3 / 12
婚約破棄
しおりを挟む
イヴは森から出てアダムを捜し走っていた。しかしその途中で自分が裸であることに気が付き茂みに身を隠すのであった。それは禁断の実を食べた効果で、素肌をさらすことは恥ずかしいことだと言う概念を得ていたからだ。
そんな時近くをアダムが通りかかった。
「アダム、アダム、聞こえて?」
「イヴ? イブなのかい? 一体どこにいるんだ。
さっきから見えないから心配して探しているんだよ?」
「ここよ、茂みの中にいるの。
アダムこそ裸のままで恥ずかしくはないの?」
「何を言っているんだい?
僕たちは今までずっと裸だったじゃないか」
「そうだったわ、でも今はとてもそれが恥ずかしいことだと知ってしまったの。
あなたもこの実をひと齧りすればわかるわ」
「それは神に食べてはいけないと言われて約束している木の実じゃないか。
まさかそれを食べてしまったのかい?」
「ええ、これは神と同じように物事の正誤善悪を理解できる実だったのよ。
あなたも食べてみればすぐにわかるわ」
イヴにそう言われたアダムはしばらく考え込んでいました。そして意を決したようにイヴから禁断の実を受け取り一口齧ります。すると――
「これは…… 目の前が明るくなって様なこの気持ち。
まさかこれが理解すると言うことなのか!?
信じられない、今まで知らなかったことがわかり、見えなかったものが見えてくる気分だ」
「アダム、素晴らしいでしょう?
さあ、私たちはこれでもっと理解しあえるわね」
「しかし神との約束を破った僕たちは、この神の国から追い出されてしまうかもしれない。
イヴ、あなたは本当に美しい、しかし愚かだ。
僕をだましてこんな酷いことをさせるなんて!」
「でもアダム、あなたも興味があったら禁断の実を齧ったのでしょう?
それを私のせいにするなんてひどいわ。
二人は婚約者、今までもこれからもずっと一緒なのよ? それなのに……」
「いいや、もう君とは一緒にいられない。
婚約は破棄させてもらう!
もう顔も見たくない、どこか遠くへ行ってくれ!
二度と僕の前に現れないでくれたまえよ!」
こうしてイヴは居場所を失った。これが異世界聖書に記された、人類初の婚約破棄である。
そんな時近くをアダムが通りかかった。
「アダム、アダム、聞こえて?」
「イヴ? イブなのかい? 一体どこにいるんだ。
さっきから見えないから心配して探しているんだよ?」
「ここよ、茂みの中にいるの。
アダムこそ裸のままで恥ずかしくはないの?」
「何を言っているんだい?
僕たちは今までずっと裸だったじゃないか」
「そうだったわ、でも今はとてもそれが恥ずかしいことだと知ってしまったの。
あなたもこの実をひと齧りすればわかるわ」
「それは神に食べてはいけないと言われて約束している木の実じゃないか。
まさかそれを食べてしまったのかい?」
「ええ、これは神と同じように物事の正誤善悪を理解できる実だったのよ。
あなたも食べてみればすぐにわかるわ」
イヴにそう言われたアダムはしばらく考え込んでいました。そして意を決したようにイヴから禁断の実を受け取り一口齧ります。すると――
「これは…… 目の前が明るくなって様なこの気持ち。
まさかこれが理解すると言うことなのか!?
信じられない、今まで知らなかったことがわかり、見えなかったものが見えてくる気分だ」
「アダム、素晴らしいでしょう?
さあ、私たちはこれでもっと理解しあえるわね」
「しかし神との約束を破った僕たちは、この神の国から追い出されてしまうかもしれない。
イヴ、あなたは本当に美しい、しかし愚かだ。
僕をだましてこんな酷いことをさせるなんて!」
「でもアダム、あなたも興味があったら禁断の実を齧ったのでしょう?
それを私のせいにするなんてひどいわ。
二人は婚約者、今までもこれからもずっと一緒なのよ? それなのに……」
「いいや、もう君とは一緒にいられない。
婚約は破棄させてもらう!
もう顔も見たくない、どこか遠くへ行ってくれ!
二度と僕の前に現れないでくれたまえよ!」
こうしてイヴは居場所を失った。これが異世界聖書に記された、人類初の婚約破棄である。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる