異世界からやってきた、自称・王国最強のハラペコ戦士とギャルJKのおかしな同居生活

釈 余白(しやく)

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第三章 明かされる秘密

16.神の力

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 ンダバーに神がいることは知っていたが、こんな頼りない奴だったとは嘆かわしい。やはり信じられるのは全てを産み出す大地が一番だ。だがこいつらの上にさらに上位の神がいるということは、そいつがしっかりしているから世界は何とか成り立っているのかもしれない。

 その頼りなさげな神のマシな方、地球の神が嬉しそうに話し出した。

「よし、続きは僕が説明しよう。
 実はね、転生と言うのは結構頻繁に行われているんだ。
 不慮の事故や事件に巻き込まれて人生半ばで世を去ることになった魂を残すためにね。
 その魂をどこの世界で受け入れるのかはランダムに決められるんだ。
 行き先が決まるまでは統率神の元へ預けられて大切に保管されるの。
 その間に受け入れ側では器の用意をしておいて、どこかの母親に身ごもってもらうのが通例。
 でも今回は突発的に送り込まれたんで用意がなかったってわけ」

「それでこの少年と入れ替わったのか?
 本当の本人はどこへいってしまったのだ?
 まさか俺のために不幸を背負い込んだのではないだろうな?」

「それは大丈夫だよ、その子は大分昔に亡くなってるからね。
 海人って実は僕の友達だったんだけど、そこの川で子供を助けようとして命を落としたの。
 グライブ君の魂が急に送られてきて器がなかったからさ。
 僕の記憶から作り出してそこへ入れたってわけ」

「そうか、それでは俺のせいで悲しい思いをしたものがいるわけではないんだな。
 だが今の話でわからないことがある。
 器を作れるならどこかの母親の腹の中に作れば良かっただろう?」

「そんな簡単にはいかないよ。
 少なくとも夫婦や恋人とかさ、そう言う下地が必要なのはわかるでしょ?
 そういう準備が必要だから時間をかけて受け入れ先を探すんだもの。
 地上に出た魂はほっとくと結構すぐに消えちゃうからね。
 今回も危なかったし、急ぎ過ぎて出現場所が指定できないままだったんだ」

「それでアタシがいた街中に出て来たってことか。
 他の人にぶつかって大事故にならなくて良かったわよ。
 うみんちゅったら信じられないくらい頑丈なんだもん」

 だからそれは俺の固有能力のおかげであって俺が悪いわけじゃない。と言っても通じるはずもないし意味もないのでここは黙って話の続きを聞こう。

「まあそんな感じでこの地球へとやってきたってわけ。
 でも何の準備もないから社会で生きていくには大分不都合があるでしょ。
 例えば戸籍がないことから始まって、親もいないし住むところもない。
 ないないづくしで放り出してどうするつもりだったんだろうね、ンダバーの神はさ」

「ホントにその通り、なんとかしてあげられないの?
 住むところはアタシんちでいいからさ。
 学校へ通うにも住民票? とかいるでしょ?」

「その辺はンダバーの神では管轄外でどうにもできないんだ。
 だから僕が手伝ってあげようかなってでてきたわけ。
 それでね、手近にはちょうどいい物件がなかったから他の神に都合付けてもらったよ。
 西のほうにいる神の直轄神社の分家の遠縁だったかな?
 そこに良さそうな夫婦がいたからそこのうちの子供に出来るよ」

「いや、それは困る。
 俺は姫に忠誠を誓った身、ここを離れるわけにはいかん。
 このままでも別に困ってないしな」

「いやいや、そうは言ってもこれからいくらでも困ることが起きるってば。
 それこそその年でふらふらしてるわけにもいかないし。
 まあうみんちゅがアタシと離れるのが寂しいってのはわかるけどさ!」

「うむ、俺は姫と一緒にいたいと思っているのだ。
 姫の許しが出るならば永遠に一緒にいたいぞ」

 今まで定住と言うものはしたことがなく、死と隣り合わせの日々、明日の食さえ確約されなかった暮らしに比べたら、飯だけでなく屋敷に部屋まで用意してくれることだし、こんな楽で幸せな生活が他にあるはずがない。それにジョアンナは短気だけどうまいものを食わせてくれる大切な存在だ。

「ちょ、ちょっと、うみんちゅったら何言いだしちゃってんのよ。
 そんなにあからさまに媚び売ったってご飯増やすくらいしかしてあげないわよ!」

 まずい、調子に乗り過ぎて怒らせてしまったようだ。ジョアンナは顔を真っ赤にしてムキになっている。だが媚を売っているわけではなく本気で一緒に暮らしたいと思っている。とは言えそこまで強く言い続けることでもないだろう。

「まあその夫婦は結構高齢だから一緒に住まなくていいよ。
 九条君が親類から預かったってことにしておけばいい。
 この間の事故の件とか警察の記録や記憶は消しておくから気にしないで平気だよ」

「なんかもう何でもアリなのね……
 あとは当面困りそうなことってあるかしら。
 そう言えば身分証明に持たせたにしてはあの学生証、古すぎたんじゃない?」

「ああ、あれば僕の記憶の中にあったものがそのまま実体化してしまったんだね。
 あんな手帳あっても仕方ないと思うから別の物にしてしまおうか。
 ちょっと出してみて」

「ああ、アタシが持ってたんだっけ。
 高等小学校なんて初めて聞いたわよ」

「そうだねえ、もうずいぶん昔だもんねぇ。
 じゃあ九条君が持ってるのと同じようなのにすればいいかな。
 ほいっと」

 するとジョアンナが持っていた生徒手帳なるものは、あのスマホというものへと形を変えた。だからと言って使い方もわからないしその価値もわからない。しかしジョアンナは奇声を発するほど驚いていた。

「ちょっとなにこれ!?
 神様ってスマホも作れちゃうわけ?
 なんか微妙に形がおかしいのはセンスの差なのかな?」

「僕ら地球の神同士もこのスマホでやり取りしてるんだ。
 もちろん通話もメッセも出来るし固有能力章も表示できるようにしたよ。
 まあ名前は今風にステータスって表記だけどね」

「ねえこれってどこにも端子がないけど充電はどうするの?
 使い方はアタシのスマホとかわらないっぽいけどさ」

「充電? そんな不便な仕組みは省いてあるよ。
 駆動に必要なエネルギーは、それこそ君たちが八百万って呼んでる自然から受け取れるしね。
 ちなみに霊体で作られてるからいくら叩きつけても壊れたりしないよ。
 あと通信は神々のネットワークから人間界の物へ接続してるからいくら使ってもタダさ。
 でも京都にいる通信の神から離れると使えなくなるから日本国内専用だと思ってね」

「なんかすごすぎなんですけどー
 羨ましいんですけどー
 ねえ神様ぁ? アタシも同じのにしてよ。
 形は変えないで中身だけ、ね?」

「うーん、まあ今後も海人のことで面倒かけると思うから特例だよ?
 でも形は同じのしかできないんだ。
 だから欲しならそこは我慢してもらわないとだね」

「わかったわかった、形は諦めてカバーでもつけるからさ。
 パケ代掛からなくて充電いらないとかマジで神、いや本当に神様だったね。
 あとは? ねえ他には何か貰えないの?」

「ホント人間って欲深いよねぇ。
 しかも利益が見込める時だけ神頼みだもん、飽きれちゃうよ」

「そんなことないから、今度から家に神棚置くからさ。
 アタシにもなんか能力ちょうだいよ。
 うみんちゅみたいにすごいやつじゃなくていいからダイエットとか」

「うーん、あんまり欲張らないで今持ってるので十分じゃない?
 今渡したスマホに入ってるステータス見てみてよ」

「えっと、スキルってやつ?
 剛体、怪力、迅雷って書いてあるよ?」

「おお、それは俺の能力のことだな?
 ちゃんと表示されてるなら一安心だ。
 しかもこれで通話が出来て手紙もおくれるのだろう?
 地球の神は凄いじゃないか」

 そういうと地球の神の後ろでいじけていたンダバーの神はますますへそをまげ完全に後ろを向いてしまった。しかし本当に役立たずなのだから仕方がない、と喉まで出かかったが、死体を足蹴にするような真似だと思いとどまり、俺は言葉を飲みこんだ。
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