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罠
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兄が狩りに出かける者たちの所に戻っていき、ほっと胸をなでおろす。
「それで、何かあったのか?」
「別に、兄様がつまらないことを言ってきただけよ」
「ふーん」
兄とぎこちない理由なんて、ミスティは知らなくてもいい。私と兄はとっくにこんがらがっているし、それを丁寧に解いてくれる母はもういない。
それはミスティには関係ないのだから。
「ミスティ、一度言ったったことの取り消しは無しよ。もう今日は私、ずっとミスティが絵を描いている所にいるから」
「仕方がないな。それで、裸婦でも描かせてくれんの?」
またとんでもないことを言い始めたミスティを冷たい目で見る。
「何を言っているの、最近調子に乗りすぎなんじゃない? これだけの自然の前でよくそんなくだらないことが言えるわね」
カヤロナの実りの季節は、夏の間の風景とは一変する。
雪に閉ざされる冬の前のほんの一時、赤く色づいた木々の様子をキャンバスに残したくないと思う画家なんていないはずだ。
「別に俺は時間つぶしに描くだけだから、風景でも人物でもかまわないんだけど。裸婦ならそれなりに楽しい」
「耳が腐るわ。あーあ、狩りらしく動物でも出てくれば動物を描くのに」
「クララベルが裸婦を描かせてくれるとなったら、俺も子鼠の一匹ぐらい呼ぶかもしれないけどな」
「下品なのはやめてってば。……待って、竜が浮かれている時に動物を集めるって、何か、こう、愛情とか? ほほえましい情動を想像してたけど、そういう破廉恥な感じなの? なんだかがっかり」
「ヒースは鹿を呼ぶよな。幻滅しろ、幻滅しろ。バロッキーの男なんてそんなのばっかりだ」
「竜に御伽噺みたいな可愛らしさを求めた私が馬鹿だったわ」
ヒースが浮かれている時に動物がやって来るのを思い出して、知らなくていい事実を掘り起こしてしまったとぐったりする。
ふざけた事ばかりを言っていたミスティだったが、にょろにょろとした線で森の風景を描き始めると、すぐさま真剣な顔になり絵の世界に没入する。
私もしばらく木の葉を手元に置いて葉脈を描いていたが、ミスティの絵に気を取られて手が止まってしまった。
私には真似できたものではないが、ミスティの中にはこの絵の完成図が見えているのだろう。迷いのない筆運びで下書きと関係があるとは思えない場所から色を乗せていく。
魔法のように色が増え、ミスティの目を通して世界がどう見えているのかが明らかになってくる。
悔しいけれど、私はミスティの目を通して見る世界が好きだ。
*
しばらくして、メイドが「狩場からのお届け物です」ときれいな木の実と赤く紅葉した葉に文を付けて持ってきた。
なかなか小粋なことをする者がいるなと手紙を開けば、ところどころ力の入れ方の間違えたような字で短く要件が綴ってある。格好をつけた言い回しに見えるが、なんだか稚拙さも透けていてちぐはぐな印象だ。
『妹の件で内密にお話したきこと有り。
太陽の方角にある一番高き樹木のところまでお越しください』
名前の代わりに押された印を見て、ぞくりとする。
この黒と赤を使った気取った印はオリバーのものだ。昔から趣味が悪いと思っていた。
オリバーは、ついにフローラの事を知ったのだろうか。
フローラのことはミスティにもレトにも言っていない。
(オリバーの呼び出しなんて嫌だけど、ミスティに、なんて言ったらいいの?)
身の安全を考えてみる。
危険はないとは言えないが、オリバーは広い領地を持つサンドライン家の跡継ぎだ。国に対しての責任も重い。王族ばかりがいるここで問題を起こすのがどれほど愚かな事かわきまえているだろう。
だとすれば、本当に話したいことがあるだけだと考えていいだろうか。
オリバーがフローラをもう追わないと誓うなら私も安心できるし、逆に危害を加えるつもりでいるなら手を打たなければならない。
私が百面相している横でミスティは集中して絵を描いている。
――ミスティには頼れない。どうにかして一人で抜け出さなければ。
お茶を飲んでくるわと告げると、ミスティは上の空の返事を返した。
絵に集中しているのはわかるが、私が心配ではないのだろうか。いや、別にミスティが悪いわけではない。私がフローラと変な約束をしてしまったのが悪い。この状況に一人だけで向かっていかなければならないことが不安なだけだ。
「じゃぁ……行って来るから」
私に背を向けて、椅子に腰かけ筆を走らせるミスティの耳を掴んで、頬にかすめるようなキスをする。
(私の苦悩を、少しくらい察しなさいよ!)
心の中で無理な注文を付けるくらい許して欲しい。
まぁ、去り際にキスなんて、恋人らしい行動だったと思うわ。サリに出来を報告しなくては。
ミスティはこちらを振り返らずに「ああ」とだけ言って手だけで見送った。
*
私は天幕に戻ってきて、手紙に添えられていた赤い落ち葉をひらひらさせて女官に声をかけた。
いつもの私に付いている若い女官ではない。おそらくいつもは城の別の場所で仕事をしている女官なのだろう。私を見ると少し作ったような顔でほほ笑む。
私の我儘ぶりが噂で知れ渡っているようね。この場合、丁度いい人選だわ。
「ねえ、みて、綺麗でしょ? 私もこんな葉を拾いたいの」
「ではご一緒いたします」
「駄目よ、内緒で拾いたいって言ってるの!」
「お一人で行かれるのですか?」
「そうよ。ミスティを驚かせたいのよ」
「ですが……」
私が馬鹿みたいな我儘を言っているのを困った顔で見る。いい傾向だわ。もう一押しね。
「それじゃ、あなたがこれからカップ一杯のお茶をいれて、それをすっかり飲み終わった頃に私があの赤い木を目指して行ったってミスティに伝えてくれない? ミスティと一緒ならいいでしょ? 誰かに何か言われたら、私に命令されたって言えばいいわ。でも、絶対に早すぎては駄目よ。私がきれいな木の実を拾って、そこで待つのだから……ふふふ、意味がわかるわね?」
思わせぶりな表情を浮かべて意味深に声を落とす。
女官は迷うような顔をしたが、また姫の我儘が始まったのだと納得してくれたようだ。
「お二人は仲がよろしいのですね」
「ええ、そうよ。もうすぐ狩りが終わってレトも帰ってくるわ、もしレトが帰ってきたら、迎えに来させて。私、帰りの道では足が疲れてしまっているかもしれないものね」
私はめいっぱい我儘姫の特権を使って、できるだけの保険を掛けた。ミスティもレトも気がついて迎えに来てくれるかしら。何も起きなけれないいのだけれど。
「ふふふ、ミスティきっと驚くわね。私、あの木には子供の頃からよく行っているし、ここから歩いてもすぐだから、心配ないわ」
*****
私が木の下に着いた時にオリバーはいなかった。
まだ来ていないのだろうか?
すると、集められた木の葉の中に手紙の付けられた木の枝が立てられている。
――これを読めというのだろうか。
私は手紙に近づき木の枝から手紙を取ろうとする。
思ったよりも割った枝の間が狭くて、手紙が取りづらい。
「……?!」
枝ごと引っこ抜いて取ろうと枝を引いたとたんに、何かはじける音がして、ぐんっと手が上に引き上げられるのを感じた。
手首に熱を感じる。
(何が起こったの?)
一瞬のことに何が起きているのかわからない。痛みを感じる方を見てみると、右手に何かが巻き付いている。
手首を締め上げられ、木の葉で見えなかった位置から続く綱が私を吊り上げようとしている。
私は罠にかけられたようだ。
つま先立ちでどうにか立っていられるくらいの高さで綱の長さが調節してあって、もう片方の手で縄をほどこうとすると足が浮いてしまう。
「獲物がかかったな」
物陰から見ていたのだろうか、オリバーがカサカサと木の葉を踏みながら現れた。
「凄いだろ? 猟師にしかけてもらった特注なんだ。ただの括り罠じゃなくて、つまらない女を釣りあげる罠さ」
オリバーは私に目線を合わせるように少しかがみ、嫌な笑いを浮かべている。
「丁度良いだろ? 姫様が爪先立ちで頑張っている姿はなんとも愛らしいですね」
冷や汗が出るのを感じて、震えそうなのを私は大きく息を吸い、ため息に変えた。
(……怖い)
怖いけれど、怖がれば相手の思うつぼだ。
「オリバー、これはどういうつもり?」
私はツンと顎をあげた。
どんな危機的な状況であっても、私はあくまでも傅かせる側の者だ。
「躾のなっていない姫様にはいろいろ教えて差し上げなくてはと思いまして。姫様もフローラもどうして自分の身の丈を弁えないんだ。俺に全てを委ねればいいのに」
オリバーが私を疎ましく思っているのは知っていた。でも、こんなに短慮であるとは思わなかった。
こんなところで私が騒げば、どこにいてもすぐにレトが飛んでくる。
復讐するなら、もう少し上手にやって欲しい。
せめてもっとバレないようなところで。
「ふぅん、身の丈ね。オリバーに教えられるとは思っていなかったわ」
「泣かないのか――姫様、この状況が分かっていないのか?」
叫び声をあげれば野営の場所まで聞こえるかもしれない。しかし、この状況でオリバーを取り押さえたとして、国に何の利もない。
今、サンドライン家に何か起きるのは困るのだ。
サンドライン卿は広い領地を治めながら国の中枢の仕事もしている。
今の所、サンドライン卿ほど領地を把握しているものはいないし、その代わりとなる人材もいない。候補であったオリバーは、たった今候補のリストから消えた。
アイリーンと一緒にサルべリアに行くことが決まったフローラは、もうアイリーンにとってなくてはならない支えになりつつある。何事もなくそのまま送り出したい。
今、サンドラインと名のつく者に何か問題をおこしてもらっては困るのだ。どうにか思いとどまらせなくては。
「それで、何かあったのか?」
「別に、兄様がつまらないことを言ってきただけよ」
「ふーん」
兄とぎこちない理由なんて、ミスティは知らなくてもいい。私と兄はとっくにこんがらがっているし、それを丁寧に解いてくれる母はもういない。
それはミスティには関係ないのだから。
「ミスティ、一度言ったったことの取り消しは無しよ。もう今日は私、ずっとミスティが絵を描いている所にいるから」
「仕方がないな。それで、裸婦でも描かせてくれんの?」
またとんでもないことを言い始めたミスティを冷たい目で見る。
「何を言っているの、最近調子に乗りすぎなんじゃない? これだけの自然の前でよくそんなくだらないことが言えるわね」
カヤロナの実りの季節は、夏の間の風景とは一変する。
雪に閉ざされる冬の前のほんの一時、赤く色づいた木々の様子をキャンバスに残したくないと思う画家なんていないはずだ。
「別に俺は時間つぶしに描くだけだから、風景でも人物でもかまわないんだけど。裸婦ならそれなりに楽しい」
「耳が腐るわ。あーあ、狩りらしく動物でも出てくれば動物を描くのに」
「クララベルが裸婦を描かせてくれるとなったら、俺も子鼠の一匹ぐらい呼ぶかもしれないけどな」
「下品なのはやめてってば。……待って、竜が浮かれている時に動物を集めるって、何か、こう、愛情とか? ほほえましい情動を想像してたけど、そういう破廉恥な感じなの? なんだかがっかり」
「ヒースは鹿を呼ぶよな。幻滅しろ、幻滅しろ。バロッキーの男なんてそんなのばっかりだ」
「竜に御伽噺みたいな可愛らしさを求めた私が馬鹿だったわ」
ヒースが浮かれている時に動物がやって来るのを思い出して、知らなくていい事実を掘り起こしてしまったとぐったりする。
ふざけた事ばかりを言っていたミスティだったが、にょろにょろとした線で森の風景を描き始めると、すぐさま真剣な顔になり絵の世界に没入する。
私もしばらく木の葉を手元に置いて葉脈を描いていたが、ミスティの絵に気を取られて手が止まってしまった。
私には真似できたものではないが、ミスティの中にはこの絵の完成図が見えているのだろう。迷いのない筆運びで下書きと関係があるとは思えない場所から色を乗せていく。
魔法のように色が増え、ミスティの目を通して世界がどう見えているのかが明らかになってくる。
悔しいけれど、私はミスティの目を通して見る世界が好きだ。
*
しばらくして、メイドが「狩場からのお届け物です」ときれいな木の実と赤く紅葉した葉に文を付けて持ってきた。
なかなか小粋なことをする者がいるなと手紙を開けば、ところどころ力の入れ方の間違えたような字で短く要件が綴ってある。格好をつけた言い回しに見えるが、なんだか稚拙さも透けていてちぐはぐな印象だ。
『妹の件で内密にお話したきこと有り。
太陽の方角にある一番高き樹木のところまでお越しください』
名前の代わりに押された印を見て、ぞくりとする。
この黒と赤を使った気取った印はオリバーのものだ。昔から趣味が悪いと思っていた。
オリバーは、ついにフローラの事を知ったのだろうか。
フローラのことはミスティにもレトにも言っていない。
(オリバーの呼び出しなんて嫌だけど、ミスティに、なんて言ったらいいの?)
身の安全を考えてみる。
危険はないとは言えないが、オリバーは広い領地を持つサンドライン家の跡継ぎだ。国に対しての責任も重い。王族ばかりがいるここで問題を起こすのがどれほど愚かな事かわきまえているだろう。
だとすれば、本当に話したいことがあるだけだと考えていいだろうか。
オリバーがフローラをもう追わないと誓うなら私も安心できるし、逆に危害を加えるつもりでいるなら手を打たなければならない。
私が百面相している横でミスティは集中して絵を描いている。
――ミスティには頼れない。どうにかして一人で抜け出さなければ。
お茶を飲んでくるわと告げると、ミスティは上の空の返事を返した。
絵に集中しているのはわかるが、私が心配ではないのだろうか。いや、別にミスティが悪いわけではない。私がフローラと変な約束をしてしまったのが悪い。この状況に一人だけで向かっていかなければならないことが不安なだけだ。
「じゃぁ……行って来るから」
私に背を向けて、椅子に腰かけ筆を走らせるミスティの耳を掴んで、頬にかすめるようなキスをする。
(私の苦悩を、少しくらい察しなさいよ!)
心の中で無理な注文を付けるくらい許して欲しい。
まぁ、去り際にキスなんて、恋人らしい行動だったと思うわ。サリに出来を報告しなくては。
ミスティはこちらを振り返らずに「ああ」とだけ言って手だけで見送った。
*
私は天幕に戻ってきて、手紙に添えられていた赤い落ち葉をひらひらさせて女官に声をかけた。
いつもの私に付いている若い女官ではない。おそらくいつもは城の別の場所で仕事をしている女官なのだろう。私を見ると少し作ったような顔でほほ笑む。
私の我儘ぶりが噂で知れ渡っているようね。この場合、丁度いい人選だわ。
「ねえ、みて、綺麗でしょ? 私もこんな葉を拾いたいの」
「ではご一緒いたします」
「駄目よ、内緒で拾いたいって言ってるの!」
「お一人で行かれるのですか?」
「そうよ。ミスティを驚かせたいのよ」
「ですが……」
私が馬鹿みたいな我儘を言っているのを困った顔で見る。いい傾向だわ。もう一押しね。
「それじゃ、あなたがこれからカップ一杯のお茶をいれて、それをすっかり飲み終わった頃に私があの赤い木を目指して行ったってミスティに伝えてくれない? ミスティと一緒ならいいでしょ? 誰かに何か言われたら、私に命令されたって言えばいいわ。でも、絶対に早すぎては駄目よ。私がきれいな木の実を拾って、そこで待つのだから……ふふふ、意味がわかるわね?」
思わせぶりな表情を浮かべて意味深に声を落とす。
女官は迷うような顔をしたが、また姫の我儘が始まったのだと納得してくれたようだ。
「お二人は仲がよろしいのですね」
「ええ、そうよ。もうすぐ狩りが終わってレトも帰ってくるわ、もしレトが帰ってきたら、迎えに来させて。私、帰りの道では足が疲れてしまっているかもしれないものね」
私はめいっぱい我儘姫の特権を使って、できるだけの保険を掛けた。ミスティもレトも気がついて迎えに来てくれるかしら。何も起きなけれないいのだけれど。
「ふふふ、ミスティきっと驚くわね。私、あの木には子供の頃からよく行っているし、ここから歩いてもすぐだから、心配ないわ」
*****
私が木の下に着いた時にオリバーはいなかった。
まだ来ていないのだろうか?
すると、集められた木の葉の中に手紙の付けられた木の枝が立てられている。
――これを読めというのだろうか。
私は手紙に近づき木の枝から手紙を取ろうとする。
思ったよりも割った枝の間が狭くて、手紙が取りづらい。
「……?!」
枝ごと引っこ抜いて取ろうと枝を引いたとたんに、何かはじける音がして、ぐんっと手が上に引き上げられるのを感じた。
手首に熱を感じる。
(何が起こったの?)
一瞬のことに何が起きているのかわからない。痛みを感じる方を見てみると、右手に何かが巻き付いている。
手首を締め上げられ、木の葉で見えなかった位置から続く綱が私を吊り上げようとしている。
私は罠にかけられたようだ。
つま先立ちでどうにか立っていられるくらいの高さで綱の長さが調節してあって、もう片方の手で縄をほどこうとすると足が浮いてしまう。
「獲物がかかったな」
物陰から見ていたのだろうか、オリバーがカサカサと木の葉を踏みながら現れた。
「凄いだろ? 猟師にしかけてもらった特注なんだ。ただの括り罠じゃなくて、つまらない女を釣りあげる罠さ」
オリバーは私に目線を合わせるように少しかがみ、嫌な笑いを浮かべている。
「丁度良いだろ? 姫様が爪先立ちで頑張っている姿はなんとも愛らしいですね」
冷や汗が出るのを感じて、震えそうなのを私は大きく息を吸い、ため息に変えた。
(……怖い)
怖いけれど、怖がれば相手の思うつぼだ。
「オリバー、これはどういうつもり?」
私はツンと顎をあげた。
どんな危機的な状況であっても、私はあくまでも傅かせる側の者だ。
「躾のなっていない姫様にはいろいろ教えて差し上げなくてはと思いまして。姫様もフローラもどうして自分の身の丈を弁えないんだ。俺に全てを委ねればいいのに」
オリバーが私を疎ましく思っているのは知っていた。でも、こんなに短慮であるとは思わなかった。
こんなところで私が騒げば、どこにいてもすぐにレトが飛んでくる。
復讐するなら、もう少し上手にやって欲しい。
せめてもっとバレないようなところで。
「ふぅん、身の丈ね。オリバーに教えられるとは思っていなかったわ」
「泣かないのか――姫様、この状況が分かっていないのか?」
叫び声をあげれば野営の場所まで聞こえるかもしれない。しかし、この状況でオリバーを取り押さえたとして、国に何の利もない。
今、サンドライン家に何か起きるのは困るのだ。
サンドライン卿は広い領地を治めながら国の中枢の仕事もしている。
今の所、サンドライン卿ほど領地を把握しているものはいないし、その代わりとなる人材もいない。候補であったオリバーは、たった今候補のリストから消えた。
アイリーンと一緒にサルべリアに行くことが決まったフローラは、もうアイリーンにとってなくてはならない支えになりつつある。何事もなくそのまま送り出したい。
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