最強魔導士に転生したけど、護衛が過保護すぎる

ホロロン

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最終話(第11話):約束の未来

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あの運命の夜から、ひと月が過ぎた。

王国を覆っていた暗い影は完全に払われ、街には活気と穏やかな日常が戻っていた。

そして、私の日常もまた、劇的に変わっていた。

「――以上が、北部研究所の再建及び、今後の魔導技術研究に関する私の見解です」

国王陛下の執務室。
居並ぶ重鎮たちを前に、私は堂々と報告を終えた。

もう、誰一人として私を「守られるだけの姫」として見る者はいない。
「王国最強の魔導士殿」――その敬意のこもった呼び名が、私の新しい立場を物語っていた。

私の隣には、変わらずアルディスが立っている。
だが、その意味合いは全く違う。彼はもう、私を閉じ込める檻でも、庇護する盾でもない。
対等なパートナーとして、静かに、そして誇らしげに私を見守っている。

その蒼い瞳に、かつてのような恐怖や焦りの色はなく、ただひたすらに深い愛情だけが揺らめいていた。

会議が終わり、国王陛下が労いの言葉と共に、悪戯っぽく笑った。

「アルディス、お前の鉄壁の過保護も、ようやく報われたな。これほどの至宝を、よくぞ繋ぎ止めたものだ」

その言葉に、アルディスは完璧な礼を返しながらも、その耳を微かに赤く染めている。
そんな彼の姿が愛おしくて、私は思わず笑みを零した。

私たちの関係は、もはや公然の秘密。いや、国王陛下お墨付きの、公然の事実となっていた。

その夜。
王城内に与えられた、私たちのための部屋で、私はバスローブを羽織ったまま、広いベッドに寝転んでいた。
湿った髪をアルディスの指が優しく梳いてくれる。その心地よさに、私はうっとりと目を閉じた。

「疲れただろう」

「少しだけ。でも、嬉しい疲れよ。自分の力で、誰かの役に立てるんだもの」

髪を乾かし終えた彼が、私の隣に身体を横たえる。
そのまま、彼は私を腕の中に閉じ込めた。

「……本当は、今でもお前を部屋に閉じ込めて、誰の目にも触れさせたくないと思う時がある」

彼の胸に顔をうずめながら、その正直な告白に笑ってしまう。

「過保護なのは、相変わらずなのね」

「ああ。だが、もうお前を縛ったりはしない」

彼は私の額にキスを落とす。

「お前がその翼で高く羽ばたく姿を、一番近くで見守っていられるのが、俺の何よりの誇りだ」

その言葉が、どんな宝石よりも嬉しかった。私は顔を上げ、彼の唇に自分からキスをした。

翌朝、私は柔らかな陽の光と、身体を包む腕の温もりで目を覚ました。

シーツの中で、私はアルディスに後ろから抱きしめられていた。
彼のたくましい胸板が背中にぴったりと密着し、規則正しい寝息が首筋にかかる。この、世界で一番安心できる場所に、私はもうすっかり慣れてしまった。

そっと身体を反転させると、彼の穏やかな寝顔が目の前にあった。
銀色の睫毛、すっと通った鼻筋、そして今は固く結ばれていない、少しだけ開いた唇。私は愛しさを堪えきれず、その唇にそっと自分のものを重ねた。

「……ん……」

彼がゆっくりと目を開ける。寝起きのぼんやりとした瞳が私を捉え、やがて蕩けるように甘く細められた。

「……おはよう」

掠れた声で囁き、彼は私をさらに強く抱き寄せ、今度は彼のほうから深いキスを落としてきた。
寝起きの、少しだけ気怠い口づけは、私たちの日常になった。

「幸せ……」

彼の胸に頬をすり寄せると、そんな言葉が自然と零れた。

「俺もだ」

彼は私のバスローブの合わせ目に指を滑り込ませ、露わになった素肌をゆっくりと撫でる。その手つきは、もう私たちの身体の全てを知り尽くしている者の、慈しみに満ちた愛撫だった。

「……だが、その前に……」

彼は悪戯っぽく笑うと、私の脚の間に自分の膝を割り込ませてきた。

「昨夜の続きを、しても?」

その言葉と共に、シーツの下で彼の熱く硬くなったものが、私の太腿に押し当てられる。私はこくりと頷き、自ら脚を開いて彼を迎え入れた。

ゆっくりと、確かめるように結合する。
もう痛みはない。ただ、彼に満たされる、どうしようもないほどの幸福感だけがあった。

「愛している……」

私の耳元で、彼が何度も囁く。そのたびに、私は愛しさで胸が張り裂けそうになる。窓の外では小鳥がさえずり、穏やかな朝が始まっている。

世界で一番激しく、そして一番優しい愛の営みが、この部屋を支配していた。

やがて訪れた、穏やかな絶頂の波。私たちは汗ばんだまま、しばらく互いを抱きしめ合っていた。

「永遠に、お前は俺のものだ」

息を整えながら、彼が私の髪にキスを落として言った。

かつて彼の心を縛っていた、失うことへの恐怖からくる独占欲ではない。
それは、未来永劫変わることのない、魂の誓いの言葉だった。

私は彼を真っ直ぐに見つめ返し、満面の笑みで答える。

「ええ。――あなたのものよ、アルディス」

最強魔導士と、その最強の恋人。
私たちの物語は、まだ始まったばかりだ。


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