてロイも休む間もなく上段、中段、下段、突き、横なぎなどの攻撃を繰り出していたが、リュウジンは最小限の動きで避けたり、刀で打ち払ったりとその場から全く動くことなく、まるで子供が大人におもちゃの剣でチャンバラごっこをしているかのように周りからは見えていた。
ロイはそんな様子のリュウジンに対してさらに顔を真っ赤にしさらに勢いを増した攻撃を繰り返していた。
(っく!こいつ!何で攻撃が当たらねぇ!俺は剣道の全国大会で3位にまでなったんだぞ!
こんな雑魚如きに負ける負けがねぇ!)
ロイは剣だけならこの世界で1位を取れることを疑っていなかった。全国大会で1位になれなかったのもただ自分の調子が悪かっただけと自己弁護し、自分こそが最強だと思っていた。
リュウジンは、
(なるほどな。まるっきり素人ってわけではねぇな。剣道の動きであるがまさにお手本って感じで面白みがねぇな)
とそんなことを考えていた。
もういいな、と思ったリュウジンはロイが突いてきた剣を左手の親指と人差し指で挟んで止めた。
「なっ!」
「もういい。いつまでそのお遊びをやってんだ?さっさと本気で来い」
リュウジンにとっては何のスキルも使わず攻めてきたロイに、さっさとスキルを使えと、と言ったに過ぎなかったが、ロイにとっては自身がずっとやってきた剣道をただのお遊びであると否定されたと思い激昂した。
――神身の憑依――
ロイの周りにゴオオオと土煙が立ち込めた。
土煙が晴れ始めると異形の姿をしたロイらしきものの人型の何かがいた。
手足が長くなっており、その爪は攻撃するためなの鋭く長かった。また体毛も毛深くなっており、二足歩行ではあるがその見た目は獣のそれだった。
「グアアアアアアアアアアアァァァァァア!!!」
人が発したとは思えない威圧が込められた咆哮がロイの口から放たれた。
リュウジンはその声を聞いて警戒度をかなり高めた。
次の瞬間ロイの姿が消えた。
リュウジンは右から気配を感じ咄嗟に刀でガードした。
間一髪刀を滑りこますことができたが、殴られた威力の高さに吹き飛ばされてしまった。
すぐさま体勢を整えたリュウジンは口に笑みを浮かべ追いかけてきていたロイに対して技を繰り出した。
――新月流『陰潜』――
相手の意識の隙間に潜り込み、意識の外から斬る技である。
相手の死角に完璧に入り込み攻撃体勢に入っていたリュウジンであったが、攻撃を即座に止めガードした。
その直後ありえない体勢からのロイの攻撃によって、リュウジンは背中から床に叩きつけられた。
(ッチ!しくった!もう1人の仲間は狙わんから意識はあるのだと思っていたが、ありゃ意識はねぇのか)
HP12/124
一撃受けただけでこのざまか。もうミスは出来ねぇな。
リュウジンは今までの遊びを捨て始めて全力でロイに向かい合った。
全力になったことによってリュウジンから溢れる闘気にロイの動きが止まった。
しかしリュウジンはステータスダウンのペナルティーにより、もはやロイの速度についていくことができなくなっていたので、その場に留まりカウンター技をすることに全神経を尖らせていた。
「グアアアアアアアアアアアァァァァァア!!!」
臆した気持ちを払うためなのか、また咆哮をしたロイはその後攻撃を仕掛けてきた。
観客には目に見えない速さで消えたロイがリュウジンの後ろにその爪で攻撃したのか、腕を突き出した状態で現れたように見えた。
「グゲゲゲゲ・・・げ?」
リュウジンを殺したと思ったロイは気持ち悪い笑みを浮かべ笑っていたが、突然首から血が吹き出した。
「ふむ。普段であれば今ので決まっていたのであろうが、異形化したことによる首の硬さとこちらの攻撃力の低下で切り落とせんかったか」
リュウジンはそう言い肩に刀を担いだ。攻撃が決まったかのように見えたが、リュウジンはカウンター技をしっかり決め攻撃を受けていなかった。
ロイは首を押さえながら崩れ落ち片膝をついた。
このゲームでは部位による攻撃ダメージの違いを採用しており、人体の急所である心臓や首を切り飛ばされた場合どれだけHPが残っていようが即死扱いとなり死ぬことになるのである。
ロイの首は斬り飛ばされてはいないものの、少しすれば流血によるHP減少で絶命は免れないほど斬られているため動ける状況ではなかった。
もし、ロイの理性がある状態であったのであれば回復ポーションで即座に回復し絶命は免れていただろうが理性のないロイには回復ポーションを使うという選択肢はなかった。
放っておいても死ぬであろうがリュウジンは無駄に苦しめる気がないのでロイの首を刎ねるために近づいていった。
ロイは近づいてきたリュウジンに対して手を払い攻撃した。
この状態において、並の人間であればありえない威力と速度であったがリュウジンは難なくロイの腕を斬り落とした。
「グアアアアぁぁぁ・・・っ!」
腕を斬られたことによって叫び声をあげていたロイはそのまま首を刎ねられた。
ロイはそのまま光の粒子となり消えていった。
そして全く攻撃してこない次の相手に意識を向けると
「降参しま~す。降参です。降参~」
両手を挙げ先ほどの気持ち悪い笑みとは別の不気味な笑みを浮かべていた。
――Winner リュウジンーー
決闘の結果により[大蛇の剣]、[灰狼の剣]が報酬として渡されました。
—[勲章]決闘勝利—
—[勲章]技術の神—
を獲得しました。
「なぜ降参した?こちらのHPは風前の灯でそちらの方が圧倒的に有利だっただろう?」
リュウジンは険しい目つきで飄々とした様子のルクスに尋ねた。
「いや~、神身の依代を使ったロイが負けたのに勝ち目なんてあるわけないじゃん?僕は彼よりも弱いんだからさ。それに僕は別に決闘をしたかったわけでもないしね」
飄々とした態度で貼り付けたような笑みでルクスは淡々と話した。
「嘘だな。俺の見立てではお前の方が強いはずだ」
リュウジンはそれが真実であると確信していた。
「フフフ。そんなことありませんよ。僕はロイよりも弱い。それが真実ですよ」
「まぁいいだろう。そういうことにしておいてやる」
「まぁ強いて言うなら、大会の前に手の内を晒したくなかったからってのもありますよ。わざわざ手の内を晒すなんてバカのやることですからね。あ、今のはロイには内緒にしてくださいね?まぁロイも見せる気はなかったでしょうが相当自尊心が傷つけられたんでしょうね。自尊心だけは高い男ですから。それじゃあまた大会で会いましょう。リンちゃんもまたね~」
そう言ってルクスは去っていった。
そして決闘を見ていたギャラリーも解散した。
「う~ん、面白いな~、彼。あの戦闘で一切スキルを使っていなかった。ふむ、人間とは突き詰めればあんな動きができるのか。これだからこの世界は面白い。まだまだ知らないことに満ちている!」
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