ある日召喚した使い魔は完璧超人でした

ほたほた

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第四話 幼き少女と母親の苦き思い出

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パチンッ
鈍い音がして私は庭に転がった。目の前には真っ赤に腫れた手をわなわなと振るわしながら立つ母の姿があった。

「どうして....どうしてあんたはこんなに出来ないの‼」

★★★

私は有名な魔女の一族に生まれた子だ。代々、その娘だけに魔法の力が備わるのだとか。私の名を言えば皆が羨む。「羨ましい」「あんな方たちのお傍で魔法が学べるなんて」。幼少期は大人達からのそんな声が誇らしかった。「私は特別な子」。本気でそう思っていた。
でも....

「違う‼そうじゃない‼」

朝から母の怒鳴る声が庭中に響く。
今は母と魔法の練習をしている最中だ。6歳からは練習にはげむのが常識だと母から聞いていた。

「なんで出来ないの?あんた私の子でしょ?」

これが母の口癖だ。

「お姉ちゃん達はあんたくらいの歳ではもう天才と呼ばれる程だったのよ?」

これも母の口癖だ。
私の3つと4つ離れた2人の姉は本当に天才だ。まだ2人とも10歳くらいなのにもう大人と同じくらいの魔法が使える。

「こんなんじゃ、プルメリア魔法学院に受かれない」

母が行かせたがってる有名な魔法学校だ。昔、母が受験に失敗し、その学校に通いたいという願いを娘達に託している。

「なんで出来ないの」

またこれだ。

「何よその目」

しまった。歯向かうような表情をしてしまった。やばい、来る...

★★★
庭に転がり込んだままの私に母が言う。

「どうしてあんたは....」

何か、言わないと。また....

「ごめんなさい、お母様。私が悪いの。全部。出来ない私が。だからすごく練習するから。だから....」
「まぁいいわ。明日までにできるようになっておきなさいよ」
「.....」
「返事は」
「...はい」

これが私の母だ。思い通りにいかないとヒステリックに喚き散らす。幸い大きな屋敷に住んでいるし、庭も結構広いから近所の人にとがめられる事もなかった。

「疲れた」

私の一日の終わりに言うことはいつもこれだ。出来ていない、違うと責める母に、実の妹を無価値だと咎める姉が怖くて仕方なかった。また怒られる。その恐怖で頭がいっぱいだった。父はこんな母親に嫌気が指したのか、突然と姿を消した。誰も助けてくれる人なんていなかった。

「なんで....」

私は今日もベットの中で声を押し殺して泣く。こんな毎日。もう嫌だ。

★★★
私は本当に何も出来ない子だ。料理、掃除もまともに出来ない。
以前、母に言われて掃除を手伝った時、

「エリカ」
「はいお母様」
「私、今手が離せないから代わりにリビングの掃除してくれる?今日はメイド達もいないから大変なのよ。それくらいあんたにもできるでしょ」
「分かった」

リビングの掃除といってもすごく広いから大変なのだ。一応、床ふき用の雑巾はあるが、背が足りなくて使いこなせないから雑巾を手に持って直接拭いていた。その時だ。

ガッシャーン

割れるような音がして花瓶が落ちた。どうやら拭いてるうちに当たって落としてしまったようだった。そして、私にはこれまでに無いほどの恐怖心にかられる。この花瓶は母が大事に大事にしていた宝物。私はどんな目に合うのだろう。きっと、叩くだけじゃ済まされない。どうしよう。どうしよう。そう考えているうちに、音につられて母がやってきてしまった。

「何が起こったの!?」
「あ、えと、その」

母は私の小さな背中で隠していた割れた花瓶を見ると

「何よ、これ。どういうこと?まさかあんたが壊したんじゃないでしょうね?」
「あ、ごめ...」

謝罪を言い終わる前に母の拳が飛んでくるのが分かった。避けようとしたが、もう遅い。

★★★
私はまた床に倒れていた。何回目だろう。こんな風に床や地面に横たわるのは。ポタポタと涙を流す。そして、ひたすら自分を責めながら、殴られ蹴られている最中に母に言われた言葉を思い出す。

「どうしてあんたは何も出来ない。初歩的な魔法も。料理も掃除も。いつもいつも。どうして失敗ばかりする。なんでお姉ちゃん達みたいに出来ないの。あんたなんて産むんじゃなかったよ。あんたのせいで私がなんて言われてるか知ってる?知らないわよね。めそめそと泣くだけないて反省もしないあんたなんかに。もうあんたは何もしなくていいよ。手伝わないで。何も役立てないあんたなんかいらない」

まだまだあった気がするけど、もう思い出したくないや。思い出すだけで辛くなる。

それから9年後私は決意する。
15歳で中学の課程を卒業後、親元を離れ別の所で暮らすと。あの日以来、母からは何もするな手伝うなと言われたから、家事もろくに出来ないが、魔法だけは人並み以上にできるようになったから1人で暮らしていけると過信していた。

こうして私は有言実行で、親元を離れ今の地で暮らすことになった。
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