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【ロイ・アデルアの義弟1】
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さて、ろくでもないことになってきた。
荷物を届けに来ただけだというのに、次から次へと……。
俺の想定の範囲を大幅に超えてきている。
この間、リシルと暫くぶりに会った仕事の後、急いでアディアール家の内情を調べた。
意図的にアディアール家の情報を耳に入れないようにしていたのが仇となった。
リシルの後妻が、ニコラ・モーウェルの母だと知った時の絶望感を誰かに分けてやりたいくらいだ。
国王を川に落としたことといい、リシルは面倒事を呼び込む体質なのだろうか。
俺がその血を継いでいないことを祈るばかりだ。
***********************
タリムは、ドアの前で荷物を渡して帰ると言っていたのに、あっという間にアディアール家の屋敷に引き入れられた。
どうしたものか。
俺はアディアール家に足を踏み入れるのに抵抗があった。
生まれた家への思い入れがあるとか、そういうことではない。
とっくの昔に俺は死んだことになっているし、家人に俺がルロイだとバレたら面倒だ。
これ以上昔のことで、自分の周囲が荒らされるのは避けたい。
タリムめ……だから、家の中には入るなと言ったのに。
俺はすっかりトマスの存在を忘れていた。
リシルがいない時に、アディアール家を任されていたのがトマスだった。
アディアール家で俺の母親シルフィーネが好き勝手していた時に、それとなしに幼い子どもに母の酷い場面を見せないようにうまくコントロールしていたのはトマスだったと思う。
それでも、主人のリシルよりも身分の高いシルフィーネとシルフィーネの連れてきた従者に意見できる者はいなかった。
リシルはめったに帰ってこられないし、俺は割とギリギリの状況でトマスや古参の家の者によって守られていた。
しかし、あの状態が続いていたら、確かに俺の命はなかったかもしれないと思う。
トマスは、リシルの要望通り、タリムを室内に招き入れることなど容易にこなすだろう。
タリムの経験値でトマスをあしらうのはまず不可能だ。
薄いレースのカーテン越しに客室の様子が見える。
それみろ。
タリムはリシルに丸め込まれて茶を振る舞われている。
まったく、何の用があって呼んだのやら。
仕方がない、あの様子では自力では帰れないだろう。
俺は、無駄とは知りつつ、フードを被り、アディアール家のドアを叩こうとした。
その前にトマスがドアを開けて俺を室内に招き入れたのだが。
急に昔に引き戻されたような感覚を味わう。
この家での生活は大変なこともあったが、そうじゃないこともあった。
トマスのドアを開けるタイミングも、昔と変わらない穏やかな表情も……。
客間へ向かう廊下の壁は、昔より柔らかな色に塗り直されている。
天井が高く圧迫感があったような記憶があるが、今はまるで知らない家のようだ。
トマスに案内されて客間に入れば、リシルがタリムに掴みかかっていた。
ふわふわした懐かしさが一気に吹き飛ぶ。
おまえら、なにやってんだ?!
リシルは妻に不貞を疑われたのを晴らすためにタリムを召喚したようだったが、当のその妻、ケイトリンは目的が違うようだ。
俺はよほど産みの母に似ているのだろう。
ケイトリンは俺がルロイだとすぐに気がついたようだった。
その前提で、俺がタリムに浅からぬ想いを寄せていると断じたケイトリンは、タリムとリシルの血縁関係を否定する根拠を持ったようだ。
俺がもしタリムの実の兄なら、タリムに寄せる想いは常軌を逸している。
ケイトリンが、モーウェル騎士とは似ても似つかないほどの狡猾な笑みを浮かべるのを見て合点がいった。
ケイトリンは息子の欲する「姫」を得ようと動き出していたようだ。
その後、リシルの義理の息子でタリムの天敵の赤髪の騎士、ニコラ・モーウェルが現れ、そうしているうちに俺がリシルの実の息子ルロイだという事がバレて、更にニコラは今さっき娼館から少女を拉致してきたと発覚……。
場は混乱している。
「あの、私、帰っていいですか?」
ついにタリムが音をあげる。
確かに、この中でタリムに関係することなど一つもない。
後から後からこの客間に増えていく人間関係の情報量で、頭がぼーっとしてきたのだろう。
アホのタリムには無理からぬことだ。
俺も帰ろう。
ここに居ては仕事が増えるだけだ。
「姫、待っていただけないだろうか。
身の潔白を証明する時間を頂きたいのです」
ニコラがタリムに縋りつく。
いや、この状況で身の潔白も何もないからな。
「いえ、いいです」
必死の訴えは、案の定ばっさりと切り捨てられる。
「俺たちの仕事は済んだし、もう帰るからな」
「待て、アデルア殿ともまだ話が済んでいない!」
ニコラは俺まで引き留めるつもりだ。
しかし、俺はこの話に関わり合いになりたくない。
花街のことが絡んでくると、膨大な事務処理が自分に降りかかってくる予感しかしない。
「この中で、今すぐに解決すべきは、モーウェル騎士が攫ってきたこの娘さんの処遇だけです。
それは、ロイ・アデルアも含めて、ご家族の皆さんで頑張ってください」
「俺を人数に入れるな」
俺がここに残れば、アディアール家の者ではなく、ギルドの一員として話に巻き込まれるんだからな。
「さ、攫ってきてなどいない」
ニコラは必死に否定するが、我々にとっては、ニコラは立派な犯罪者だ。
「いえ、攫ってきていますよ。
娼館の女の子たちは基本的にお客さんと二人きりで外で会うことはしません」
花街の娼婦は、外に買い物に行く時だって、護衛がつく。
ユウキにタリムが娼婦に叩かれたなどという個人的なことが伝わっているのも、護衛の報告によるものだろう。
花街の秩序は厳しい規則によって守られている。
それと同時に、働く者を花街から出さないことで従業員を守っているのだ。
相手が騎士だろうが国王だろうが例外はない。
「姫、解釈違いをなさっている!
こんな幼気な少女と不埒なことをしようなどと……私は、誓って、致しません!」
不埒な事を致そうが致さなかろうが、許可なく花街の外に出してしまったことは問題になるだろう。
「そんなの、どっちでもいいです。
それと、姫じゃないんで……」
タリムは何を聞いても上の空だ。
今日は特にひどいな。
「よくわかっていらっしゃらないようなので、一応説明しますが、これは相当厄介な問題になりますよ」
タリムは何の感情も入らない、まっ平らな口調で話す。
ニコラよりは花街の事情がわかっているのだろう、渋い顔をしてリシルとケイトリンは黙っている。
どう問題になるのか愚かな義弟に説明してやらなければならないようだ。
タリムが確認を取るように俺の方を向くので、続きを話すようにと促す。
きつい事を言われなければ分からないようでは、騎士としてどうかと思う。
「……モーウェル騎士は、これからお客を取る準備をする子を、私的に連れまわしたことになります。
正規のお客は、お金を払っても娼館内でしか店の子に会えません。
見回りのギルド職員でも、まるっきり二人きりになる事はありえません」
この原則はかなり厳しいものだ。
水揚げの時でも必ず見届け人がつく。
詳細は説明したくはねェが、羨ましいとか、いやらしいとか、好き勝手な事を言われるあの仕事は、その実、修行か苦行だ。
妙な性癖でもなければ、これ以上続けられる気がしない。
「騎士に連れまわされたと、鳴り物入りでお仕事を始めたら、その子の娼館での立場はどうなるでしょう。
娼館から助け出すというつもりでいるのだとしたら、中途半端なことをなさっては迷惑です。
花街には花街の秩序があるのですから」
花街の秩序はギルドが関与する事で保たれている。
保たれているだけで、均衡が崩れればいくらでも中で働く者たちの生活は悪化する。
ギルドマスターであるソアラを以てしても、花街の仕組みを変えることは出来ても、花街自体を無くすことはできなかったのだ。
必要悪だと肯定するつもりはないが、そこに需要と供給が産まれていることは確かなのだ。
ニコラは善意でこの娘を連れだしたのだろうが、規則は規則だ。
騎士だったのがなお悪いくらいだ。
玄関のベルが鳴る。
トマスは緊張した面持ちで玄関に向かう。
「ローイー!
まだいるんですよね?
ロージアが外にいたからわかってますよ!
立ち合いをお願いします。
逃げちゃだめですよ」
誰がやってきたのか、甲高いその一声を聞いて理解した。
クソ、早々に帰ればよかった。
荷物を届けに来ただけだというのに、次から次へと……。
俺の想定の範囲を大幅に超えてきている。
この間、リシルと暫くぶりに会った仕事の後、急いでアディアール家の内情を調べた。
意図的にアディアール家の情報を耳に入れないようにしていたのが仇となった。
リシルの後妻が、ニコラ・モーウェルの母だと知った時の絶望感を誰かに分けてやりたいくらいだ。
国王を川に落としたことといい、リシルは面倒事を呼び込む体質なのだろうか。
俺がその血を継いでいないことを祈るばかりだ。
***********************
タリムは、ドアの前で荷物を渡して帰ると言っていたのに、あっという間にアディアール家の屋敷に引き入れられた。
どうしたものか。
俺はアディアール家に足を踏み入れるのに抵抗があった。
生まれた家への思い入れがあるとか、そういうことではない。
とっくの昔に俺は死んだことになっているし、家人に俺がルロイだとバレたら面倒だ。
これ以上昔のことで、自分の周囲が荒らされるのは避けたい。
タリムめ……だから、家の中には入るなと言ったのに。
俺はすっかりトマスの存在を忘れていた。
リシルがいない時に、アディアール家を任されていたのがトマスだった。
アディアール家で俺の母親シルフィーネが好き勝手していた時に、それとなしに幼い子どもに母の酷い場面を見せないようにうまくコントロールしていたのはトマスだったと思う。
それでも、主人のリシルよりも身分の高いシルフィーネとシルフィーネの連れてきた従者に意見できる者はいなかった。
リシルはめったに帰ってこられないし、俺は割とギリギリの状況でトマスや古参の家の者によって守られていた。
しかし、あの状態が続いていたら、確かに俺の命はなかったかもしれないと思う。
トマスは、リシルの要望通り、タリムを室内に招き入れることなど容易にこなすだろう。
タリムの経験値でトマスをあしらうのはまず不可能だ。
薄いレースのカーテン越しに客室の様子が見える。
それみろ。
タリムはリシルに丸め込まれて茶を振る舞われている。
まったく、何の用があって呼んだのやら。
仕方がない、あの様子では自力では帰れないだろう。
俺は、無駄とは知りつつ、フードを被り、アディアール家のドアを叩こうとした。
その前にトマスがドアを開けて俺を室内に招き入れたのだが。
急に昔に引き戻されたような感覚を味わう。
この家での生活は大変なこともあったが、そうじゃないこともあった。
トマスのドアを開けるタイミングも、昔と変わらない穏やかな表情も……。
客間へ向かう廊下の壁は、昔より柔らかな色に塗り直されている。
天井が高く圧迫感があったような記憶があるが、今はまるで知らない家のようだ。
トマスに案内されて客間に入れば、リシルがタリムに掴みかかっていた。
ふわふわした懐かしさが一気に吹き飛ぶ。
おまえら、なにやってんだ?!
リシルは妻に不貞を疑われたのを晴らすためにタリムを召喚したようだったが、当のその妻、ケイトリンは目的が違うようだ。
俺はよほど産みの母に似ているのだろう。
ケイトリンは俺がルロイだとすぐに気がついたようだった。
その前提で、俺がタリムに浅からぬ想いを寄せていると断じたケイトリンは、タリムとリシルの血縁関係を否定する根拠を持ったようだ。
俺がもしタリムの実の兄なら、タリムに寄せる想いは常軌を逸している。
ケイトリンが、モーウェル騎士とは似ても似つかないほどの狡猾な笑みを浮かべるのを見て合点がいった。
ケイトリンは息子の欲する「姫」を得ようと動き出していたようだ。
その後、リシルの義理の息子でタリムの天敵の赤髪の騎士、ニコラ・モーウェルが現れ、そうしているうちに俺がリシルの実の息子ルロイだという事がバレて、更にニコラは今さっき娼館から少女を拉致してきたと発覚……。
場は混乱している。
「あの、私、帰っていいですか?」
ついにタリムが音をあげる。
確かに、この中でタリムに関係することなど一つもない。
後から後からこの客間に増えていく人間関係の情報量で、頭がぼーっとしてきたのだろう。
アホのタリムには無理からぬことだ。
俺も帰ろう。
ここに居ては仕事が増えるだけだ。
「姫、待っていただけないだろうか。
身の潔白を証明する時間を頂きたいのです」
ニコラがタリムに縋りつく。
いや、この状況で身の潔白も何もないからな。
「いえ、いいです」
必死の訴えは、案の定ばっさりと切り捨てられる。
「俺たちの仕事は済んだし、もう帰るからな」
「待て、アデルア殿ともまだ話が済んでいない!」
ニコラは俺まで引き留めるつもりだ。
しかし、俺はこの話に関わり合いになりたくない。
花街のことが絡んでくると、膨大な事務処理が自分に降りかかってくる予感しかしない。
「この中で、今すぐに解決すべきは、モーウェル騎士が攫ってきたこの娘さんの処遇だけです。
それは、ロイ・アデルアも含めて、ご家族の皆さんで頑張ってください」
「俺を人数に入れるな」
俺がここに残れば、アディアール家の者ではなく、ギルドの一員として話に巻き込まれるんだからな。
「さ、攫ってきてなどいない」
ニコラは必死に否定するが、我々にとっては、ニコラは立派な犯罪者だ。
「いえ、攫ってきていますよ。
娼館の女の子たちは基本的にお客さんと二人きりで外で会うことはしません」
花街の娼婦は、外に買い物に行く時だって、護衛がつく。
ユウキにタリムが娼婦に叩かれたなどという個人的なことが伝わっているのも、護衛の報告によるものだろう。
花街の秩序は厳しい規則によって守られている。
それと同時に、働く者を花街から出さないことで従業員を守っているのだ。
相手が騎士だろうが国王だろうが例外はない。
「姫、解釈違いをなさっている!
こんな幼気な少女と不埒なことをしようなどと……私は、誓って、致しません!」
不埒な事を致そうが致さなかろうが、許可なく花街の外に出してしまったことは問題になるだろう。
「そんなの、どっちでもいいです。
それと、姫じゃないんで……」
タリムは何を聞いても上の空だ。
今日は特にひどいな。
「よくわかっていらっしゃらないようなので、一応説明しますが、これは相当厄介な問題になりますよ」
タリムは何の感情も入らない、まっ平らな口調で話す。
ニコラよりは花街の事情がわかっているのだろう、渋い顔をしてリシルとケイトリンは黙っている。
どう問題になるのか愚かな義弟に説明してやらなければならないようだ。
タリムが確認を取るように俺の方を向くので、続きを話すようにと促す。
きつい事を言われなければ分からないようでは、騎士としてどうかと思う。
「……モーウェル騎士は、これからお客を取る準備をする子を、私的に連れまわしたことになります。
正規のお客は、お金を払っても娼館内でしか店の子に会えません。
見回りのギルド職員でも、まるっきり二人きりになる事はありえません」
この原則はかなり厳しいものだ。
水揚げの時でも必ず見届け人がつく。
詳細は説明したくはねェが、羨ましいとか、いやらしいとか、好き勝手な事を言われるあの仕事は、その実、修行か苦行だ。
妙な性癖でもなければ、これ以上続けられる気がしない。
「騎士に連れまわされたと、鳴り物入りでお仕事を始めたら、その子の娼館での立場はどうなるでしょう。
娼館から助け出すというつもりでいるのだとしたら、中途半端なことをなさっては迷惑です。
花街には花街の秩序があるのですから」
花街の秩序はギルドが関与する事で保たれている。
保たれているだけで、均衡が崩れればいくらでも中で働く者たちの生活は悪化する。
ギルドマスターであるソアラを以てしても、花街の仕組みを変えることは出来ても、花街自体を無くすことはできなかったのだ。
必要悪だと肯定するつもりはないが、そこに需要と供給が産まれていることは確かなのだ。
ニコラは善意でこの娘を連れだしたのだろうが、規則は規則だ。
騎士だったのがなお悪いくらいだ。
玄関のベルが鳴る。
トマスは緊張した面持ちで玄関に向かう。
「ローイー!
まだいるんですよね?
ロージアが外にいたからわかってますよ!
立ち合いをお願いします。
逃げちゃだめですよ」
誰がやってきたのか、甲高いその一声を聞いて理解した。
クソ、早々に帰ればよかった。
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