「近づいてはいけないモテない男」だったころの話。

戸城 樹

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「近づいてはいけないモテない男」だったころの話。

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「某所」としか、今は言えない場所で投稿したものを、こちらで供養します。前回の、『もし僕に娘がいたら、「モテない男には近づいてはいけない」と教えると思う』で、「かつて僕自身がそうだった」と書きましたが、その頃のお話です。元の文をそのまま出してしまうのはかなりリスキーなため、大幅な加筆修正を行いましたが、アダルトな内容であることが普通な場所で公開したものなので、それでもかなり18禁要素が強いです。すこし特殊な性癖についても書かれていますが、性的差別を助長する意図はまったくないことを、予め言っておきます。また、性風俗についての記述があります。僕は性風俗と、そこで働く女性について、肯定的な考えをもっており、その前提で書いています。そういった表現に嫌悪感を抱くかたは、閲覧非推奨です。

 僕は、わりと若い頃から、10代~20代の女の子が苦手でした。いまでも、10代~30代くらいまでの女性とお話をするときに、気後れしそうになることがあります。

 小学校高学年くらいから、20代くらいまで、多くの青少年のご多分に漏れず、僕もその時々で好きな女の子がいました。
年下のかわいい娘や、眼鏡の似合う同級生の委員長(眼鏡属性は彼女によってつけられました)等々。

 そして、その恋は全て、悉く破れました。「もし僕に娘がいたら~」でも書いたとおり、当時の僕は、今にして思えば「必死過ぎて怖い」男でした。
 頭の中をコンプレックスと性欲で一杯にした男に
「付き合うor DIE」
 って勢いで迫られたら、誰だって怖いですよね。
 10代20代の頃の、恋に破れた自分を、今なら俯瞰して見ることができますが、当時は恋に破れるたび、僕を受け入れてくれない女の子達への怨嗟を募らせ、更に鬱屈していきました。

 こうなるとバッドスパイラルです。時はおりしもバブル時代。
 3高、アッシー、メッシーなんて言葉が飛び交い、カネと学歴と身長の全てがなければ女の子と付き合えない位の風潮でした。冷静に考えれば、同じ人間。そんな女子なんて、いたとしてもホンの一握り。この手のステレオタイプは、未だにメディアが垂れ流しがちなので、電○と博○堂に対して、常に冷えた感情を抱いています。

 そんな鬱屈した青春時代。ある事件が起こりました。
何をやったのかは覚えていないのですが、中学2年のとある日、クラスの女の子が僕を見て「気持ち悪い……」と言ったんです。
 クラスでもかなり美人の女の子でした。彼女がその美しい貌を歪め、生理的嫌悪を隠す事なく僕を「気持ち悪い」と言ったんです。
 すごく傷つきました。……が、同時にえも言われぬ感覚が、腰のあたりに沸き起こりました。
 その後10年以上にわたり、そのシーンは僕の「困った時のおかず100選」のトップ3に君臨し続けました。僕はその時、同世代の女の子への絶望と性的欲求が、なぜか結びついたのです。
 誰を好きになっても、彼女の放った「気持ち悪い……」がアタマをよぎりました。どうせ受け入れて貰えないならいっそ……と、自慰行為中の脳内での妄想は、どんどん凄惨なものになっていきました。この精神状態は、シリアルキラーの青少年時代によく見られる傾向でもあります。我ながら、実行に移すことなく、よく犯罪を犯さなかったと、自分で自分を褒めてやりたいです。僕の心の歪んだ鏡が作り出した幻影は、その一歩手前まで僕を苦しませ続けました。
 同世代の女の子への苦手意識は、20代の半ばまで引きずりました。激しい女性への苦手意識と憎しみを抱えながら、いや、抱えていればこそ、その一方で、女性を求める気持ちは募り、今思えば、もう気が狂う寸前でした。

 だからこそ、少しだけわかるんです。「もし僕に娘がいたら~」で書いたような気持ちでいる男子の気持ちが。
 まぁ、わかるだけで、「ダメ、絶対!」と思いますけどね。

 話を戻します。まだその苦悩の最中にいた僕は、それでもなお希望する女性の年齢は、年上はせいぜいプラス2~3歳まで。基本年下。でした。もうここまで書いたら恥もヘッタクレもないので言いますが、処女厨でした。
 要は、自信や余裕が、全く自分になかったんですね。他に男を知らなければ、バカにされることも見下されることもあるまいという、浅はかで身勝手な理屈です。
 自信のない男の中には、時々このように無自覚に失礼なバカがいます。とはいえ周りに女っ気は皆無。見渡せばオタ友(男オンリー)とエロ漫画とエロゲーのみ。
 20代に入り、エロゲーやエロ漫画も良くやりましたが、色々なものをプレイしたものの、強く惹かれたのは、妙齢の女性が、若い(幼い)男の子を貪る的なヤツ。こんな風に貪られたい、という気持ちは、キレイな言葉で言えば、「求められたい・必要とされたい」という気持ちだったのかもしれません。
 当時の僕の職場は接客業で、スタッフにも顧客にも女性がいましたが、僕の不出来や、「歪んだ鏡」のせいもあったのでしょうが、女性スタッフからは、日常的に叱責やイジメをうけており、むしろ女性不信が酷くなってしまう環境で、僕の女性への恐怖心は、さらに大きくなりました。

 その悶々が終焉を迎える時が訪れます。覚悟を決めたのです。もう自分は、このままでは女性と、付き合うどころか話すらできない、と。一念発起し、自分の問題と向き合うことにしました。
 実際、当時の僕のコミュ障っぷりは酷いものでした。グラビアの女の子とすら目を合わせられないって、信じられますか?
そんな風だったんです。
 まずはグラビアの女の子の目を、じっと見つめること。続いてTVに出ている女の子。女の子、というか、人間と話す以前の、目が合う・目を合わせるという段階から。
 そのあとは、お店に入って、男女問わず店員さんに質問しまくって、場数を踏む。コンビニ、書店を経て、アパレル店へ。
 バカみたいでしょ? でも必死でした。
 それらの訓練を経て、僕は其処に向かいました。

ソープランドへ。

 お相手頂いた女性は、不幸にも今日が初めて。というか、さっき面接を終えたばかりのほぼ素人の人でした。おたがい、ある意味「初めて同士」でワタワタして、立つべきものは立たず、フニャフニャのままなんとか……という散々な初体験でしたが、それでも感無量でした。夢にまでみた女性のカラダを抱けたのですから。
 脱童したものの、相手もいない男が、女の子と性的接触を含む時間を過ごすには、性風俗店に行くしかありません。狂ったように、どこかしらの風俗店に行き、色々なタイプの女の子とお手合わせを願いましたが。それでも、若い娘では全く反応しませんでした。メチャクチャ可愛い娘でも、むしろ、整った容姿の娘ほど、ダメでした。
 ある時、ふと思い立ち、全く違う系統の店に行ってみることにしました。
 そのお店に在籍の女性は、平均年齢40代半ば。30代なら若手という、俗に言う熟女店。
 そこで、No1の女性にお相手頂きました。

 潔癖な人ならば眉を顰めるようなお話かもしれませんが、初めて、泣きそうな喜びを感じました。それまで、そんなにも誰かに優しく抱かれたことはなかった。そんなに「自分の方を向いて」くれる女性はいなかった。
 感動しました。嬉しかったです。もちろん、向こうはお仕事。ぼくも、良い意味でも悪い意味でも、性的サービスと恋愛感情を分けて考えられる様になっていたので、惚れた腫れたの感情は一切起きませんでしたが、女性から「人間扱いしてもらえた」という自己肯定感を、少しだけ得ることができました。
 その経験は、女性全体への絶望と嫌悪から僕を救いはしたものの、若い女性への苦手意識は、さらに強化してしまいました。熟女だから優しいというワケでは、もちろんないです。
 ホントに、本っ当ーーーーーーに酷い人もいました……。
 そんな時代に、10歳ほど年上の一人の嬢と仲良くなって、彼女が鬼籍に入るまで十数年以上、友達関係(お店で会った以降の性的関係は一切なし)になったりもしました。彼女については、別の機会に書いてみたいです。

 けれど、しばらくすると、風俗通いの日々に、一気に虚しさを感じました。どんなにお金をかけても、それは、僕が本当にほしいものではなかったんです。
 お店の中で、いろいろなことをしても、後に残るものはなにもない。本当の名前すらしらない。肝心の「彼女」のことは、なんにも知らないまま。
 ガッツリ恋愛しましょ、とか結婚前提で、とかじゃなくても、人と人がある程度ちゃんと向き合ったら、お互いを知ろうとするはず。知りたいとおもうはず。
「人肌恋しさ」。こればかりは一人では癒せないし、相手がいない人が、お金払ってでもそれを求めたがる気持ちは、わかる。胸が締め付けられるほどに。
 けれど、人のぬくもりをお金で買っても、ココロの穴がどんどん広がっていく。
 だって、このぬくもりは、「僕のためのもの」じゃない。だから、ひととときの時間が終わったら、煙のように消えてしまう。だから、麻薬のように何度も何度も求めてしまう。風俗狂いになってしまう人の気持が、僕は少しだけ分かる。
「後腐れない」のは、確かに楽かもしれない。けれど、心の通わぬ100人の相手と、その場限りの夜を100夜過ごすより、100日かけて互いを全力で知り合おうとした方が、きっと満たされる。時間をかけて、僕の独り相撲ではなく、僕と誰かでお互いに築き上げた信頼関係は、きっと心を支える何かになる。
 悲しいけれど相性というものもあるし、片思いもあるものだから、時間をかけて関係を築いていくことが困難だな、と感じることはどうしてもあるけれど、相手を知りたい・知って欲しい、とい思う気持ち。お互いの需要の問題もあるから、「知って欲しい」を押し付けちゃダメだけど、「相手を知りたい」という欲求すら満たせない関係は、奥底にへばりついた僕の悲しみの本質を癒やすことはできなかった。
 僕の中の歪んだ氷の鏡は、その後にできた初彼女(2ヶ月程で別れてしまったけど)と、その後妻となる2人めの彼女が溶解してくれました。そういう女性たちに出会えたことは、とてもラッキーだったのだと思います。こんなおかしな遠回りをすることなく、早い段階で本質をとらえて、自分に必要なもののために注力できるのが、一番いいです。
 くどいほどに何度も言いますが、結局は、「歪んだ鏡」が見せる幻影によって、心が翻弄されてしまっているだけで、世界自体はなにも違ってはいないんですよね。だから、とにもかくにも、なるべく早い段階で、その鏡をブッ壊すことが必要なんです。
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