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4.もふもふの王女
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声は聞こえるけど姿は見えない。そんな相手と会話が成立するんだろうか。僕はあみぐるみのネコたちに囲まれながらあたりをきょろきょろと見回していた。しかしぬいぐるみたちの他に人の姿はない。
『そのまま動物たちの間を抜けて丘を登ってください。
私はその先でお待ちしています』
「わかったよ、そこに行けば君の正体が分かるんだね?
もしかして君もぬいぐるみとかなの?」
『ふふふ、ここまで来てくれればわかりますよ。
そこで全てをお話します』
僕は釈然としないまま言われた通りに丘を登る。頂上の手前まで来ると視界に大きな建物が入ってきた。これはもしかしてお城なのか? そこにはピンクや水色、イエローなどでパステル調に彩られた城があり、周囲はデコボコした植え込みに色とりどりの花のような模様がついたブロックが並んでいた。
「これって僕も持ってるゲームのクラフトワールドとよく似てるなぁ。
でもデザインはちょっと違うみたい。
周りにいる動物はぬいぐるみだし、ここはいったいどういう世界なんだろう」
ネコたちと整列しながら中庭を進みブロック状のアーチをくぐっていく。近くから見ると城もブロックの集合体でますますゲームの中にいるようだった。
『そのまま奥の広間までお進みください。
ネコたちが案内してくれますからね』
いまだに姿を現さない声の主に従いネコに続いて城の中を進む。すると高い天井の大広間へと出た。何もなくひたすらに広く高いその部屋は大広間の名にふさわしい。
正面には小さな玉座が一つだけあったが誰も座っていない。ここまでくれば声の主がいるはずだと考えていたのに期待外れもいいところである。
ちょうど部屋の真ん中あたりにイスが現れ、ネコたちがそれを差して『にゃにゃ』と鳴きだしたのでおそらく座れと言うことだろう。僕は頷いてからブロックのように固そうな椅子へと腰を下ろした。しかしそれは意外にも柔らかくてぬいぐるみのような感触だった。
「さあ、言われた通りここまでやってきたよ。
さっきから僕に話しかけている君はどこにいるの?
一体誰で何の用があるのさ」
「わざわざ来てくださってありがとうございます。
私の名はマルカーヤ、このもふもふの国の王女です」
目の前からはっきりとした声が聞こえたその瞬間、玉座にはいつの間にか女の子が座っていて王女と名乗った。王女と言っても年齢は僕とさほど変わらなそうである。
王女はパッと見たところ人間のようだったが、着ているのはまるでぬいぐるみのようにもふもふした白いドレスで黄色い花がちりばめられていた。
「君がこの国の王女なの?
えっと…… 人間、なのかな?」
「人間と言えばそうですが、この国の人間はそちらの世界で言うところのぬいぐるみですね。
ですから私もぬいぐるみということになると思います。
でも見た目はそれほど変わりませんよね?」
「確かに着ているものを除けば大差ないように見えるね。
ネコとか他の動物はまるっきりぬいぐるみなのが不思議なくらいさ」
「ええ、実はこの国の人たちはとある事情ですべてぬいぐるみになってしまいました。
本来であれば人型とぬいぐるみ型とを好きに変えられるのですが……
王女である私は元々この姿でしかいられませんけどね」
「じゃあこのネコたちも僕が作ったあみぐるみに似ているだけでこの国の人たちなの?
それにしてはそっくりすぎるんだけどなぁ」
「そのネコちゃんたちはナオ君が一生懸命作ってくれたあみぐるみですよ
そしてこの世界の救世主なのです」
「ええっ!? それはどういうこと?
こんなにのんびりで平和そうな国を救う必要なんてある!?」
「実はもふもふの国は今滅亡の危機に瀕しているのです。
その窮地を救っていただくためにナオ君の力をぜひお借りしたいの!」
突然国を救ってくれだなんて言われて戸惑った僕は、考え込むと言うよりも驚き焦って言葉を失った。
『そのまま動物たちの間を抜けて丘を登ってください。
私はその先でお待ちしています』
「わかったよ、そこに行けば君の正体が分かるんだね?
もしかして君もぬいぐるみとかなの?」
『ふふふ、ここまで来てくれればわかりますよ。
そこで全てをお話します』
僕は釈然としないまま言われた通りに丘を登る。頂上の手前まで来ると視界に大きな建物が入ってきた。これはもしかしてお城なのか? そこにはピンクや水色、イエローなどでパステル調に彩られた城があり、周囲はデコボコした植え込みに色とりどりの花のような模様がついたブロックが並んでいた。
「これって僕も持ってるゲームのクラフトワールドとよく似てるなぁ。
でもデザインはちょっと違うみたい。
周りにいる動物はぬいぐるみだし、ここはいったいどういう世界なんだろう」
ネコたちと整列しながら中庭を進みブロック状のアーチをくぐっていく。近くから見ると城もブロックの集合体でますますゲームの中にいるようだった。
『そのまま奥の広間までお進みください。
ネコたちが案内してくれますからね』
いまだに姿を現さない声の主に従いネコに続いて城の中を進む。すると高い天井の大広間へと出た。何もなくひたすらに広く高いその部屋は大広間の名にふさわしい。
正面には小さな玉座が一つだけあったが誰も座っていない。ここまでくれば声の主がいるはずだと考えていたのに期待外れもいいところである。
ちょうど部屋の真ん中あたりにイスが現れ、ネコたちがそれを差して『にゃにゃ』と鳴きだしたのでおそらく座れと言うことだろう。僕は頷いてからブロックのように固そうな椅子へと腰を下ろした。しかしそれは意外にも柔らかくてぬいぐるみのような感触だった。
「さあ、言われた通りここまでやってきたよ。
さっきから僕に話しかけている君はどこにいるの?
一体誰で何の用があるのさ」
「わざわざ来てくださってありがとうございます。
私の名はマルカーヤ、このもふもふの国の王女です」
目の前からはっきりとした声が聞こえたその瞬間、玉座にはいつの間にか女の子が座っていて王女と名乗った。王女と言っても年齢は僕とさほど変わらなそうである。
王女はパッと見たところ人間のようだったが、着ているのはまるでぬいぐるみのようにもふもふした白いドレスで黄色い花がちりばめられていた。
「君がこの国の王女なの?
えっと…… 人間、なのかな?」
「人間と言えばそうですが、この国の人間はそちらの世界で言うところのぬいぐるみですね。
ですから私もぬいぐるみということになると思います。
でも見た目はそれほど変わりませんよね?」
「確かに着ているものを除けば大差ないように見えるね。
ネコとか他の動物はまるっきりぬいぐるみなのが不思議なくらいさ」
「ええ、実はこの国の人たちはとある事情ですべてぬいぐるみになってしまいました。
本来であれば人型とぬいぐるみ型とを好きに変えられるのですが……
王女である私は元々この姿でしかいられませんけどね」
「じゃあこのネコたちも僕が作ったあみぐるみに似ているだけでこの国の人たちなの?
それにしてはそっくりすぎるんだけどなぁ」
「そのネコちゃんたちはナオ君が一生懸命作ってくれたあみぐるみですよ
そしてこの世界の救世主なのです」
「ええっ!? それはどういうこと?
こんなにのんびりで平和そうな国を救う必要なんてある!?」
「実はもふもふの国は今滅亡の危機に瀕しているのです。
その窮地を救っていただくためにナオ君の力をぜひお借りしたいの!」
突然国を救ってくれだなんて言われて戸惑った僕は、考え込むと言うよりも驚き焦って言葉を失った。
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