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新メンバーはメカニック担当!?
第49話、イリスの戦い
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◆ ◆ ◆
アルル達が御者台へ移動して荷台に一人残される事になったため、荷馬車の車輪が地を駆ける音だけが耳に届きます。
しかし戦闘の最中だと言うのに、どうしてもニヤけてしまいます。だってまた、あのアルルと旅する事が出来るのですから。
アルルは当然の事だけど、二百年前に病弱のため十四才と短命で終わりを迎えた前世の記憶を知らないのです。
そこで私が編み出した固有魔法、前世の記憶名簿を唱え瞳をエンチャント状態にします。すると遮蔽物が全て透けて、黒塗りの人間や黒塗りのパッカラ達のシルエットだけが視界に映り出します。そこから更にそのシルエットをじっと見つめると、その人間のこれまで生まれ変わりを繰り返し成長してきた魂の成長とも言える強度レベルと、直前の前世の魂に刻まれた名前が確認出来るようになります。
そのエンチャント状態で荷馬車の前方を確認すると、矢を番えているリーヴェちゃんのシルエットの隣にアルルのシルエットが。そして映り込む情報。何度見ても、アルルの直前の名前はあの精霊魔法を意のままに操る代わりに回復魔法が苦手だったアール=グレイス君の名が。
そして普通は魂レベルが高い人でも五十前後だと言うのに、アルルは百十三もあります。
あの人格者で有名な勇者カザンも百を超えているのは納得としても、あのアルルがこの数値とは。今世もアルルは若いですけどあの落ち着きようですし、つまりこの数値に繋がる何かしらの要因があるのでしょう。
そこでアルルの前世のあの言葉を思い出します。
『転生出来たら、またお姉ちゃんと旅してみたいな』
安心して下さい。お姉さんは死ぬまで、アルルのそばに居てあげるのです。
——そのためにも、この修羅場を潜り抜けないとです。
片膝を付き荷馬車の後方部からスナイパーライフルGの銃身を覗かせます。
このスナイパーライフルGの威力があれば、遮蔽物を貫通して敵に当てる事も出来ます。つまり狙った獲物は逃さないのです。
出来るだけ魂レベルが高い敵を探して——よし、アイツにします。狙いをさだめて……、今です!
乾いた大気を震わす轟音。
炎の弾丸は途中、他の護衛の荷馬車の布を破り、その先にいたハイハウンドに跨がる標的に直撃。その者は崩れ落ちます。そしてその者は吸い込まれるようにして地面へ到達すると、ズタボロになりながら転がっていきました。
そこでスナイパーライフルGからプシューっと空気が抜ける音がします。これは内臓されている、魔力炉が壊れないための冷却装置が働いているのです。しかし高威力で長距離の射程を持つスナイパーライフルGですが、連続して攻撃が出来ません。それがこの子の唯一の弱点なのです。
スナイパーライフルGに新たな魔石を嵌め込みます。そして風でも銃身を冷やしながらその時間を使って、シルエットの中で魂レベルが高い敵を探していきます。
……なっ、なんですか、この魂レベル!
敵にも魂レベルが百を超えている者がいるのです!
土煙の中で巨大なパッカラ、恐らくアーマーホースに跨がる男の後ろに、正座をしているあの男。野放しにしていたらこちら側に多くの死傷者が出てしまいます。
スナイパーライフルGを握る手に、思わず汗が。
アルル達と戦わさせては駄目です。そう、この私がアルル達の幸せを守らないと!
狙いをさだめて、……喰らうのです!
◆ ◆ ◆
アッガスが操るアーマーホースに乗る拙者は、先程から身震いを起こしていた。
これまでの人生、多くの戦場に身を置いてきたが、これほど多くの手練れとあいまみえる事は数える程しかなかったはず。敵は間違いなく強者。思わず主である第一魔力回路の生存維持本能が発動しかかり、それに共鳴するかのようにして斬鉱剣の鋭さが増す感覚が伝わってくる。
とそこで土煙の中、自身から数メートルの距離で常時展開している闘気領域に反応が。これは高速で飛来してくる火炎。瞬時に動く。鞘に収まる刀を両腕でしっかりと持ち眼前で縦に構えると、僅かに刀身を上に引き抜きその刃で飛来してきた火炎を真っ二つにする。
ふふっ、ぬるい——しかし決めた。まずはコソコソ拙者を狙う、不届き者を成敗してくれる。
「先生、どうされましたか? 」
「獲物を見つけたゆえ、暫くは自分の事は自分で守られよ」
そう一方的に言い放つと、アーマーホースから足の速いガスターズが操るパッカラへと何度も何度も飛び移りキャラバン隊との距離を一気に縮めていく。そして乱戦になっている地帯へと突入した。
ガスターズと交戦中の商人に扮したであろう猛者を、拙者に気付き守ろうとした剣ごと一太刀で斬りふす。そして敵の荷馬車の上をタタタタタッと疾走中、一閃。飛んできた矢の雨を、肩慣らしに矢尻から矢羽まで綺麗に二つにしていく。
そこで敵の荷馬車の上を思いっきり蹴り、ひとっ飛び。目的の不届き者が乗る荷馬車の上へと移動した。そこで獲物を狩りに下へ移動しようとしていると——
振り下ろされるメイス。
それを抜身の斬鉱剣で防ぐ。
しかしメイスに傷一つ入らなかった。それはつまり、相手が生存維持本能でメイスに闘気を纏わせている証。またその衝突の威力で、私が軽く吹き飛ばされている事実。
ふふっ、標的変更。
「ミフネと申すが、それがしの名は? 」
「……アルド」
「しかと覚えた。そして心置きなく旅立て」
アルル達が御者台へ移動して荷台に一人残される事になったため、荷馬車の車輪が地を駆ける音だけが耳に届きます。
しかし戦闘の最中だと言うのに、どうしてもニヤけてしまいます。だってまた、あのアルルと旅する事が出来るのですから。
アルルは当然の事だけど、二百年前に病弱のため十四才と短命で終わりを迎えた前世の記憶を知らないのです。
そこで私が編み出した固有魔法、前世の記憶名簿を唱え瞳をエンチャント状態にします。すると遮蔽物が全て透けて、黒塗りの人間や黒塗りのパッカラ達のシルエットだけが視界に映り出します。そこから更にそのシルエットをじっと見つめると、その人間のこれまで生まれ変わりを繰り返し成長してきた魂の成長とも言える強度レベルと、直前の前世の魂に刻まれた名前が確認出来るようになります。
そのエンチャント状態で荷馬車の前方を確認すると、矢を番えているリーヴェちゃんのシルエットの隣にアルルのシルエットが。そして映り込む情報。何度見ても、アルルの直前の名前はあの精霊魔法を意のままに操る代わりに回復魔法が苦手だったアール=グレイス君の名が。
そして普通は魂レベルが高い人でも五十前後だと言うのに、アルルは百十三もあります。
あの人格者で有名な勇者カザンも百を超えているのは納得としても、あのアルルがこの数値とは。今世もアルルは若いですけどあの落ち着きようですし、つまりこの数値に繋がる何かしらの要因があるのでしょう。
そこでアルルの前世のあの言葉を思い出します。
『転生出来たら、またお姉ちゃんと旅してみたいな』
安心して下さい。お姉さんは死ぬまで、アルルのそばに居てあげるのです。
——そのためにも、この修羅場を潜り抜けないとです。
片膝を付き荷馬車の後方部からスナイパーライフルGの銃身を覗かせます。
このスナイパーライフルGの威力があれば、遮蔽物を貫通して敵に当てる事も出来ます。つまり狙った獲物は逃さないのです。
出来るだけ魂レベルが高い敵を探して——よし、アイツにします。狙いをさだめて……、今です!
乾いた大気を震わす轟音。
炎の弾丸は途中、他の護衛の荷馬車の布を破り、その先にいたハイハウンドに跨がる標的に直撃。その者は崩れ落ちます。そしてその者は吸い込まれるようにして地面へ到達すると、ズタボロになりながら転がっていきました。
そこでスナイパーライフルGからプシューっと空気が抜ける音がします。これは内臓されている、魔力炉が壊れないための冷却装置が働いているのです。しかし高威力で長距離の射程を持つスナイパーライフルGですが、連続して攻撃が出来ません。それがこの子の唯一の弱点なのです。
スナイパーライフルGに新たな魔石を嵌め込みます。そして風でも銃身を冷やしながらその時間を使って、シルエットの中で魂レベルが高い敵を探していきます。
……なっ、なんですか、この魂レベル!
敵にも魂レベルが百を超えている者がいるのです!
土煙の中で巨大なパッカラ、恐らくアーマーホースに跨がる男の後ろに、正座をしているあの男。野放しにしていたらこちら側に多くの死傷者が出てしまいます。
スナイパーライフルGを握る手に、思わず汗が。
アルル達と戦わさせては駄目です。そう、この私がアルル達の幸せを守らないと!
狙いをさだめて、……喰らうのです!
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アッガスが操るアーマーホースに乗る拙者は、先程から身震いを起こしていた。
これまでの人生、多くの戦場に身を置いてきたが、これほど多くの手練れとあいまみえる事は数える程しかなかったはず。敵は間違いなく強者。思わず主である第一魔力回路の生存維持本能が発動しかかり、それに共鳴するかのようにして斬鉱剣の鋭さが増す感覚が伝わってくる。
とそこで土煙の中、自身から数メートルの距離で常時展開している闘気領域に反応が。これは高速で飛来してくる火炎。瞬時に動く。鞘に収まる刀を両腕でしっかりと持ち眼前で縦に構えると、僅かに刀身を上に引き抜きその刃で飛来してきた火炎を真っ二つにする。
ふふっ、ぬるい——しかし決めた。まずはコソコソ拙者を狙う、不届き者を成敗してくれる。
「先生、どうされましたか? 」
「獲物を見つけたゆえ、暫くは自分の事は自分で守られよ」
そう一方的に言い放つと、アーマーホースから足の速いガスターズが操るパッカラへと何度も何度も飛び移りキャラバン隊との距離を一気に縮めていく。そして乱戦になっている地帯へと突入した。
ガスターズと交戦中の商人に扮したであろう猛者を、拙者に気付き守ろうとした剣ごと一太刀で斬りふす。そして敵の荷馬車の上をタタタタタッと疾走中、一閃。飛んできた矢の雨を、肩慣らしに矢尻から矢羽まで綺麗に二つにしていく。
そこで敵の荷馬車の上を思いっきり蹴り、ひとっ飛び。目的の不届き者が乗る荷馬車の上へと移動した。そこで獲物を狩りに下へ移動しようとしていると——
振り下ろされるメイス。
それを抜身の斬鉱剣で防ぐ。
しかしメイスに傷一つ入らなかった。それはつまり、相手が生存維持本能でメイスに闘気を纏わせている証。またその衝突の威力で、私が軽く吹き飛ばされている事実。
ふふっ、標的変更。
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