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第三章:激しくも長き決戦
18.近づく決戦
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「なぜ姫様はそう無謀なことをなさるのですか!? 御身にもしものことがあったら殿下がどれだけ悲しまれることか…… そのために我々がお守りしているのですからもっと信頼してくださいませ」
「心配をかけてしまい申し訳ありません…… でもどうしても相手の強さを測っておきたくて――」
「でも、ではございませぬ! よろしいですか、今後は絶対に単独での攻撃はおやめください。これは絶対の約束ですからな?」
陣へ戻ったシンデレラは迎撃隊隊長にこってりとしぼられる羽目になっていた。なんといっても本隊のトップであるシンデレラは、今は婚約解消しているとはいえ王子殿下の婚約者候補筆頭のままなのだ。
迎撃隊員たちは騎士団の中から選ばれた精鋭である。つまりは王子直属の臣下であり忠誠心も高い。その隊を率いるシンデレラには、王子が溺愛に近いほど心を寄せていることは周知の事実、その身に代えても無事でいてもらわねば困ると隊員たちが考えて当然だった。
だが彼女にとって幸いだったのはここがいつも訓練していた城ではなく、戦地手前に駐留している陣での出来事だったことだろう。緊迫しているさなか長々と説教している状況ではなく、それよりも今後の作戦を検討することが先決なのである。
「ではこの陣は首都防衛用最前線として騎士団へ引き渡し、我々は半分の位置まで前進して新たに陣を組みましょう。姫様の調べによればその悪魔と呼べる存在は一体のみとのこと」
「わたしもそれが最善かと考えます。今のところ見張っているフタウズさんからの連絡もありません。それこそ先ほどわたしが倒した悪魔も斥候なのかもしれません」
「ですが斥候を倒してしまったとなれば、さらなる戦力を差し向けてくるのではないでしょうか。であれば時間はそれほどないかもしれませぬ。早めに移動するとしましょう」
「そうですね、こちらで騎士団を受け入れるために数名残っていただけますか? それが終わってから前線に合流してください。隊長、人選をお願いします」
シンデレラはそう言うと隊長へ目くばせをした。彼女の合図を受けた隊長はしっかりとうなずき部隊を見回す。そしてもっともらしくあごをなでながら数名の隊員へ待機を命じ、騎士団への引き継ぎ要員とした。
これはいざと言うときが来た時に備え、あらかじめ決めてあったサインである。相手は文献には残されているものの未知の怪物なのだ。おそらく高い確率で危険を伴うだろう。
それだけにシンデレラは、まだ子のいない若い隊員を参加させるべきではないと考えていた。迎撃部隊は精鋭であるためある程度経験を積んだものが中心だが、それでも中にはまだ若くして才能あふれるものもおり、志願した者が含まれているのだ。
こうして不安要素を減らしたシンデレラと迎撃部隊は、意気揚々と最前線への進軍を開始した。決戦の時は近いと誰もが感じその士気は非常に高い。
フタウズが見張りを続けていた地点までやってきた迎撃部隊は、急いで新たな陣を築き始める。今はまだ悪魔の姿がなくともいつ大軍が現れるかわからないのだ。
「隊長、三名ほど連れてともに偵察へ行きましょう。当該地点の様子を知っておくことが必要でしょう? わたしがご案内いたします」
「そういいながら新たな悪魔がいたら攻撃するおつもりなのでしょう? よろしい、お付き合いいたしましょう。できればその役目を我が剣に託していただきたいですがな」
「それもいいですね。隊長自ら戦ってみることで相手の力量が図れるでしょうから悪くない案だとと思います。ただ先ほどわたしが相対した悪魔は本当に大した強さではありませんでした」
「それならそれで好都合です。騎士団員が一対一で戦えるかどうかも重要ですからな。果たしてやつらはどれくらいの数でやってくるのか。しかも一部は空を飛ぶのでしょう? 騎士団の迎撃能力は決して低くありませんが、なにせ相手は未知の化け物ですから油断はできません」
「ただ、悪魔に気を取られ当初の目的を忘れるようなことがあってはいけません。最優先すべきは門の破壊ですからね」
「もちろん忘れてはおりません。悪魔を我々が引き受けられれば、最低でも多少は食い止められれば、あとは姫様が門を壊すだけ。その露払いをお任せいただけるよう精いっぱい剣を振るいましょうぞ!」
隊長の言葉は次第に大きくなっており、周辺の騎士へと伝わった。それが鬨の声を促したようになり、騎士たちはいっせいに雄たけびを上げた。
「心配をかけてしまい申し訳ありません…… でもどうしても相手の強さを測っておきたくて――」
「でも、ではございませぬ! よろしいですか、今後は絶対に単独での攻撃はおやめください。これは絶対の約束ですからな?」
陣へ戻ったシンデレラは迎撃隊隊長にこってりとしぼられる羽目になっていた。なんといっても本隊のトップであるシンデレラは、今は婚約解消しているとはいえ王子殿下の婚約者候補筆頭のままなのだ。
迎撃隊員たちは騎士団の中から選ばれた精鋭である。つまりは王子直属の臣下であり忠誠心も高い。その隊を率いるシンデレラには、王子が溺愛に近いほど心を寄せていることは周知の事実、その身に代えても無事でいてもらわねば困ると隊員たちが考えて当然だった。
だが彼女にとって幸いだったのはここがいつも訓練していた城ではなく、戦地手前に駐留している陣での出来事だったことだろう。緊迫しているさなか長々と説教している状況ではなく、それよりも今後の作戦を検討することが先決なのである。
「ではこの陣は首都防衛用最前線として騎士団へ引き渡し、我々は半分の位置まで前進して新たに陣を組みましょう。姫様の調べによればその悪魔と呼べる存在は一体のみとのこと」
「わたしもそれが最善かと考えます。今のところ見張っているフタウズさんからの連絡もありません。それこそ先ほどわたしが倒した悪魔も斥候なのかもしれません」
「ですが斥候を倒してしまったとなれば、さらなる戦力を差し向けてくるのではないでしょうか。であれば時間はそれほどないかもしれませぬ。早めに移動するとしましょう」
「そうですね、こちらで騎士団を受け入れるために数名残っていただけますか? それが終わってから前線に合流してください。隊長、人選をお願いします」
シンデレラはそう言うと隊長へ目くばせをした。彼女の合図を受けた隊長はしっかりとうなずき部隊を見回す。そしてもっともらしくあごをなでながら数名の隊員へ待機を命じ、騎士団への引き継ぎ要員とした。
これはいざと言うときが来た時に備え、あらかじめ決めてあったサインである。相手は文献には残されているものの未知の怪物なのだ。おそらく高い確率で危険を伴うだろう。
それだけにシンデレラは、まだ子のいない若い隊員を参加させるべきではないと考えていた。迎撃部隊は精鋭であるためある程度経験を積んだものが中心だが、それでも中にはまだ若くして才能あふれるものもおり、志願した者が含まれているのだ。
こうして不安要素を減らしたシンデレラと迎撃部隊は、意気揚々と最前線への進軍を開始した。決戦の時は近いと誰もが感じその士気は非常に高い。
フタウズが見張りを続けていた地点までやってきた迎撃部隊は、急いで新たな陣を築き始める。今はまだ悪魔の姿がなくともいつ大軍が現れるかわからないのだ。
「隊長、三名ほど連れてともに偵察へ行きましょう。当該地点の様子を知っておくことが必要でしょう? わたしがご案内いたします」
「そういいながら新たな悪魔がいたら攻撃するおつもりなのでしょう? よろしい、お付き合いいたしましょう。できればその役目を我が剣に託していただきたいですがな」
「それもいいですね。隊長自ら戦ってみることで相手の力量が図れるでしょうから悪くない案だとと思います。ただ先ほどわたしが相対した悪魔は本当に大した強さではありませんでした」
「それならそれで好都合です。騎士団員が一対一で戦えるかどうかも重要ですからな。果たしてやつらはどれくらいの数でやってくるのか。しかも一部は空を飛ぶのでしょう? 騎士団の迎撃能力は決して低くありませんが、なにせ相手は未知の化け物ですから油断はできません」
「ただ、悪魔に気を取られ当初の目的を忘れるようなことがあってはいけません。最優先すべきは門の破壊ですからね」
「もちろん忘れてはおりません。悪魔を我々が引き受けられれば、最低でも多少は食い止められれば、あとは姫様が門を壊すだけ。その露払いをお任せいただけるよう精いっぱい剣を振るいましょうぞ!」
隊長の言葉は次第に大きくなっており、周辺の騎士へと伝わった。それが鬨の声を促したようになり、騎士たちはいっせいに雄たけびを上げた。
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