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第1章 始まり
23話 スタンピード
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「おい、リン!今から俺の周囲に近寄るな!」
リュウジンはリンのいる方に向かって大声で言った。
「はいっす!」
そしてリュウジンは刀を納刀し、じっと動かなくなった。
少しすると恐慌状態から立ち直ったモンスターが出始め、周りの仲間のモンスターの死体を見ると怒りの表情でリュウジンに向かってきた。
向かってきたオークは体長3mほどあり、持っている棍棒により攻撃を一撃でもまともに
くらうとタダでは済まないであろうことが簡単に想像できた。
ドスドスと音を立てオークだけじゃなく周りにいたモンスターもリュウジンに向かってきていた。
「リュウジンさん!!」
ショック状態から立ち直りリュウジンが見える位置まで来ていたテルは、オークが目前まで迫ってきているのに全く動かないリュウジンを見て思わず声を上げた。
そしてオークが棍棒を振りかぶり・・・
それを見たテルは咄嗟にリュウジンの方に駆け出したが・・・
「危ない!・・・え?」
リュウジンが全く動いていないのにも関わらずオークの腕が落ち、首が飛んだ。
それだけじゃなく次々と迫っていたモンスターもリュウジンにある程度近づくと例外なく首が飛ばされていた。
外から見ているとリュウジンは居合のような体勢のまま微動だにせず、モンスターが勝手に死んでいっているような異様な光景であった。
リュウジンが使っていた技は、新月流『静域』という技で、自身の領域内に入った敵を神速の抜刀術で斬り殺す技であるが、気配を察知するために多大な集中力を要求されるため新月流においても使われることは稀であり、そもそも使いこなせる使い手が圧倒的に少ない技である。
しかしリュウジンのもつ異質な才能『五感の強化』によって、自身の周囲の状況を目を瞑っていてでも簡単に知る事ができるためこの技はリュウジンにとっては何の苦労もなく出せる技であり、むしろ得意な技であった。
少しするとリュウジンの半径4mより外側が大体血の海で、内側はほとんど血がないキレイな円形ができていた。
その頃にはモンスターもリュウジンに近づくのはまずいと思ったのか尻込みしており膠着状態となっていた。
(倒しても倒しても減らねぇな。最初のギチギチ状態に比べれば今はスカスカだが・・・。突破するなら今のうちか・・・)
「おい、リン!テル!このままじゃ拉致があかねぇ!!とりあえずこっちに来い!そのまま突っ切るぞ!!」
「は・・・いっす!」
リンは今相対していた敵を倒しながら返事した。
「は、はい~!」
テルも即座にリュウジンの元に走り始めた。
リュウジンはその間も適当に周辺の敵を間引いていた。
リンとテルがそれぞれリュウジンのところにやってきた
「で、でもこの群れを放置していってもいいんでしょうか?このままだと街に行ってしまうのでは・・・?」
テルはそう言って困惑気な顔を浮かべていた。
「ああ。まぁかまわんだろう。幸いなことに後詰めもたくさんいるからな。クックック」
リュウジンはそうニヤリと笑っていったが、テルとリンには何のことか分からず頭の上に?マークを浮かべていた。
「じゃあ行くぞ!遅れずについて来いよ!遅れたら置いていくからな!」
そう言ってリュウジンは駆け出し、目の前の敵を速度を落とすことなく斬り殺していった。
リンは左右から来る敵に時折対処に難なくついて行っていた。
テルは走りながら左右の敵への対処には慣れていないのか少し遅れ気味であったが、リュウジンが一応速度を調整することでついてくることが出来ていた。
草原を抜け森の中に入ると先ほどとは打って変わって異様なほどの静けさであった。
虫や鳥の鳴き声も、リュウジンには生物の気配というものを一切感じることができなかった。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ。・・・うぷ、・・・ゴク」
テルは20分程の全力疾走によって体力がだいぶ減ったみたいでS Tポーションを飲んで回復させていた。
「ふぅ~っす。流石に戦闘した後にそのまま全力疾走はきついっすね」
リンはそう言いながらも肩で息をする程度でまだまだ余裕がありそうだった。
「す、すごいですね。僕なんてもう息が上がりまくりで、リュウジンさんなんて全然息が乱れてないです・・・」
「おい!おしゃべりはその辺にしておけ。明らかにこの森はおかしい。警戒しておけ」
「そ、そうですね。前回来たときはもっと森といえど明るくて、虫や鳥の鳴き声がしてたんですけどね」
「あの群れと戦う前に出てきた影のモンスターの正体もわからん。あの群れの一員かと思っていたが、それらしきモンスターは1体も見当たらなかった」
「そ、そうですね。僕の斥候スキルにも何も引っ掛からなくて・・・。リュウジンさんはどうやってあのモンスターに気づいたんですか?」
「気配だ。突然お前のところに気配が増えたからな」
リュウジンはあそこまで接近を許したことについて考えながら話していた。
「け、気配ですか。スキルか何かですか?」
「ん?いや、俺は何のスキルも持ってねぇよ」
「んえ?!でも、あの止まって、バッタバッタとモンスターが倒れて・・・全然動いてなくて・・・え~と?」
「落ち着け。あんなもんはただの剣術にすぎん。リアルでもできることだ」
「え?」
テルは余計に混乱していた。
「それでどうする?一応森の中には入ったから依頼は達成している。森の中にいる生物が全て出ていくほどの化け物がいる可能性が高い。戻るのなら今だぜ」
この異様な森の雰囲気にも飲まれることなく、むしろ半笑いのリュウジンにテルは少し顔を引き攣らせたが、配信者としてこんなに美味しい場面を逃すことは出来ない。最悪死んでもいいや、と思い奥に進むことを承諾した。
リュウジンはリンのいる方に向かって大声で言った。
「はいっす!」
そしてリュウジンは刀を納刀し、じっと動かなくなった。
少しすると恐慌状態から立ち直ったモンスターが出始め、周りの仲間のモンスターの死体を見ると怒りの表情でリュウジンに向かってきた。
向かってきたオークは体長3mほどあり、持っている棍棒により攻撃を一撃でもまともに
くらうとタダでは済まないであろうことが簡単に想像できた。
ドスドスと音を立てオークだけじゃなく周りにいたモンスターもリュウジンに向かってきていた。
「リュウジンさん!!」
ショック状態から立ち直りリュウジンが見える位置まで来ていたテルは、オークが目前まで迫ってきているのに全く動かないリュウジンを見て思わず声を上げた。
そしてオークが棍棒を振りかぶり・・・
それを見たテルは咄嗟にリュウジンの方に駆け出したが・・・
「危ない!・・・え?」
リュウジンが全く動いていないのにも関わらずオークの腕が落ち、首が飛んだ。
それだけじゃなく次々と迫っていたモンスターもリュウジンにある程度近づくと例外なく首が飛ばされていた。
外から見ているとリュウジンは居合のような体勢のまま微動だにせず、モンスターが勝手に死んでいっているような異様な光景であった。
リュウジンが使っていた技は、新月流『静域』という技で、自身の領域内に入った敵を神速の抜刀術で斬り殺す技であるが、気配を察知するために多大な集中力を要求されるため新月流においても使われることは稀であり、そもそも使いこなせる使い手が圧倒的に少ない技である。
しかしリュウジンのもつ異質な才能『五感の強化』によって、自身の周囲の状況を目を瞑っていてでも簡単に知る事ができるためこの技はリュウジンにとっては何の苦労もなく出せる技であり、むしろ得意な技であった。
少しするとリュウジンの半径4mより外側が大体血の海で、内側はほとんど血がないキレイな円形ができていた。
その頃にはモンスターもリュウジンに近づくのはまずいと思ったのか尻込みしており膠着状態となっていた。
(倒しても倒しても減らねぇな。最初のギチギチ状態に比べれば今はスカスカだが・・・。突破するなら今のうちか・・・)
「おい、リン!テル!このままじゃ拉致があかねぇ!!とりあえずこっちに来い!そのまま突っ切るぞ!!」
「は・・・いっす!」
リンは今相対していた敵を倒しながら返事した。
「は、はい~!」
テルも即座にリュウジンの元に走り始めた。
リュウジンはその間も適当に周辺の敵を間引いていた。
リンとテルがそれぞれリュウジンのところにやってきた
「で、でもこの群れを放置していってもいいんでしょうか?このままだと街に行ってしまうのでは・・・?」
テルはそう言って困惑気な顔を浮かべていた。
「ああ。まぁかまわんだろう。幸いなことに後詰めもたくさんいるからな。クックック」
リュウジンはそうニヤリと笑っていったが、テルとリンには何のことか分からず頭の上に?マークを浮かべていた。
「じゃあ行くぞ!遅れずについて来いよ!遅れたら置いていくからな!」
そう言ってリュウジンは駆け出し、目の前の敵を速度を落とすことなく斬り殺していった。
リンは左右から来る敵に時折対処に難なくついて行っていた。
テルは走りながら左右の敵への対処には慣れていないのか少し遅れ気味であったが、リュウジンが一応速度を調整することでついてくることが出来ていた。
草原を抜け森の中に入ると先ほどとは打って変わって異様なほどの静けさであった。
虫や鳥の鳴き声も、リュウジンには生物の気配というものを一切感じることができなかった。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ。・・・うぷ、・・・ゴク」
テルは20分程の全力疾走によって体力がだいぶ減ったみたいでS Tポーションを飲んで回復させていた。
「ふぅ~っす。流石に戦闘した後にそのまま全力疾走はきついっすね」
リンはそう言いながらも肩で息をする程度でまだまだ余裕がありそうだった。
「す、すごいですね。僕なんてもう息が上がりまくりで、リュウジンさんなんて全然息が乱れてないです・・・」
「おい!おしゃべりはその辺にしておけ。明らかにこの森はおかしい。警戒しておけ」
「そ、そうですね。前回来たときはもっと森といえど明るくて、虫や鳥の鳴き声がしてたんですけどね」
「あの群れと戦う前に出てきた影のモンスターの正体もわからん。あの群れの一員かと思っていたが、それらしきモンスターは1体も見当たらなかった」
「そ、そうですね。僕の斥候スキルにも何も引っ掛からなくて・・・。リュウジンさんはどうやってあのモンスターに気づいたんですか?」
「気配だ。突然お前のところに気配が増えたからな」
リュウジンはあそこまで接近を許したことについて考えながら話していた。
「け、気配ですか。スキルか何かですか?」
「ん?いや、俺は何のスキルも持ってねぇよ」
「んえ?!でも、あの止まって、バッタバッタとモンスターが倒れて・・・全然動いてなくて・・・え~と?」
「落ち着け。あんなもんはただの剣術にすぎん。リアルでもできることだ」
「え?」
テルは余計に混乱していた。
「それでどうする?一応森の中には入ったから依頼は達成している。森の中にいる生物が全て出ていくほどの化け物がいる可能性が高い。戻るのなら今だぜ」
この異様な森の雰囲気にも飲まれることなく、むしろ半笑いのリュウジンにテルは少し顔を引き攣らせたが、配信者としてこんなに美味しい場面を逃すことは出来ない。最悪死んでもいいや、と思い奥に進むことを承諾した。
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