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第四章 目指せ!フランチャイズで左団扇編
75.飴玉の秘密
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レナージュを待つ間、ミーヤは串焼きを焼いていた。レモネードはすでに全員分出しており、ハルにも味見をしてもらっていた。
「これ、おいしいですね……
ずっぱいのに甘い、やさしい味です……」
「じゃあそんな暗そうに飲まなくてもいいじゃない。
出してくれたミーヤに失礼だわ!」
「ミーヤさま、おかわりほしい。
あとお肉まだあ?」
今まで面倒な話をしている間は存在感の無かったチカマだが、串焼き肉を焼きだしたら突然目覚めて催促まで始めた。きっと嵐が過ぎるのを待っていたのだろう。もうすぐレナージュも来るだろうし、少し多めに焼いておくかと次の準備をしているとイライザも一緒にやってきた。
「やあこれはいいところに来たみたいだな。
うまそうな香りが外まで漂ってるぜ。
酒はあるのか?」
「うちにはお酒なんて無いわよ!
次の店では出す予定だけど、開店できるかまだわからないわ」
「この香り、酒場のと似てるわね。
照り焼きかしら?」
「すごいわね、レナージュ、よくわかったじゃないの。
まさかそれくらい注文入ってるの?」
「あれからまたすごい人気で毎日満席よ?
ミーヤのせいで私まで手伝いさせられて困ってるんだからね。
そんなことよりわざわざ呼び出すなんて何があったの、フルル?」
「急に呼びつけて悪かったわね。
この娘についてちょっと聞きたいことがあったのよ」
フルルはアレコレと説明する前にハルを指さした。
「その呪いのエルフがどうかしたの?
フルルのお友達?」
「ちょっとまって、今なんて?」
「お友達か聞いたんだけど?」
「違う、いや友達なのは違ってないけどそうじゃないわ。
呪いのエルフって言った?」
「ええそうよ、緑の髪は呪いのエルフって昔から言うのよ。
知らなかった? エルフの間でしか言わないのかしら」
レナージュとフルルの会話を聞いていたミーヤは卒倒しそうだった。それどころかハルはすでに椅子から転げ落ちて気絶寸前だ……
「やっぱり私…… 呪われてるんだ……」
「そうよ? そんなのエルフ、しかも緑髪の当人なのに知らなかったの?
だから街にいるんでしょ?」
「えっ? どういうこと……?」
「緑の髪は森に入ると周囲と同化してしまうのよ。
だから一緒に狩りへ行くと間違えて射られてしまうことがあるわ。
そのことを昔から呪いって言っていたんだってさ。
街に住んでれば狩りとは無縁だから気にしなくて済むけどね」
なんと! 聞いてしまえばたわいもない単純な話だった。つまりジスコへ移住してきたハルにとって気にすることなんて何もないと言うことでもある。
「ほら! レナージュもこう言ってるでしょ?
全然気にすることなんてないじゃないの!」
「う、うん…… 少し前向きになれそうだわ。
フルル、みなさん、ありがとう」
「あとはハル自身がどうするか決めるだけだわ。
今すぐ決断しなさい! それによってこっちだってどうするか変わってくるんだからね!」
ハルは少しだけ考えてから答えを出した。
「私、頑張ってみたい……
今からでも変われるかな?」
「もちろんよ! 一緒に頑張っていきましょうね。
ミーヤだって一緒に頑張ってくれるから大丈夫よ、ね」
「え、ええ、もちろん、きっちりしっかり教えてあげるから覚悟してよ?
早く一人前になってもらわないと私も困るんだから」
もうこうなったら、早く決着をつけて自由を勝ち取ることを目指した方が早そうだ。焼き上がった照り焼き串をみんなの真ん中へ置きながら、ミーヤはこれからどうすべきかを必死に考えていた。
「うーん、おいしい、この甘みがいいわよねえ」
「まったくだ、塩っ気はあるのに甘いってのがいいんだよなあ」
「本当ならうちの店で出したいくらいおいしいわ!」
「はあ、とてもおいしいです、でもこれ本当に私が作れるのでしょうか……」
「ボク二本目、おいしいからすぐなくなる」
おいしいと言ってもらえること、そして食べた人たちが見せてくれる笑顔、これは今のミーヤにとって何より幸せを感じられることであり、充実感も得られている。早くカナイ村でも同じことがしたい。
それにはまずハルにレモネードと串焼きをマスターしてもらう必要がある。なるべく早く!
「喜んでもらえたみたいで良かったわ。
ねえハル? みんなの顔見てどう思う?
嬉しそうで幸せそうに見えない?」
「ええ、みなさんとても満足しているように見えます……」
「その笑顔を、今度はあなたがもっと大勢へ提供するのよ。
喜んでいる顔を見られたら、さらに多くの人たちの笑顔が見たいって思えるはずよ?」
「そうでしょうか…… いいえ、きっとそうですよね。
私頑張ります」
「本当は水あめと醤油が欲しいんだけど、さすがに無いよねえ」
「水あめかあ、あるにはあるけど売ってくれるのかな?
というかミーヤもあの店で良く買ってるじゃないか」
「あの店!? 水あめ売ってる店があるの?」
「チカマの好きなアレだよ、飴玉」
イライザの言葉に驚いてしまったが、よく考えてみれば飴は砂糖じゃなくて水飴で出来ているのだった。小さい頃に縁日で見た、飴細工も確かに水あめだった。
あの縁日は近所の稲荷神社だったと思うけど、夢中になって眺めていた飴細工で気に入ったのが狐のお面の形をした白い飴だったことを思い出し、もしかしたらあの頃からキツネに縁があったのかもなんて考えていた。
「分かったわ! さっそく買いに行ってくる、と思ったけど、もしかして作れるのかしら?」
ミーヤは立ち止って頭に水飴を作ろうと思い浮かべてみる。もし固定レシピにあるのなら、作り方が浮かんでくるはずなのだ。しかし浮かんでくることは無かったので、スキルが足りないか、特別な製法かのどちらかだろう。
「フルルは料理スキルいくつなの?
私は30超えたとこだけど水飴は作れないみたい」
「私は今36くらいね、試してみるわ。
うーん、発酵器という器具が必要みたいね。
材料は麦とむぎめ? が必要みたい」
むぎめとは一体なんだろう。ミーヤはしばらく考えていたがすぐにひらめいた。ビールと一緒だ! 麦芽100%とかで使われてる麦芽(ばくが)のことだろう。
「むぎめじゃなくてばくがね。
麦芽もすぐ手に入るのかしら」
「麦芽も作るみたいだよ?
麦と水で作れるようだけど、ミーヤは作れない?」
フルルにそう言われてミーヤも頭の中を『検索』してみると麦芽の作成は出来ることが分かった。
「それにしてもなかなか難しいわね。
でも水飴はスキル35だとして私ももう少しで作れるようになるわ。
ちょっと細工屋と酒場へ行ってくるからフルルはハルにレモネード教えておいて!」
「ちょっと待って! レモネードなんて私作ったことないわよ!」
「フレッシュジュースだから大丈夫よ!
黄色い酸っぱい実を使うだけだし、それができるようになったら砂糖を加えるだけよ!
難しいことなんて何もないわ!」
興奮したミーヤは、大声で叫びながら指示を出し、駆け足で店を飛び出した。
「これ、おいしいですね……
ずっぱいのに甘い、やさしい味です……」
「じゃあそんな暗そうに飲まなくてもいいじゃない。
出してくれたミーヤに失礼だわ!」
「ミーヤさま、おかわりほしい。
あとお肉まだあ?」
今まで面倒な話をしている間は存在感の無かったチカマだが、串焼き肉を焼きだしたら突然目覚めて催促まで始めた。きっと嵐が過ぎるのを待っていたのだろう。もうすぐレナージュも来るだろうし、少し多めに焼いておくかと次の準備をしているとイライザも一緒にやってきた。
「やあこれはいいところに来たみたいだな。
うまそうな香りが外まで漂ってるぜ。
酒はあるのか?」
「うちにはお酒なんて無いわよ!
次の店では出す予定だけど、開店できるかまだわからないわ」
「この香り、酒場のと似てるわね。
照り焼きかしら?」
「すごいわね、レナージュ、よくわかったじゃないの。
まさかそれくらい注文入ってるの?」
「あれからまたすごい人気で毎日満席よ?
ミーヤのせいで私まで手伝いさせられて困ってるんだからね。
そんなことよりわざわざ呼び出すなんて何があったの、フルル?」
「急に呼びつけて悪かったわね。
この娘についてちょっと聞きたいことがあったのよ」
フルルはアレコレと説明する前にハルを指さした。
「その呪いのエルフがどうかしたの?
フルルのお友達?」
「ちょっとまって、今なんて?」
「お友達か聞いたんだけど?」
「違う、いや友達なのは違ってないけどそうじゃないわ。
呪いのエルフって言った?」
「ええそうよ、緑の髪は呪いのエルフって昔から言うのよ。
知らなかった? エルフの間でしか言わないのかしら」
レナージュとフルルの会話を聞いていたミーヤは卒倒しそうだった。それどころかハルはすでに椅子から転げ落ちて気絶寸前だ……
「やっぱり私…… 呪われてるんだ……」
「そうよ? そんなのエルフ、しかも緑髪の当人なのに知らなかったの?
だから街にいるんでしょ?」
「えっ? どういうこと……?」
「緑の髪は森に入ると周囲と同化してしまうのよ。
だから一緒に狩りへ行くと間違えて射られてしまうことがあるわ。
そのことを昔から呪いって言っていたんだってさ。
街に住んでれば狩りとは無縁だから気にしなくて済むけどね」
なんと! 聞いてしまえばたわいもない単純な話だった。つまりジスコへ移住してきたハルにとって気にすることなんて何もないと言うことでもある。
「ほら! レナージュもこう言ってるでしょ?
全然気にすることなんてないじゃないの!」
「う、うん…… 少し前向きになれそうだわ。
フルル、みなさん、ありがとう」
「あとはハル自身がどうするか決めるだけだわ。
今すぐ決断しなさい! それによってこっちだってどうするか変わってくるんだからね!」
ハルは少しだけ考えてから答えを出した。
「私、頑張ってみたい……
今からでも変われるかな?」
「もちろんよ! 一緒に頑張っていきましょうね。
ミーヤだって一緒に頑張ってくれるから大丈夫よ、ね」
「え、ええ、もちろん、きっちりしっかり教えてあげるから覚悟してよ?
早く一人前になってもらわないと私も困るんだから」
もうこうなったら、早く決着をつけて自由を勝ち取ることを目指した方が早そうだ。焼き上がった照り焼き串をみんなの真ん中へ置きながら、ミーヤはこれからどうすべきかを必死に考えていた。
「うーん、おいしい、この甘みがいいわよねえ」
「まったくだ、塩っ気はあるのに甘いってのがいいんだよなあ」
「本当ならうちの店で出したいくらいおいしいわ!」
「はあ、とてもおいしいです、でもこれ本当に私が作れるのでしょうか……」
「ボク二本目、おいしいからすぐなくなる」
おいしいと言ってもらえること、そして食べた人たちが見せてくれる笑顔、これは今のミーヤにとって何より幸せを感じられることであり、充実感も得られている。早くカナイ村でも同じことがしたい。
それにはまずハルにレモネードと串焼きをマスターしてもらう必要がある。なるべく早く!
「喜んでもらえたみたいで良かったわ。
ねえハル? みんなの顔見てどう思う?
嬉しそうで幸せそうに見えない?」
「ええ、みなさんとても満足しているように見えます……」
「その笑顔を、今度はあなたがもっと大勢へ提供するのよ。
喜んでいる顔を見られたら、さらに多くの人たちの笑顔が見たいって思えるはずよ?」
「そうでしょうか…… いいえ、きっとそうですよね。
私頑張ります」
「本当は水あめと醤油が欲しいんだけど、さすがに無いよねえ」
「水あめかあ、あるにはあるけど売ってくれるのかな?
というかミーヤもあの店で良く買ってるじゃないか」
「あの店!? 水あめ売ってる店があるの?」
「チカマの好きなアレだよ、飴玉」
イライザの言葉に驚いてしまったが、よく考えてみれば飴は砂糖じゃなくて水飴で出来ているのだった。小さい頃に縁日で見た、飴細工も確かに水あめだった。
あの縁日は近所の稲荷神社だったと思うけど、夢中になって眺めていた飴細工で気に入ったのが狐のお面の形をした白い飴だったことを思い出し、もしかしたらあの頃からキツネに縁があったのかもなんて考えていた。
「分かったわ! さっそく買いに行ってくる、と思ったけど、もしかして作れるのかしら?」
ミーヤは立ち止って頭に水飴を作ろうと思い浮かべてみる。もし固定レシピにあるのなら、作り方が浮かんでくるはずなのだ。しかし浮かんでくることは無かったので、スキルが足りないか、特別な製法かのどちらかだろう。
「フルルは料理スキルいくつなの?
私は30超えたとこだけど水飴は作れないみたい」
「私は今36くらいね、試してみるわ。
うーん、発酵器という器具が必要みたいね。
材料は麦とむぎめ? が必要みたい」
むぎめとは一体なんだろう。ミーヤはしばらく考えていたがすぐにひらめいた。ビールと一緒だ! 麦芽100%とかで使われてる麦芽(ばくが)のことだろう。
「むぎめじゃなくてばくがね。
麦芽もすぐ手に入るのかしら」
「麦芽も作るみたいだよ?
麦と水で作れるようだけど、ミーヤは作れない?」
フルルにそう言われてミーヤも頭の中を『検索』してみると麦芽の作成は出来ることが分かった。
「それにしてもなかなか難しいわね。
でも水飴はスキル35だとして私ももう少しで作れるようになるわ。
ちょっと細工屋と酒場へ行ってくるからフルルはハルにレモネード教えておいて!」
「ちょっと待って! レモネードなんて私作ったことないわよ!」
「フレッシュジュースだから大丈夫よ!
黄色い酸っぱい実を使うだけだし、それができるようになったら砂糖を加えるだけよ!
難しいことなんて何もないわ!」
興奮したミーヤは、大声で叫びながら指示を出し、駆け足で店を飛び出した。
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