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第四章 目指せ!フランチャイズで左団扇編
62.逆恨み節
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「だからよ! アタシがすぐにヒール掛けたのが良かったんだよ!
なんつーか判断力? 冷静だったのはあたしだけだからな!
ミーヤは泣いてるだけだし、レナージュはガタガタ震えてたしな!」
いやまあ言っていることはあっているのだがいまいち納得しがたい。イライザだって決して平常心ではなかった。ただ、あの状況下でまともな行動をしていたのがイライザだけだったのは確かだ。
だから当然感謝はしている。しているけど…… さっきまであんなに落ち込んでいたのに、酒が入ったらもうこれだ。心配して損した、とむくれてみる。
「ミーヤあ、まあ飲めよ!
みんな無事に帰ってこられて良かったよな!
また行こうぜ!」
「イライザご機嫌
ちょっとうるさい」
「そうよね、チカマが退院したら急に元気になっておかしいよねー
イライザったら変なのー」
「細けえこたあいいんだよ!
今が楽しきゃそれでいいのさ」
まあとにかく全員が生きて帰ってこられたのは本当に良かった。あの黒い大きな奴が降りて来たら、全員あの世行きだったのは間違いない。あの怪物? についてローメンデル卿なら何か知っているだろうか。まさかあの人は倒したことがあるのだろうか。
「イライザ、もういい加減にしなさいよ!
ミーヤはあんなに落ち込んでいたあなたのこと、ものすごく心配してたんだからね」
「いやあ、悪かったな、それはもちろんわかってるさ。
でもチカマが完全に元気になったの見たら安心しちまってよ。
もう飲んだくれたくて仕方ないってわけだ」
わかってやっているならもう何も言うまい。みんなのことを心配してくれていたのは確かだし、旅の最中も頼り切っていたのはミーヤたちなのだから。
「ちょっとアンタたち? 帰ってきたばかりで疲れてるだろうけどね。
少しでいいから手伝っておくれよ。
もう! 神人様のせいで忙しいったらありゃしない」
その原因と言うか要因は、確かにミーヤにあるようなものなのだけど、そのおかげで忙しくなって儲かってる人から言われるのは納得しがたい。
「まあ運ぶだけなら少しくらい手伝ってもいいけど……
ちゃんと賃金は貰うわよ?」
レナージュはホントお金に細かい。この間の……
「あっ! レナージュ! 分配分配!
いくらくらいせしめたのよ?」
「ああ、明日冒険者組合へ魔鉱を売りに行くでしょ?
そこでまた依頼料はいるから、その後でいいかなって思ってた。
金額はお楽しみってことで、期待しておいてよ?」
どうやら相当な額が入ってきているらしい。レナージュの表情でそれは丸わかりだ。まあでもお金がすべではないし、仕方ないから今は目の前で困っている人を助けることにしよう。
「助かるよ、神人様、おちびちゃんには料理を運んでもらおうかね。
あっちの酔っ払い二人は使い物にならないから、樽を持たせて部屋に行っててもらおうか。
神人様は早くこっちへ来てマヨネーズ作っておくれよ、もう足りなくなりそうなんだ」
「わかったわ、ホントここはお客使いの荒い酒場ね。
チカマ、これを奥のテーブルへ運んであげてね、途中で食べちゃダメよ?」
「ボクそんなに食いしん坊じゃない。
ミーヤさまが作ったなら食べちゃうけど」
「ふふ、いい子ね、後で作ってあげるから今は頑張って働いてちょうだいな。
おばちゃん? 次ができるわよ、どこへ運べばいいの?」
おばちゃんはもうどこで注文を受けたのか覚えていないらしい。とりあえず奥から順番に運んでみたが、他のテーブルからこっちが先だ、いやこっちだと怒号が飛び交う。
「ねえ、今番号札作るから次からそれを持たせてちょうだいよ。
注文は叫ぶんじゃなくてここまで来てもらうこと」
「まーたおかしなこと考えたねえ。
それでどうしようってのさ」
「注文を受けた時に番号札を渡すのよ。
半券はここへ置いて、注文と一緒に置いておくの。
出来上がったら番号を呼んで取りに来てもらえば運ばなくていいのよ?」
「ここに粘土板があるから注文を書いとけばいいかね?」
「そうね、バッチリだわ!」
これはフードコートでよく使われてる手法だ。この世界でも役に立ちそうだけど、野外食堂ならもっと効果があるだろう。酒場だと一杯ずつ、一品ずつ清算してもらうアイリッシュバーみたいなキャッシュオンのほうがあっているかもしれない。
いやいや、自分の店でもないのにあれこれ考えすぎるのは悪い癖だ。今まで人の役に立った経験が少なすぎて、いざ役に立つと思うと試したくなって仕方ない。これってもしかしてちやほやされたいのだろうか。承認欲求的な考えでミーヤのことを見てもらいたいとでも考えているのか?
しかしそんなことを考えている暇もなく、注文がどんどん入ってくる。木片で十番までの番号札を作ったはずなのにもう無くなってしまった。夫婦二人でこれを捌くのはもう無理だろう。
「おばちゃん、もう捌ききれないから従業員雇った方がいいよ。
賃金の代わりにご飯食べさせるだけでも集まるんじゃない?」
「なるほどねえ、それも悪くないかもしれないね。
とにかく忙しくて目が回りそうだよ」
「ボクもお腹すいた。
何か食べるまでもう働かない」
ここでチカマが音を上げて脱落を宣言する。でも番号札制にしてからは、忙しさも少し収まってきた。さてと賄(まかない)を作るとしますか。
この間は材料が足りなくて作れなかったけど、ここならなんでもそろっている。さっそく調理を始めよう。まずはパンを羊の乳でふやかして―― 玉ねぎのみじん切りは、あめ色まで炒めてから入れた方が甘みが出て好みだ。生のままだと肉汁と水分が合わさってジューシーになるからどちらがいいかは人それぞれだろう。
次に卵を加えてから良くこねて、大きさは手のひらくらいで楕円形に成型する。チカマはいっぱい食べそうだから二個用意しておこう。オーブンへ入れる前にフライパンで両面を焼いて焼き目をつけておくと仕上がりが早い。あとは浅い鍋をかぶせて焦げないようにしてからオーブンで焼き上げたら――
なにかよくわからない肉を粗挽きにした合挽きハンバーグの完成!
「うわあ、これこの間のとちょっと違う?
おいしそうだね、ミーヤさま」
「ちょっとアンタ! なに勝手に新メニュー作ってるんだい?
それを覚えるアタシの身にもなっておくれよ!?」
いやいや、別におばちゃんは覚えなくていいから…… と言っても、後で何時間も付き合わされるのは目に見えている…… ちょっと失敗したかも、と思ったが、チカマが満面の笑みで頬張っているのを見ると、やっぱり作ってよかったと感じるのだ。
「んうんむわー! これ中にチーズ入ってた!
ミーヤさま! すごくおいしいよ!」
「気に入ってくれたなら良かったわ。
チカマに喜んでもらえたなら、作った甲斐があったってものね」
「いやあ、これもウンマイねえ。
肉を細かく刻んでるのかい。
随分手間がかかるから店では出していらんないね、こりゃ」
セーフ! ミーヤは心の中で目一杯のガッツポーズをしたのだった。
なんつーか判断力? 冷静だったのはあたしだけだからな!
ミーヤは泣いてるだけだし、レナージュはガタガタ震えてたしな!」
いやまあ言っていることはあっているのだがいまいち納得しがたい。イライザだって決して平常心ではなかった。ただ、あの状況下でまともな行動をしていたのがイライザだけだったのは確かだ。
だから当然感謝はしている。しているけど…… さっきまであんなに落ち込んでいたのに、酒が入ったらもうこれだ。心配して損した、とむくれてみる。
「ミーヤあ、まあ飲めよ!
みんな無事に帰ってこられて良かったよな!
また行こうぜ!」
「イライザご機嫌
ちょっとうるさい」
「そうよね、チカマが退院したら急に元気になっておかしいよねー
イライザったら変なのー」
「細けえこたあいいんだよ!
今が楽しきゃそれでいいのさ」
まあとにかく全員が生きて帰ってこられたのは本当に良かった。あの黒い大きな奴が降りて来たら、全員あの世行きだったのは間違いない。あの怪物? についてローメンデル卿なら何か知っているだろうか。まさかあの人は倒したことがあるのだろうか。
「イライザ、もういい加減にしなさいよ!
ミーヤはあんなに落ち込んでいたあなたのこと、ものすごく心配してたんだからね」
「いやあ、悪かったな、それはもちろんわかってるさ。
でもチカマが完全に元気になったの見たら安心しちまってよ。
もう飲んだくれたくて仕方ないってわけだ」
わかってやっているならもう何も言うまい。みんなのことを心配してくれていたのは確かだし、旅の最中も頼り切っていたのはミーヤたちなのだから。
「ちょっとアンタたち? 帰ってきたばかりで疲れてるだろうけどね。
少しでいいから手伝っておくれよ。
もう! 神人様のせいで忙しいったらありゃしない」
その原因と言うか要因は、確かにミーヤにあるようなものなのだけど、そのおかげで忙しくなって儲かってる人から言われるのは納得しがたい。
「まあ運ぶだけなら少しくらい手伝ってもいいけど……
ちゃんと賃金は貰うわよ?」
レナージュはホントお金に細かい。この間の……
「あっ! レナージュ! 分配分配!
いくらくらいせしめたのよ?」
「ああ、明日冒険者組合へ魔鉱を売りに行くでしょ?
そこでまた依頼料はいるから、その後でいいかなって思ってた。
金額はお楽しみってことで、期待しておいてよ?」
どうやら相当な額が入ってきているらしい。レナージュの表情でそれは丸わかりだ。まあでもお金がすべではないし、仕方ないから今は目の前で困っている人を助けることにしよう。
「助かるよ、神人様、おちびちゃんには料理を運んでもらおうかね。
あっちの酔っ払い二人は使い物にならないから、樽を持たせて部屋に行っててもらおうか。
神人様は早くこっちへ来てマヨネーズ作っておくれよ、もう足りなくなりそうなんだ」
「わかったわ、ホントここはお客使いの荒い酒場ね。
チカマ、これを奥のテーブルへ運んであげてね、途中で食べちゃダメよ?」
「ボクそんなに食いしん坊じゃない。
ミーヤさまが作ったなら食べちゃうけど」
「ふふ、いい子ね、後で作ってあげるから今は頑張って働いてちょうだいな。
おばちゃん? 次ができるわよ、どこへ運べばいいの?」
おばちゃんはもうどこで注文を受けたのか覚えていないらしい。とりあえず奥から順番に運んでみたが、他のテーブルからこっちが先だ、いやこっちだと怒号が飛び交う。
「ねえ、今番号札作るから次からそれを持たせてちょうだいよ。
注文は叫ぶんじゃなくてここまで来てもらうこと」
「まーたおかしなこと考えたねえ。
それでどうしようってのさ」
「注文を受けた時に番号札を渡すのよ。
半券はここへ置いて、注文と一緒に置いておくの。
出来上がったら番号を呼んで取りに来てもらえば運ばなくていいのよ?」
「ここに粘土板があるから注文を書いとけばいいかね?」
「そうね、バッチリだわ!」
これはフードコートでよく使われてる手法だ。この世界でも役に立ちそうだけど、野外食堂ならもっと効果があるだろう。酒場だと一杯ずつ、一品ずつ清算してもらうアイリッシュバーみたいなキャッシュオンのほうがあっているかもしれない。
いやいや、自分の店でもないのにあれこれ考えすぎるのは悪い癖だ。今まで人の役に立った経験が少なすぎて、いざ役に立つと思うと試したくなって仕方ない。これってもしかしてちやほやされたいのだろうか。承認欲求的な考えでミーヤのことを見てもらいたいとでも考えているのか?
しかしそんなことを考えている暇もなく、注文がどんどん入ってくる。木片で十番までの番号札を作ったはずなのにもう無くなってしまった。夫婦二人でこれを捌くのはもう無理だろう。
「おばちゃん、もう捌ききれないから従業員雇った方がいいよ。
賃金の代わりにご飯食べさせるだけでも集まるんじゃない?」
「なるほどねえ、それも悪くないかもしれないね。
とにかく忙しくて目が回りそうだよ」
「ボクもお腹すいた。
何か食べるまでもう働かない」
ここでチカマが音を上げて脱落を宣言する。でも番号札制にしてからは、忙しさも少し収まってきた。さてと賄(まかない)を作るとしますか。
この間は材料が足りなくて作れなかったけど、ここならなんでもそろっている。さっそく調理を始めよう。まずはパンを羊の乳でふやかして―― 玉ねぎのみじん切りは、あめ色まで炒めてから入れた方が甘みが出て好みだ。生のままだと肉汁と水分が合わさってジューシーになるからどちらがいいかは人それぞれだろう。
次に卵を加えてから良くこねて、大きさは手のひらくらいで楕円形に成型する。チカマはいっぱい食べそうだから二個用意しておこう。オーブンへ入れる前にフライパンで両面を焼いて焼き目をつけておくと仕上がりが早い。あとは浅い鍋をかぶせて焦げないようにしてからオーブンで焼き上げたら――
なにかよくわからない肉を粗挽きにした合挽きハンバーグの完成!
「うわあ、これこの間のとちょっと違う?
おいしそうだね、ミーヤさま」
「ちょっとアンタ! なに勝手に新メニュー作ってるんだい?
それを覚えるアタシの身にもなっておくれよ!?」
いやいや、別におばちゃんは覚えなくていいから…… と言っても、後で何時間も付き合わされるのは目に見えている…… ちょっと失敗したかも、と思ったが、チカマが満面の笑みで頬張っているのを見ると、やっぱり作ってよかったと感じるのだ。
「んうんむわー! これ中にチーズ入ってた!
ミーヤさま! すごくおいしいよ!」
「気に入ってくれたなら良かったわ。
チカマに喜んでもらえたなら、作った甲斐があったってものね」
「いやあ、これもウンマイねえ。
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随分手間がかかるから店では出していらんないね、こりゃ」
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