読書感想文:会田誠「青春と変態」

戸城 樹

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読書感想文:会田誠「青春と変態」

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 まず、タイトルがすごい。
 そして、まさにタイトルどおりの作品である。
 そして、フィクションである(でなければ、刊行されなかったであろう)。
 かなり序盤からネタバレ要素が含まれるので、ボカして書いていくが、主人公「会田誠」は社会的かつ倫理的に問題のある。明るみに出れば、100億%社会的に死ぬ犯罪となる性癖をもち、その変態的行動に耽溺している少年である。

 序盤から、「青春と変態」の変態側で、全力でカッ飛ばしてくる。この段階で、良識ある諸兄諸姉の中には、やおら本を閉じ、床に叩きつけた上で「華氏451度」よろしく焚書したくなる向きもあるかもしれないが、まぁ、まずは落ち着いてほしい。
 序盤~中盤の印象こそ、「青春の皮を被った変態小説」と感じるが、中盤以降。本編の扉部分にその名が記されている、湯山美枝さんとの仲が徐々に進展していくに従い、徐々に青春のウェイトが増していく。そして、切ないクライマックスからのエンディングでは、完全に青春小説になっている(変態ではあるが)。

「読書感想文」なので、個人的な読書体験を綴るが、僕はこの中盤以降の展開で、この数年で一番の共感を、少年会田誠に抱いた。
 僕も創作物の中で、「拗らせた青春」と、その渦中にある拗らせた人々を描いているが、僕の作品に出てくる彼ら彼女らは、全てかつての自分自身の一部を投影した存在だ。そして、「会田誠」からは、彼らと少し似た匂いを感じる。さらに言えば、こちら(アルファポリス)で発表したエッセイ『もし僕に娘がいたら、「モテない男には近づいてはいけない」と教えると思う。』や、『「近づいてはいけないモテない男」だったころの話。』等で書いた、かつての僕自身とも似ている気がする……気がしないでもない。もちろん、「会田誠」君のような性癖も行動力も、かつての僕は持ち得なかったし、持っていなくてよかったとも思うけれど、異性に対する「美しくない興味」というものは、程度の差、発出の仕方こそ違いがあれど、誰しも持つものではないだろうか?
 ある者は、放課後の教室で、恋しいあの子の縦笛を舐め。
 ある者は、憧れの彼ないし彼女を懸想して自慰に耽り。
 ある者は、憧れの彼ないし彼女でだけは絶対にヌかないと決めて、他の子を想像してしたり。
 ある者は、気になるあの子の自転車のサドルを盗み、尻の下に想い人の残滓を感じ。
 ある者は、体育の授業中に仮病を使って忍び込み、更衣室に置かれた制服の匂いに、心と股間を満たしたりということは、少なくとも僕が現役で中高生だった頃には、そこそこの頻度で起こったと思われる事象だ(いずれ発覚のパターン)。そしてそれらはいくばくかの、「会田誠み」を内包している。

 本作を読み、頭に思い浮かんだのが、青野聰の「猫っ毛時代」と、大槻ケンヂの「グミ・チョコレート・パイン」、鎌田敏夫の「スローモーション」の3作だ。村上龍の「69」も入るかと思ったが、「69」の主人公は、意外にも「性」の部分へのこだわりを、それほど感じない。「猫っ毛時代」の主人公には、女性器を見たいという明確にしてオンリーワンの願望を抱えているし、「グミ・チョコレート・パイン」の主人公は、まさに拗らせた青春像のティピカルなものだ。「スローモーション」は、もう少しストレートだが、やはりメインテーマが「中高生の性」である。
 そしてもう一つ。どの作品にも共通するのが、読後感のほんのりとしたほろ苦さだ。
 本作、「青春と変態」は、その中でも苦味はかなり強めと言える。
 ともかくも、上記で紹介した4作が好きな方には、オススメできる作品だ。ご存じでない方も、ぜひ手にとって(実にレジに持って行きにくい。電車の中等で読むのが憚られる表紙だが)、パラパラとでいいからめくってみてほしい。そして、アンモニアの臭いの中に含まれる、青春の匂いに気づけたなら、ぜひご一読を。
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