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ミスティとは根本的に相性が悪い。
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(いったっ!! ちょっと、なんで全力で抓っているのよ)
背中に痛みを感じた。
爪を立ててられて抓られている。
「……ええ、そんなこともあったかしらね」
にこにこと微笑みながら、隣を見上げる。ミスティは、それはそれは上手に演技した笑顔で私に応える。
「僕の婚約者は、僕がこんなに尽くしても、僕との時間を忘れてしまうらしい。悲しいことです」
すねたように言うくせに、私の背中を抓る力はゆるめない。
寄り添うふりをして、私もミスティの背中に手を回す。
「そんなことないわ! ミスティがしてくれることが多すぎて、私が覚えきれないのね。それとも、私ったら、ミスティの顔ばかり見ていたのかしら?」
私もミスティの背中を負けずに抓ることにした。
(女性に対しての抓り方ではないわ!)
なるべく力を込めて、服の上からつねり上げようとするが、ジャケットの上から脂肪もついていないミスティの背中をとらえるのはなかなか難しい。
「それは光栄なことだね、僕の姫様」
「ねぇ、ミスティ、私、疲れたわ。少し休んでもいいかしら?」
我儘な姫という評判は便利だ。私が少し奔放に振舞っても、あの我儘姫のすることだとため息をつかれるぐらいで許される。
「ずっと外にいたものね。クララベル、レトにお茶を運んでもらおう」
歓談を続ける人々の輪を抜けて、室内へ向かう。ミスティは自然に私をエスコートして、用意された部屋まで連れて行く。
「――っ痛ったいじゃないのよ!!」
部屋に入りドアを閉めたところで、私はミスティを突き飛ばした。
「あんたは馬鹿かよ? ちゃんと話を合わせろよ。襤褸出しまくりだろ」
少し前の体重の軽いミスティなら私の力でも派手に突き飛ばされていたことだろう。
今はよろめきもせずに、偉そうに腕を組んで立っている。
「あんたって呼ばないで」
「あんたじゃなければ、何て呼べばいいんだよ、アホのお姫様?」
「ちょっと、ミスティ、一度ジャケットを脱ぎなさいよ」
「……なんでだよ」
「いいから」
ミスティは、割と簡単にジャケットを脱ぎ捨てた。
やっと、爪が通りそうな背中が現れ、私は嬉々として背中を抓り上げる。
ここ二年でレトに鍛えられて、ミスティの身体にはだいぶ筋肉がついたが、それとは関係なく痛みを感じるであろう皮の薄いところを抓ってやった。
「どう? 痛いでしょ。こんな非道なことを私にやったのよ!」
「はっ、やると思ったけど、くっだらない。全然痛くないし」
「なんですって! くだらなくないわよ、私の背中を思いっきり抓ったじゃない。爪まで立てて、傷になったらどうしてくれるのよ。ひどいわ!」
なんだかんだで、私が抓ったところをさすっているのを見逃さない。渾身の力で抓ったのだし、効かないはずがないわ。
「大袈裟なんだよ。厚顔無恥の面の皮は厚いはずだから、背中だってあれくらいで傷なんかつかないとおもうけど? それとも皮膚が厚いのは厚化粧の顔だけ?」
ミスティの暴言は止まらない。どれほど痛かったか、わかっていないのだろうか。
「厚化粧じゃないわ! 傷になったら背中の開いたドレスが着られないじゃない!」
「婚約者も決まっている姫様が、ちゃらちゃらと背中を出してどうするつもりなんだよ。まずは性格を直さないと次の夫候補も裸足で逃げ出すな」
「性格で結婚なんか決まらないのよ。ミスティみたいな性悪と結婚が決まった私が言うんだから間違いないわ!」
ミスティに指を突き付けてやる。
バロッキー家でうっかりやったときに、子どもたちの前でサリに人差し指を折られそうなほど叱られたから、封印していたのだが。
サリはシュロ国からバロッキー家に嫁いできた娘だ。
実際、嫁ぎに来たのか、稼ぎに来たのか、わからない。商才があり、バロッキー家の仕事も任されている。
サリは同い年のくせに、私に対してまるで礼儀作法の先生のように口うるさい。「ガミガミババァ」と心の中で呼んでいる。
(まぁ、ここにサリはいないし、かまわないわよね?)
ミスティにはこのくらいの無礼がお似合いだ。
「自分の事を棚に上げるのが上手だな。ルミレスの倉庫で雇ってもらえばいいんじゃない? 棚に上げるのがうまいので雇ってやってくださいって、推薦状書いてやるよ」
酷い侮辱だ。
ミスティとは根本的に相性が悪い。それはもう、初めて会った時から、雷に打たれたようにお互いが天敵だと直感した。それが今は、身分の違いを乗り越えて結ばれた、美談カップルだ。
婚約が決まって二年、偽の婚約者としての振る舞いは板についてきて、人目があるところでは熱愛の恋人同士として甘ったるく振舞えるようになった。
「口ばっかり達者なことね!……やだ、本当に傷になってるかしら?」
鏡で確認しようとしても服の中なので分からないのだが、ミスティが抓って皴になっているドレスの生地を鏡越しに恨めしく眺める。
「いや、ホントに大袈裟だろ」
ミスティは私のドレスの背中のボタンを器用に開けると、背中をのぞき込む。そこに一切の躊躇はない。
女性の服も着こなしていただけあって、服の着方を熟知しているのが腹立たしい。
「あ、ヤバ……」
ミスティがうっかり感想を口にするのを聞きとがめる。
やっぱり痕になっているのだろうか。少し焦ったようで抓った跡を撫でている。
「ほら、本当でしょ! すっごく痛かったんだから。あんな力でつねる方がおかしいのよ。私、そんなに悪いことした!?」
そこに書類を持って騎士のレトが入ってくる。
眉の間に峡谷が出来そうなほどのしかめっ面で。
「……姫様、なんとなく状況は分かるのですが――この場面だけ切り取られると、物凄くはしたなく見えますよ」
慌てて鏡の中の私たちを見る。異性に背中をはだけられて、のぞき込まれている私が映っている。
――これは酷いわ。
「ち、ちがうのよ! レト、誤解よ、誤解!!」
「いえ、誤解はしておりません。先ほどミスティさんに傷がつくほど抓られていましたものね。あれは姫様が不用意過ぎました」
よかった、レトはこの状況を誤解なく理解している。
「ほらな」
「……とはいえ、ミスティさんはやり過ぎです。もう昔の握力ではないのですからね」
「……はい。すみません。少しやり過ぎました」
ミスティはレトに咎められて、バツが悪そうに、頭を掻いて自分の非を認めた。
剣の師匠であるレトにミスティは逆らわない。私には絶対に謝ったりしないくせに、レトには素直に謝罪するのだ。面白くなくて、ミスティを小突く。
「どこが少しなのよ!」
「婚約者に狼藉をはたらかれて、背中を見せられない状態になったと思われても仕方ないくらい――のやり過ぎ方だな」
しらっと告げるが、それはもう、相当痕が残っているということだ。
「最っ低!!!!」
*
私とミスティの婚約が公になって、もう二年も経つ。
あの後すぐに成長期に入ったミスティはもう女装が似合わない体格になった。
いや、似合うのかもしれないけれど、女性だとしたら身長が高すぎる。
私たちの結婚に向けての準備は順調に進んでいる。
先に結婚した王太子の兄には無事に跡取りが生まれ、ますます私に対する皆の関心は失せていった。
目の上の瘤だった私が片付いて、諸侯を実家に持つ義理の姉たちも望みの通りの結婚が決まったようだ。
私とサルベリア国の王子の縁談は白紙に戻り、代わりにすぐ下の妹アイリーンがサルベリアに嫁ぐことが決まった。そうなって、ようやく自分の身に危険が及ぶことが少なくなってきたと実感する。
国王はサルべりアの縁談を蹴るなら、バロッキーから婿を取るようにと私に命じた。国益のための父が出した条件が、皮肉にも私の生活を安楽なものにしている。
目下、私とミスティとの婚約は様々に解釈されている。
行き過ぎた差別をなくすための友愛政策と取る者もいるし、資金繰りのための生贄だと私を憐れむ者もいる。外国に嫁ぐのが嫌でごね倒したといううわさも聞くし、私が酔狂で美しいものを愛でたいが為に我儘を通したという説もある。
真実など市井の者たちには退屈なだけだ。どうとでも取ればいい。真実など、見えなければないのと同じだ。
アイリーンに望み通りの婚姻を選ばせるという目的が果たせて、私の緊張感は緩んできていた。
バロッキー家でサリを参謀に据えて綿密に作り上げた設定を、つい忘れてしまっていたのも、気が緩んでいたせいだ。
ミスティとの結婚を仕組んだのは、私に婚約者のヒースを奪われそうになっていたサリだ。
どこで二人が出会ったとか、何をしたとか、どんなふうにプロポーズされたとか、それはそれは細かい設定が用意された。
新聞に書かれたりしても矛盾の無い様に、サリの前で何度も覚えさせられたのは、あまり反芻したくない思い出だ。
サリは、私とミスティの婚約が、王家やバロッキー家の利に基づくものではないと宣伝しようとしている。私とミスティが好き合って婚約したことにするそうだ。
勇敢なサリは、長年続いたカヤロナ国の竜に対する迫害を取り去ろうとしている。
サリの思惑とは別に、王家にもバロッキーの血を引き込む理由が必要だった。
今まで粗雑に扱っていた竜の血を再び王家に引き込むのに、言い訳が要る。そこに私の我儘というのがよく嵌まり込んだ。
不本意だけれど、我儘な王女である私がミスティを見初めて手放さない――そんな理由が最も都合が良かったのだ。
宣伝の結果、私は愛を貫いた王女としてもてはやされるようになった。
今の所、私たちの婚約は一部の保守的な層を除いて、あまり反発もなく受け入れられている。
背中に痛みを感じた。
爪を立ててられて抓られている。
「……ええ、そんなこともあったかしらね」
にこにこと微笑みながら、隣を見上げる。ミスティは、それはそれは上手に演技した笑顔で私に応える。
「僕の婚約者は、僕がこんなに尽くしても、僕との時間を忘れてしまうらしい。悲しいことです」
すねたように言うくせに、私の背中を抓る力はゆるめない。
寄り添うふりをして、私もミスティの背中に手を回す。
「そんなことないわ! ミスティがしてくれることが多すぎて、私が覚えきれないのね。それとも、私ったら、ミスティの顔ばかり見ていたのかしら?」
私もミスティの背中を負けずに抓ることにした。
(女性に対しての抓り方ではないわ!)
なるべく力を込めて、服の上からつねり上げようとするが、ジャケットの上から脂肪もついていないミスティの背中をとらえるのはなかなか難しい。
「それは光栄なことだね、僕の姫様」
「ねぇ、ミスティ、私、疲れたわ。少し休んでもいいかしら?」
我儘な姫という評判は便利だ。私が少し奔放に振舞っても、あの我儘姫のすることだとため息をつかれるぐらいで許される。
「ずっと外にいたものね。クララベル、レトにお茶を運んでもらおう」
歓談を続ける人々の輪を抜けて、室内へ向かう。ミスティは自然に私をエスコートして、用意された部屋まで連れて行く。
「――っ痛ったいじゃないのよ!!」
部屋に入りドアを閉めたところで、私はミスティを突き飛ばした。
「あんたは馬鹿かよ? ちゃんと話を合わせろよ。襤褸出しまくりだろ」
少し前の体重の軽いミスティなら私の力でも派手に突き飛ばされていたことだろう。
今はよろめきもせずに、偉そうに腕を組んで立っている。
「あんたって呼ばないで」
「あんたじゃなければ、何て呼べばいいんだよ、アホのお姫様?」
「ちょっと、ミスティ、一度ジャケットを脱ぎなさいよ」
「……なんでだよ」
「いいから」
ミスティは、割と簡単にジャケットを脱ぎ捨てた。
やっと、爪が通りそうな背中が現れ、私は嬉々として背中を抓り上げる。
ここ二年でレトに鍛えられて、ミスティの身体にはだいぶ筋肉がついたが、それとは関係なく痛みを感じるであろう皮の薄いところを抓ってやった。
「どう? 痛いでしょ。こんな非道なことを私にやったのよ!」
「はっ、やると思ったけど、くっだらない。全然痛くないし」
「なんですって! くだらなくないわよ、私の背中を思いっきり抓ったじゃない。爪まで立てて、傷になったらどうしてくれるのよ。ひどいわ!」
なんだかんだで、私が抓ったところをさすっているのを見逃さない。渾身の力で抓ったのだし、効かないはずがないわ。
「大袈裟なんだよ。厚顔無恥の面の皮は厚いはずだから、背中だってあれくらいで傷なんかつかないとおもうけど? それとも皮膚が厚いのは厚化粧の顔だけ?」
ミスティの暴言は止まらない。どれほど痛かったか、わかっていないのだろうか。
「厚化粧じゃないわ! 傷になったら背中の開いたドレスが着られないじゃない!」
「婚約者も決まっている姫様が、ちゃらちゃらと背中を出してどうするつもりなんだよ。まずは性格を直さないと次の夫候補も裸足で逃げ出すな」
「性格で結婚なんか決まらないのよ。ミスティみたいな性悪と結婚が決まった私が言うんだから間違いないわ!」
ミスティに指を突き付けてやる。
バロッキー家でうっかりやったときに、子どもたちの前でサリに人差し指を折られそうなほど叱られたから、封印していたのだが。
サリはシュロ国からバロッキー家に嫁いできた娘だ。
実際、嫁ぎに来たのか、稼ぎに来たのか、わからない。商才があり、バロッキー家の仕事も任されている。
サリは同い年のくせに、私に対してまるで礼儀作法の先生のように口うるさい。「ガミガミババァ」と心の中で呼んでいる。
(まぁ、ここにサリはいないし、かまわないわよね?)
ミスティにはこのくらいの無礼がお似合いだ。
「自分の事を棚に上げるのが上手だな。ルミレスの倉庫で雇ってもらえばいいんじゃない? 棚に上げるのがうまいので雇ってやってくださいって、推薦状書いてやるよ」
酷い侮辱だ。
ミスティとは根本的に相性が悪い。それはもう、初めて会った時から、雷に打たれたようにお互いが天敵だと直感した。それが今は、身分の違いを乗り越えて結ばれた、美談カップルだ。
婚約が決まって二年、偽の婚約者としての振る舞いは板についてきて、人目があるところでは熱愛の恋人同士として甘ったるく振舞えるようになった。
「口ばっかり達者なことね!……やだ、本当に傷になってるかしら?」
鏡で確認しようとしても服の中なので分からないのだが、ミスティが抓って皴になっているドレスの生地を鏡越しに恨めしく眺める。
「いや、ホントに大袈裟だろ」
ミスティは私のドレスの背中のボタンを器用に開けると、背中をのぞき込む。そこに一切の躊躇はない。
女性の服も着こなしていただけあって、服の着方を熟知しているのが腹立たしい。
「あ、ヤバ……」
ミスティがうっかり感想を口にするのを聞きとがめる。
やっぱり痕になっているのだろうか。少し焦ったようで抓った跡を撫でている。
「ほら、本当でしょ! すっごく痛かったんだから。あんな力でつねる方がおかしいのよ。私、そんなに悪いことした!?」
そこに書類を持って騎士のレトが入ってくる。
眉の間に峡谷が出来そうなほどのしかめっ面で。
「……姫様、なんとなく状況は分かるのですが――この場面だけ切り取られると、物凄くはしたなく見えますよ」
慌てて鏡の中の私たちを見る。異性に背中をはだけられて、のぞき込まれている私が映っている。
――これは酷いわ。
「ち、ちがうのよ! レト、誤解よ、誤解!!」
「いえ、誤解はしておりません。先ほどミスティさんに傷がつくほど抓られていましたものね。あれは姫様が不用意過ぎました」
よかった、レトはこの状況を誤解なく理解している。
「ほらな」
「……とはいえ、ミスティさんはやり過ぎです。もう昔の握力ではないのですからね」
「……はい。すみません。少しやり過ぎました」
ミスティはレトに咎められて、バツが悪そうに、頭を掻いて自分の非を認めた。
剣の師匠であるレトにミスティは逆らわない。私には絶対に謝ったりしないくせに、レトには素直に謝罪するのだ。面白くなくて、ミスティを小突く。
「どこが少しなのよ!」
「婚約者に狼藉をはたらかれて、背中を見せられない状態になったと思われても仕方ないくらい――のやり過ぎ方だな」
しらっと告げるが、それはもう、相当痕が残っているということだ。
「最っ低!!!!」
*
私とミスティの婚約が公になって、もう二年も経つ。
あの後すぐに成長期に入ったミスティはもう女装が似合わない体格になった。
いや、似合うのかもしれないけれど、女性だとしたら身長が高すぎる。
私たちの結婚に向けての準備は順調に進んでいる。
先に結婚した王太子の兄には無事に跡取りが生まれ、ますます私に対する皆の関心は失せていった。
目の上の瘤だった私が片付いて、諸侯を実家に持つ義理の姉たちも望みの通りの結婚が決まったようだ。
私とサルベリア国の王子の縁談は白紙に戻り、代わりにすぐ下の妹アイリーンがサルベリアに嫁ぐことが決まった。そうなって、ようやく自分の身に危険が及ぶことが少なくなってきたと実感する。
国王はサルべりアの縁談を蹴るなら、バロッキーから婿を取るようにと私に命じた。国益のための父が出した条件が、皮肉にも私の生活を安楽なものにしている。
目下、私とミスティとの婚約は様々に解釈されている。
行き過ぎた差別をなくすための友愛政策と取る者もいるし、資金繰りのための生贄だと私を憐れむ者もいる。外国に嫁ぐのが嫌でごね倒したといううわさも聞くし、私が酔狂で美しいものを愛でたいが為に我儘を通したという説もある。
真実など市井の者たちには退屈なだけだ。どうとでも取ればいい。真実など、見えなければないのと同じだ。
アイリーンに望み通りの婚姻を選ばせるという目的が果たせて、私の緊張感は緩んできていた。
バロッキー家でサリを参謀に据えて綿密に作り上げた設定を、つい忘れてしまっていたのも、気が緩んでいたせいだ。
ミスティとの結婚を仕組んだのは、私に婚約者のヒースを奪われそうになっていたサリだ。
どこで二人が出会ったとか、何をしたとか、どんなふうにプロポーズされたとか、それはそれは細かい設定が用意された。
新聞に書かれたりしても矛盾の無い様に、サリの前で何度も覚えさせられたのは、あまり反芻したくない思い出だ。
サリは、私とミスティの婚約が、王家やバロッキー家の利に基づくものではないと宣伝しようとしている。私とミスティが好き合って婚約したことにするそうだ。
勇敢なサリは、長年続いたカヤロナ国の竜に対する迫害を取り去ろうとしている。
サリの思惑とは別に、王家にもバロッキーの血を引き込む理由が必要だった。
今まで粗雑に扱っていた竜の血を再び王家に引き込むのに、言い訳が要る。そこに私の我儘というのがよく嵌まり込んだ。
不本意だけれど、我儘な王女である私がミスティを見初めて手放さない――そんな理由が最も都合が良かったのだ。
宣伝の結果、私は愛を貫いた王女としてもてはやされるようになった。
今の所、私たちの婚約は一部の保守的な層を除いて、あまり反発もなく受け入れられている。
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