人類守護少女†スノウホワイト ~変身ヒロインフタナリ化淫堕録~

どんまい肉

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CHAPTER1-1 適性の目覚め、潜入、変身

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 この国の国民には年に一度の健診が義務付けられている。

 注射器による血液の採取を伴う健診を終えて数日後。

『1-Aの白嶺 雪(しらみね ゆき)さん、至急校長室まで来てください。1-Aの白嶺 雪さん、至急校長室まで——』

 授業中、教室のスピーカーから流れたその呼び出しに、さらりとした格好の良いショートヘアの少女は言文の教科書から顔を振り上げた。冷たげに整って普段は落ち着いたクール振りを見せるその顔に、今は当惑の色が滲んでいる。
 他の生徒達の好奇の視線を居心地悪く浴びながら教室を出て、短めの制服のスカートからすらりと伸びた足でリノリウムの廊下を歩き進めながら雪は少しキツめの形良い眉を僅かに寄せて考えた。

(私、何か呼び出されるようなことしたかな……)

 やがて雪がノックをして校長室のドアを開けると、そこには神妙な面持ちをした校長と、黒いスーツを着た物々しい雰囲気の男がいた。
 戸惑う雪に黒いスーツの男が切り出した。

「白嶺雪さんですね。私は防衛省人類守護局の者です。先日の血液検査の結果、あなたに人類守護官の適性があることが確認されました。つきましては、今後あなたには当局の施設で生活していただき、必要な処置・教育・訓練を受け、人類守護官としての任務に就いていただきます。これは適性者の義務ですので、拒否することはできません」

「…………は?」

 突然言い渡されたまるで意味がわからない内容に、困惑の色を浮かべて男を見つめながら雪がようやく最初に返すことができた言葉はそれだけだった。





 雪の適性通告から6ヶ月後。
 市内のとあるホール内。広々とした空間に何十人もの信者達が集まっており、彼らが異様な熱を帯びた視線を注ぐ先には壇上で神の教えを説き聞かせる壮年の司祭の男の姿があった。
 司祭は聴衆に高らかに呼びかけた。

「——さあ、我らが神の御業によって世界がより良きものとなり、より良き生を享けられるように、皆で祈りを捧げましょう。えら えら るたむだぐとぅ わぐ=るぎーて」
《えら えら るたむだぐとぅ わぐ=るぎーて》

 司祭の祈りの文句に続き、熱に浮かされたような数十人の信者達の祈りの声が重なる。司祭は祈りの文句を継ぐ。

「いあせむ ぐせぷと」
《いあせむ ぐせぷと》

 その時、祈りを唱える信者達のうちの数人の、それぞれ腕や胴や顔などの皮膚が、ごぽり、と沸騰した湯のように、内側から泡立つように蠢いた。

「繰り返し口に出して祈りを捧げてください。えら えら るたむだぐとぅ わぐ=るぎーて いあせむ ぐせぷと」
《えら えら るたむだぐとぅ わぐ=るぎーて いあせむ ぐせぷと》

 泡立った信者達は更にゴボゴボと見る間に全身が泡立ち青黒く色を変えながら醜く膨れ上がり、見えざる手が粘土の塊を捏ね弄ぶようにそれらの青黒い肉塊はぐにゃぐにゃと形を歪め変質していく。
 異様な変化を遂げた信者の近くにいた一部の信者達が悲鳴を上げる。彼らはどうやら我に返ったらしい。
 しかしその他の大部分の信者達は、周りで悲鳴が上がってもなお熱に浮かされたような、もはや恍惚としているといっても過言ではない表情で祈りを唱え続けていた。彼らの耳には悲鳴など聞こえていないようだった。

《えら えら るたむだぐとぅ わぐ=るぎーて いあせむ ぐせぷと》
《えら えら るたむだぐとぅ わぐ=るぎーて いあせむ ぐせぷと》——

「……当たり、だね」

 繰り返される数十の熱狂的な祈りの声と幾つかの恐怖の悲鳴が響く異様な空間の中、信者達に紛れるようにしてその場にいたロングヘアの大人しそうな少女が緊張し少し怯えた声でそう言った。

「そうみたい。いくよ」

 落ち着いた冷質な少女の声がそう返した。さらりとした格好の良いショートヘアのその少女はロングヘアの少女と共に、信者達の中で初めから祈りを唱えずにこの場の様子を窺っていたようだった。
 雪は自身が纏っているグレーのシャツブラウスの襟元に素早く手をやり、プツ、と一番上のボタンを外した。襟元を寛げ露わにさせたそこの白い肌の、鎖骨の下辺りに象嵌細工のように半ば埋め込まれた、アイスブルーダイヤモンドに似た輝きを持つジェムに指を触れる。冷質な声が鋭みを帯びて紡いだ。

「————変身」

 適性者の意思に呼応してジェムが眩い輝きを放つ。雪の身体の周囲に激しい吹雪が渦巻き出し、吹き荒れる無数の雪片は少女の全身をその形状に沿って密着するように包み込んでゆく。そして少女の身体を完全に包み込んだ雪の如き変身エネルギー体は白光となり眩く弾け——しなやかな腕を包む白いロンググローブに厳めしくも優美な銀灰の腕手装甲——滑らかで張りのある太ももは露わに、銀灰の脚装甲にハイヒール戦靴——鼠蹊部と胸元の布地の際どさが眩しい白レオタード基調にフロントレスの透き通るヴェールのようなドレススカートが優美な戦装束——美しい白銀の髪に恭しく一吹きした風が孕む雪片が氷雪のティアラを形作りそのこうべを飾って——
白銀の睫毛をゆるりと持ち上げ冴え冴えとしたアイスブルーの瞳を開き、少女が右手を前に差し伸ばすとその意思に呼応して忽ち吹雪が少女の手元に渦巻き凝集し、壮麗なる氷雪の剣となった。氷雪剣の柄を力強く握り鋭く斜に振り下ろすと、今まさに少女に襲いかからんとしていた青黒い異形の邪神兵は致命的な斬撃を受け床にその身をどうっと倒れ込ませる。

「——スノウホワイト、戦闘を開始する」

 防衛省人類守護局所属・人類守護官・コードネーム『スノウホワイト』。超人的な力をその身に宿し操ることのできる変身適性者の使命を負い、人類側の守護戦士として、世界を破滅させる邪神の復活を目論む組織と戦う——それが現在の白嶺雪の任務だった。

「ビスク、まずは邪神兵化してない人たちを避難させよう」
「了解……!」

 先ほどまで雪の隣で少し怯えたような顔をしていたロングヘアの少女もまた変身後の姿となっていた。内気そうだった変身前の外見からギャップのある華やかな金色の髪に甘いピンクの瞳、ピンクのレオタード基調にリボンやフリルがふんだんにあしらわれた可愛らしい戦装束の彼女のコードネームは『ビスクドール』。
 ビスクドールはスノウホワイトのそれよりも大きく実ってレオタードの布地からこぼれ出しそうなたわわな胸をたぷんっと揺らし周囲に視線を走らせる。
 祈りを捧げる信者達はホール内のあちらこちらで一人また一人と次々異形の邪神兵へ姿を変えていっており、邪神兵となった者らは周りで正気に返り恐怖の声を上げる信者達に襲いかかっていた。
 ビスクドールが両腕を鋭く振るうとその戦装束のロンググローブにあしらわれた幾つものリボンが空を切る鋭い音を立て物理法則を無視してあちこちへ伸び、襲われていた信者達の身体を素早くシュルシュルと絡め取って持ち上げ宙を運んでゆく。

「きゃああっ!!」「わあああああ!!?」
「怖がらないで!出口まで運びますから、降ろしたら早く外へ逃げてください!暴れないで!落としちゃう……!」

 異形の怪物に襲いかかられたと思ったら突然得体の知れない帯のようなものに捕らえられ身体を宙に浮かされた信者がパニックを起こし、暴れるその動きがビスクドールのリボンの操作を妨害する。信者達を落とさず出口まで運ぶ操作に意識を強く取られているビスクの背後から一体の邪神兵が襲いかかった。

「グギャアアッ!!」

 スノウホワイトが放った斬撃がその邪神兵の身体を大きく切り裂き、それは苦悶の咆哮を上げて床へ崩れ落ちた。

「ありがとうスノウ……!」
「避難させることに集中して。たかってくる奴らは私が払う」

 そう言ってスノウホワイトは戦靴で床を蹴り、滅びをもたらす吹雪の如くその身を苛烈に躍らせて邪神兵たちを討ってゆく。

 壇上から離れようとしていた司祭の足元に一陣の激しい吹雪が鋭く吹きつけ、瞬く間にその足首から革靴が凍りつきその場に縫い止められた。

「おやおや、猪口才な……」

 自らの凍りついた足元から視線を吹雪の飛んできた方へ動かす司祭。その視線の先でスノウホワイトが、今しも腕を鋭く振るい氷縛の吹雪を放った格好で、司祭を睨み据えていた。

「逃しはしない。殺しもしない。お前には情報を吐いてもらう」
「可哀想に。我らの神の素晴らしさが理解できず、大事な儀式を妨害してそれを正しい行いと思い込んでいる。なんと愚かで哀れなことか」
「戯言を、ッ!」

 横合いから振るわれた邪神兵の鋭い鉤爪の一撃を飛び退って回避し、スノウはドレススカートを翻し鮮やかに身を躍らせて返す剣の斬撃でその邪神兵を斬り伏せた。次から次へと各方位から襲いかかってくる邪神兵の対処に追われて、この状況では司祭に落ち着いて向き合ってもいられない……


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