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第五章 学園入学
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お互いの境遇を語り合った日から大分経ち、特に代わり映えがなく退屈な日々を過ごしていた。日々うまいものを求めて図書館で勉強し、料理のレパートリーも広がっている。まあ毎回うまく作れているわけではないのだが。
ジョアンナは相変わらずパパ活とやらへ出かけることが有り、その度に俺はつかず離れずでついていった。あれ以来ヨージは見ていないしもう一人、名も知らぬ男も大人しいままでなによりだ。
「今日もお疲れさま。
あれ以来何事もなさ過ぎて退屈してるんじゃない?」
「そんなことはないぞ。
最近はスマホで時間を潰すことも覚えたしな。
それで晩飯なのだが、このピザと言うのは家でも作れるものなのか?
似たようなものは食べたことあるが、チーズがこんなに伸びるとは思えん」
「本格的なのを家で作るのはちょっと難しいかなぁ。
でもほぼ出来上がってて後は焼くだけっていうのが売ってるわよ?
それでいいなら買っていこっか」
こうしてスマホに飛び込んできたピザ屋のクーポンとやらに心奪われた俺は、ジョアンナに言われた通り買い物を進めて行く。ついでに今日はサラダが食べたいと駄々をこねたジョアンナと交渉の結果、プリンを買ってもらうことに成功し、ウキウキで家路につく。
「プリンひとつでそんなに喜ぶなんてね。
そうしてると屈強な最強戦士にはとても見えないわ。
甘いものばかり食べてると太るわよ?」
「ちゃんと鍛錬もしているから問題ない。
だがこの体は貧弱すぎて成果が見られないのが残念だ」
「男の子は華奢なくらいがかわいくていいのよ。
ムキムキマッチョじゃモテないんだからね。
あ、いけない! さっき連絡来てたんだった!」
「連絡、だと?
なんだか嫌な予感がするのだが?
まさか晩飯が抜きになるようなことはないだろうな?」
「えっとね…… 無くなりはしないんだけどねえ。
ちょっとだけ遅くなるかもしれない、ちょっとだけ…… ね……」
話を聞くとどうやらこの間の弁護士がまた来るらしく、また長々と話をするのだろう。俺はがっくりとうなだれながらも必要なことで仕方ないと自分へ言い聞かせた。
◇◇◇
「おおお! これがピザか!
もう食べて食べていいのか?」
「どうぞどうぞ、話をしながらになって申し訳ない。
沢山注文しましたから余ったら冷凍しておくといつでも食べられますよ。
実はうちの冷凍庫にもピザがいっぱい入ってるんです」
「弁護士さんなんてもっといい暮らしするものかと思ってたのに。
宅配ピザが好きだなんて意外でした」
「いいえ、こちらこそいつも食事時に来てしまって申し訳ありません。
他の仕事の都合もあってどうしても遅くなってしまうんです。
それで入学手続きは全て済みましたので週明けの月曜日に参りましょう。
私が保護者代理で同行いたします」
小難しい話は二人に任せておいて、俺は弁護士の八柱が取り寄せてくれたピザを頬張りはじめていた。元の世界のチーズとは違ってこんなに伸びるとは、なんて面白い食べ物なんだろうか。味はまあ相変わらず薬品ぽいが大分慣れて来て気にはならない。
食べている途中で話を聞いているかと何度か突っつかれたが、そんなの聞かれるまでもなく聞いていない。こっちは腹を満たすことで忙しいのだ、無理を言わないでほしい。
すっかり満腹になったころ話は無事に終わり、八柱弁護士は当日の朝には迎えにやってくると言い残して帰っていった。初めて見た時から思っていたが、こんなに大きなピザをいくつもご馳走してくれるなんてとてもいいやつだ。これなら何度来てくれても大歓迎である。
「それにしてもすごいわね。
Lサイズを一人で食べきる人なんてめったにいないわよ。
それでも大分余っちゃうから言われたように冷凍しておくわね。
お腹がすいたら温めてすぐ食べられるんだから嬉しいでしょ」
「うむ、氷結魔法には色々と便利な使い方があるもんだな。
コーラやプリンも保管しておいたらどうだ?」
「なんでも入れておけばいいってもんじゃないの。
炭酸やプリンみたいに柔らかいものは食感が変わっちゃうわよ?」
「なるほど、魔法とて万能ではないもんな。
それではプリンは今食ってしまうことにしよう」
馬や牛のように細切れの草をもぞもぞと食っているジョアンナを横目に、俺はとっておきのプリンを開封しその舌触りと甘さを堪能した。
それにしてもいよいよ学校へ通うのか。事前に大分下調べはしていたが実際に中まで入るのは初めてである。ジョアンナからはくれぐれも力を加減して出しすぎないように、と言い聞かされすぎて夢でうなされる始末である。
ほかにも話し方はもっと柔らかくだの、女の子しかいないから絶対に突然脱ぐような真似をするなとか当たり前のことばかり注意されている。いったい俺をなんだと思っているのか。同じ過ちをそう何度も繰り返すはずがないのだ。
あとは学校内では姫と呼ばないこととかパパ活のことを口に出すなとか、それとジョアンナとの関係は遠縁の親類と言うことになってるので間違えて臣下だとか言い出さないようにとか、とにかく口うるさくあれこれと言われながら過ごしているうちに週末も過ぎて月曜日がやってきた。
◇◇◇
「それでは参りましょうか。
お、制服も似合ってますね。
持って帰るものも多いですからカバンも忘れずに。
筆記用具は入れましたか?」
「うむ、問題ない。
すべて姫、いやジョアンナが準備してくれたからな。
それに始めて行く場所でもないのに心配しすぎだ」
「生意気言うんじゃないの!
せっかくついて来てくれるんだから感謝しなさいっての!」
俺は背後からカバンではたかれながら、初めての通学に向けて歩き始めた。
ジョアンナは相変わらずパパ活とやらへ出かけることが有り、その度に俺はつかず離れずでついていった。あれ以来ヨージは見ていないしもう一人、名も知らぬ男も大人しいままでなによりだ。
「今日もお疲れさま。
あれ以来何事もなさ過ぎて退屈してるんじゃない?」
「そんなことはないぞ。
最近はスマホで時間を潰すことも覚えたしな。
それで晩飯なのだが、このピザと言うのは家でも作れるものなのか?
似たようなものは食べたことあるが、チーズがこんなに伸びるとは思えん」
「本格的なのを家で作るのはちょっと難しいかなぁ。
でもほぼ出来上がってて後は焼くだけっていうのが売ってるわよ?
それでいいなら買っていこっか」
こうしてスマホに飛び込んできたピザ屋のクーポンとやらに心奪われた俺は、ジョアンナに言われた通り買い物を進めて行く。ついでに今日はサラダが食べたいと駄々をこねたジョアンナと交渉の結果、プリンを買ってもらうことに成功し、ウキウキで家路につく。
「プリンひとつでそんなに喜ぶなんてね。
そうしてると屈強な最強戦士にはとても見えないわ。
甘いものばかり食べてると太るわよ?」
「ちゃんと鍛錬もしているから問題ない。
だがこの体は貧弱すぎて成果が見られないのが残念だ」
「男の子は華奢なくらいがかわいくていいのよ。
ムキムキマッチョじゃモテないんだからね。
あ、いけない! さっき連絡来てたんだった!」
「連絡、だと?
なんだか嫌な予感がするのだが?
まさか晩飯が抜きになるようなことはないだろうな?」
「えっとね…… 無くなりはしないんだけどねえ。
ちょっとだけ遅くなるかもしれない、ちょっとだけ…… ね……」
話を聞くとどうやらこの間の弁護士がまた来るらしく、また長々と話をするのだろう。俺はがっくりとうなだれながらも必要なことで仕方ないと自分へ言い聞かせた。
◇◇◇
「おおお! これがピザか!
もう食べて食べていいのか?」
「どうぞどうぞ、話をしながらになって申し訳ない。
沢山注文しましたから余ったら冷凍しておくといつでも食べられますよ。
実はうちの冷凍庫にもピザがいっぱい入ってるんです」
「弁護士さんなんてもっといい暮らしするものかと思ってたのに。
宅配ピザが好きだなんて意外でした」
「いいえ、こちらこそいつも食事時に来てしまって申し訳ありません。
他の仕事の都合もあってどうしても遅くなってしまうんです。
それで入学手続きは全て済みましたので週明けの月曜日に参りましょう。
私が保護者代理で同行いたします」
小難しい話は二人に任せておいて、俺は弁護士の八柱が取り寄せてくれたピザを頬張りはじめていた。元の世界のチーズとは違ってこんなに伸びるとは、なんて面白い食べ物なんだろうか。味はまあ相変わらず薬品ぽいが大分慣れて来て気にはならない。
食べている途中で話を聞いているかと何度か突っつかれたが、そんなの聞かれるまでもなく聞いていない。こっちは腹を満たすことで忙しいのだ、無理を言わないでほしい。
すっかり満腹になったころ話は無事に終わり、八柱弁護士は当日の朝には迎えにやってくると言い残して帰っていった。初めて見た時から思っていたが、こんなに大きなピザをいくつもご馳走してくれるなんてとてもいいやつだ。これなら何度来てくれても大歓迎である。
「それにしてもすごいわね。
Lサイズを一人で食べきる人なんてめったにいないわよ。
それでも大分余っちゃうから言われたように冷凍しておくわね。
お腹がすいたら温めてすぐ食べられるんだから嬉しいでしょ」
「うむ、氷結魔法には色々と便利な使い方があるもんだな。
コーラやプリンも保管しておいたらどうだ?」
「なんでも入れておけばいいってもんじゃないの。
炭酸やプリンみたいに柔らかいものは食感が変わっちゃうわよ?」
「なるほど、魔法とて万能ではないもんな。
それではプリンは今食ってしまうことにしよう」
馬や牛のように細切れの草をもぞもぞと食っているジョアンナを横目に、俺はとっておきのプリンを開封しその舌触りと甘さを堪能した。
それにしてもいよいよ学校へ通うのか。事前に大分下調べはしていたが実際に中まで入るのは初めてである。ジョアンナからはくれぐれも力を加減して出しすぎないように、と言い聞かされすぎて夢でうなされる始末である。
ほかにも話し方はもっと柔らかくだの、女の子しかいないから絶対に突然脱ぐような真似をするなとか当たり前のことばかり注意されている。いったい俺をなんだと思っているのか。同じ過ちをそう何度も繰り返すはずがないのだ。
あとは学校内では姫と呼ばないこととかパパ活のことを口に出すなとか、それとジョアンナとの関係は遠縁の親類と言うことになってるので間違えて臣下だとか言い出さないようにとか、とにかく口うるさくあれこれと言われながら過ごしているうちに週末も過ぎて月曜日がやってきた。
◇◇◇
「それでは参りましょうか。
お、制服も似合ってますね。
持って帰るものも多いですからカバンも忘れずに。
筆記用具は入れましたか?」
「うむ、問題ない。
すべて姫、いやジョアンナが準備してくれたからな。
それに始めて行く場所でもないのに心配しすぎだ」
「生意気言うんじゃないの!
せっかくついて来てくれるんだから感謝しなさいっての!」
俺は背後からカバンではたかれながら、初めての通学に向けて歩き始めた。
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