6 / 19
到着 赤い月御一行様
しおりを挟む
この世界にやって来て半年が過ぎた。俺たちは来るべき赤い月の侵攻に備えている。諜報部の報告が確かならば、赤い月が満ちる今夜、奴等は侵攻を開始するはずだ。
俺はこの半年間、将軍としてのトレーニングを受け無事に(?)国軍の将軍となった。肩書きはJ将軍サトシだ。普段訪れていた板の名前が自分の肩書きに使われる日が来るとは思ってもいなかった。
『運命の五人』も全員揃った。勇者将軍ソウコウ(任命式で初めて名前を知った)、機人将軍アルデ、魔王将軍べリアル、機魔神官将軍サーシャ。
本来サーシャはレアジョブではなかったが、これ以上捜索に割く時間がなかったことと、本人の希望もあったため、アルデとべリアルの手によって魔改造を施され晴れてレアジョブとなったのだ。
俺たちは今夜の侵攻に備え軍を展開している。多くの犠牲により赤い月の使う星間転送魔法の仕組みも明らかになった。
赤い月の使う星間転送魔法はヌージィガの古代魔法とは別物で、月の軌道上にある小惑星群に転送魔法で降り立ち、その小惑星の墜落によって他の星に移動するというものだ。
そのため、使用できる時期と到達地点に制限がある他、宇宙空間での生命維持および大気圏突入、墜落の衝撃緩和に強力な結界が必要となるため移動完了までは一切の攻撃ができない。術後の生存率も低い代物だ。
これらのことから、侵攻してくる敵の数は多く見積もっても数万と予想される。とはいえ軍事国家の精鋭集団なので油断はできない。
「来たぞっ!」
東の空に無数の星が瞬く、やがて大量の流れ星が降ってきた。予め算出していた通りの着弾ポイントだ。大轟音と共に隕石の雨が降る。着弾ポイントにあった村の住人は全員避難完了しているためこちらの被害はないはずだ。
「敵の侵攻確認!残存兵力は約10万と見られます」
伝令が入る。思ったより敵の生き残りが多い。
「ゆくぞサトシ」
アルデからの通信が入った。今回の作戦における俺とアルデ隊の立ち位置は、侵攻直後で隊列が整う前の敵を偵察し、戦力の分析を行うことだ。
俺は部下と共にバイクに乗って敵軍の中心に向かった。このバイクはネットで拾ってきた情報を元にアルデを中心とした鍛治職人が作ったもので、燃料の代わりに爆発魔法を宿した護符で動く。アルデ仕様なので武骨なデザインかつ複雑なギミックが仕込まれている。
敵の着陸地点が見えてきた。辺りには人間の部品が散らばっている。相当数が着陸時に犠牲になったようだ。中にはまだ息がある者もいる。
「酷いなこれは」
思わず呟いた。飛行機の墜落現場はこんな感じなんだろうなと、思いながら敵陣の中を進む。やがて敵陣中心地点の近くまでやって来た。生存者の姿が目立ってきている。敵は子供から中年まで幅広い年齢層だ。
俺はあることに気づいた。死んだ敵の大半は鎧すら着ていないほぼ裸の状態だ。そして生きている敵はすべて鈍く光る鎧を着ている。
やがて視界に入った敵の移動用結界を見てその理由は判った。人間同士を何らかの方法で癒着し、巨大な生体結界としている。その事をアルデに連絡した。
「こちらでも似たようなもんを見つけたところじゃ。見たところ、肉結界に使われとるのは青い月と白い月の連中じゃな。外科魔法を使って生体の結界発生装置にされたんじゃろう。人間一人の魔力には限界があるが、肉体を直結させることで強い魔力を産み出すことができる。理屈ではわかっておったことじゃが、実践するとは恐ろしいやつらじゃな」
「この調子だと赤い月の奴等はほぼ無傷で侵攻してきたってことか」
「そう考えるのが妥当じゃろうな」
「さらに奴等の鎧、あれはバランと同じ対魔法コーティングが施されておるのう。本隊からの長距離破壊魔法も効果無しじゃな」
敵が視界に入る。
「よし、ここまでだ。帰還するぞ」
俺たちは偵察を終え帰陣した。
俺はこの半年間、将軍としてのトレーニングを受け無事に(?)国軍の将軍となった。肩書きはJ将軍サトシだ。普段訪れていた板の名前が自分の肩書きに使われる日が来るとは思ってもいなかった。
『運命の五人』も全員揃った。勇者将軍ソウコウ(任命式で初めて名前を知った)、機人将軍アルデ、魔王将軍べリアル、機魔神官将軍サーシャ。
本来サーシャはレアジョブではなかったが、これ以上捜索に割く時間がなかったことと、本人の希望もあったため、アルデとべリアルの手によって魔改造を施され晴れてレアジョブとなったのだ。
俺たちは今夜の侵攻に備え軍を展開している。多くの犠牲により赤い月の使う星間転送魔法の仕組みも明らかになった。
赤い月の使う星間転送魔法はヌージィガの古代魔法とは別物で、月の軌道上にある小惑星群に転送魔法で降り立ち、その小惑星の墜落によって他の星に移動するというものだ。
そのため、使用できる時期と到達地点に制限がある他、宇宙空間での生命維持および大気圏突入、墜落の衝撃緩和に強力な結界が必要となるため移動完了までは一切の攻撃ができない。術後の生存率も低い代物だ。
これらのことから、侵攻してくる敵の数は多く見積もっても数万と予想される。とはいえ軍事国家の精鋭集団なので油断はできない。
「来たぞっ!」
東の空に無数の星が瞬く、やがて大量の流れ星が降ってきた。予め算出していた通りの着弾ポイントだ。大轟音と共に隕石の雨が降る。着弾ポイントにあった村の住人は全員避難完了しているためこちらの被害はないはずだ。
「敵の侵攻確認!残存兵力は約10万と見られます」
伝令が入る。思ったより敵の生き残りが多い。
「ゆくぞサトシ」
アルデからの通信が入った。今回の作戦における俺とアルデ隊の立ち位置は、侵攻直後で隊列が整う前の敵を偵察し、戦力の分析を行うことだ。
俺は部下と共にバイクに乗って敵軍の中心に向かった。このバイクはネットで拾ってきた情報を元にアルデを中心とした鍛治職人が作ったもので、燃料の代わりに爆発魔法を宿した護符で動く。アルデ仕様なので武骨なデザインかつ複雑なギミックが仕込まれている。
敵の着陸地点が見えてきた。辺りには人間の部品が散らばっている。相当数が着陸時に犠牲になったようだ。中にはまだ息がある者もいる。
「酷いなこれは」
思わず呟いた。飛行機の墜落現場はこんな感じなんだろうなと、思いながら敵陣の中を進む。やがて敵陣中心地点の近くまでやって来た。生存者の姿が目立ってきている。敵は子供から中年まで幅広い年齢層だ。
俺はあることに気づいた。死んだ敵の大半は鎧すら着ていないほぼ裸の状態だ。そして生きている敵はすべて鈍く光る鎧を着ている。
やがて視界に入った敵の移動用結界を見てその理由は判った。人間同士を何らかの方法で癒着し、巨大な生体結界としている。その事をアルデに連絡した。
「こちらでも似たようなもんを見つけたところじゃ。見たところ、肉結界に使われとるのは青い月と白い月の連中じゃな。外科魔法を使って生体の結界発生装置にされたんじゃろう。人間一人の魔力には限界があるが、肉体を直結させることで強い魔力を産み出すことができる。理屈ではわかっておったことじゃが、実践するとは恐ろしいやつらじゃな」
「この調子だと赤い月の奴等はほぼ無傷で侵攻してきたってことか」
「そう考えるのが妥当じゃろうな」
「さらに奴等の鎧、あれはバランと同じ対魔法コーティングが施されておるのう。本隊からの長距離破壊魔法も効果無しじゃな」
敵が視界に入る。
「よし、ここまでだ。帰還するぞ」
俺たちは偵察を終え帰陣した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
※2026年半ば過ぎ完結予定→七月に完結(決定)
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる